2008年12月 1日 (月)

(し) 自動車保険 -後編- CAR INSURANCE -part2-

 日本の保険会社から取り寄せたものは、無事故証明書だった。

 日本でも同様だが、保険の種類を決定し、各自動車保険会社が提供しているサービスを選んでも、保険料を割り出すことはできない。保険加入者や加入する車の状態によって保険料が違ってくるからだ。
 

☆保険料を左右するパラメーター
 我が家も、自分達に合った保険会社を選ぶために、計6~7社に見積もりをだした。こちらイギリスで保険料を変えるパラメーターとなるのは、住んでいる地域、運転歴、年齢、無事故歴、駐車場、車種、年数、今までの走行距離、防犯装置の有無など。ささいなことのようだが、実際、これでかなり保険料が違ってくるようだ。

 スーパーマーケットが提供している保険の中には、あらかじめ加入条件の中に、年齢制限があったり、イギリス在住歴1年以上の加入者のみとか、車の値段の上限や用途が定められているものがある。そうやって制限をつけることで、保険料を下げているようだ。

 年齢、住所、無事故歴等を変更することはもちろんできないので、変更できるパラメーターの設定を行なった。使用目的、運転者制限、走行距離制限、免責金額(自己負担金額)などだ。当然、使用目的、運転者、走行距離は少ないほど、免責金額は高いほど、保険料が安くなる。うちはかなり制限を厳しく設定した。
 

☆日本での無事故証明でさらに安く
 また、プロテクション (Protected No Claim) をつけたほうが結果的に保険料が安くなると教えられたので、プロテクションをつけることにした。

 日本の自動車保険には等級制度というものがある。ご存知の方も多いと思うが、最初 6等級から始まり、1年間無事故だと 1等級上がり、事故を起こして保険を請求すると 3等級下げる、というものだ。等級が高いほど保険料が安くなる。最高の20等級では60%割引、逆に最低の1等級では50%プラスになる。

 ここイギリスには「等級」というものはないが、同じような保険料割引制度がある。無事故割引制度(NC; No Claim Discount、もしくはNCB; No Claim Bonus)だ。1年毎の申請制度で、無事故期間が長ければ長いほど保険料が安くなる。

 そして、プロテクション制度 (Protected No Claim) とは、過去に一定期間以上無事故だった人が申し込み可能の保険の割引保護制度のこと。事故を起こして保険を請求すると、その度、保険料が上がるのが通常だが、プロテクションに申し込んでおくと据え置きになるというものだ。保険会社にもよるが、多くは5年間に2回までの事故の場合は、次の年の保険の割引率が変わらないようだ。
 
 もちろん、申し込むかどうかは個人の自由。2008年のある調査によると、4年以上の無事故でプロテクションに申し込み可能な人のうち、実際につけている人は63%ほどなのだとか。

 また、保険会社により最大割引率が違うようで、最大75%割引を適用しているところもある。残念ながら、日本から来た人は、日本での等級が20等級であろうと、初年度は60%割引が適用されるようだ。

 プロテクションをつけるためには、日本で契約していた自動車保険会社か、交通安全委員会に、英訳された無事故証明書を発行してもらい、それをこちらで契約する保険会社に提出する必要がある。契約後一定期間内に書類を準備すれば大丈夫なようだが、コピーやファックスは不可なので、原本を郵送してもらわなくてはならない。
 

☆我が家の場合
 うちは、渡英初の自動車保険、そして、今にも壊れそうというオンボロ車ということで、コンプリヘンシブ(総合保険)に、ブレークダウンサービス(故障修理サービス)と、プロテクション、そして、搭乗者傷害保険を追加することにした。

 イギリスの物価高に悩まされている我が家。日本でも無事故で過ごしてきたし、車で遠出することも殆どない。できるだけ安いほうがいいからという理由で、「現地のスーパーマーケットの保険でいいかな。」と連合いと言っていた。

 各社の見積もり結果は 250~450ポンド(約5~9万円)と様々。ブレークダウンサービスや搭乗者傷害保険を追加できないところもあった。

 その結果、最終的に契約したのは、上記のオプションが充実している中で一番安い見積もり、350ポンド(約7万円)を出した保険会社。意外なことに、在英日本人向け用のブローカーだった。申込も日本語、そして毎年の保険更新などの手続きも日本語。いつも規則正しく書類が届き、なんだかイギリスにいるとは思えない不思議な感じだ。

 保険加入後、車のエンジントラブルは何度も経験し、その都度、保険会社のブレークダウンサービスにお世話になっている。その際は直接現地のロードサービス会社に救援依頼の電話に入れることになる。この場合、電話のやり取りも、救援に駆けつけてくれるのも現地のイギリス人。こちらはまたの機会に別の記事でご紹介したい。
 

Car_insurance_accident  そして、肝心の事故とその際の保険手続きだが、幸いにもまだ一度も経験していない。安全運転を心掛け、追記の記事をご紹介する機会に恵まれないことを心より願うばかりだ。
 

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2008年10月20日 (月)

(し) 自動車保険 CAR INSURANCE

 イギリスでの自転車生活に慣れた頃、我が家にもとうとうがやってくることになった。帰国する知人に安く売ってもらうことになったのだ。これでもう、寒風に吹かれながら 10Kgの米や水を背負って、後続車に煽られないよう全速力で、ペダルをこぐ必要がなくなる。喜んだのもつかの間、保険会社選びという大きな問題が待ち構えていた。

 車を所有する前には自動車保険に入っておかないといけない。イギリスでは1930年から自動車保険の加入が義務付けられている。例え、一日でも加入していないと違反になってしまう。このことを知ったのは、車の受け取りの直前だった。

 
☆よりどりみどりの自動車保険
 さて、まず、どこの会社のものに加入する、それが問題だった。

 日本に住んでいた時は、親の代から世話になっている保険会社にすっかり任せっきりだった。保険切り替え時期には、更新を忘れないように電話連絡をもらっていたし、万一事故の際も親切で迅速な対応をしてもらっていたので、常に安心だった。保険の自由化が始まっても、「小手先のサービスより信頼関係が大事」と思って、他の保険会社には目もくれなかった。

 日本では1998年から自動車保険の自由化が始まったが、こちらイギリスでは1986年のビッグバン以降から始まっているらしい。そのため、自動車保険を提供している会社にもかなり選択の幅がある。

 日本では、保険会社が自動車保険を扱うのが通常だろう。主要な会社の数もせいぜい10~20社ほど。しかし、イギリスでは、80以上もの選択肢が存在し、チャーチル(Churchill)などの保険会社の他に、バークレーズ(Barclays)などの銀行、AAやRACといった自動車連盟、郵便局、そして、テスコ(Tesco)やマークス&スペンサー(M&S)などのスーパーマーケットまでもが保険代理店として自動車保険を提供している。
 日本で言えば、イトーヨーカードーやダイエーまでもが自動車保険を出しているようなものだろうか。一概にスーパーマーケットのが対応が悪いとは言えないようだ。
 一部の自動車保険会社の一覧はこちらのサイトからご覧になれます(英語)。

 
☆イギリスの自動車保険の種類
Car_insurance  保険は、通常、「サードパーティ (Third party)」、「サードパーティ・ファイアー&テフト(Third party Fire and theft)」、「コンプリヘンシブ(Comprehensive)」の3つに分類される。

 「サードパーティ(Third party)」は、第三者対人・対物で、日本のいわゆる「自賠責(自動車損害賠償責任保険)」と、「対人(対人賠償保険)」、「対物(対物賠償保険)」を合わせたものに相当するものだと思う。対人は無制限、対物は2千万ポンド(約40億円)が限度額。一番シンプルな保険だ。

 「サードパーティ・ファイアー&テフト(Third party, Fire and theft)」は、名前のとおり、第三者対人・対物に加えて、車の火災と盗難の保障が付いたものだ。イギリスでは、何件もの家が横につながったテラスハウスなどでは、家の前の路上が駐車場として指定されている場合も多い。また、車上荒らしの確率も日本よりもずっと高いようだ。そのため、こういった保険が選べるようになっているのかもしれない。

 「コンプリヘンシブ (Comprehensive)」は、総合保険。第三者対人・対物、車の火災・盗難に加えて、車両保険とその他が付け加わる。その他というのがミソで、保険会社によって、自動的またはオプションとして付けられる特典が大きく異なるのだ。
 

☆総合保険のウリ
 総合保険、コンプリヘンシブの「その他」の代表的な例が、「ブレークダウン・サービス(Breakdown service)」、「コーテシー・サービス(courtesy service)」、「モーター)リーガル・プロテクション(Legal protection)」といったもの。

 ブレークダウン・サービス(Breakdown service)は事故以外で壊れた時に修理してくれるサービスだ。日本のロードサービスや修理急行サービスに相当するものだと思う。実際のところ、我が家では一番よく利用しているサービスだ。
AAやRACといった自動車連盟では別提供しているので、安いサードパーティに加入して、別途ブレイクダウン・サービスを自動車連盟に申し込むという手もある。

 コーテシー・サービス(courtesy service)は、修理時の代車サービスである。交通機関が発達していない田舎ではこのサービスは欠かせないかもしれない。自転車を利用する人が多いとはいえ、それだけではカバーしきれない距離や荷物運びに車を利用する人は多い。この代車サービスなしには、ヘタをすると通勤、買い物や子供の学校への送り迎えすらできなくなってしまうだろう。

