2006年12月 7日 (木)

(は) バンクホリデー BANK HOLIDAY

☆祝祭日を把握している外国人
 日本でのこと。日本人だらけの職場に外国人が1人いた。来日したばかりの彼女は日本語を殆ど理解できなかった。職場の皆もそれほど英語がうまくないので、最初のほうはコミュニケーションがままならず、職場での数々の行事などを彼女だけが知らないことが多かった。しかし、そんな彼女が、職場の誰よりもよく知っていたのが、祝祭日だった。創立記念日も何故か彼女だけが知っていた。(彼女の名誉のために言っておくが、彼女は決して怠け者だったわけではない。むしろ勤勉なほうだった。)  

 イギリスにやってきて、なんとなく彼女の気持ちが分かるような気がした。この国では、いつでも休みを簡単にとることができるため、それほど祝祭日を気にする必要はないし、特別楽しみにしているわけではないのだが、知らずに職場や銀行や商店に行って、閑散とした建物を眺めると、何だか自分だけ取り残されてしまった感じがする。

Bank_holiday_comparison_1  特にこちらイギリスでは、休日の日にちが年によって大きく変わるものがいくつかあるので厄介だ。日本でも例えば、昔は体育の日は10月10日と決まっていたのが、10月の第2月曜というふうに変更になったため、いちいち前もってカレンダーでチェックしないといけなくなった。イギリスの場合はもっと厄介。イースターなどのキリスト教の行事により月まで変わるものがあるからだ。
 

☆イギリスの休日
 覚えるのが厄介と言っても、イギリスの休日は日本に比べてかなり少ない。特に、イングランドとウェールズでは年間たったの8日である。スコットランドは9日、北アイルランドは10日。日本は15日で、場合によって国民の休日が加わるので、イギリスの倍近くある。

Bank_holiday_1  イングランドの休日は、元旦(New Year's Day)、イースター・マンデー(Easter Monday Bank Holiday)、メーデー(May Bank Holiday)、春のバンクホリデー(Spring Bank Holiday)、夏のバンクホリデー(Summer Bank Holiday)、ボクシングデー(Boxing Day Bank Holiday)という6日のバンクホリデーに、”Common-law(コモンロー、慣習法)”によって定められた、グッド・フライデー(Good Friday)、クリスマスデー(Christmas Day)の2日が加わる。ウェールズも同じ。
 スコットランドでは1月2日のバンクホリデーが、北アイルランドでは3月17日の聖パトリックの日(St. Patrick's Day)と、7月12日のオレンジマンズ・デイ(Orangemen's Day;ボインの戦闘の記念日、the anniversary of the Battle of the Boyne)がそれぞれ、これに加わる。
 

☆銀行の休日?
 バンクホリデー(Bank Holiday、直訳すると「銀行の定休日」)とはおかしな名前だが、単なる国で定められた休日のことである。これらの休日には銀行が休業して金融取引が行なわれないため、このような名前がついたそうだ。バンクホリデーは1871年(明治3年)から始まったといわれている。銀行同様に、殆どの博物館やいろいろな公共施設が休館になる。また、バンクホリデーが週末と重なると、代休になるようだ。

 バンクホリデーの特徴は、月曜日が多いということである。元旦とクリスマスとボクシングデーは日にちが定まっているが、残り5日のうち4日は月曜日、1日は金曜日である。こちらは土曜日も休みであることが多いので、土日月の3日間を利用して休暇旅行に出掛ける人も多い。イギリス内を旅行する人もいるし、ヨーロッパ大陸の国々に行く人もいる。ユーロスターを使えば、フランスまでたったの3時間だし、飛行機を使えば、1時間ほどで大陸に到着できる。週末だけで充分にヨーロッパ旅行を楽しむことができるのである。
 

☆いつでも休みが取れる社会
 イギリスの休日が日本よりもずっと少ないからといって、こちらの人が日本人より働いているわけでは決してない。日本では、家の用事で一日(または半日)出勤できない時は有給を使うのが普通だが、こちらは、1日ぐらいなら口頭でその旨を伝えるだけで、そのまま休むのが通常のようである。また、数週間の休暇を年間何回も取ったり、毎週末をフルに休んだり、9時-5時で帰る人も決してめずらしくない。
 

