2007年8月20日 (月)

(し) 自動車税 VEHICLE LICENCE

☆車両に対するライセンス料?
Vehicle_licence_notice  この国イギリスで、を買ってから、何ヶ月か経った頃、英国運転免許庁のDVLA(Driver and Vehicle Licensing Agency)から、ある用紙が郵送されて来た。
 そこには、「車両許可申請、及び、SORN (Vehicle Licence Application or SORN (Statutory Off Road Notification))」と書かれていた。

 どうやら、日本でいうところの「自動車税の納付通知書」にあたるもののようだ。
 自動車を公道で走らせてない、つまり使っていない場合は、日本でいうところの「一時抹消登録」として提出しなくてはならないようだ。その通知がSORNというものらしい。

 別名V11用紙と呼ばれるこの用紙には、「あなたの現在のライセンスは、○月X日で有効期限がきれます。」「期限の切れる15日前以降に(納税の)申し込みをしてください。」とある。
 

☆いつどこで払う?
 日本では、ご存知のように、毎年4月1日に所有されている車に対して、4、5月頃、自治体から納付通知書が送られてくる。
 それに対してイギリスでは、各自の納税の期限が切れる時に送られてくる。そして、その都度、半年、または1年払いを選択して納税するのである。

 支払う場所は、郵便局。現金でもカードでも小切手でもトラベラーズチェックでもOKだ。また、最近では、オンラインや電話での支払いも可能になった。わざわざ、郵便局に出向いて列に並ぶ必要がないので、とてもスマートだ。
 
 郵便局の場合は、基本的に、冒頭の用紙(V11用紙)を持っていけばOK。この用紙にはバーコードがついており、郵便局側がスキャンするだけで車の登録状況を瞬時に判断できるようになっている。
 以前は、車の登録証書(Resistration Certificate)や、加入している車の保険証書(Certificate of Moter Insurance)、車検証(MOT Test Certificate)などを必ず持って行く必要があったようだが、今では、基本的には必要ないようだ。

Vehiclr_licence_online  オンラインで支払う場合は、手元にこの用紙と車の登録証書と車検証、そして、カード払いの時はカードを用意すればOK。自動で認識されるので車検証すら要らない時もあるようだ。
 オンラインでの納税は、こちらの政府のページ(Directgov)の左の青いタブ(Apply for a taxdisc NOW!)から行えます(英語)。

 イギリスにはコンビニがあまり普及していないため、日本のようなコンビニ払いというのはないようだ。しかし、郵便局の数も多く、オンラインや電話でも簡単に支払えるので、特に不便はない。いや、却って便利かもしれない。
 

☆納税額はいくら?
 納税は、先ほど述べたように、半年、または1年払いが選択できる。1年払いのほうが、かなりお得なようだ。

 納税額は、ほぼ日本と同様、車の種類(乗用車、バス、バイクなど)や排気量によって定められている。

 また、初期登録年度 2001年(平成13年)以降の車では、環境に優しい車の税金が低くなるように設定されている。例えば、エンジンサイズではなく、CO2排気量が基準に採用されている。さらに軽自動車(light goods vehicle)かどうか、ガソリンの種類によっても、額が違うようだ。最近、日本でも実施されつつある「自動車のグリーン税制」に近いもののような気がする。
納税額について詳しく知りたい方は、こちらのDVLAのサイトをどうぞ(英語)。 また、車のCO2排気量と税額はこちらのサイトで調べることができます。

 我が家の車は10年ものの1800ccの乗用車。年間180ポンド(約3万6千円)払わなくてはならなかった。半年払いの場合は100ポンドほど(約2万円)。
 日本で同じような車に乗っていたときも、年間4万円ほどだったから、概して日本と税額はそれほど変わらないのかもしれない。
 

☆車検ステッカーならぬ納税ステッカー
Vehicle_licence_taxdisc  冒頭の初年度、郵便局の窓口で税金を支払い、判の押されたV11用紙と、車の登録情報が書き込まれ、同じ判を押された丸いステッカーを受け取った。
 オンラインや電話での納税の際は郵便で届くことになる。

 このステッカーは車のフロントガラスに貼り付けるもの。車検のステッカー(検査標章)と間違えられがちだが、イギリスには車検のステッカーというものはない。代わりにあるのが、納税のステッカー。ライセンス・ディスク(Licence Disc)と呼ばれている。
 納税するためには、車検証が有効であることが必須なので、意味的には日本の車検のステッカーを同じなのかもしれないが。
 

☆納税ステッカーの貼り方
Vehicle_licence_position  日本の車検ステッカーとの違いは、入手法や名前だけではない。張り方も微妙に異なっている。

 日本の車検ステッカーの場合は、車のフロントガラスの上部中央に貼るように指示されていることが多いが、こちらの納税ステッカーはそういう決まりはないようだ。大体皆、フロントガラスの脇(助手席側の下部)に貼り付けている。

 郵便局で、ステッカーを貼り付けるための透明シールをもらえなかったので、局員が渡しそびれたのかと思ったが、どうやらそうではないよう。専用の軟らかいビニルシートに入れて貼り付けるのが普通のようだ。
Vehicle_licence_sheet  このシート、簡単に剥がすことができて、何度も繰り返し使える便利な代物。きちんと張れば取れてしまうこともさほどないようだ。

 日本の車検ステッカーと異なり、納税期限が切れる一年または半年毎に張り替える必要があるという事情があるのかもしれないが、ちょっぴりエコな感じがする。
 

 便利な納税方法にエコなステッカーと、進んだイギリスの自動車税。しかし、実は、日本人が嵌ってしまう落とし穴(?)が一つあった。それは、次回の車検の記事で。まぁ、嵌っているのは、うっかりものの私だけかもしれないが。
 

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2007年6月14日 (木)