 (モーター)リーガル・プロテクション((Moter) Legal protection)は、法務費用保険というのだろうか。車の事故で訴訟を起こす(又は、起こされる)ことになった場合の訴訟費用などだそうだ。

 また、在英の日本人向けの保険代理店では、搭乗者障害保険(Personal Accident)をオプションでつけることができる場合が多いようだ。正確にいうと、基本的にどの保険の種類にも搭乗者障害保険が含まれているようなのだが、その補償額は数千~5千ポンド(約40~100万円)程と日本に比べてかなり少ない。
  イギリスでは、国民健康保険サービスのNHSを利用すると治療にお金がかからない。高額の搭乗者保険がオプションとしてしか存在していないのはそのためなのかもしれない。

 その他、ヨーロッパでの旅行の際に何日間保険を適用できるとか、24時間365日電話相談できるとか、スーパーのポイントが稼げるとか、各社、様々な違いをウリにしている。
 
 
 そもそも、うちが車を買わなかった理由は費用がかかるからだった。車体自体は格安で譲ってもらったものの、年間の維持費が案外馬鹿にならない。できるだけ、お手頃な保険を探したかったのだが、保険会社により、提供しているサービスがそれぞれ違うため、単純に保険費用を比較して決めることができない。

 日本での無事故証明が保険料を安くすると聞き、日本で契約していた保険会社に請求したものの、まだまだ不安な気持ちでいっぱいだった。

 後編は、自動車保険の見積もりの実際についてご紹介します。お楽しみに。
 

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2008年5月12日 (月)

(ふ) 踏切 [ふみきり] LEVEL CROSSING

☆踏切が少ないイギリス
Level_crossing_sign  イギリスに住み始めてだいぶ経ってから、今まで踏切を渡ったことがないことに気が付いた。我が町にも列車が通っているので、何度も線路を渡っているが、どの場合も陸橋だ。
 ロンドンや他の町に行く際も列車を使うことが多いが、車窓の景色に踏切(踏み切り)を見た憶えもないし、踏切特有のカンカンカンという警報を聞いた記憶もない。

 もちろんイギリスにも踏切はあるのだが、数は少なく、さらに年々減っているようだ。イギリスの鉄道安全基準連盟(RSSB)によれば、2006年5月の時点でイギリスの踏切の数は7674箇所。日本は大体3万5千箇所だそうだから、日本の4、5分の1の数である。
 

☆遮断機がない?
 そして、日本と決定的に異なるのが、その踏切の種類だ。

Level_crossing_passive  日本では、自動遮断機などが設置されている第1種の踏切が殆ど(8割り以上)だそうだ。
 それに対して、イギリスでは、警報機が設置されている踏切(active crossing)の数は 2006年時点で1623箇所。全体の約2割だ。残り6051箇所(8割)は、自動遮断機も警報機も設置されていない踏切(passive crossing)。

 つまり、日本のほぼ逆となっている。また、警報機付きの踏切でも、遮断機がついていないものも数多くあるそうだ。
 

☆事故の確率は日本より少ない?
Level_crossing_train  自動遮断機も警報機も付いていないものが殆どだなんて、さぞかし、事故が多いのではないかと思われるかもしれない。

 確かに、事故は起こっている。大抵(95%)は、通行者側の問題のようだ。テレビのCMでも、踏切事故の恐ろしさを伝えて、事故防止を呼びかけるものが、しばしば放映されていた。 ご覧になりたい方は、Network railのこのサイトから映像をダウンロードすることができます(英語)。

 また例えば、2004年11月にイングランド南西の小さな村Ufton Nervetで起こった踏切事故をご存知の方もおられるかもしれない。踏切に入ったと列車が衝突して、双方の運転手を含む7人の人が亡くなり、100人以上の乗客が負傷した大事故である。

 しかし、鉄道安全基準連盟(RSSB)の報告(統計)によると、年間の踏切事故件数は18件程度。日本では400件を超えるそうだから、日本の20分の1の割合だ。
 もちろん、国によって事故の基準や報告率が違うかもしれないので、そのまま鵜呑みにすることはできないが、踏切箇所数の差(日本の4、5分の1)を割り引いても、イギリスの踏切の事故数は日本に比べてかなり少ないといえるのではないだろうか。
 

☆踏切の代わりの陸橋
Level_crossing_bridge  実際、交通量の多いところでは、皆、陸橋になっている。陸橋といっても、橋を渡るのは列車ではなく、人や車のほう。長い直線のスロープになった橋で、渡っている側からは普通の道路と見分けのつかないほど大きなものもある。

 日本も、昭和35年あたりは、今のイギリスの踏切と同じように、大半(8割以上)の踏切が自動遮断機も警報機もない第4種のものだったそうだ。
 事故防止策として、日本では自動遮断機付きの踏切に切り替えていったのに対して、イギリスでは踏切そのものを廃止して陸橋(road bridge)に作り変えていったという感じだろうか。

 この陸橋は、長いスロープになっているので、付近にかなりの土地を要する。また、通行者にとっても遠回りになり、急な長い坂を上り下りしなければならない。しかし、昨今の日本の「開かずの踏切」問題を考えると、列車も人も車も待たずに同時に通れるイギリスの”陸橋型の踏切システム”は、なかなかいいシステムなのかもしれない。
 スロープは確かにきついが、山と海に囲まれた日本では、さほど珍しくない勾配ではないだろうか。

 この陸橋型の踏切システムにしろ、ラウンドアバウトにしろ、待つのが苦にならないイギリスの人達よりも、時間厳守で待たされることを嫌う日本の人達にこそ、便利さを味わってほしい道路設備のように思うのだが、どうだろうか。
 

☆一時停止しないでください!
 ちなみに、イギリスで数少ない本物の踏切を渡る機会があるかもしれない方に、一言ご忠告を。「踏切では一時停止しないでください。」

 車の運転の際、日本では踏切で一時停止が義務付けられているが、イギリスではそのような規律はない。一時停止すると後ろから追突されるので、要注意だ。
 

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2007年9月17日 (月)

(た) タクシー -後編- TAXICAB -part2-

 イギリスには、2種類のタクシー、ブラックキャブとミニキャブが存在するということを前半でご紹介した。後半は角度を変えて、イギリスでのタクシーの乗り方や、タクシードライバー事情、タクシーの薀蓄をご紹介したい。
 

☆ブラックキャブの運転手
・タクシーによって人種が違う?
 ミニキャブに何度か乗っていて気がついたことがある。エスニック系(アジア・アフリカ系)の運転手が多いのだ。一方、ブラックキャブでは大抵が白人だったような。
 
 ロンドンでは、ミニキャブの運転手の半数以上がエスニック系(アジア・アフリカ系)。ブラックキャブの運転手として働いている人は4%以下なのだそうだ。
 ブラックキャブの運転手は、年間812時間(週15、6時間)の労働で3万ポンド(約600万円)の年収があるそうだ。これは、ミニキャブに比べて、ずっと短時間労働で高収入。

 それにも拘わらず、多くのエスニック系の人がミニキャブの運転手を選択するというのは、ブラックキャブの敷居があるせいなのだろう。

・ブラックキャブの運転手になるためには?
Taxicab_licence_plate  ロンドンでブラックキャブの運転手になるためには、イギリスの公共客車局(?)(Public Carriage Office(PCO))の審査を受けなければならないそうだ。
 その審査の内容は、22歳以上であるか、犯罪暦はあるか、健康診断に合格しているかといった基本的なものから、タクシーの運転免許試験や特別な地理テストに合格しているかという専門的なものまで。

 特に重要なのが、地理テスト。1851年から実施されている、通称”Knowledge of London (test)”と呼ばれるもの。かなり意訳だが、「ロンドン通試験」といったところだろうか。ロンドンの道の名前だけでなく、ランドマーク、観光名所に精通しているかどうかを判断する試験だ。

 これら全ての審査を経た結果、ロンドン全域をカバーする、通称「グリーンバッジ」という運転手になるか、ロンドン近郊の一部の地域を担当する、通称「イエローバッジ」という運転手になるかが決められるそうだ。

・ミニキャブのタクシーの場合は?
 一方、ミニキャブの運転手になるのは比較的簡単だ。審査するのは同じくPCOで「The Private Hire Vehicles (London) Act 1998」という法律に基づいて行われる。
 22歳以上、犯罪暦の有無、3年以上の有効な運転免許証の保持、健康診断を満たしていればよいだけだそう。「ロンドン通試験」は必要ないのだ。

・ただし、地方はごちゃまぜ??
Taxicab_with_licence_2  このような、ブラックキャブとミニキャブの区別が厳密に規定されているのはロンドンだけのよう。ロンドン以外のイギリスでは、地方自治体の管轄になっているようだ。

 だから、最低、12ヶ月以上の有効な運転免許証の保持と犯罪暦の有無を調べられるほかは、その地方によって、条件が異なっているそうだ。

 しかし、だいたい、年齢制限(22歳以上)、健康診断、地理テスト、運転テストなどがあるようだ。運転テストは、DVAがおこなう、”the Hackney Carriage Private Hire Test Assessment (HCPHTA)”というもの。「ブラックキャブ及びミニキャブ評価試験」といったところだろうか。
 

