2007年6月21日 (木)

(て) ティラピア TILAPIA

☆イギリスでティラピア初体験
Tilapia  イギリスに来て初めて、ティラピアという魚を食べた。特別な料理店で出されたのではない。普通に近くのスーパーの鮮魚売り場に並んでいたのだ。赤い鯛のような見かけに釣られて、名札を見たところ、”Tilapia(ティラピア)”と書いてあったというわけである。

 もとより、魚の種類にはあまり詳しくないので、ティラピアをピラニアの仲間だと勘違いして、大騒ぎしたのは言うまでもない。見かけもグロテスクではないし、連合いと相談して、煮付けにして食べてみることにした。レッド・ティラピア(Red Tilapia)、1匹500g弱で3.5ポンドほど(約700円)。
 

☆食用の熱帯魚
 ティラピアは、スズキ目(Perciformes)のシクリッド科(カワスズメ科)(Cichlidae)に属する淡水魚だそうだ。他のシクリッド科の魚としては、エンゼルフィシュなどの鑑賞用の熱帯魚が挙げられる。イギリスでは、シクリッド科のオレオクロミス属(カワスズメ属)(Oreochromis)とティラピア属(Tilapia)に属する魚がティラピアとして販売されている。原産地はエジプトナイル川。
 ちなみに、ピラニアは、南米のアマゾン川などに生息するカラシン目セルサラムス科セルサラムス亜科(Serrasalminae)の魚だ。近縁種でもなんでもない。

 ティラピアは、熱帯魚の仲間ではあるが、実は世界中で食されている案外ポピュラーな食用魚のようだ。中国やタイなどのアジアでも食されており、現在では、アメリカやオーストラリアでも食卓に上る。日本でも、ティラピアは、泉鯛(いずみだい)、近鯛(ちかだい)と呼ばれ、食されており、養殖もされているようだ。
 

☆ティラピアのお味は?
Tilapia_dish  うちが買った鮮魚売り場の氷の上に置かれていたティアピアはちゃんときれいに内臓処理されており、頭を落として、煮付けにするのも簡単だった。

 味は、鯛に似ており、鯛よりも少し弾力があり、脂がのっているという感じ。とても美味だった。川魚ではあるが、泥臭さも全くなかった。二人でおいしいおいしいと言いながら箸でつついているうちに、一瞬でなくなってしまった。無理だろうが、今度は刺身にして食べてみたい。価格のほうがもう少し低ければ、頻繁に食卓に上らせることが出来るのに、というのが正直な感想だ。

Tilapia_soup  ちなみに、残った頭は、連合いがあらのすまし汁にしてくれた。これがまた美味。とてもいい出汁がでていた。
 

☆イギリスでのティラピアの位置
 イギリスでティラピアが食され始めたのは、最近のことのようだ。魚の捕獲問題とアメリカでの普及の成功に後押しされて、徐々に市場にティラピアが出回り始めたというところのようだ。
 まだまだ、イギリス人の食事に溶け込んでいるとは言い難い存在だが、大抵のスーパーの鮮魚売り場で見かける、お馴染みの魚の一つになりつつある。

 イギリスの大手スーパーの一つ、センズベリーが刊行する雑誌に、食卓の魚の特集が載っていた。このまま食べていくと絶滅が危惧される魚や、当面食べ続けても大丈夫な魚などの分類がされ、環境への意識を喚起する内容のものだった。紹介された15種類の魚の中に、タラやニシン、サバ、サケ、舌平目などに混じって、ちゃんとティラピアが入っていた。

 現在イギリスで出回っているティラピアの多くは、南アフリカから輸入されているもののようだ。うちが買ったのはジャマイカ産だった。
 輸入されている一方、養殖もおこなわれつつある。ティラピアは、淡水魚で飼育しやすく、基本的に草食性として飼育できるため、万一の時も生態系を壊したりする可能性が低いそうだ。


 うちが食べたのはレッド・ティラピアだが、レシピなどを見ると、グレイ・ティラピアも出回っているようだ。ライムやオリーブオイル、ハーブなどをかけて、ローストしたり、蒸したり、フィシュケーキにしたりする例が紹介されていた。ティアピアのフィッシュケーキのレシピはこちらのUKtvFoodのサイトでご覧になれます(英語)。