(ふ) ブラックバード BLACKBIRD

☆小鳥の楽園?
Blackbird_male 日本からイギリスにやってきて最初に感動したのが、自然の多さだ。ロンドン市内でも日本では考えられないほどの大きな公園が所々にある。

 うちの家はロンドンから何時間か離れたところにある田舎の住宅街。至るところで自然を感じることができる。身近なところでは、庭にやってくる小鳥達だ。庭になった実を食べたり、芝生の間から虫を食べたりしているようだ。その中でも、ひときわ目立つ鳥がいる。ブラックバードだ。
 

☆小型のカラス? いえいえ可愛い歌鳥です。
Blackbird_tree  見た目は、名前の通り真っ黒。カラスを小さくして、くちばしを山吹色に変えたような感じの鳥だ。
 日本でゴミをあさるカラスに毎日閉口していた私は、最初この鳥を見たとき、またヤツらの仲間かと思ってギョッとしてしまった。

 しかし、ブラックバードは、地中のミミズや木の実を食べるかわいらしい野鳥だ。
 そして、そのちょっと怖い外見からは考えられないほど美しく可愛らしい歌声で鳴く。ビートルズの『ブラックバード』に挿入されているあの鳥の声。生で聴くとより美しく聴こえるのは気のせいだろうか。

ザ・ビートルズ Music ザ・ビートルズ (通称、ホワイトアルバム)


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 「カーカー」(カラス)でもなく、「ポッポーポッポー」(ハト)でもない、美しい歌声を聴きながら目覚めるのは、なんともいえず心地いい。
 ブラックバードの鳴き声を聴きたい方は、こちらのイギリス王立鳥類保護協会(RSPB)のサイトをどうぞ(英語)。右端のListenの下のPlayより聴くことができます。
 

☆イギリスにおける「スズメ」
 ブラックバードは、日本では「クロウタドリ」とか「クロツグミ」とか単に「ツグミ」と訳されているようだ。
 私達日本人にとっては馴染みがないが、イギリスを含めヨーロッパ圏では、ごくごく身近な鳥である。日本のスズメのようなノリだろうか。
 名前の通り、オスは名前のように真っ黒だが、メスは白地の入った茶色っぽい色をしている。

 大体、年中見かけるが、夏や暖かい日の雨上がりなどは活発に活動しているようだ。
 サマータイムになると、まるで時間帯で住み分けしているかのように、日中は日向ぼっこをするイギリス人達が、朝夕はブラックバード達が、庭の芝生に集う。
 

☆ビートルズの『ブラックバード』
 ちなみに、ビートルズの『ブラックバード』は、傷ついたブラックバードに羽ばたくように呼びかけているバラード曲。

 バード(bird、鳥)はイギリスでは特に若い女性を指すそうで、当時、まだまだ虐げられていたアメリカの黒人(特に黒人女性)に対して送ったエールの曲だとも言われている。

 日本でもお馴染みのアメリカシカゴを舞台にした海外ドラマER緊急救命室。その中のエピソードで、「折れた翼をいやす者」というタイトルのものがある。主要な登場人物の一人の女性が、大切な家族を奪われてしまった喪失感や孤独から徐々に回復していく姿をメインに描いた作品だ。

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 原題は”Take These Broken Wings”。『ブラックバード』の歌詞の中の一節だ。挿入されたこの曲が立ち直っていくこの女性の心情を大変効果的に表していたように思う。
 

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2007年6月11日 (月)

(あ) あじさい [紫陽花] HYDRANGEA

Hydrangea_garden ☆梅雨の花??
 日本で6月の花や梅雨の花といえば、多くの人は真っ先に紫陽花を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、ここイギリスでは、5、6月はもちろんのこと、8月の半ばになっても紫陽花が咲いている。
 時折雨は降るが、日本に比べて温度や湿度が低く、からっと過ごしやすい。こんなイギリスの夏の陽射しに照らされた紫陽花は、なんだか奇妙な感じ。
 

☆ブルーではなくピンク
 紫陽花はイギリスでも一般的な花で、庭に植えている人も多い。街に植えられた紫陽花を見ていて、ふと気になることが。みんな花の色がピンク色なのだ。花屋などの店頭で売られているものは、青いものや白いものもあるけれど、庭などに植えられた紫陽花の花の色は皆ピンク。

Hydrangea_flower  日本で見かけた紫陽花は、もちろんピンク色もあったけれど、圧倒的に青色や紫色のものが多かったように思う。種類が違うのだろうか。
 

☆日本からイギリスへ
 実は、イギリスの紫陽花は元は日本からやってきたものだそうだ。といっても、18世紀頃のこと。もう何百年もの間、人々に親しまれてきており、今ではすっかり一般的な花である。改良を経て、様々な品種が出回っているようだ。

Hydrangea_market_4  現在イギリスで栽培されているアジサイは、日本原産のガクアジサイ種(Hydrangea macrophylla)に属するマリエシー(モモイロアジサイ、Mariesii)、クアトリカラー(Quadricolor)、リラシナ(Lilacina)、パーフェクタ(Perfecta)のほか、日本原産のノリウツギ (H. paniculata)や、ミナズキアジサイ(Grandiflora)、中国産のアスペラ(H. aspera) 、北米原産のカシワバナアジサイ(H. quercifolia)などなど。

 中でも、マリエシーは、1879年(明治12年)に、イギリスの園芸家、チャールズ・マリーズ(Charles Maries)が日本から持ち帰った品種の一つだそうで、現在、日本でもアジサイやガクアジサイに並んで人気の西洋アジサイ(hortensia)のもととなったものだそうだ。