☆イギリスのタクシーの乗り方
Taxicab_waiting 日本のタクシーに慣れてしまっていると、海外のタクシーの乗り方に戸惑ってしまうが、イギリスのタクシーも例外ではない。
 
 手をあげて停まってもらうところまでは同じ。日本のタクシーは自動でドアが開くが、イギリスのタクシーは自分で開けるのが普通。荷物が多いときなどは、運転手の人がドアを開けて手伝ってくれたりするときもある。
 
 乗って行き先を告げるところも同じ。我が家の少ない経験を元に話すと、イギリスのタクシーは概して紳士的で、大幅にボラれたことはないように思う。話に夢中になったあまり場所を間違えてしまった運転手もいたが。
 しかし、不安なときは、乗る前に料金を訊いておき、交渉しておくのも一つの手かもしれない。

 料金は中で払える車もあるが、外で払うことが多いような気がする。イギリスはカード社会。どこでもカードが使えるが、タクシーはまだまだ例外のようだ。最近では使える車もあるようだが、短距離などでは小銭を持っていないとかなり困った顔をされてしまったりする。

 大体、チップは料金の10~15%ほどだろうか。イギリスはそれほどチップには厳しくないので、多めに料金を払って、「おつりは取っておいてください」と言う程度でよいように思う。

 そして、降りるとき。自分でドアを開けて降りるのは当然だが、最後にちゃんとドアを閉めるのをお忘れなく。さもないと、中から怒鳴り声を聞くことになってしまうだろう。
 

☆タクシー or キャブ?
Taxicab_toy  ところで、タクシーを英語でいう時、「タクシー (taxi)」と「キャブ (cab)」のどちらを使うだろうか。
 以前、アメリカ英語ではキャブ(cab)を使い、イギリス英語ではタクシー(taxi)を使うと聞いた記憶がある。
 確かにそういった傾向はあるようだが、アメリカでも何度も「タクシー」という言葉を耳にしたし、イギリスでも「ブラックキャブ」や「ミニキャブ」のように「キャブ」という言葉が使われている。

 世界中のあちこちで、「タクシー」という言葉が使われているようだ。
 フランス語でもドイツ語でもスペイン語でもオランダ語でもポルトガル語でもロシア語でも「タクシー(taxi、taxi)」だそう。イタリア語でも"tassi (タッスィ)"と非常に似ている。
 もちろん、日本も「タクシー」だし、韓国語でも発音は「ティクシェ」だそう。中国語でも「的士 (ダ・シー)」と呼ばれたりするのだとか。
 これだけ世界で言語が共通しているなんて、タクシーとは不思議な乗り物だ。

 ちなみに、「タクシー」と「キャブ」。どっちがいいか分からなくて、とっさに「タクシーキャブ」と言ってしまっても、全く問題なし。
 実は「タクシーキャブ(taxicab)」というのが元の言葉で、、「タクシー(taxi)」や「キャブ(cab)」というのは、「タクシーキャブ」の前後を省略した言葉なのだそうだ。

 
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2007年9月13日 (木)

(た) タクシー -前編- TAXICAB -part1-

 渡英間もない頃、おちびの用事で、ヒースロー空港付近の施設に通っていた。空港付近といっても、かなり距離がある。歩いた人によると片道1時間半近くかかるそうだ。車で15分弱といったところだろうか。
 送迎バスも1日1往復出ているが、乗り過ごしたり、サービスのないときがあったりする。そんな場合の唯一の交通手段はタクシーだった。
 

☆ブラックキャブ=怪しいタクシー??
 最初、何も知らずに、空港のタクシー乗り場で普通にタクシーをひろった。事前に料金を尋ねると、たった15分程度の距離だというのに、なんと40ポンド(約8千円)もかかるという。
 後に、施設の人に呼び出しのタクシー会社を教えてもらった。それを利用すると、10ポンド(約2千円)。

 この話を同じ施設に通っていた人にすると、同じ目に遭ったという。側のまた別の人が一言。「ブラックキャブ (black cab)だからね。」

 「ブラックキャブ (黒いタクシー)??」
 耳慣れない言葉に一瞬反応したものの、その場ではそのまま流してしまった。ニューヨークを走っているあの有名なイエローキャブ(yellow cab)をもじって、「闇タクシー」つまり、日本の白タクのような「正規ではない怪しいタクシー」という意味で使ったのだと思ったからだ。

 それ以後、私の中では、「ブラックキャブ」=「乗ってはいけない怪しいタクシー」となってしまっていた。結局、それが間違いだと気付いたのは、渡英して1年近く経ってからのことだった。
 

Taxicab_blackcab_black☆ブラックキャブとは?
・名前の由来
 ブラックキャブとは、日本で「ロンドンタクシー」と呼ばれているものだ。ロンドンに行くと目にするお馴染みのタクシー。
 正式名称は、ハクニー・キャリッジ(hackney carriage)だそう。ハクニー(hackney)とは、元はイギリスの栗毛の乗用馬のことだそうだ。最初に導入されたのは、1662年(江戸時代初期)のこと。当初は馬車だったその名残りの名前なのだろう。

Taxicab_blackcab_ad  元は車体が全て黒色だったため、ブラックキャブ(black cab)という通称で呼ばれているが、今では、赤や青、そして全面が広告になった派手なものまで見かける。

 また、日本の「ロンドンタクシー」という呼び名も厳密には正しくないかもしれない。ロンドンだけでなく、あちこちの都市でブラックキャブを見かけるからだ。あの独特の形をしたタクシー。

・車種は?
 他の国ではあまり見かけない車種だなと思っていたが、ブラックキャブは、ロンドンタクシー・インターナショナル(LTI)社という、イギリスのブラックキャブ専門のメーカーによって製造されているのだそうだ。

Taxicab_blackcab_variety 最近ではあまり見かけなくなったが、1997年まで製造されていたオースティンFX4のほか、2002年まで製造されていたTX1、2006年まで製造されていたTXII、そして現在生産されているTX4など、どれも、これぞブラックキャブという形の車ばかりだ。
 LTI社のこのサイトから、最新型のTX4の映像を見ることができます(英語)。

 また、写真のようにバンやセダン*タイプのブラックキャブも存在する。
*(注)イギリスではセダン(sedan)ではなくサルーン(saloon)と呼ばれます。

Taxicab_driving ・ブラックキャブの中
 中の様相も、日本の一般的なタクシーとはかなり異なっている。運転席と客席が仕切られているのが通常で、助手席に乗ることはできないようだ。

 客席は、座席の向かい側に、折りたたみできる座席があり、リムジンのように対面式に乗れるようにもなっている。5人まで乗れる設計だ。
 天井も高く広くゆったりしたスペースなので、車椅子ごと乗ったりできるようだ。スーツケースなどの大きな荷物もトランクではなく、客席や運転席の隣に入れるようになっている。
 最新型のTX4の内装は、同様にこちらのLTI社のサイトでご覧になれます(英語)。
 

☆自分で呼ぶミニキャブ
 ロンドンの街中や地方でも駅前などでは、ブラックキャブが走っていたり待機しているので、簡単にタクシーをつかまえることができる。
 しかし、ちょっと郊外になると、流しのタクシーは全く走っていない。目抜き通りだからといって、日本と同じ感覚で、流しのタクシーをつかまえようと思うと、結局目的地まで歩く羽目になってしまう。
 そういう時に活躍するのが、電話で呼ぶミニキャブ(mini cab)だ。

Taxicab_minicab ・一見、普通の乗用車
 ミニと付いているが、大きさは、日本の一般的なタクシーと同じ、ごく普通のセダンタイプの乗用車。日本のと同様に、スーツケースなどの大きな荷物はトランクに入れるようになっている。

 ブラックキャブや日本のタクシーとの大きな違いが、一見タクシーとは分かりにくいその外見だ。上に表示灯が付いておらず、横に小さく会社のマークが、前後のナンバープレートに登録票が付いているだけ。料金メーターも付いていないことも多い。

・呼び出し専用
 これは、ミニキャブが呼び出し専用のタクシーのためだ。ブラックキャブと異なり、タクシー乗り場に並んだり、流しをおこなったり、呼び込みをやってはいけないことになっている。

 日本でタクシーを呼び出すと、迎車料金を取られたりする。しかし、ミニキャブの場合は、全て呼び出しなので、長距離以外はそういった追加料金がないようだ。
 時間厳守とは程遠いこの国のこと、毎回、時間通りに来てくれるかとハラハラするが、うちが依頼している所は今のところ、早朝でも深夜でも電話一本でほぼ定刻にやって来てくれている。最近では、インターネットでの予約もできるようだ。

・正式名称は、「個人ハイヤー」?
 通称は「ミニキャブ」だが、正式には、PHV (private hire vehicles)と呼ばれている。訳すると、「個人ハイヤー」だろうか。日本の個人タクシーと混同されやすい名前だが、ミニキャブの殆どは法人タクシーである。
 

 冒頭の話に戻って、勘違いの元になったヒースロー空港からのタクシーだが、後々聞いてみると、ブラックキャブが高かったのは、規定の区間外のためだったそうだ。
 代わりに頼んだミニキャブも、表示灯なしメーターなしで、おまけに、タクシー乗り場には停められないとのこと。さっぱり訳がわからなかった怖がりの私は、いつまで経っても不安で、外に流れる景色をずっと確認していた。自分で呼び出したタクシーだというのに。