 
 今のところお目にかかっていないが、そのうち、ティラピアのフィッシュ&チップスが名物の一つになる日もそう遠くないのかもしれない。
 

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2007年3月15日 (木)

(と) 鶏肉 CHICKEN

 鶏肉はイギリスでも牛肉、豚肉に並んでよく使われているようだ。
そして主流は胸肉と骨付きの脚のよう。
 

☆一番人気は胸肉?
Chicken_parts 胸肉(breast、ブレスト)は 数枚入ったものや、一口大に切ってあるものなどがパックに入って売られている。皮なしのものが一般的だが、皮付きのものもある。ささみはミニ・ブレスト・フィレ(mini breast fillets)という名前で売られているようだ。

 日本では、パサパサした食感と形容され、あまり人気がなく、安いという理由でしばしば購入される胸肉。しかし、イギリスでは一番人気の比較的高価な部位。胸肉2枚の価格は1羽丸ごとの価格とほぼ同じと言われている。

 イギリス人が胸肉を気に入っているのは、その柔らかい食感や、脂肪分が少なくあっさりした味のためのようだ。最近のダイエットブームでも盛んに胸肉のヘルシーさが取り上げられ、ますます胸肉の地位が高くなっているように感じる。
 ステーキ肉のように焼いたり、炒め物やカバブなどのエスニック料理に使われることもあるが、油であげてフライにされることもしばしば。フライにされた胸肉をダイエットと称してバクバク食べるイギリス人に突っ込みを入れたくなるのは、私だけなのだろうか。
  

☆つながった手羽
 鶏の部位の中で一番お買い得なのは手羽だろう。その名もそのままウィング(wing)と呼ばれて売られている。もちろん皮付き。1パックに8~12本ほど入って、大体1.5~2ポンドほど(約3~400円)。しかし、安いものでは、たまに羽毛や羽毛の芯が付いていたりすることがあるので要注意だ。

 手羽というと、日本では手羽先、手羽元というように、部位によって分けられるのが普通だと思う。しかしイギリスでは、手羽先と手羽元がつながった手羽が一般的。

 手羽先のうまみと手羽元の食べ応えの両方を兼ね備え、価格も安価なので、我が家ではしばしば手羽が食卓に登場する。手羽スープにしたり、煮物にしたり、焼き物にしたり、蒸し物にしたり。

Chicken_wing_1  特に、イギリスで簡単な日本風のものを切望しておられる方にお奨めしたいのが、鶏の手羽焼き。塩を振って、どこの家にでもある大きなオーブンで焼いて、レモンを絞って食べるだけのなんてことないものなのだが、下手に手間隙かけて調理するよりもずっと鶏の味が生きて美味しいように思う。
 

☆ドラムスティックとサイ
 脚部分は、ドラムスティック(drum stick)と骨付きももが一般的だ。

Chicken_drumstick  ドラムスティックとは、すね(下もも)の部分にあたる部位。
 名前の通り、太鼓のばちのような形をしている。ももに比べるとあっさりしているという理由で、比較的よく食べられいるようだ。日本の手羽元のように手で持てる部位としても人気があるように思う。
 こちらではローストされたり揚げ物にされたりすることが多いようだ。個人的には、煮物や煮込み料理がお奨め。

 そして、骨付きもも肉。日本で「骨付きもも肉」といえば、ドラムスティックの部分が付いたもも肉全体を指すように思う。これはイギリスではレッグ(leg、脚)として売られ、それとは別に本当に太もも(腿)の部分だけのものがサイ(thigh)という名で流通している。

 ドラムスティックもレッグもサイも皮付き骨付きが通常。どれも1kgほどのものが2、3ポンド(約4~6百円)で買えてしまう。

Chicken_thigh  日本で普及しているような骨なしモモ肉はあまり普及しておらず、置いていない店も多い。うちはいつもAsdaというイギリスで2番目に大手のスーパーで購入しているのだが、日本のモモ肉の半分ぐらいの大きさの皮なし骨なしモモ肉が6~8枚ほど入ったパックが2.5ポンドほど(約500円)。他のもも肉に比べると割り高だが重宝している。