 ちなみに、冒頭の外国人の彼女は、言葉と文化の壁があったにも拘わらず、きっちりと定められた期限内に仕事を終わらせて、違う国に渡って行った。休日返上で朝から夜まで頑張ったはずの日本人の私は1年余分にかかってしまったが。
 

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2006年5月 1日 (月)

(つ) 通貨 CURRENCY

☆EUなのにユーロではない 
 イギリスはEU加盟国であるにもかかわらず、通貨単位をユーロにしていない。

 イギリスの通貨単位はポンド(pound、「パウンド」と発音)とペニー(penny「ペニー」と発音)である。ポンドは£と略記され、スターリンポンド(Sterling pound)や GBP (great briten pound)とも呼ばれる。ペニーはペンス(pence)の単数形で、p と略記される。簡単にピー(p)と呼ばれることも多い。100ペンスが1ポンドである。
 

☆紙幣---肖像は全部女王? Currency_note_front
 紙幣は50ポンド札、20ポンド札、10ポンド札、5ポンド札の4種類だが、クレジットカードやデビットカードが普及しているため、50ポンド札はあまり使われず、スーパーのレジなどで支払いの際に手渡すと、必ずと言っていいほど透かしてチェックされる。私の場合、悲しいことに20ポンド札でも透かされることがしばしばだが。

 日本のお札の表側の肖像は金額によって違うが、こちらのは、どれも同じエリザベス女王である。
 このため、無意識に表側の人物像でお札を見分けていた私は、最初、なかなか10ポンド札と20ポンド札の区別がつかなくて、レジで手間取ることが多かった。

 しかし、地味だが裏側には金額によって違う人物像が印刷されている。
Currency_note_back_1 50ポンド札がイングランド銀行創始者のサー・ジョン・フーブロン(Sir John Houblon)、20ポンド札が、イギリスの第二国歌とも呼ばれている『威風堂々』を作曲したサー・エドワード・エルガー(Sir Edward Elgar)、10ポンド札が進化論で有名な自然科学者のチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)、5ポンド札が社会活動家のエリザベス・フライ(Elizabeth Fry)。
 透かしはどれもエリザベス女王の顔である。

エルガー:行進曲「威風堂々」 Music エルガー:行進曲「威風堂々」 

アーティスト:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
販売元:ユニバーサルクラシック
発売日:1995/04/21

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☆一見ちゃちそうでもハイテクな紙幣 
  その他、気付いた日本のお札との違いは、その大きさと、お札を乱雑に扱う人が多いということだろうか。
 日本のお札の縦幅は千円札から1万円札まで同じ(7.6cm)だが、こちらのは、例えば 5ポンド札(7cm)と50ポンド札(8.5cm)では1.5cmも違う。横幅は全体的に日本のものよりかなり短めである。
 お札をメモ代わりに使っているのか、書き込みがしてあるものも頻繁に見かけるし、ヨレヨレで破れているものも多いように思う。概してとてもきたない。

 日本のお札に比べて、サイズも小さめでボロボロなので、なんとなく作りもお粗末な印象を受けるのだが、実は、イギリスの紙幣には結構ハイテクが駆使されている。

 偽造防止のために、日本の1万円札などの紙幣でも幾つか導入されているが、5ポンド札(千円札に相当)から20ポンド紙幣まで、透かしに加えて、ホログラム、いわゆる凸凹印刷(深凹版印刷)、特殊発光インク、マイクロ文字、そして、メタリック・スレッド(metallic thread)と呼ばれる金属の糸がお札の一部に埋め込まれた加工が施されている。紙幣を発行しているイングランド銀行のHPはこちら(英語)。また、偽造防止のハイテクのバーチャルツアーのみを見たい方は、同じくイングランド銀行のこのサイトからどうぞ(英語)。疑似体験できるのでお勧めです。また、日本の偽造防止技術については、この日本銀行のサイトをどうぞ(日本語)。
 

☆硬貨にも工夫が---七角形やバイメタル Currency_coins
 硬貨は、2ポンド、1ポンド、50ペンス、20ペンス、10ペンス、5ペンス、2ペンス、1ペニーの 8 種類。どれも表面はエリザベス女王の顔が刻印されている。