 ともあれ、ブラックキャブもミニキャブも、基本的には全く怪しいものではないので、安心してご利用を。

 後半は、イギリスでのタクシー制度やタクシーの乗り方、タクシーにまつわる薀蓄をご紹介したい。お楽しみに。

 
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2007年8月23日 (木)

(し) 車検 MOT TEST

☆車検はいつ?
 この国イギリスのの登録方式を全く知らずに車を入手してしまった我が家。
 自動車保険に関しては、前のオーナーから、「購入前に入っていないと違法になる。」と教えてもらい、慌てて加入した。しかし、他のことに関しては、「譲渡手続きを済ませておいたので、そのうち案内が来るから。」という言葉だけ聞いて安心し、車検の期限日すら、まともにチェックしていなかった。

 確かに案内は来た。車を買って数ヶ月後、英国運転免許庁のDVLAから。しかし、それは自動車税の支払いの案内。
 どこで伝言ゲームを間違えたのか、来るはずの車検の案内はいつまで経っても来なかった。

 車検の案内は来ないのだということに気付いたのは、自動車税を支払おうとしたときだった。自動車税を払うためには車検証が必要となる。
 日本では、車検証は車にいつも積んでいる必要があるが、前のオーナーによると、イギリスでは必要ないとのこと。家の棚で眠っていた車検証(MOT test certificate)を引っ張り出し、眺めて呆然としてしまった。そこには、1ヶ月以上も前の日にちが手書きの汚い文字で書かれていた。とっくの昔に車検が切れてしまっていたのだ。

 慌てて車のフロントガラスのステッカーを見に行くと、ステッカーに記載されている日付は、まだほんの少し先のもの。それは、車検の期限ではなく、自動車税の納税の期限だった。

 
☆ステッカーは車検期限ではなく納税期限
Mot_test_procedure  混同した頭が少しずつほぐれてきた。
 日本とイギリスでは、車検のシステムがかなり違うのだ。車のフロントガラスにはるステッカーは、車検後にもらえるものではなくて、納税後にもらえるものなのである。

 毎年納税の際には、車検証が有効である必要がある。つまり、有効なステッカーが車に貼ってあるということは、納税されており、車検も通っていることの証明になるようだ。車検の日にちは車検証を見なければわからないのである。
 

☆車検はどこで?
 事情がわかったところで、解決したわけではなく、車検してくれるところを慌てて探した。

 日本では、ディーラー車検、整備工場での車検(民間車検、モーターズ)、ガソリンスタンド車検、そして、自分で車を試験場に持っていっておこなうユーザー車検などがあり、「車検」と書かれた看板をあちこちで見かけた。

Mot_test  こちらイギリスでは、車検は”MOT test (エムオーティー・テスト)”と呼ばれる。しかし、MOTと大きく書かれた看板を見かけることはあまりない。その代わりに見かけるのが、車検のマーク。三角形が3つ配置されたこのマークが民間車検場(ディーラーや整備工場での車検)の目印だ。
 また、ユーザー車検はあるようだが、ガソリンスタンド車検は今までに見かけたことがないように思う。

 うちの場合は、車が運べるように近所の町の整備工場を検索し、電話予約を入れた。大抵のところは、日本と同様に予約が必要だ。
 イギリス在住の方は、このMOTUKのサイトから、近所の整備工場を検索できます(英語)。


☆整備工場での車検
 私が頼んだところは、ごく普通の下町の整備工場といった感じで、日本のものとあまり変わらない雰囲気だった。受付で必要なものを渡す。

Mot_test_garage  日本の場合は、「自動車検査証(車検証)」、「自賠責保険証」、「自動車税納税証明書」を持参する必要がある。しかし、イギリスでは、必要なのは「自動車検査証(車検証)」のみ。これと鍵を預けておしまい。
 「じゃあ、45分後に終わりますからから。」と言われ、名前の確認すらなかった。しばらく預かってもらう場合ですら、電話番号と名前を口頭で告げるだけ。
 
 合格であれば、45分後に車の鍵と領収書と新しい車検証をもらって終了だ。

 45分とは早すぎる。いい加減な所なんじゃないかと最初は思ったが、イギリスの車検はそういうものだそうだ。
 日本では、大抵しっかり点検までしてくれるが、こちらの車検は最低限の検査項目をチェックするだけ。それが普通。

 だから、車検に通ったからと言って、次回の車検まで車の安全が保障されているわけでは全くない。今走らせては危ない不良車を撥ねるだけの検査なのだから。車検証にも「注意:車検証は自動車が良好な状態であることを証明するものではない。」と記されている。車の点検は自分でおこなうというのが、この国のやり方のようだ。

 もちろん、自動車整備工場なので、頼めば、車検終了後に気になる点を点検してくれたり、整備してくれたりする。その場合は再度予約が必要になるが。
 MOTで点検される項目について詳しく知りたい方は、同じくMOTUKサイトのこちらをご覧ください(英語)。
 

☆日本の車検との違い---費用は安いが期間は短い
Mot_test_comparison_2  その他、日本の車検との大きな違いは、車検にかかる費用の内訳と車検の期間だ。

 ご存知のように、日本では、車検の際には車検の実費のほか、重量税(9千円弱~5万円程)、自賠責保険料(3万円弱)、印紙代(1100円)という法定費用が必要なる。それに対して、イギリスでは車検の実費のみ。重量税は払わなくていいし、自賠責保険は自動車保険会社に支払う保険の中に含まれているので、車検の際には必要ない。

 車検の実費費用は、普通の乗用車の場合、44.15ポンド(約8千8百円)。日本よりやや割安だ。
 もちろん、修理や再車検の場合はその分が費用がかさむ.。しかし毎回10万円近くかかることも少なくない日本の車検に対して、イギリスの車検は数万円で済んでしまい、お手軽な感じがする。

 しかし、いくつか落とし穴もある。まず、前述のように、最低限度の点検がおこなわれるだけということ。
 そして、日本の場合、最初は3年、そしてその後は2年毎の車検となるが、イギリスでは、最初の3年を除いては、なんと毎年車検を受けなければならないのだ。
 

☆持ち主がわからない車検証
Mot_tesr_certificate  また、車検証そのものも日本とはだいぶん異なっている。
 まず、以前の車検証も報告書と共にそのまま返してもらうのが通常のようだ。

 また、イギリスの車検証には、車の所有者や使用者の情報が一切記載されていない。住所だけでなく、名前すら載っていない。書かれているのは、車の登録情報と、車検を通した整備工場などの整備者の名前とサインだけ。

 日本の車検証は偽造防止印刷になっているが、イギリスのものはなっていない。その代わり、異なる工夫がされているようだ。
 2006年以前のA5サイズのものは、コピー偽造防止のため、紙に凹凸が付く判が押されており、2006年以降のA4サイズのものは、バーコードで識別できるようになっている。
 

☆あなたはどちら派?
 日本の車検制度とイギリスの車検制度。どちらがいいかということは一概にはいえない。
 しかし、日本の制度は、費用は多少かかってもいいから、なるべく手間をかけずに乗りたいという人に向いており、イギリスの制度は、自分の車は自分で管理したい、費用を安く抑えたいという人に向いているのではないだろうか。

 なんとなく、イギリスの車のあり方はイギリスののあり方と似ているような気がする。週末になると家の修理を嬉々としてやっているイギリス人にふさわしい制度なのだろうか。
 

☆車検の結果は?---我が家の場合
 ところで、我が家のイギリス初の車検の話に戻りたいと思う。
 車検の結果は、残念ながら不合格。車の部品については全く疎いのでよくわからないのだが、ブレーキホースが圧力でボールのように膨らんでしまい危険な状態だったとのこと。

 なんとかお願いして、その日のうちに修理と再車検をやってもらった。4時間後、再車検が通ったとの連絡を受け、車を受け取り、無事車検が終了した。
 ブレーキホースの交換と、ブレーキ液の交換、その他諸々の備品の交換で、材料費が25ポンド(約5千円)、工賃が40ポンド(約8千円)、車検と再車検を含めて、合計120ポンド(約2万4千円)かかった。

 そして、車検が通った2日後、車がエンストして動かなくなった。ロードサービスを呼んだところ、バッテリーを交換する必要があるとのこと。その場で整備工場に逆戻りとなった。

 ちなみに翌年は、エンジンがかかりが悪く、走行すると激しい音がなり、運転席側の鍵穴が外れてドアが開けられない、というかなり最悪の状態での車検だった。
 しかし無事合格。工賃込みで車検費用は65ポンド(約1万3千円)ほどだった。エンジンのかかりと走行中の音に関しては、車検と同時に直してくれたそうだが、問題の鍵穴に関してはノータッチ。再度、鍵穴を直してもらうべく予約を入れた。
 

 我が家の車は、普通の日本人の感覚なら怖くて乗れないほどの十数年物のオンボロ車。
 2回目の車検の前に不合格の際の修理費用の上限を連合いに相談しようとすると、確信に満ちた声でこう返答が返ってきた。
 「今度はきっと合格すると思うよ。」
 結果を知り、連合いも伊達にイギリス生活が長いわけじゃないんだなと妙に感心してしまった。
 

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2007年2月 1日 (木)