 

☆案外メジャーな丸ごと1羽
  丸ごと肉は、季節物かと思いきや、一年中店頭に置かれている。それもかなりの数が。Chicken_whole_roast また、スーパーや店によっては丸焼きを売っているところも案外多い。

 クリスマスの時にローストターキーの代わりとして鶏の丸ごと肉を使ったことがある。約1.5kgのものが3.4ポンド(約.7百円)とかなりお手頃だった。安価ではあるものの、内臓処理もきちんとされており、使いやすく、焼くのに時間さえかからなければ、日常の食事としてたまに登場させるのも悪くないなと思った次第だ。
 

☆ミンチや砂肝がない?
 ロンドンなどの大きな都市のデパートには置いてあるのかもしれないが、鶏のミンチや砂肝を見かけたことがない。また、他の肉のレバーに比べて、鶏レバーはそれほど普及していないようだ。
 
 我が家では、鶏ミンチ肉の代わりとして、いつもターキーミンチ肉(七面鳥ミンチ肉)を使用している。鶏そぼろやあんかけに使っているが、ショウガを効かせ濃い目の味付けにしているせいか、クセも気にならず、充分代用品として使えているように思う。
 

 これらの鶏肉だが、実は国産のものは6割ほどだそうだ。
 この数字、日本の(おそらく)4割程度に比べると高い自給率のように思えるかもしれない。
 しかし、ちょっと郊外に出ただけで広大な土地に放牧されている膨大な数の牛や羊などの家畜を目撃し、その都度、感嘆の声を上げていた私にとっては、意外に低い数字のように感じた。
 イギリスの養鶏農家も外国産の安い鶏肉に押されているのだろうか。
 

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2007年3月 1日 (木)

(き) キドニー KIDNEY

 スーパーで、レバーの隣に豚のキドニー(kidney、腎臓)が売っていた。レバーは既に試していて、日本の豚レバーと同様においしく食べれたので、今度はキドニーを試してみることにした。値段はかなり安い。ステーキ肉ほどの大きさのが二つ入っていて0.8ポンド(約160円)だった。
 

☆豆の形の臓物
Kidney_pork  キドニーなんて日本でも今まで使ったことがなかったので調べたら、豚のものは「豚マメ」と呼ばれ、中華料理でよく使われている食材だそうだ。とりあえず、味の優劣が簡単につけれそうな中華風に調理してみることにした。

 なにしろ、体の水分のろ過器である腎臓なので、下ごしらえをちゃんとしないと尿臭がするらしい。
 イギリスの肉のパックはシーリングにより完全密閉されて、液やにおいがもれないようになっているのだが、今回のキドニーは二重に密閉されていて、かなり厳重。さぞかし臭いのだろうと覚悟して開封したが、それほどでもなかった。
 豚マメと呼ばれるだけあって、豆の形をしたしっかりとした臓器だ。
 

☆キドニー料理に挑戦1--下ごしらえと中華風
 生理食塩水で洗い、中を開き、中の白い繊維(糸球体)を丁寧に取り除く。この工程でかなり尿臭が。その後、何度も食塩水を取り替えて、ショウガや酒(ワイン)の入った牛乳に30分漬け込む。その後、においをさらにとるために酒のはいったお湯でボイルすると、さらに激しい尿臭が。かなり臭い。
 ゆであがったキドニーは酒につけ一晩置くことにした。次の日、連合いがこれを炒めたのだが(私はその場に立ち会っていなかったのだが)炒める際、かなり強烈な臭いがしたそうだ。

 セロリやマッシュルームショウガなどと一緒に炒めて、軽くレバニラ風に味付けされたキドニーが食卓にだされたが、これがとても美味だった。レバーよりもずっと硬く、くせがない。鶏の砂ずりを少し柔らかくした感じで、コリコリした歯ざわりがなんとも言えずおいしい。味よりも食感で味わう食べ物のように感じた。
 そして、尿臭はほとんどしない。私達は調理する際の工程を知っているのでドキドキ、鼻をクンクン、おっかなびっくり食べ始めたが、腎臓だと言われなけばまったく気づかないのではないだろうか。
 