 おそらく50ペンス硬貨、1ポンド硬貨、2ポンド硬貨の裏側だけだと思うのだが、模様にバリエーションがある。また、20ペンス硬貨と50ペンス硬貨は珍しい七角形で、2ポンド硬貨はバイ・メタル・コイン(bi-metal coin)と呼ばれる、白銅(ニッケル銅)の周りにニッケル黄銅が貼られた二重金属の硬貨である。これらの珍しい作りの美しい硬貨は、イギリス旅行の際の土産にもいいかもしれない。 Currency_two_pound_coin

 1ポンドは大体200円前後だが、物価が高いので、1ポンド=100円のつもりで使っているという日本人の人もいた。イギリスの造幣局(Royal Mint)のHPはこちら(英語)。
 

☆どうしてユーロではなくポンドなのか?
 イギリスがEU共通貨幣のユーロではなくポンドを使用し続けているのは、一説には、ユーロを使用することによって、他のEU加盟国の干渉を受けたくないからだと言われている。また、一説には、エリザベス女王の顔の載ったお札や硬貨を失いたくないからと言われている。EU加盟国になっても大英帝国の誇りや伝統を失いたくないのかもしれない。

 また、もう一説には、ポンドに保つことによって、通貨価値の下落を防ぎ、経済を保っているのだと言われている(1ユーロはおよそ150円である)。しかし、EU加盟国がユーロを実施し始めた当初、80%近くあったポンド支持者が、今や50%を大幅に切っているようである。それほど遠くない将来、イギリスもユーロを採用するようになるのだろう。
 

1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく
 ところで、「ペニー」と聞いて、私はジェフリー・アーチャー(Jeffrey Archer)の処女作、『百万ドルをとり返せ!』を思い出す。ジェフリー・アーチャーは日本でも有名なイギリスの作家で、他のメジャーな作品として、『ケインとアベル(Kein & Abel)』などがある。

 『百万ドルをとり返せ!』は、罠にはめられ、財産を巻き上げられた4人の男が協力しあって、自分達を罠にはめた張本人を罠にはめ返して、こっそりお金をとり返すという話である。原題は”Not a penny more, not a penny less” 「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく」。1ペニーは約2円。頭脳プレーで 「とられた分だけきっちりと取り返そう」というイギリス紳士的(?)なところが、この原題によく表れているように思う。

Book 百万ドルをとり返せ! 

著者:永井 淳,J・アーチャー
販売元:新潮社

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 ポンドを用いた表現はあまり聞かないが、ペニーを用いたものは多い。
・ ”penniless (ペニーレス、1ペニーもない)”=「無一文の」
・ ”penny-pinching (ペニー・ピンチング、1ペニーを切り詰める)”=「けちな」
・ ”a pretty penny (ア・プリティ・ペニー、かなりの量のペニー)”=「大金」
・ ”ten a penny (テン・ア・ペニー)=「二束三文の、どこにでもある」
・ ”spend a penny (スペンド・ア・ペニー、ペニーを使う)”=「用を足す」
・ ”think one's penny silver  (自分のペニーを銀だと思っている)”=「うぬぼれる」
などなど。
 

 通貨がユーロになると、EU加盟国内での貿易や人や資本の動きが盛んになっていいのかもしれないが、外国人の私がいうのもなんだが、ちょっぴり寂しい気もする。
 

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2006年3月 2日 (木)

(い) イギリス -国名- UK

☆イギリス人はイングリッシュ?
 連合いがこの国に渡航する前、近所の人に「イギリスへ引っ越しする」と伝えた。その近所の人が答えて曰く。「イギリス?イギリス語(を話すの)?」

 冗談みたいな話だが、私達も笑っていられない。「日本人(語)」は”Japanese (ジャパニーズ)”、「アメリカ人(アメリカ英語)」は”American (English)(アメリカン(イングリッシュ))”、「中国人(語)」は”Chinese (チャイニーズ)”、「フランス人(語)」は”French (フレンチ)”、「ドイツ人(語)」は”Gernman (ジャーマン)”、などなど。さて「イギリス人、イギリス英語」は?