 私は花の種類に疎いので、品種の区別がつかないのだが、イギリスで見かけた紫陽花の多くは、日本のものによく似ていた。おそらく同じ品種のものも多いのだろう。

 どうやら、日英の紫陽花の花の色が違うのは、品種の違いということより、他の要因の影響のほうが大きいようだ。
 

☆紫陽花の花の色が違う理由
Hydrangea_soil  紫陽花の花(装飾花)の色を決めている要因の一つは、土の酸性度なのだそうだ。酸性土壌では青く、中性、アルカリ性土壌ではピンクになりやすい。

 紫陽花の花の色は、アントシアニン色素と補助色素によって決まると言われている。この色素が、根から吸い上げられた土壌中のアルミニウムイオンと結合すると、赤(ピンク)から青に発色する。

 酸性の土壌では、アルミニウムが溶け出しやすく、土壌中のアルミニウムイオンが多くなる。日本は火山が多く雨も多いため、土壌は酸性となり、紫陽花の花は青色になりやすい。対して、イギリスを含む欧米諸国では、土壌が中性またはアルカリ性なので、色素が変化せず、花の色がピンクになりやすいようだ。

 イギリスで青い紫陽花を咲かせたい場合は、土に硫酸アルミニウムを加える必要があるとか。
 

☆モップ頭とレースの帽子
 ちなみに、英語の”hydrangea(ハイドレインジア)”とは、「水の器」を意味する言葉だそうだ。
 また、イギリスでは、いわゆるホンアジサイのような丸いボールのような形のアジサイは、”Mophead hydrangea(モップヘッド・ハイドレインジア)”、そして、ガクアジサイのような平らで花の小さいアジサイは、”lacecap hydrangea(レースキャップ・ハイドレインジア)”と呼ばれている。
 「モップ頭」に「レースの帽子」。言い得て妙だ。
 

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2007年4月 5日 (木)

(た) タンポポ DANDELION

Dandelion_lawn 春先、芝生にたんぽぽの花が数多く咲いているのを見つけた。春だなぁと季節の訪れを喜んだが、6月になっても、7月になっても、そして、8月になっても、この黄色い花が消えることはなかった。
 

☆西洋タンポポと日本のタンポポ
 イギリスでも、たんぽぽは、どこでも見かける、誰もが知っている草花だ。イギリスに咲いているたんぽぽは、少なくとも60種(一説では200種)以上あると言われているが、どれも西洋タンポポ(T. officinale agg)に分類されるようである。

 対して、現在、日本で咲いているたんぽぽは、在来種であるカントウタンポポ(T. platycarpum)、カンサイタンポポ(T. japonicum)、エゾタンポポ(T. hondoense)、シロバナタンポポ(T. albidum)の他、帰化種である西洋タンポポ(T. officinale)など。

Dandelion_comparison  春に開花する日本の在来種対して、西洋タンポポは、イギリスにおいても日本においても、ほぼ一年中花を咲かせる品種である。両者、見かけはそっくりだが、総苞外片と呼ばれる花弁の下にある緑色の部分で見分けることができるそうだ。総苞外片が反り返っているのが西洋タンポポで、反り返っていないのが日本の在来種。
 

☆日本の環境汚染のバロメーター
 日本に西洋タンポポがもたらされたのは、明治時代のことと言われている。日本在住のヨーロッパ人が食用として輸入したものが帰化したものだそうだ。

 憂うべきことに、現代の日本では、西洋タンポポが幅をきかせ、在来種を侵食している。西洋タンポポは、在来種と違って、乾燥した痩せた土地でも生育することができ、生長が早い。また、在来種が花粉を虫に運んでもらって受粉し、種をつける虫媒花であるのに対して、西洋タンポポは、受粉をしなくても種をつけることができるのである。

 都市化が進み、自然破壊が次々と行われている日本では、充分な土や虫がなくても生育できる西洋タンポポに有利な環境になってしまっているようだ。たんぽぽが環境汚染の指標になりつつあるというわけだ。

 ロンドンなどの大都会を除いては、イギリスは日本に比べて断然自然が多い。「ひょっとしたら逆に・・・。」と思って、日本の在来種を探してみたが、もちろん見つからなかった。わざわざ日本からたんぽぽを持ち込む人はまずいないだろうし、イギリスの土は日本のたんぽぽの生育には向いていないのかもしれない。
 

☆「ライオンの歯」、「おねしょ」と「たんぽぽ時計」
 環境汚染の指標になりつつあるとはいえ、「たんぽぽ」という愛らしい呼び名で、春を告げる草花として日本人に親しまれてきたたんぽぽ。
 しかし、ここイギリスでは、雑草(weed)の扱いで、人々にあまり好かれていない。特に、庭の手入れをする人々からはかなり嫌われているようだ。それは、年中、芝生の間に生えてしまうからだそう。ナチュラルであることが好まれるイギリスの庭においても、一面のグリーンの中にこの小さい黄色い花が点在することはよしとされないようだ。

 こちらでは、呼び名まで、”dandelion(ライオンの歯)”と猛々しい。また、たんぽぽに触ると寝小便をするという迷信から、”pissy-bed”や”wet-the-bed”、日本語にすると「おねしょ」という俗称まである。

 たんぽぽの花には忠誠心を表す高潔な意味があったのは遠い昔のこと。ビクトリア時代に愛のお告げや媚態という艶かしい意味を持つようになり、今では、たんぽぽの夢を見ると、恋敵が出現したり、恋人に裏切られたりして不幸になるという悪い迷信まであるようだ。

Dandelion_clock_2 とはいえ、いつでもどこにでも咲いているこの花の綿帽子(綿毛)は、”dandelion clock(たんぽぽ時計)”と呼ばれ、子供たちが「時間を知る」遊び道具として親しまれている。
 この時計、息を吹きかけて綿毛を飛ばし、綿毛が全部飛ぶまでに吹きかけた息の回数を現在時刻とするのだとか。例えば、3回で吹き飛ばせれば午後3時。ちょっぴり正確さには欠けている。
 時間厳守にこだわらないイギリス人の気質はこんなところに由来するのかも、なんて思わせてしまう愉快な時計だ。
 