☆キドニーパイに、キドニープディング
Kidney_pudding イギリスで、キドニーと言えば、郷土料理のキドニーパイ(steak and kidney pie)やキドニープディング(steak and kidney pudding)が有名で、パブやレストランで定番メニューになっていたりする。
 たまに、チリコンカーンの豆でおなじみの赤インゲン豆、キドニービーンズが使われていると勘違いされることもあるようだが、中に入っているのは、もちろん本物のキドニー(腎臓)。特に、これらの料理の場合は、牛の腎臓が使われることが多いようだ。
 キドニーパイは、イギリスの架空の名探偵、シャーロックホームズの宿敵のモリアーティ教授の好物としても知られている。

 後に、レストランで、キドニーパイを食べたが、これもなかなかの美味だった。パイといっても、シチューの入った容器がパイ生地で蓋をされて焼かれているだけなので、全く油っこくも重くもなかった。ゲテモノの食べ物でも何でもなく、ほんのり苦く大人の味がするビーフシチューといった感じ。細かく切られたキドニーの歯ざわりがアクセントになっていた。

 キドニープディングは、このシチューが生地に包まれて、オーブンや蒸し器で蒸されたもので、プリンのように逆さに器に盛っていただく食べ物だ。生地にナイフを入れると、シチューがとろりと出てくる。こちらは、スーパーの冷蔵の惣菜品を何の期待もせずに試したのだが、手ごろな市販品の割に悪くなかったように思う。
 

☆キドニー料理に挑戦2---簡単に作れるキドニーパイ
Kidney_diced_1 冒頭のように、私が最初に手にしたキドニーは丸ごとで、当時は簡単に入手できた。しかし、時期限定だったのか、時代の流れか、最近ではあまり見かけなくなった。時々、ラム肉(子羊肉)のキドニーを見かけるぐらい。

 その代わりに出回っているのが、牛肉のステーキ肉とキドニーの角切りがセットになったもの。ちゃんとキドニーの下ごしらえがされており、炒めて煮込むだけで簡単にキドニーパイが作れるようになっている。
 自分でもキドニーパイやキドニープディング作りに挑戦したいと思っていたものの、その下ごしらえの大変さに尻込みをしていた私は早速、購入して、作ってみた。

Kidney_pie  炒めてもそれほど臭いもきつくなく、普通にビーフシチューを作っている要領。深めの耐熱性の器に流し込み、上に市販のペストリー生地(パイ生地)をかぶせて、オーブンで軽く焼いた。
 出来上がったキドニーパイは、我ながらなかなかの味だった。やはり、脂っこくもなく、キドニーの歯ざわりとほんのりとした苦味がアクセントになっている。脂っこい洋食が苦手な連合いも、喜んで食べていた。こんなに手軽に本格的なものが作れるなんて、角切りキドニーさまさま。
 

 最初に入手した丸ごとキドニーだが、残念なことに、その写真を撮り忘れてしまった。また入手した時にと思っていたが、角切りキドニーを知ってしまった今となっては、もう丸ごとをわざわざ手にすることはないだろうと思っている。
 まぁ、ラム肉のキドニーがどれほどのものなのか、怖いもの見たさで、ほんのちょっぴり興味はあるのだけれど。
 

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2006年12月 4日 (月)

(か) カレイ [鰈、かれい] PLAICE

 うちの父は釣りが趣味だった。子供の頃の私は父が釣りに行く度にわくわくしたものだ。お目当てはなんといっても、鰈(カレイ)の刺身。釣ってきたばかりの新鮮なカレイをおろして、刺身にしてくれるのだ。ぷりぷりして大変おいしい。大量に釣ってきたカレイの残りは、母が煮付けにしてくれた。これも私の大好物だった。
 

☆「平らな魚」。日本では科(か)、イギリスでは目(もく)で区別する
 イギリスにカレイがあるかといえば、もちろんある。しかし、日本のものと種類が若干違うようだ。カレイを和英辞書で引くと、”flatfish(フラットフィッシュ、直訳すると「平らな魚」)”や”flounder(フラウンダー)”という言葉が出てくると思う。しかし、どちらも、カレイやヒラメなどの総称をさすものである。