(う) 運転免許証 DRIVING LICENCE

 イギリスでの生活も2年目になると、英語は上達しなくても、「地元民」へのステップを大きく一歩踏み出すことになる。

 1年未満では申し込めなかったスーパーマーケットのポイントカードが申請できるのも、ちょっぴり「地元民」感をアップさせるが、何よりもそれを感じさせるのは、運転免許証の切り替えだろう。
 

☆1年未満の滞在での運転なら、国際運転免許証か日本の運転免許証で
Driving_licence_international  海外で車を運転する際、1年以内であれば、日本で発行してもらう国際(国外)運転免許証を使うことができる。これは、通称「ジュネーヴ条約」と呼ばれる、1949年(昭和24年) 9月19日にスイスのジュネーヴで締結された道路交通に関する条約(Convention on road traffic of 19 September 1949)に基づく運転免許証である。

 この条約では、「条約締約国は他の締約国が発給した同条約の附属書9又は附属書10の様式に合致する免許証を所持する者に対し、上陸の日から起算して1年間は、自国において運転することを認めること」と定めている。

 現在90ヶ国以上の国が条約締約しており、日本はもちろんのこと、私達にとって身近な国の殆どは、この条約締約国の中に入っている。当然、イギリスや、フランス、イタリア、ベルギーなど殆どのヨーロッパ諸国も。そのため、この薄っぺらい冊子1つあれば、一年間は、イギリス国内はもちろん、ヨーロッパでのドライビングを気軽に楽しむことができるのである。 *(注)ドイツとスイスは締約国の中に含まれていませんが、日本の免許証とその翻訳文、または国外免許証があれば1年間運転できるそうです。

 そして、私たちは知らずに国外運転免許証を取得して来たのだが、イギリスでも、なんと、条件つきで日本の運転免許証で運転してもよいそうだ。イギリスに住居を持つ人、非居住者(短期滞在者)、学生でそれぞれ条件は多少異なるが、どれも1年以内に限り普通乗用車の運転が認められている。
 詳しくはこちらのイギリス政府が運営する”Directgov”の運転免許証のサイトをご覧ください(英語)。文中の ”Use the 'driving in GB' interactive tool”をクリックすると、それぞれの条件を確かめることができます。
 

☆国際運転免許証の便利な点と不便な点
Driving_licence_international2  国外免許証は、出国前に陸運局に行って手続きをするだけなので、比較的、楽に入手することができる。だが、そのデザインはちょっといただけない。通常の免許証の2倍以上の大きさの灰色の厚紙冊子である。大き過ぎて財布や服のポケットに入らないし、耐水性もない。
 そして、逆にイギリス人には”Cool(クール、かっこいい)”と言われる漢字のオンパレード。国外免許証だから当たり前なのだけど、いかにも「一時滞在の外国人」風。

 財布に入らないものだから、必要時(運転時)以外はパスポートと同様に家に置いて来てしまう。すると困るのが、身分証の提示を求められたときだ。東洋人は若く見えるのか、何十年も前に成人していても、未だにレジでの酒類購入の際などに身分証を求められることがある。

 職場等で発行される身分証は、カードキーを兼ねているため、写真は載っていることはあっても、名前や詳細が記されていない。クレジットカードも写真や誕生日が載っていないので意味をなさない。
 だから、結局、とっさのときには日本の運転免許証を差し出すことになる。しかし、載っている名前は漢字のみ。生年月日や発行年月日ですら、昭和や平成といった和暦で書いてあるので、そのままこちらの人に見せても、全く意味を解してもらえない。

 今まで、スーパーのレジ以外で提示を求められたことはないが、とっさに身分を証明するものを出せないというのは、なんだか、宙に浮いた感じだった。

 そんなわけで、早くイギリスの運転免許証がほしいと思っていた。もちろん、1年を待たず、切り替えをおこなうことも可能だが、年に数回の運転のためと、鞄から灰色の大きな冊子を取り出す気恥ずかしさを拭い去るためだけに、切り替えをすることもあるまいと思って、1年が経つのをじっと待っていたのだった。
 

☆運転免許証の切り替え---試験なし。書類のみ。
 海外で取得した運転免許証を日本のものに切り替える場合は、適正試験や、交通規則の知識の確認、実際に運転免許センター内のコースを走っての運転技能の確認が必要だそうだが、日本の運転免許証をイギリスのものに切り替える作業は、書類のやり取りだけ。

 イギリスの運転免許証を発行するのは、英国運転免許庁、DVLA (Driver and Vehicle Licensing Agency)である。イギリス各地40箇所にDVLAの地方事務所があるので、実際に出向いて書類処理を済ますこともできるが、私の場合は、すべて郵便で済ました。
 (ご注意:これはあくまで、2006年に申請した我が家の例です。手続き法が変更される場合がありますので、事前にDVLAにご確認ください。) DVLAのサイトはこちら(英語)。
 

☆申請の実際---1:申請書の入手から総領事館とのやり取り
Driving_licence_how_to  まずは、運転免許証の申請書(Apprication form for Driving Licence)を郵便局でもらい、同時に、総領事館に「自動車運転免許証抜粋証明書(Certificate of Japanese driver's licence)」を申請した。総領事館のサイトはこちら(日本語)。

 申請の際に用意したのは以下のもの。
・各種証明書申請書---同サイトの所定のPDF書類
・現在有効な日本の運転免許証(原本)
・パスポートのコピー
・手数料11ポンド(約2千2百円)の小切手
 大事な日本の運転免許証が郵送中になくならないように、返信用封筒も特別郵便(special delivery)にして、特別郵便で郵送した。

 すると、1週間もしないうちに、総領事館から「自動車運転免許証抜粋証明書」が送られてきた。
  

☆申請の実際---2:申請書用の写真とサインの準備
Driving_licence_form それまでにしたことは、免許証用の写真の準備と、サインを知人に頼むことだった。

 イギリスでは、日本の運転免許証用の写真は使えない。日本のサイズは3.0×2.4cmなのだが、こちらのは、パスポート申請用と同じく4.5x3.5cmだからだ。ちなみに、日本の履歴書用も4.0x3.0cmと大きさが足りない。スーパーの中に3分間証明写真の機械が設置されているが、うちの場合は家のデジカメで写して体裁を整えた。

 そして、知人へのサインの依頼。イギリスやヨーロッパ諸国(EC/EEA)のパスポートを持っていない人がイギリスの運転免許証への切り替えをおこなう場合は、身分を証明するため、写真にサインをしてもらう必要がある。

 この場合のサインは誰のでもよいわけではもちろんなくて、免許証申請者を2年以上知っている、イギリスに永住権を持っている人でなくてはならない。また、免許証申請者の親戚や家族、同居人、そして郵便局局員であってはいけない。私が頼んだのは職場の人。快く写真の裏にサインして、申請書に名前や住所を記入してくれた。
 

☆申請の実際---3:いざ申請
 必要書類がそろえば、いざ申請。
・写真を貼り付けたDVLAの所定の申請書(D1)
・総領事館に発行してもらった「自動車運転免許証抜粋証明書」
・日本の運転免許証(原本)
・パスポート(原本)
・手数料38ポンド(約7千6百円)の小切手
 以上のものを、返信用封筒も特別郵便(special delivery)にして、特別郵便でDVLAに郵送した。(DVLAの住所は、Foreign Licence Section, D3. DVLA, Swansea SA99 1BT)
  

☆運転免許証申請の実際---運転免許証が届いた!
Driving_licence_ukandjp  すると、2週間もしないうちに、DVLAからパスポートの返還があり、そのすぐ後に運転免許証が送られてきた。なんでものんびりしたこの国にしては、恐るべき早さだった。

 送られてきた運転免許証は、日本の免許証と同じ、クレジットカードサイズ。国外免許証の3分の1以下の大きさだ。日本の運転免許証と同じく、氏名と誕生日、現住所などが記載されている。
  

☆イギリスの運転免許証の特徴---EUもOK。切り替え10年。
 日本の免許証との大きな違いは、UKのマークと有効期限、そして、サインとバーコードだろう。

 左上には、ナンバープレートのユーロプレートのマークと同じように、青地に12個の黄色の星からなるEUの旗のシンボルマークの中に国名のUKが入ったものが印されている。つまり、イギリス国内だけではなく、EU国内もこの免許一つで運転することが可能なのである。詳細を知りたい方はこちらのイギリス政府の運営する”Directgov"の運転免許証のサイトをご覧ください(英語)。

 そして、日本の運転免許証で一番目立っている文字は、ご存知のとおり、名前でも生年月日でもなく、有効期限。しかし、イギリスの免許証の場合は、発行日の隣に同じように小さく記載されているだけだ。
 これは、日本では運転免許証は、2、3年で更新しないといけないが、イギリスの運転免許証の場合は、住所氏名などに変更がなければ、10年間更新しなくてよいからである。そして、この10年というのも、本人確認のための写真の更新が主な目的だ。そして、それも70歳まで。70歳を過ぎると写真の更新が要らなくなるからだそうだ。

 そして、表に自分のサインが、裏にバーコードが付いているのも面白い相違点だろう。実際に警察に提示を求められたことがないし、そういう人の話も聞いたことがないので、どのように活用されているのかわからないのだが、気になるところだ。
 