☆本当に皆食べてる?
 西洋人の食用がきっかけで日本に帰化した西洋タンポポだが、少なくともイギリスではどうやらそれほどは食されていないよう。せいぜい、サラダに入れる珍しい葉野菜程度の認識ではないだろうか。今のところ、レストランなどでも出されたことはないし、スーパーや食材店でも見かけていない。

Dandelion_tea  ただ、最近のデトックスブームで、タンポポの入ったハーブティーはよく見かけるように思う。日本でしばしば不評のたんぽぽコーヒーはまだ飲んだことがないのだが、こちらで出回っているタンポポ入りのハーブティーは、ほんのりと独特の香りがして、ちっとも不味くないように思う。
 プーアル茶やミントティーが好きなうちの連合いや妹も、このハーブティーを大変気に入っているようだ。

←タンポポ入りのハーブティー(楽天市場)。このメーカーのは見かけていませんが。。

 
☆たんぽぽに教えられた帰化問題
 
 西洋タンポポは、日本に帰化しただけでなく、今では在来種との交雑までおこりつつあるそうだ。イギリスを含めた西洋の文化や物が日本に入るのは、悪いことではないと思うけれど、こういう帰化植物(動物)が日本の風景を侵してしまうのはなんとしてでも避けたいものである。

 現在では、日英間は、生きた植物の持ち込み持ち出しは禁止されているし、動物も検疫を受けることになっている。

 我が家も、イギリスで三つ葉のおひたしが食べたいがために、三つ葉の種を送ってもらおうかなんて冗談で言ってたが、こういう軽い気持ちが互いの環境を壊しす発端なのかもしれない。「イギリスにいる間は三つ葉はなしだ。」そう自分に言い聞かせた。
 

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2007年3月26日 (月)

(ち) チャヴ CHAV

☆リトル・ブリテンの中のチャヴ
 イギリスにやってきて間もない頃のことだ。おかしなキャラクターグッズを見かけた。
実写のピンクのジャージのような服をまとった金髪の太った女の子や、車椅子に乗った太ったやる気のなさそうな男性が載っている。グリーティングカードに、カレンダーにと大した人気のようだった。

 

←リトルブリテン シリーズ1~3 DVD
(amazon.co.uk) (日本への発送はできないようです。)

 これ、『リトルブリテン(Little Britain)』という、イギリスのBBCテレビのコメディドラマの登場人物たち。このドラマでは、イギリスではどこにでもいそうな典型的な人々がデフォルメされて登場する。
 イギリスでも大ブームと呼べるほどの人気ぶりで、英国アカデミー賞の最優秀コメディ賞を受賞している。イギリスだけでなく、ヨーロッパやイギリス連邦のあちこちの国で放映されて人気を博しており、2006年には国際エミー賞のコメディ部門を受賞している。日本にも2007年現在、WOWWOWで放映されているようだ。BBCのリトルブリテンのサイトはこちら(英語)。幾つかの短いエピソードやインタビュー映像もご覧になれます。
 
 

 Little BRITAIN/リトル・ブリテン ファースト・シリーズ Vol.1 DVD Little BRITAIN/リトル・ブリテン ファースト・シリーズ Vol.1 

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2007/03/21

Amazon.co.jpで詳細を確認する

 実は怠惰で歩くのが嫌なだけで車椅子に乗っている男とそれを知らない介護者、アンディーとルー(Lou Todd and Andy Pipkin)、炭鉱の村で唯一のゲイだと言い張るダフィド・トーマス(Daffyd Thomas)など、かなり強烈なキャラクターが登場する。しかし、皆「あー、こんな人、身近にいるかも!」という感じのキャラクターばかりだ。

 その中でも人気なのが、ビッキー・ポーランド(Vicky Pollard)という、冒頭のピンクを身にまとった女性。彼女は、この国イギリスでは「チャヴ」と呼ばれる若者の(大人たちから見た)典型的な例なのだそう。
 

☆チャヴとは?
 最初、チャヴ(chav)という言葉を聞いた時、なんだかよくわからなかった。連合いに試しに訊いてみると、「ああ、”chubby (チャビィ、丸々太った)”でしょ。」と返された。

Chav_cap_1  チャヴとは、男女ともに、スポーツウェアーに金のアクセサリー、ブランド物(フェイクもあり)などを身につけた貧困層の十代の若者のことを一般に指すようだ。男性の場合はバーバリーチェックの野球帽がトレードマーク。

 何を言ってるのだかわからない乱れた言葉を使うのもチャヴの特徴。冒頭のリトルブリテンの中のチャヴも、かなりの早口でわけのわからないことを罵りまくり、またそれが売りになっている。
 リトルブリテンの中のチャヴをご覧になりたい方は、こちらのBBCのサイト(映像)をどうぞ(英語)。いきなり、音声付の映像が開きますのでご注意ください。

 特定の衣服や言語をまとい、独特の雰囲気をかもし出す現代の若者。日本でいうと、渋谷に出没する(した?)、コギャル、ヤマンバ、マンバという若い女性達に近いような存在だろうか。ただし、チャヴは男女両方に適応される言葉である。
 

☆チャヴ診断クイズ
 チャヴ診断クイズができるサイトまである。そのうちの幾つかを紹介したいと思う。
 以下の10項目のうち、あなたは幾つ当てはまるだろうか。

  1. ピザハットで2人っきりのロマンティックディナーをしたことがある。
     
  2. バーバリーチェックのアイテムを1つ以上持っている。
     
  3. ポットヌードル(Pot nuudle)*を食べたことがある。
      *(注)イギリスのカップヌードル
      
  4. プレゼント用の切花をガソリンスタンドで買ったことがある。
     
  5. トリーシャの番組*に出たことのある人を知ってる。
     *(注)イギリスのメジャーな身の上相談番組。日本でいうと、みのもんた氏のお昼の番組?トリーシャの番組のHPはこちら(英語)。
     