Photo_9  日本では、左ヒラメの右カレイと言って、ヒラメとカレイを区別することがあるけれど、こちらでは一般的に、これらを同じ区分に分類しているようだ。その中で、”Dover sole(ドーバー・ソール)”や”winter flounder(ウィンター・フラウンダー)”や”Halibut(ハリバット)”、”Plaice(プレイス)”といった具合に個々の名前を呼んでいるようである。

 分類学上では、カレイもヒラメもシタビラメも同じカレイ目に分類される。その中で、カレイはカレイ亜目のカレイ科(Pleuronectidae)、ヒラメはカレイ亜目のヒラメ科(Paralichthyidae)、シタビラメはウシノシタ亜目に分類される。言ってみれば、この平らな魚達を、私達日本人は「科(か)」という分類で区別し、こちらの人たちは「目(もく)」で区別しているようなものだと思う。

 実は、カレイと言っても、100種類近くあるらしい。日本でよく食されているカレイは、おそらく、マガレイ、マコガレイ、イシガレイ、メイタガレイなどだと思う。こちらで普及しているカレイは、プレイス、ハリバット、ウィンター・フラウンダー、ドーバー・ソール、レモンソールなど。日本と同じ種類の魚はないようだが、近い種類のものは幾つかあるようだ。
 

☆日本のカレイに近いプレイス
Plaice  日本のカレイに一番近いと思われるのが、プレイスだろう。プレイスにもいろいろ種類があるらしいが、イギリスでいうところのプレイスは、主にヨーロッパ産のヨーロピアン・プレイス(European plaice (学名 Pleuronectes platessa) )のことのようである。
 プレイスは、日本のマガレイ(Littlemouth flounder、学名 Pseudopleuronectes herzensteini)、マコガレイ(Marbled flounder、学名 Pseudopleuronectes yokohamae)と同じツノガレイ属(Pleuronectes)に属している。

Plaice_inside  プレイスは普通にスーパーで手に入る。鮮魚コーナーにもあるし、パック入りの切り身やフライにされたものもある。日本のカレイは、表面がやや均一の泥色をしているが、プレイスの表面はかなり不気味である。赤い斑点が所々にある。切り身の白い部分を見て購入した私は、表側のこの斑点を見て一瞬たじろいでしまった。
 かなり食欲が削がれたものの、ともかく、食べてみることにした。日本のカレイと味を比較するために、食べなれた和食にすることにした。生食はできなさそうなので、とりあえず、煮付けに。

Plaice_dish  砂糖とみりんとしょうゆとショウガの薄切りを入れたものを煮立てて、カレイをいれ、弱火で数十分煮た。出来上がったカレイの煮付けは、中の白い面を上にしているせいか、おいしそうに見えた。実際、食べてみると、なかなかの味。日本で作る普通のカレイの煮付けの味がした。連れ合いもとても喜んで食べていた。
 プレイスは、こちらでは、フライにされるほか、牛乳で煮て、チーズソースをかけて食べられたりもするそうだ。タラなどのようにフィッシュ&チップスにも使われている。
 

☆その他のカレイの仲間
 その他、系統的に日本のカレイに近いのが、ウィンター・フラウンダー(winter flounder、学名 Pseudopleuronectes americanus)である。日本のマガレイ、マコガレイをツノガレイ属(Pleuronectes)ではなく、Pseudopleuronectes属という別の種類とする説があるが、ウィンター・フラウンダーは、この同じ属に分類されている。味のほうは、まだ試していないので、よくわからない。ウィンター・フラウンダーの直訳は、「冬カレイ」だが、単なる冬に出回っているカレイではなく、そういう名前なのだそうだ。サマー・フラウンダー(summer flounder、直訳すると「夏カレイ」)というのもあり、こちらはヒラメの仲間だそうだ。