☆日本の運転免許証を返してもらいたいときは?
 さて、DVLAから送られてきたのは、パスポートとイギリスの運転免許証だけ。自国(日本)の運転免許証は、通常は返還されないらしい。

 しかし、2004年(平成16年)の11月から、総領事館を通しての返還が可能になったそうで、運転免許証が届いて3ヶ月ほどしてから、総領事館から、DVLAから運転免許証が返還されてきた旨の手紙が来た。

 そして、郵送で受け取るために、
・同封の返還希望届
・パスポートのコピー
 以上のものを返信用封筒を特別郵便(special delivery)にして、総領事館宛てに郵送すると、その後、数日で日本の運転免許証が送られてきた。
 

☆書き換えに必要な日数とコスト
 免許証入手までにかかった時間は、数週間。かかった料金は、約50ポンド(1万円)+特別郵便代(4ポンド弱x5回)+普通郵便1回で、70ポンド(約1万4千円)ほど。日本の運転免許証の返還を含めて、手続きすべてが終わるまでに、4ヶ月弱かかった。
 

☆新規取得も可能だが・・・
Driving_licence_instruction  もちろん、日本の運転免許証をイギリスのものに書き替えるのではなく、イギリスで運転免許証を新規に取得することも可能だ。

 しかし、新規取得の場合、仮免許(provisional)の書類申請(38ポンド(約8千円))に加えて、筆記テスト(theory test)のと実技テスト(practical test)を受けることになる。それぞれ、21.5ポンド(約4千3百円)、48.5ポンド(約1万円)かかり、一度で合格しても計108ポンド(約2万2千円)。詳しくは、イギリス政府の運営する"Directgov"のこのサイトをご覧ください(英語)。

 渡英後、日本の免許証が失効してしまった連合いは、こちらで新規に免許証を取得することを希望していた。しかし、日本での実技で、教習所教官の関西弁、「(ハンドルを)ようけきったらあかん!(=きり過ぎるな!)」がわからなくて大失敗した前歴の持ち主。いわんやイギリス英語をや。
 イギリスの運転免許証1枚のために一家路頭に迷うわけにはいかないので、夢を諦めて、日本での再発行をしてもらい、免許の切り替えとなった。
 

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2007年1月 1日 (月)

(お) 横断歩道 PEDESTRIAN CROSSING

 イギリスでのドライブはとても快適だ。道幅は日本より広いし、景色もきれいだし、信号にも殆ど引っかからない。
 信号に引っかからないのは、交差点がラウンドアバウトであるおかげが大きいが、それだけではない。横断歩道にも工夫がされているからである。
 

☆動物の名前の横断信号
 日本では、「横断歩道」という呼び名しかないが、こちらでは、その機能別に横断歩道の呼び名が違っている。それもおかしなことにどれも動物の名前が付いている。よく見かけるのは、ゼブラ(シマウマ)、ペリカン、パフィン(ツノメドリ)、ツーカン(オオハシ)だろうか。ペガサスというものや、過去にはパンダというものもあった。
 

☆信号のないシマウマ横断歩道
Pedestrian_crossing_zebra  一番シンプルなものは、ゼブラ・クロッシング(zebra crossing、シマウマ横断歩道)というもの。私は、横断歩道の英訳はこれだとずっと思っていたが、ちょっと違うようだ。

 ゼブラ・クロシングとは、信号機のない横断歩道のこと。イギリスでは 1951年(昭和26年)に導入されて、横断歩道の縞模様から名前が付けられた。

 ゼブラ・クロッシングの殆どには、ベリーシャ交通標識(Belisha beacon)という、白黒の縞のポールの上に大きなオレンジ色の玉がついた、歩行者優先の標識が建っている。この標識の先についている玉は、運転者に注意を促すためのもの。夜間にはチカチカ点滅する。

 日本でも、信号のない横断歩道は歩行者優先となっているが、実際は、悲しいことに、歩行者が横断歩道脇の縁石にいても、止まるは極めて少ないように思う。しかし、こちらのゼブラ・クロッシングは、ベリーシャ交通標識が派手で目立ちやすいためか、取締りが厳しいためか、歩行者優先がかなり守られているように思う。

 ゼブラ・クロッシングを導入した当時は、2百万台の車がイギリスに登録されていたそうだが、十年後の1961年(昭和36年)には、1千万台を超してしまったそうだ。そして、事故率を減らすために、翌年の1962年(昭和37年)、パンダ・クロッシングが導入されることになる。
 

☆今はなきパンダ横断歩道
Pedestrian_crossing_panda  パンダ・クロッシング(panda crossing)なんて、ちょっと笑ってしまう名前だが、今の押しボタン式信号の前身ともいえるようなもの。もちろん、現物は見たことがないのだが、当時の映像や資料を元に説明したいと思う。

 ゼブラ・クロッシングと差別化をはかるためか、図のように、三角形が並んだ横断歩道の模様が採用された。信号は、自動車用の黄色の点滅信号と赤信号と、歩行者用の「横断中」と書かれた信号の3つが組み合わされている。

 パンダ・クロッシングの信号の仕組みはややこしい。なんと、通常はどの信号も消えている。歩行者が押しボタンを押すと、自動車用の黄色信号が点滅し、赤に変わる。同時に、歩行者用の「横断中」信号が点灯する。しばらくして、歩行者用の「横断中」信号が点滅し、またしばらくして、すべての信号が消えて、自動車が通行可能になるというものである。

 BBCのウェブサイトでは、ロンドンのウォータールー駅前での開通(?)セレモニーで、当時の運輸大臣がパンダのぬいぐるみを持って渡っている姿の映像が公開されている。結構、間抜けな感じがするが、当人達はいたって真剣なようだ。その映像はこちらのBBCニュース(Watch/ListenのPLAY VIDEO)からご覧になれます(英語)。

 しかし、このパンダ・クロッシング、華々しくデビューしたものの、ややこしいと市民に不評だったようで、7年後の1969年(昭和44年)、ペリカン・クロッシングに取って代わられることになる。
 

☆押しボタン信号付きのペリカン横断歩道
Pedestrian_crossing_pelican  ペリカン・クロッシング(pelican crossing、ペリカン横断歩道)は、口ばしの大きなペリカン鳥の姿を模倣しているわけではなく、”PEdestrian LIght CONtrolled(歩行者信号制御式)”の略で付けられた名前である。不評だったパンダ・クロッシングを改良した押しボタン式信号つき横断歩道で、現在でもあちこちで見かけることができる。

 ペリカン・クロッシングは、日本の押しボタン式信号機付き横断歩道に一番近いもののように思う。歩行者用に、「歩いている人の絵のついた青信号」と「止まっている人の絵のついた赤信号」の2つが、自動車用には、青・黄(点滅)・赤の3つの信号が使われており、歩行者が押しボタンを押すと、信号が変わるというものである。

 基本的には、日本のものと変わらないのだが、驚いたことに応答が非常に速い。大抵、ボタンを押して10秒もしないうちに、信号が変わり、歩行者が渡ることができる。そして、またすぐに10秒もしないうちに、信号が変わり、自動車が通過できるようになる。歩行者によっても、運転者にとっても待ち時間が少ないので、大変効率的。
 待つのが嫌いで、交通量が少ないと押しボタン式信号を無視しがちだった私も、このペリカン・クロッシングのボタンだけは毎回かかさず押している。

 歩行者の横断が可能の時には、視覚障害者のために、音が鳴るようになっている。ただ、日本の「とうりゃんせ」や「だれかさんとだれかさんが」のような軽快な音楽ではなく、「ビビビビビビ・・・」という慌ただしいビープ音。もしかして、このちょっと耳障りな音がペリカンを模倣したものなのだろうか?
 

☆ユニバーサルデザインなツノメドリ横断歩道
Pedestrian_crossing_puffin  ペリカン・クロッシングは、迅速でとても便利なのだけど、お年寄りやベビーカーを引いた人、障害者の人にとっては、横断できる時間が短すぎる。そこで、1990年代に導入されたペリカン・クロッシングのユニバーサルデザイン版ともいうべきものが、パフィン・クロッシング(puffin crossing、ツノメドリ横断歩道)である。

 パフィン、ツノメドリは、カモメ科、ウミスズメ亜科に属する寒い海岸に生息する海鳥で、こちらではよく知られている鳥だ。名前を聞いたことがなくても、姿を見れば、「ああ、コレか!」と思われる人も多いのではないかと思う。

 このパフィン・クロッシングも、ツノメドリの姿とは何の関係もなく、”Pedestrian User-Friendly INterface(直訳「歩行者が使いやすい接続装置」)”の略で名付けられている。名前からして、現代っぽい感じ。

 ペリカン・クロッシングとの違いは、歩行者を感知するセンサーが付いている点である。横断中や歩道の縁石にいる歩行者を感知して、横断できる時間を延長してくれるので、臨機応変。歩行者にも運転者にも環境にも優しい。

 また、道路の向かい側の頭上にあった歩行者用の信号機が、押しボタン付近、つまり手元にあるので、信号を確認しやすく、視力が悪い人や、同時にあちこちを確認するのが困難なお年寄りにも親切だ。両側(左右)に押しボタンがあるのも気が利いている。もちろん、横断可能時のビープ音付きである。
 