  6. 好きな色は金色で、金色のフープイヤリングを持っている。
     
  7. バーやクラブに自前の飲み物をこっそり持ち込んだことがある。
     
  8. リトルシェフ(Little Chef)*やHappy Eater(ハッピーイーター)*に、用を足しにだけ入ったことがある。
     *(注)どちらもイギリスのファミレス(ファミリーレストラン)。高速道路などでよく見かける。
      
  9. 車にハンギングダイス(furry dice)*や、うなずく犬、ゴー・ファスター・ストライプ(go-faster stripes)をつけたことがある?
     *(注)ミラーのところにつけるサイコロ型のぬいぐるみ
    ←こんなのです。ハンギングダイス(楽天市場)

    Chav_gofasterstripe_1 **(注)保険会社のキャラクター、チャーチルというブルドッグ(?)、はりこ(張子)の虎の人形のように首が動く。ご覧になりたい方は、こちらのチャーチル保健会社のこのサイトをどうぞ(英語)。イギリス国内だけのようですが、ほしい方は購入も可能のようです。
    ***(注)スポーツカーのように見せるために車のボンネットやや屋根につける線。

     
  10. Chav_croydonfacelift_1 クロイドン・フェイスリフト(Croydon facelift)という髪型をしている。(女性の場合)
    *(注)前髪も含めたポニーテール。クロイドンとは、貧民層が住む地域。フェイスリフト(facelift)とは「美容整形」のこと。たるんだ顔の肉が引き上がるため、こう呼ばれる。

 なんとなく、ただのせこくて見栄っ張りな、ミーハーな人物像が浮かび上がるのだが、気のせいだろうか。
 イギリスのカップヌードルにはまったことがあり、他の日本人同様、家にバーバリーの品がある者としては、ひょっとして私もなんて思ってしまう。
 

☆本物のチャヴ?
 これだけメディアで騒がれたにも拘らず、田舎町に住んでいるためか、私も連合いも「これぞ本物」というチャヴを未だ知らない。
 たまにスーパーでも、ピンクジャージに身を包んだ10代前半の子供や、ラフなジャージにアクセサリー、ポニーテールの若い女性を見かけたりする。しかし、実際、彼らをチャヴと呼んでいいのかよくわからない。
 貧困さはチャヴに近いものの、現地人にはほど遠い私達。そのうち、是非、本物のチャヴ、もしくはそれに近い人と一度、お近づきになりたいものだと思い始めていた。

 渡英後、数年のことだ。知り合いの家で、ホームパーティーがおこなわれることになり、招待状メールが届いた。テーマ(ドレスコード)は、「チャヴ」だという。
 早速、チャヴのファッションをリサーチし、連合いとともに、おめかし(?)して出掛けた。

 家の扉には、ちゃんとサイコロのぬいぐるみが飾ってあり、中から激しい音楽が聞こえてきた。
 中は、クロイドン・フェイスリフトの髪型をして、金のフープイヤリングをつけた女性や、ピンクのキャップをかぶりパステル調のトレーナーを着た女性がいたほかは、なんだか、いつものパーティーのノリ。
 バーバリーのキャップに、金のアクセサリーをジャラジャラつけた男性とか、ブランド物のスポーツウェアーを着た女性などといったいかにもチャヴという格好の人はいなかった。中身もそう。渡英後数年で、未だに日本人観光客っぽさが抜けない私達のほうがそれっぽい格好なぐらいだった。

 パーティー自体は楽しかったものの、ちょっと残念だったのも事実。本物が来るとは思っていなかったが、皆、私達よりもチャヴに近い存在だと思っていたからだ。

 後ろ髪を引かれつつ、夜中まで続くパーティーだったので、途中でおいとました。その帰り道、数人のそれこそいかにもチャヴっぽい格好をした若者達に出会った。彼らは、私達の格好を見るなり、「(例のパーティーに)参加してたんだろ?」と言って近づいてきた。
 あれほど切望していたチャヴっぽい人。しかし、正真正銘本物のチャヴに絡まれたと思った私は怖くなり、「No!」と言って立ち去ってしまった。
 チャヴへの道は遠い。
 

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2007年3月 8日 (木)

(か) カモメ GULL

☆内陸にカモメ?
Gull_flying  イギリスでの最初の初冬のこと。行きつけの近所のスーパーに出掛けて、びっくりした。私の住んでいる田舎町のスーパーには、車が何百台も停めれるような大きな平面駐車場があるのだが、そこにカモメの集団がいたからである。

 まるで白いカラスのような大きなカモメたち。頭上を数々のカモメが特有の鳴き声をあげながら飛んでいるのを眺めていると、どこからか潮の匂いがしてきそうな感じだ。しかし、私の住んでいるイギリスの町は海辺どころか、ロンドンよりずっと内陸だ。海を見るには車で何時間も走らないといけない。

 カモメといえば、日本では、冬の海岸や河口などに現れる渡り鳥として知られている。しかしイギリスでは、基本的に一年中見られる鳥で、海岸沿いに生息し、冬になると餌を探して内陸に現れるそうだ。
 イギリスの王立鳥類保護協会(RSPB)がカモメのイギリスでの分布図を公開している。 
 RSPBの、例えば、セグロカモメのサイトは、こちらからどうぞ(英語)。映像を観たり鳴き声を聞くことができます。他のカモメのサイトへのリンクもはられています。 
 

☆どれがどれ? イギリスのカモメの種類
 カモメの英名は”seagull(シー・ガル)”だとずっと思ってきたが、実際には、単に”gull(ガル)”と言うことも多いようだ。