 その他のイギリスで食されている「カレイ(科)」として、ハリバットがある。ハリバット(Pacific halibut 学名 Hippoglossus stenolepis)は日本のオヒョウに近い魚だそうだ。これも、フィッシュ&チップスに使われる。また、魔女(witch)と同じ綴りの同じ発音のウィッチというのもある。ヒレグロ属に属する。学名 Glyptocephalus cynoglossus。まだ、見かけたことがないが、舌平目のように料理するといいそうだ。
 

 刺身として食べれないのが残念だが、イギリスのカレイもなかなかのものである。
 

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2006年4月20日 (木)

(た) たまご -生たまご- EGG

☆イギリスの卵は生食できない? 
 こちらの卵は生で食べてはいけないと聞いた。サルモネラ中毒になる可能性があるからだそうだ。

 サルモネラ中毒は、サルモネラ菌が感染することによって起こり、下痢や腹痛、発熱などの症状が出る。特に免疫力の弱い、病中の方、お年寄り、子供はかかりやすく、ひどい症状がでやすい。日本でも梅雨の時期になると予防が呼びかけれらるので有名である。サルモネラ菌は60℃15分(90℃1分)で死滅するため、サルモネラ菌が付いた卵でも加熱すれば大丈夫である。

 日本では殺菌された卵が一般的なので、生で食べても大丈夫だが、こちらでは(殺菌していないので)危ないと言われていた。うちはいつも一番安い卵を買っていたのだが、確かに殻の周りに羽毛などがついているものや、黄身に血のような点があるものがあってなんとなく危なそうに思えた。
 

☆品質保証のライオンマーク Egg_lion_mark
 しかし、実際のところ、こちらの人は半生で食べることもよくあるそうだ。レストランやレシピでも半熟の目玉焼きなどが出ている。それでお腹を壊したという話も聞かない。
 これは、ライオンマーク(Lion quality mark)の卵の普及によるものかもしれない。

 ライオンマークの卵は1998年に導入されたものらしいが、サルモネラワクチンを接種した鶏からの卵で、基本的にサルモネラ菌フリー。卵に直接ライオンマークと賞味期限が印刷されている。Egg_real

 2004年の報告によると、イギリス産の卵を2万8千個以上検査してサルモネラ菌を含むものが一つも見つからなかったとか。うちも現在はライオンマークの付いた新鮮な卵を購入して半熟で食べたり、カスタードクリームを作ったりしている。

 しかし、全くいないというわけではないので、体調の悪い時や病弱な方やお年を召した方、小さい子供達は生卵を控えたほうがよいように思う。また、卵を触った後は手洗いをし、卵を直接他の食品に触れさせないように心がけたほうが無難である。 ライオンマークについてもっと知りたい方は、こちらのオフィシャルサイト(英語)をどうぞ。公的に生食が認められているわけではないので、ご注意ください。
 

☆茶色の卵が一般的
 こちらの殻は茶色が普通である。卵の色は雌鳥の羽の色と同じなので、茶色の鶏が主流のようだ。黄身の色(もしくは量)が日本のよりかなり薄いような気がする。混ぜるとかなり白っぽい。
 色が薄いと味が薄いように思ってしまうが、黄身の色は鶏のえさに含まれるパプリカやトウモロコシの色だそうだから、味も栄養価もおそらく日本のと変わりないのだろう。割ると黄身の盛り上がった新鮮な卵が多いような気がする。
 

☆フリー・レンジはサイズフリーじゃない! Egg_freerange
 サイズは日本のと同じようにMサイズやLサイズがある。Sサイズはあまり見かけないように思う。

”free-range(フリー・レンジ)”というものもある。
”free(フリー[自由な])” + ”range(レンジ[範囲])”だから、いろんな大きさの卵が混じったサイズフリーなのかと思ったら、実は、”free-range egg (フリー・レンジ・エッグ)”とは、「放し飼いの鶏の卵」のこと。”cage egg (ケージ・エッグ、ケージで飼われた鶏の卵)”に対比されるものである。
 それらの中間の、納屋で飼われた卵(平飼い卵)の”barn egg (バーン・エッグ)というのもある。

 イギリスの環境食料農村地域省(DEFRA)が出した報告によると、2003年にイギリスで生産された卵のうち、69%がケージ飼い、25%が放し飼い(フリー・レンジ)、6%が平飼い(バーン)だったそうだ。最近では、なんとなく店頭に置かれるフリー・レンジ卵の割合が増えているような気がする。
 