☆自転車もご一緒に。オオハシ横断歩道
Pedestrian_crossingtoucan1  そして、ペリカン・クロッシングやパフィン・クロッシングの親戚といえるものが、ツーカン・クロッシング(toucan crossing、オオハシ横断歩道)だ。これは、「二つ(両者)とも渡れる」という意味の、”two can cross(「ツー・カン(キャン)・クロス」と発音)”をもじったもの。「ペリカン」、「ツノメドリ」に対して「オオハシ」と、鳥の種類まで親戚っぽい。

 この場合の「二つ(両者)」とは、歩行者と自転車のこと。信号の歩行者マークの隣に自転車マークが付いている。通常は、自転車は車両扱いで、道路わきを走り、自動車用の信号を守らないといけないが、ツーカン・クロッシングでは、自転車も歩行者と同じように横断歩道を渡ることができる。

 ツーカン・クロッシングには、ペリカン・クロッシングタイプ(横断延長なし)と、パフィン・クロッシングタイプ(延長あり・手元信号機)の両タイプがある。
 

☆馬用のペガサス横断歩道
 以上の横断歩道の名づけ方だけでも、充分イギリス的なのだが、横断歩道そのものが、まさにイギリスというのが、ペガサス・クロッシング(pegasus crossing、ペガサス横断歩道)である。
 まだ、お目にかかったことがないのだが、これは、なんと、馬に乗った人用の信号機である。通常の押しボタンに加えて、そのかなり上の方、乗馬した人の高さに合わせた位置に押しボタンがもう一個設置されている。馬は押さない。
 

☆その他、横断歩道あれこれ
 これらすべての信号機を総称して呼ぶときは、”pedestrian crossing(ペデストリアン・クロッシング、歩行者用横断歩道)”という言葉を使うのが適当だと思う。アメリカ英語では、”crosswalk(クロスウォーク)”と呼ぶらしいが、イギリスでは使わないようだ。

Pedestrian_crossing_2

 ゼブラ(とパンダ)以外の横断歩道は、縞模様ではなく、2本の点線が引いてあるだけ。中には消えかかっているものもある。運転者側からすると発見しにくそうだが、信号だけでなく、横断歩道付近の車道外側線がジクザクが目を引くので、安心できるように思う。

 交通量が多い道路では、中央分離帯に島を作って、その両側に信号を設置している横断歩道もある。この場合、一つの道路を一気に渡ることができないので、歩行者にとってはちょっと不便。車優先主義のような感じがしていたが、横断歩道と平行した車道からの車が右左折するときに、歩行者を巻き込むのを防ぐ目的があるようだ。
 

 
☆世界で一番有名な横断歩道?
Pedestrian_crossingabbey_road  ちなみに、ロンドンのはずれにあるアビーロード(Abbey Road)の横断歩道は、ビートルズの同名のアルバムジャケッの表紙になったことから、世界で一番有名な横断歩道としばしば呼ばれている。

日本盤CD   ABBEY ROAD(楽天市場)

 しかし、イギリス暮らしがすっかり板についた連合いが一言つぶやいた。「こんなの何処にでもあるじゃないか。」 

 確かに、その辺のゼブラ・クロッシングの写真を撮って、日本の知人に「アビーロードに行きました。」と言っても、皆だまされるかもしれない。
 

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2006年11月27日 (月)

(な) ナンバープレート NUMBER PLATE

 ナンバープレートといえば、日本では、地名が漢字またはひらがなで載っており、「なにわナンバーは怖い。」とか、「湘南ナンバーはかっこいい。」とか、車種や仕様以外に車を判断するときの材料になったりすることがあるが、イギリスではどうだろうか。

 イギリスののナンバープレートは、アルファベットと数字の組み合わせからなるのが通常だ。多くは7桁。例えば、「A123 ABC」だとか、「AB51 CDE」、「ABC 123A」といった具合だ。日本から来た私達にとっては、このアルファベットと数字が何を意味するのかさっぱりわからない。
 

☆頭の文字は登録年号を表す?
 ある時、知人が、「最初のアルファベットは、車を登録した年号を表すものだ。」と教えてくれた。例えば、「M123 ABC」と「Y123 ABC」の場合、前者は1994年(平成6年)8月から1995年(平成7年)7月までに登録されたもので、後者は2001年(平成13年)の3月から8月までに登録されたものとなり、頭についているアルファベットの順番が後である後者の車のほうが新しいというわけだ。

 じゃあ、「AB51 CDE」などのように、頭のアルファベットが2桁のものは、「Z」で始まるものの次なのか、つまり、アルファベットが足りなくなったから 2桁になったのかというと、少し違うようだ。
 

☆地域と登録時期を表す現行型のプレート
Number_plate_info_1  2001年(平成13年)9月ににナンバープレートの形式が改正されて、イギリスも地域と登録時期が比較的わかりやすいものに変わったのである。

 最初のアルファベット2文字は地域名を表し、次の数字2桁は登録時期を表す。登録時期は前回同様に半年ごとに分けられており、3月から8月までに登録された車はその西暦の下二桁が、9月から翌年2月までに登録された車はそれに50を足したものが割り当てられる。
 例えば、「BA51 CDE」の場合は、バーミンガム(Birmingham)で2001年(平成13年)9月から2002年(平成14年)2月までの間に登録された車ということになる。
 

☆頭か尻か、20世紀のナンバープレート
Number_plate_suffix  では、「ABC 123A」のようにアルファベット3文字で始まる車はどうなるのか。このタイプの車を見て気づくことは、どれもかなりクラシックな感じの車だということだ。

 この場合は、最初のアルファベットではなく、最後のアルファベットが意味を持ち、登録年度を表している。このタイプのナンバープレートは、”suffix number(サフィックス・ナンバー)”と呼ばれている。サフィックス(suffix)とは、「末尾についたもの」という意味。”プレフィックス(prefix、前についた)”と対をなす言葉で、最初に示した「A123 ABC」のようなアルファベット1文字で始まるナンバープレートは、”prefix number(プレフィックスナンバー)”と呼ばれている。

 サフィックスナンバープレートは1963年から1983年(昭和38年から昭和58年)までに登録された車に、そして、プレフィックスナンバープレートは1983年から2001年(昭和58年から平成13年)までに登録された車に付けられているナンバープレートなのである。
 

☆時代別、3種類のナンバープレート
 つまり、最初のアルファベットが1個の場合は、昭和の終わりから5、6年前までに登録された古い車で、アルファベットの順が早いほど古い車ということ。最初のアルファベットが2個の場合は、ここ5、6年の間に登録された新車で、比較的簡単に地域がわかる車だということ。そして、最初のアルファベットが3個の場合は、昭和の半ばから昭和の終わりまでに登録された骨董品で、末尾のアルファベットの順が早いほどより古いということが、「おおよそ」言えるのである。

 「おおよそ」と書いたのは、例外があるからだ。ナンバープレートがイギリスで導入されたのは1903年(明治35年)のこと。初期のナンバープレートは、「A1」といったように、1文字のアルファベットの後に数字がくるものだった。車の普及につれて、このような単純な文字と数字の組み合わせでは足りなくなり、次々とナンバープレート制度が変わっていったのである。だから、上記の3種に当てはまらない「A123」や「56ABC」などの年代もののプレートも存在する。
 「昭和最後の車ですら 18年ものの超中古車なのだから、それ以前のナンバープレートを付けた車なんて走ってないだろう。」と思われるかもしれない。しかし、実際に走っているし、最近購入されたらしき新車にもサフィックスやプレフィックスのナンバープレートがついていたりするのである。
 それは、バニティプレート制度があるからだ。
 

☆お好きなナンバーをどうぞ。バニティプレート制度
Number_plate_vanity  アメリカの映画などで、「LOVE」や「2BWITHU (To be with you、いつも一緒に)」、「QT PIE(cutie pie、かわい子ちゃん)などの語呂合わせや、個人の名前などを記したナンバープレートをつけた車を目にした方もおられると思う。これらのナンバープレートは、バニティプレート(vanity plate)と呼ばれ、車の持ち主によって数字や文字が選ばれているのである。

 庶民の私には縁がなく、ずっと知らなかったのだが、実はイギリスも、このバニティプレート制度が英国運転免許庁(DVLA)によって認められている。イギリスでは、”Personalised Registrations(個別登録)”と呼ばれている。
 日本でもナンバープレートの希望ナンバー制度が1999年(平成11年) 5月から導入されて、下四桁の数字が自由に選べるようになった。語呂合わせや連番でで人気のあるナンバーは抽選になるとしばしば聞く。

 イギリスの場合は、それどころではない。現在使われていない好きなナンバープレートをDVLAから購入することができるのである。そう、ナンバープレートを買い取るのである。個別ナンバープレート登録サイトに入って、希望のナンバーを入力すると、在庫があれば、販売金額が表示される。最低は、250ポンド(約5万円)から。

 試しにやってみたが、例えば「AB53ABB」の場合は499ポンド(約10万円)、「AB53ABY」の場合は3999ポンド(約80万円)だった。ご丁寧に車種を指定して車に取り付けた画像まで見せてくれる。そのDVLAの個別登録のサイトはこちらからご覧になれます(英語)。
 