Species  イギリスに生息しているカモメは、ユリカモメ、セグロカモメ、カモメ、ニシセグロカモメ、オオカモメなど。セグロカモメは、”Herring Gull(へリング・ガル)”と呼ばれている。直訳して、「ニシン(鰊)カモメ」。ニシンが好きなのだろうか。

 総称ではない種としての「カモメ」は、イギリスでは”common gull (一般的なカモメ)”という名だが、それほど一般的ではなく、ユリカモメやセグロカモメのほうがずっと数が多いようだ。
 
 また、百合のように白いという意味で名付けられたと思われるユリカモメは、英語では”Black-headed Gull”。意訳だが「ガングロカモメ」。
 背中が黒いという意味のセグロカモメは”Lesser Black- backed Gull”で、直訳すると「コセグロ(小背黒)カモメ」、オオカモメは”Large Black-backed Gull”、直訳「オオセグロ(大背黒)カモメ」)。
 なんだか、日本語との対応が微妙に難しい。
 

☆白いカラス、翼のついたドブネズミ?
 白いカラスに例えたが、イギリスでは、いまやカモメは日本のカラスや鳩に近い立場にある。時に「翼のついたドブネズミ(flyng rats)」と呼ばれ、病気を撒き散らす害鳥として嫌われている。

Gull_vsdove  BBCの自然と科学の記事によると、カモメは、1970年代の後半から、年間約13パーセントずつ数が増えていっているそうだ。
 その原因は人口の増加だ。外敵がおり餌が乏しい海岸沿いに比べ、街中は、外敵のいない安全な環境に加えて、いつでもゴミを漁ることができるので冬でも餌に困らない。
 もとは海辺に生息していたものが、徐々に内陸にもやってくるようになったのである。イギリスの都市ブリストルでは、今では夏でもカモメが出現するそうだ。

 町にやってきたカモメが嫌われる理由の一つは、人家に住み着いて、ゴミを漁ったり糞を撒き散らしたりすることがあるからだそう。
 イギリスのゴミ回収制度は、鳥やネコなどに荒らされにくい仕組みになっているが、糞のほうはそうはいかない。鳥インフルエンザが騒がれた昨今、一部の地域では、カモメの糞は深刻な問題だったようだ。
 

☆実写版の『鳥』? 頭上でカカカと鳴いていたら要注意
 このような衛生上の問題だけでなく、町にやってきたカモメは、もう一つ、厄介者扱いされる理由がある。
 それは、人に危害を加える可能性があるからだ。日本でも人里に出てきたクマやイノシシなどの野生動物でしばしば問題になることがあるが、カモメも、特に雛が育つ頃になると、自分たちのテリトリーに入る者を攻撃したりする。

Gull_1  通常カモメは、攻撃に入るまでに3段階の威嚇をおこなうそうだ。
 まず、最初は警戒音。テリトリーに近づくと、「ガガガグ」や「カカカ」と鳴いて威嚇するのである。それでもテリトリーに近づくと、安全な距離を保ちつつ、近くを飛んで威嚇する。それでも去らない場合は、糞爆弾だ。
 そして、これらの威嚇を無視する者に対してのみ攻撃するのだそうだ。口ばしでつつくのではなく爪での攻撃だそうだが、大きな鳥が自分目がけて空から突進してくるのは、イギリスの名監督アルフレッド・ヒッチコックの映画『鳥』さながらの恐怖だろう。

←DVD 『鳥』(楽天ブックス)
 

☆ガルカルをカルガルしくするな!?
 地域によっては、もう一つの社会問題を引き起こしているようだ。

 それは、カモメの駆除(Gull cull、発音「ガル・カル」)の問題である。人家に住み着いたカモメの被害に困った人達が、業者などに駆除を依頼するということが起きているそうだ。自分たちで処理しようとする人まで出てきているらしい。もちろんイギリスでも、カモメを始め多くの鳥を殺したり狩猟するには免許がいるので違法行為である。

 カモメの駆除は、野生動物の命を人間の都合で奪うというだけでなく、街中で銃が使われたり、薬殺されたカモメの死体が2次的な被害をもたらしたりと、人間にとっても危険な行為なので、反対する人も多くいるようだ。また、数羽駆除したところで、火に油をそそぐようなものだと主張する人もいる。
 そこで、カモメを殺さずに数を減らす方法として、こっそりカモメの卵をダミー(偽物)と取り替えたり、ミネラルオイルに浸して孵化しなくさせる方法が広まりつつあるのだとか。
 
 

Gull_park_1  幸い、私の住む田舎町では、せいぜい冬に、スーパーの駐車場や土鳩が多い街付近の公園に現れるぐらいで、身近にもカモメの被害にあったという話を聞いたことがない。
 しかし、そのうち、この町も年中どこにでもカモメを見かけるようになるのだろうか。

 日本に比べれば自然が多く残されているように思うイギリスでも、このような事態が起こっているのだと思うと、「カモメだ!カモメだ!」と喜んで、のん気に写真を撮っていた自分がちょっと恥ずかしかった。
 

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2007年2月15日 (木)

(し) 芝生 LAWN

☆芝生にお入りください。
 「芝生に入らないでください」、「芝生に入るべからず」、”KEEP OFF THE GRASS”。
 日本の観光地や公園などで、こういった芝生内立ち入り禁止の札をよく目にした。美しく生え揃った芝生に足を踏み入れたい誘惑とよく闘ったものだ。

Lawn_football  イギリスには、至るところに芝生が植えられている。公園や広場も、そして道路わきやラウンドアバウトも芝生で埋め尽くされている。
 渡英直後、「こんなに芝生だらけでは誘惑に負けてしまうのでは?」と思う間もなく、芝生でくつろぐ人々の姿が目に入った。普通に通行する人、寝転がる人、サッカーやバトミントンなどの競技を楽しむ人。皆、人目をはばかっている様子は全くない。
 イギリスでは、芝生は、外から観賞するためでなく、中でくつろぐために存在しているのである。
 