☆目玉が二つの双子卵Egg_two_yorkにパステル卵
  その他、日本であまり見かけない卵のパックとしては、一個の殻の中に2個の黄身が入っている、いわゆる「双子卵 」(二黄卵(two york egg))や、”Cotswold Legbar egg(コッツウォルド・レグバー・エッグ)”と呼ばれるパステル色の卵、近頃人気のオメガ3が多く含まれる卵、アヒルの卵のものなどがある。日本でお馴染みのウズラ卵(quail egg)も最近は出回っている。

 双子卵は、薬物処理によってできたものではなく、産卵初期の排卵リズム等がまだ安定していな雌鳥が産むものである。この時期の卵は通常小さいのに対して、この双子卵は大きいので簡単に分別することができるそうだ。黄身が二つ入っているのでお得感がある。実際は価格も倍なので、結局同じなのだが。Egg_cotswold

 ”Cotswold Legbar egg (コッツウォルド・レグバー・エッグ)”は、名前のとおり、イギリスののコッツウォルド地方の農場で育てられている品種の鶏卵である。特徴は何といっても、その卵の殻の色だが、これは、人工的に着色されたものでも、遺伝子操作によるものでもなく、自然の鶏を交配してできたものだそうだ。写真のターコイズ(トルコ石)色や水色、桃色の他、オリーブ色、オーデニールと呼ばれる薄い緑色のものがあるらしい。私も連れ合いもいまいち味の違いがわからなかったのだが、イギリスのトップシェフやレストランでも特にこの卵を気に入って使っているところがあるのだとか。パステル卵(コッツウォルド・レグバー・エッグ)についてもっと知りたい方は、こちらのClarence court(クラレンス・コート)のサイトをどうぞ(英語)。

 オメガ3卵とアヒルの卵はまだ試していない。
 

☆パッケージは開けて確認すべし Egg_open_1
 1ダース、1/2ダースのも売っているが、15個入り、18個入りのものもある。

 パッケージは、不透明なものが主流。大体、フリー・レンジ卵とバーン卵が紙のケース、ケージ卵が薄い発砲スチロールかプラスティックのケースとなっているようである。
 これらの不透明なケースは、日本の卵パックのようにシールされておらず、簡単に蓋を開けて中を確認することができる。割れているものも多いので、購入時には確認が必要である。レジ係が確認してくれることもある。
 値段は1/2ダースのもので、だいたい 0.5~1ポンド(約100~200円)。
 

 連合いが目撃したそうなのだが、1ダース入りがほしいのに18個入りのしか店頭になく困った客が、18個入りのケースを引き裂いて1ダース入りにし、レジに持って行ったとか。レジ係もそれを普通に通していたそうである。
 

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2006年3月13日 (月)

(に) ニシン HERRING

☆赤いニシンにのまれて?
 『そして誰もいなくなった』というミステリー小説をご存知だろうか?

 世界的に有名なイギリスの女流推理作家、アガサ・クリスティーの作品である。名探偵ポアロやミス・マープルの生みの親である。子供の頃から彼女の作品が好きで、いろいろ読んでいるのだが、この『そして誰もいなくなった』は私のお気に入りの一つである。

そして誰もいなくなった Book そして誰もいなくなった 

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房

Amazon.co.jpで詳細を確認する 

 無人島に招待された10人の男女が、イギリスの有名な童話、マザーグースの”Ten  little niger boy ~(10人のインディアン)”の唄のとおりに、次々と殺されていくという話である。

 このマザーグースの唄は、
「10人の子供がごはんを食べて、ひとりがのどを詰まらせ、9人になった。
 9人の子供が夜更かしして、ひとりが寝坊して、8人になった。
 8人の子供がデヴォン地方を旅行して、ひとりが残ると言って、7人になった。
 7人の子供がまき割りをして、ひとりが自分を真っ二つにして、6人になった。
・・・という風に、ひとりずつ(結構残酷な形で)減っていくのだが、