☆高額なナンバープレート
 DVLA以外にも民間の会社がナンバープレートの売買を仲介しており、また、オークションも行われている。やはり、名前や語呂合わせのものが人気があるようだ。「UGO 2HEL(you go to hell,、地獄に落ちろ)」が12万ポンド(約2千4百万円)で売られていたり、「K1 NGS(kings、国王)」が23万ポンド(約5千6百万円)で買い手がついた例が紹介されていたりする。

 もちろん、どの組み合わせでもOKなわけではなく、一応ルールがある。1と紛らわしい「I」の文字や、年数のわからない改造車に付けられる「Q」の文字を使っていないこと、現在他の車に使われていないものであることが必要である。
 また、実際の車の年数よりも新しいものを取り付けてはいけない。例えば、現在、「R123 ABC」(1997~8年)の人は、「P123 ABC」(1996~7年)や「STU 123G」(1968~9年)などを付けてもかまわないが、「S123 ABC」(1998~9年)や「AB51 ABC」(2001年)などは付けれない。

 これらのルールさえ満たしていれば、財力で好きなナンバープレートを手に入れることができるのである。まさに、金持ちや車好きの道楽といった感じなのだろうか。
 
 1902年(明治34年)に登録されたナンバープレート「M1」が、ロシア出身の石油王であり、イングランドのサッカーチームのチェルシーを買収したことでも有名なロマン・アブラモヴィッチによって、2006年(平成18年)7月に33万千5百ポンド(約6千6百万円)で入札されたのも新しい話。彼はその前に、1979年(昭和54年)にローマ教皇ヨハネパウロ2世がアイルランドに訪れたときに登録した「VIP1」のプレートを28万5千ポンド(約5千7百万円)で落札している。
 

☆プレート泥棒にご注意
 高額を出して買う人がいれば、こっそり盗む人もいるのが世の常。イギリスでは、主に車の偽造(偽登録)の目的でナンバープレートの盗難が横行しており、2006年(平成18年)5月のBBCニュースによると、年間3万3千枚以上のナンバープレートが盗まれ続けているという。対策として、政府は、無理やり車から取り外すとボロボロになって使えなくなるナンバープレートを導入する予定だそうだ。日本のナンバープレートのような封印制度ではだめなのだろうか。 
 

☆ユーロプレートをつけた車も
Number_plate_euro  また、イギリスでは義務ではないが、EU加盟国だけあって、ユーロプレート(EURO plate、European vehicle registration plates)を付けている車もある。ユーロプレートとは、青地に12個の黄色の星からなるEUの旗のシンボルマークと各国名を表すアルファベットが左端に付いたプレートで、イギリスの場合、GBと印されているのが通常のようだ。
 

☆一台の車に二種類のプレートが付いている?
Number_plate_fr  イギリスと日本のナンバープレートの違いはそれだけではない。
 日本のナンバープレートは、地名の後の数字は車体の大きさを表し、ひらがなやその色、プレートの色によって、その車がレンタカーか、自家用車か、業務用か、軽自動車かがわかるようになっている。例えば、レンタカーには「わ」や「れ」のかな文字が使われており、一般用の車は白地に緑文字で、業務用は緑地に白文字。軽自動車は事業用を除いて黄色地に黒文字で記されている。
 しかし、イギリスではそのような区分けはなく、どの車も、前は白のプレート、後ろは黄色のプレートをつけている。

 もちろん、いくつか例外はあって、実際に見たことはないのだが、大使館の車や国際組織の車には、3桁の国番号(組織番号)、「D」および「X」、3桁の身分番号からなるナンバープレートが適用されているそうである。

 また、日本の皇室の車(天皇御料車)には、「皇」の文字と数字が記されたナンバープレートがつけられているが、イギリス王室の公用車にはナンバープレートが付けられていない。私用として使われるものには付いているそうだが。その画像はこちらのイギリス王室のサイトでご覧になれます(英語)。
 

 
 日本人の中に湘南ナンバーをかっこいいと思う人がいるのと同じように、もちろん、地域を示すアルファベットの入った現行のナンバープレートから、ある種のイメージを思い浮かべることができるイギリス人もいるにはいるかもしれない。しかし、それよりももっと端的に、イギリスのナンバープレートは、その人のこだわりやユーモア、そして経済力を表すものになりつつあるようだ。

 ちなみに、ナンバープレート(number plate)というのはイギリス英語で、アメリカでは”license plate(ライセンスプレート)”というのだそうだ。
 

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2006年10月12日 (木)

(く) 車 CAR

 イギリスでの運転は比較的楽だ。日本と同じく左側通行で、運転席は右側にあるからだ。また、基本的に道路標示が日本のものと同じ。交差点は単純なラウンドアバウトだし、車は大きいが車道の幅も比較的どこも広いので走りやすい。
 ただし、日本人にとって厄介なことがある。
 

☆イギリスではマニュアル車が主流
 イギリスを走る多くの車はマニュアル車である。オートマ車は数少ない。現在の日本では、業務用を運転する人や車好きな人以外は、マニュアル車に乗っている人は少ないのではないだろうか。

Car_hire  私も運転免許はマニュアルで取ったものの、オートマ車しか乗っていなかった。こちらに来てから車をレンタルする機会が数回あったが、異国でいきなりマニュアル車を運転する不安にかられて、その都度、オートマ車を選んだ。私が利用したレンタル会社は皆こちらではメジャーなものだったが、オートマ車は少なかった。できるだけ小さい手軽なものをと言ったのだが、結局借りることができたのは、ボルボ(Volvo)やベンツ(Bentz)といった大型でかなり上質な車だった。販売においてもマニュアル車が大半を占めているようだ。

 イギリスでマニュアル車が主流なのは、オートマ車に比べて車体価格や燃費が安く故障しにくいというマニュアル車の利点に加えて、道が概して平坦で、ラウンドアバウトや特殊な横断歩道の発達で交差点での停止頻度が少ない、といった、マニュアル車でも不便を感じにくい道路環境に起因しているのではないか思う。
 マニュアル車の利点に関してはどこも同じじゃないかと思われるかもしれないが、特にイギリスでは車の値段は相対的に高く、他のヨーロッパで購入した車を改良して輸入したほうが安いと言われるぐらいである。また、イギリス人の保守性や自国ブランドの車に対する誇り、国内の自動車メーカーの有無などもオートマ車の普及を妨げているように思う。
 

☆イギリスの車のブランド
Car_brand_1  イギリスの有名な車を挙げると、誰でも知っている超有名高級車のロールスロイス(Rolls Royce、ロールズロイス)、イギリス王室御用達車で日本でも人気の高いランドローバー(Land Rover)、イギリスの首相トニ・ブレアも乗っていたジャガー(Jaguar、ジャギュア)、W.O.の愛称で親しまれるベントレー(Bentley)、007のボンドカーとして有名なアストンマーチン(Aston Martin)、ローバー(Rover)、ミニ(Mini)、ウーズレー(Wolseley)、トライアンフ(Triumph)など、車好きにはたまらないほど、お馴染みの高級車がぞくぞく出てくる。

 しかし、ロールスロイス(1998年)、ミニ、ウーズレー、トライアンフ(1994年)はドイツのBMWに、ランドローバー(1994年)、ジャガー(1998年)、アストンマーチン(1990年)はアメリカのフォードに、ベントレーは1998年にドイツのフォルクスワーゲン(VW)に、そして、ローバーは2005年に中国の南京汽車に買収され、今や、イギリスは自国の自動車メーカーをもたない国となってしまった。
 

☆上を開けて走ろう
Car_sunroof  オートマ車が少ないからといって、イギリスの車の設備がかなり時代遅れなのかというと、そういうわけでもないようだ。古い車でも電子キーが付いていたり、エアバッグが付いていたりする。夏でも涼しいので、エアコン(クーラー)が付いていないものも多いが、同時にサンルーフ(天窓)付きの車やオープンカーも多い。少なくとも3台に1台はサンルーフ付きの車なんじゃないだろうか。実際に、晴れた日には、天窓を開けて気持ちよさそうに走っている人を多く見かける。太陽が大好きなイギリス人を表しているような気がする。 
 

☆車売ります
Car_sale  その他、日本であまり見かけないものとして、路上の車のセールがある。セールといっても、車の販売会社のセールではなく、個人が乗らなくなった車を売ろうとするもの。スーパーの駐車場や道端に、”FOR SALE, £○○(車売ります、○○ポンド)”と書かれた紙を付けた車が止まっているのをしばしば見かける。写真の車も600ポンド(約12万円)とかなり安いが、中には150ポンド(約3万円)で売られているものを見かけたこともある。
 

☆その他、運転で気を付けること。
 そのほか、イギリスで車を運転する際に留意することとしては、距離・速度表示が、キロ(Km)ではなくマイル(mile)であること、車についているワイパーと方向指示器が逆であることが挙げられると思う。
 アメリカで運転する日本人がまず最初にしてしまう間違いは、方向指示器をだそうとしてワイパーを動かしてしまうことだと聞いていた。アメリカは右側通行だからなと思っていたのだが、左側通行のこの国でも、私が最初におかした間違いは、右左折の際にワイパーを動かしてしまったことだった。
 
 1マイルは大体1.6キロなので、速度を出しすぎないようにしたいものである。速度取り締まり機が設置されている道路も多い。また、その他、側道を走る自転車に気を付け、踏み切りで一時停止しないこと、イギリスでは車や車内の盗難が多いことも記憶に留めておけば、快適なドライブを楽しめる。
 

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