☆一年中青々している理由は?
Lawn_square  人々に踏みつけられているのにも拘らず、そして、芝刈り以外の手入れをしているのを殆ど見かけないにも拘らず、一年中、どこでも、青々とした芝生を楽しむことができる。

 日本では、品種改良によって育てやすいものが流通しつつあるものの、まだまだ芝生は「維持するのが大変」なしろものだ。ゴルフ場のような美しい緑を確保するためには大量の農薬が必要だし、猛暑や冬に枯れてしまっている芝生も多く見かける。

 どうして、イギリスの芝生は一年中こんなに青々として美しいのだろうか。それは、イギリスの土壌、イギリスの気候に適した寒地型の芝生が植えられているからだ。
 

☆日本の暖地型とイギリスの寒地型
 芝生にも様々な種類があるが、その特性から大きく2種類に分類することができる。暖地型(夏型、warm season grasses)と寒地型(冬型、cool season grasses)である。

 暖地型は、もともと熱帯から温帯にかけて生えていた芝生で、高温多湿に耐えることができるが、寒さに弱い。日本で昔から植えられてきた芝生であるノシバ、コウライシバなどはこの暖地型に分類される。夏は生き生きとしているものの、冬には生育が止まり、休眠して枯れたようになってしまったり、中には枯れてしまうものもある。
 また、芝生に入った数少ない記憶をたどってみると、フサフサの芝生を想像して足を踏み入れたものの、チクチク痛くて心地よくなかったように思う。これは、ノシバの葉の特徴のようだ。

Lawn_frosted  一方、寒地型は、もともと亜寒帯から温帯にかけて生えていた芝生で、寒さに強く、冬でも緑を保つことができる。日本で「西洋芝」と呼ばれているものは、この寒地型のことを指すことが多いようだ。イギリスの芝生も寒地型。
 寒地型には、寒さに強いが手間がかかるベントグラス(Bent grass)、生育が早いが踏付けや暑さに弱いライグラス(Rye grass)、寒さに弱いが生長が遅いブルーグラス(Blue grass)、踏付けや日陰に強いが葉が硬くまばらになりがちなフェスク(Fescue)などの様々な種類がある。
 

☆用途別の芝生?
Lawn_cow  これらの芝生は、イギリスでは、予算や、かけれる手間、日当たり、用途によって、使い分けられているようだ。

 特に、チューイングス・フェスク(Chewings fescue)、クリーピング・レッド・フェスク(creeping red fescues)、ペレニアル・ライグラス(Perennial ryegrass、ホソムギ)、ブラウン・トップ・ベント(brown top bent)と呼ばれるベントグラスが使い分けられることが多いようだ。

 例えば、サッカーやウィンブルドンテニスの芝生は、生長の早いペレニアル・ライグラスと色鮮やかなクリーピング・レッド・フェスクが7:3の割合。また、ゴルフ場のティーグラウンドなどは、短く刈り込んでも枯れにくいブラウン・トップ・ベントが中心。

 そして、公園や庭などでは色鮮やかなクリーピング・レッド・フェスクが中心に使われているそうだ。チューイング・フェスクも刈り込みに強いことからゴルフ同様にクリケットやテニスコートに使われることも多い。
 

☆日本では寒地型は無理?
 日本でも、これらの寒地型が導入されたが、なかなかうまくいかなかったようだ。
 寒地型は皆、暑さに弱いという欠点を持つため、高温多湿の日本の夏では枯れやすい。イギリスでも気温が高くなれば弱ってしまうことがある。2006年7月のイギリスは例年にない猛暑で、ロンドン南部は90年ぶりに最高気温36.3℃を更新したが、ロンドンだけでなくあちこちの芝生が枯れかけているのを見かけた。

 また、寒地型は、生育が早いため頻繁に芝刈りをする必要があり、高温多湿な日本の気候の下では病害にかかりやすいため、農薬を撒かないと維持できなかったりする。酸性に弱いベントグラスを火山が多く降雨量が多いため酸性に傾いた日本の土壌で維持するためには、土壌を中和する必要がある。イギリスで行われているような簡単な手入れでは、草がボウボウの状態か、枯れた状態になるのが関の山だ。

 また、なぜだかよくわからないのだが、イギリスの土壌は概して水はけがいいように思う。芝生の維持には、適度な水はけを必要とするので、梅雨の多い日本には、難しいことも多い。

 寒冷な気候、アルカリ土壌、そしておそらく水はけのよさなど、これらのイギリスの風土に適した芝生は、簡単に維持できるからこそ、簡単にくつろぎの場となりうるのかもしれない。
 

☆隣の芝は本当に青い?
Lawn_mower ここまで読んで、イギリスの芝生はうらやましいなぁと感じてしまった人がおられたら、作者の思う壺だ。
 なぜなら、「隣の芝は青い」という諺を持ち出すことができるから。現地では”The grass is always greener on the other side of the fence.(柵の向こうの芝はより緑色をしている)”といわれている。柵というのは、おそらく、イギリスの庭を隔てる柵のことだろう。

 「隣の芝は青い」とは、実際はそうでもないのだけれど、他人のものはよく見えるという意味の諺だが、まさにそのとおり。

 芝生が原因の花粉症(hay fever)もイギリスで多く流行っているし、芝生の庭がある家は定期的に芝刈りをしないといけない。我が家は共同住宅で共通の庭なので、専用の人が芝刈りをしてくれるのだが、1ヶ月に1回は、オートバイを近くで走らせたような音が1時間以上鳴り響く。自分でやるならなお大変。掃除機より一回り大きい芝刈り機をわざわざ購入しないといけない場合も多い。