 「English (イングリッシュ)!」と答えてしまうのではないだろうか。私も恥ずかしながら、日本にいる時にイギリス人に対して、「あなた達、イングリッシュは~」と言っていた。こちらでそんなことを口にしたら、怪訝な顔をされてしまうこと間違いなしである。そもそも、イギリスという国の正式名称を”England (イングランド)”と思っている人もいるのではないだろうか。
  

☆イギリスは4つの国からなる連合国
Uk_map_1  イギリスは、日本では「英国」とか「イギリス」と呼ばれているが、単一国ではなく連合国である。正式名称は、”United Kingdom of Gtrat Britain and Northern Ireland (グレートブリテン・北アイルランド連合王国)”という長ったらしい名前である。略して”United Kingdom (ユナイテッド・キンダム、連合王国)”や、単に”UK”と呼ばれている。

 グレートブリテン (Great Britain) とは、イギリス諸島最大の島(いわば本島)であるグレートブリテン島にある3つの国、イングランド、スコットランド、ウェールズを合わせた名称である。つまり、UKとはこの3つの国に北アイルランドを加えた4つの国からなっているのである。
 日本語で言うと「英国」「イギリス」でもOKなのだが、英語にするとかなり大きな違いがある。
  

イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド
 
イングランドはグレートブリテン島の2/3の面積をしめている。有名な首都のロンドン、オックスフォード、ケンブリッジ、バーミンガム、ヨーク(ヨークシャー)、リバプール、マンチェスターなどの都市は皆、イングランドにある。私もそうなのだが、おそらく多くの日本人は、このイングランドをイギリスと勘違いしているのだと思う。しかし、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドの人達は、それぞれ自分の国に誇りを持っており、混同されることを大変嫌う人も多い。

 スコットランドはグレートブリテン島の北側約1/3を占めている。スコッチウィスキーの産地としても有名である。首都はエディンバラ。有名なスコットランド人としては、シャーロックホームズの生みの親であるコナン・ドイルや俳優のショーン・コネリー、ユアン・マクレガー、経済学者のアダム・スミスなどがいる。

 特に、ショーン・コネリーのスコットランド人としての活動は有名である。彼は1991年、61歳の時に、スコットランドで最も名誉のある「エジンバラ名誉市民賞」を受賞している。また、1999年、69歳の時にナイトの称号をエリザベス女王から授かったが、授与式はエディンバラで行われ、スコットランドの民族衣装であるキルト(スカート)をはいている。私は昔、キルトをはいている男性を見てかなりびっくりしたことがあるが、彼らはキルトをはくことを誇りに思っている。スコットランド人は、”Scottish (スコティッシュ)”である。

 ウェールズの首都はカーディフ。ウェールズ出身の有名人には俳優のアンソニー・ホプキンス、女優のキャサリン・ゼタ・ジョーンズなどがいる。北アイルランド出身の有名人には、俳優のリーアム・ニーソン、俳優兼監督のケネス・ブラナーなどがいる。ウェールズ人は”Walish (ウェーリッシュ)”、北アイルランドの人は”Irish (アイリッシュ)”である。
 

Uk_union_jack_2☆イギリスの国旗、ユニオンジャックの意味
 イギリスの国旗であるユニオンジャック(Union Jack)は、 白地に赤十字のイングランドの国旗と、青地に白の斜め十字のスコットランドの国旗と、白地に赤の斜め十字の北アイルランドの国旗を合わせたものである。ウェールズの国旗は白と緑の地に赤の龍が描かれているもので、ユニオンジャックに入っていない。
  

☆ブリティッシュが正解
 で、本題の、「イギリス人、イギリス英語」は?だが、”English (イングリッシュ)”というと、イングランドの人(もの)という意味になってしまう。「イギリス人(イギリス英語)」と言いたい時は、”British (ブリティッシュ)(English)”と言わなくてはならない。ブリティッシュは、広義では、スコティッシュ、ウェーリッシュ、アイリッシュを含むが、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの人達は、どこの国の人ですかと訊かれた場合、大抵、ブリティッシュとは言わず、それぞれ、スコティッシュ、ウェーリッシュ、アイリッシュですと答えるだろう。
  

 日本で、どこ出身ですかと訊かれて、「(愛知ではなく)名古屋です。」「(岡山ではなく)倉敷です。」「(兵庫ではなく)神戸です。」と答える感覚なのだろうか。ともかく、イングリッシュとだけは言ってはいけない。
 

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