Lawn_green  日本の四季はそれぞれ色が違って美しい。秋も冬も緑の芝生が生い茂っていては、春や夏のありがたみが半減するような気がする。冬を枯れ葉色に彩る暖地型の芝生は、日本の風土や情景に合っていて、なかなかいいような気がするのだが、私だけだろうか。
 

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2006年9月25日 (月)

(か) ガガンボ CRANEFLY

☆秋の夜の招かれざる訪問者
Cranefly_2  イギリスの夏は、涼しく湿度も低いので過ごしやすい。クーラーや扇風機がなくても、夜中に暑くて目が覚めるということが殆どない。窓を開けていると涼しい夜風が入っているからだ。
 9月も同様で、残暑とは程遠い快適さだ。ただ、明かりを点けていると、決まって夜風とともに現れる訪問者がいる。ガガンボだ。
 

☆「蚊のお母さん」vs「鶴のような虫」
 ガガンボ。日本でも林や川原の草原などで時々見かける、あしの長い大きな蚊のような虫である。日本語の「ガガンボ」とは「蚊のお母さん」という意味だとか。

 私も、「刺さない大きな蚊」という認識しか持っていなかったのだが、実はこれ、ハエの仲間だそうだ。ハエ目ガガンボ科に属する。学名は、Tipula paludosa。
 イギリスでは、”cranefly(クレーンフライ)”と呼ばれている。”crane(クレーン)”とは、鶴や、クレーン車のクレーンのこと。幼虫は、”leatherjackets(レザージャケット、革のジャケット)”と呼ばれている。どちらも「ガガンボ」に劣らず、親子揃っていい名前だ。
 

☆蚊はいないけれど、ガガンボはウヨウヨ?
 イギリスには、ゴキブリ同様、蚊がいない。蛾はいるものの、日本ほどは多くないような気がする。夜に窓を開けていても、これらの虫が入ってくることはまずない。

Cranefly_light  しかし、ガガンボは、イギリスでも 300種以上いるメジャーな虫で、初夏から秋の夜に頻繁に出没する。成虫であるガガンボは、人を刺したりはしないし、食べ物に集ったりもしない。ただ明かりにつられてやって来て、その周りを飛び回ったり、壁にじっと留まっていたりという程度である。彼らが飛び回っているのは、交配と産卵のためだけである。産卵も草むらでおこなわれ、幼虫も土の中で根を食べて生育するため、人の害になることはない。

 しかし、体長3cmの虫が部屋の明かりの周りを飛び回るのは、あまり心地よいものではない。明かりを消した後も部屋に留まり、寝静まった寝室で突然ブンブン羽音をたてて、安眠を妨げることもある。だから、イギリスでもちょっとした厄介者として認識されているようだ。そして、その数のピークは、産卵の時期と同じ 9月。追い払っても、必ず1匹は家の中にガガンボが潜んでいるという感じだ。

 網戸を閉めたらいいじゃないかと思われる方もおられるかもしれないが、残念ながら、蚊のいないイギリスでは、網戸も普及していない。大きいガガンボでも入りたい放題だ。
 
 
☆非捕食者として活躍?
Cranefly_birds  人間からすれば、単なる厄介者でしかないのだけれど、ガガンボは、ちゃんと生態系で活躍している。鳥たちやコウモリの餌になっているのである。
 2005年のBBCニュースでは、地球の温暖化により、チドリの産卵の時期が早まりつつあり、その結果、将来的には、ヒナとその餌であるガガンボの時期が合わなくなり、チドリの数が減少するのではないかというマンチェスター大学の研究結果が報告されていた。そのBBCニュースはこちら(英語)。
 芝生に大量の鳥が集まっているのを9月の半ばに見かけたが、もしかして、これらの鳥たちも成虫だけでなく、ガガンボの幼虫をついばみにやってきたのだろうか。
 

☆あしながおじさん?
 クレーンフライや、レザージャケットなどの素敵な名前を持つガガンボだが、イギリスでは、もう一つ、愛称を持っている。”daddy-long-legs(ダディ・ロング・レッグ)”である。
 ”daddy-long-legs(ダディ・ロング・レッグ)”とは、アメリカの女流作家、ジーン・ウェブスター(Jean Webster)が書いた有名な児童文学作品「あしながおじさん」の原題でもある。ただ、この場合は、主人公のジュディが自分の後見人に付けたあだ名のもととなった虫は、ガガンボではなくて、あしの長いクモの一種(仲間)だそうだ。

あしながおじさん Book あしながおじさん 

著者:ジーン ウェブスター
販売元:福音館書店

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2006年6月15日 (木)

(こ) ゴキブリ COCKROACH

Cockroach_3_1 ゴキブリがきらい、死ぬほどきらいという人には、イギリスは天国かもしれない。

  イギリスにはゴキブリがいないのだ。場所によってはいるのかもしれないが、少なくとも今までにゴキブリが出て困ったという話を聞いたことがない。
イギリスの気温は一番暑くなる夏でも20℃ぐらい。日本の4月、5月といったところだ。ゴキブリは18℃以上で活動しはじめ、30℃で活発になるそうなので、納得である。

 日本では、食品は密閉、食べ終わった食器は放置しないというのが当たり前になっていたが、こちらでは皆、全く無防備な状態。小麦粉の袋を閉じることなく開放棚の上に置いていたりする。この習慣に慣れてしまうと日本に戻った時におそろしいことになりそうな気がするが、いちいち食品を完全密閉しなくていいというのはとても楽なことである。

 スーパーやDIYの殺虫剤売り場でも、ゴキブリ専用の殺虫剤は見かけない。アリとゴキブリ用というのを最近になって見かけるようになったぐらいである。

 私は見ていないのだが、ロンドン動物園ではゴキブリを展示しているとか。それほど、この国の人達にとってゴキブリは馴染みのない虫なのだろう。
 

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