その減っていく理由が、順に、「食事で窒息して」、「夜更かしして」、「旅行で滞在して」、「まき割りで」、「蜂に刺されて」、「訴訟に巻き込まれて」、「赤いニシンにのまれて」、「大熊に抱きつかれて」、「日焼けしすぎて」、「結婚して」となっている。

 まき割りや蜂やクマの登場は、時代的にありそうだし、訴訟というのもちょっと変だが、まあいいとしよう。
 問題は、「赤いニシンにのまれて」である。赤いニシン??「どうしてこんなマイナーな魚が出てくるんだろう。それも赤いだなんて。」と子供心に違和感を覚えたことを記憶している。
 

☆イギリスではニシンはより一般的
 ニシン(herring)は、ニシン目、ニシン科の海産魚、青魚である。日本でももちろん普及しているが、油が多く多少クセがあるせいか、日本ではそれほどポピュラーな魚ではないような気がする。しかし、こちらでは、かなり一般的な魚である。乱獲により幾分減ったとはいえ、大抵どこのスーパーの鮮魚売り場にも堂々と並んでいる。
 焼いたり、漬け、マリネにしたり。特に、燻製が有名である。赤いニシン(red herring、レッドへリング)とは、ニシンを開いて塩をして乾燥させたのちに燻製にした燻製ニシンのことである。キッパー(kipper)と呼ばれることも多い。残念ながら、数の子は普及していないようだ。

 実際のところ、私も連合いもあまりニシンは好きではなかった。同じ青魚でもアジやイワシのほうが断然好きだった。サケやマスのように寄生虫がいるので生食できないと聞いていたし、日本では、その他にも様々な新鮮なおいしい魚が手に入るため、あえて、ニシンを選ぶことはなかった。
 

☆生のニシンを使ってみたHerring_whole
 しかし、せっかくこちらに来たのだからということで、ニシンを試してみることにした。1匹 0.4ポンド(約80円)で買ったニシンは体長30cm弱。日本のよりも1~2周りほど小さい感じ。きれいに内臓とウロコが取り除かれている。写真では目が赤いが、これは捕獲時の内出血によるもので、鮮度が悪いわけではないそうである。
 三枚におろしてみる。身がしっかりとしていて簡単におろすことができた。日本にいたときに、煮物にして失敗した記憶があるので、照り焼きにしてみた。身がポロポロしていたので連合いはそれほど気に入らなかったようだが、臭みも殆ど感じられず、そう悪くはなかった。
 

☆食が進む、燻製ニシンのキッパーHerring_manx_kipper
 次に試したのが、燻製にしんのキッパー。鮮魚コーナーにあるマンクス・キッパー(Manx Kipper)というものを試した。軽くグリルで焼いて食卓へ。塩味のついた燻製なので、多少塩辛いのだが、これがなかなかの美味だった。適度に脂がのっていて、身もしまっていた。日本の一夜干しの干物のような感じである。焼いただけなのだけど、ご飯によく合う。

 このマンクス・キッパーは、マン島 という、イギリスグレートブリテン島と北アイルランドとの間のアイリッシュ海にある小さな島国の名産物だそうだ。うちが試したのは、スーパーの1枚たったの 0.50ポンド(約100円)のものだったが、魚にうるさい連れ合いですら、「これはおいしい!」と声をあげていた。いつか、本場のマン島のマンクス・キッパーを食べてみたいなと思った。Herring_boil_kipper

 その他、冷蔵コーナーにあるキッパーも試した。赤いニシンと呼ばれるだけあって、色の濃いサケのような色をしている。これは、ベニノキ(annatto、アナットー)という天然の着色料で色づけられているからだそうだ。うちが買ったのは、袋のまま茹でて調理するタイプのもので、バターが一緒に入っている。スーパーブランドのもので、200g入って 0.74ポンド(約150円)。茹でること13分、出来上がったキッパーは、簡易料理とはおもえないほど、ふっくらとしておいしかった。上手にバターでソテーされたような感じ。臭みも全く感じられなかった。

Herring_boiled_kipper そのままのニシンは、まだ使いこなせていないのか、それほど絶品というわけではなかったが、燻製ニシンのキッパーはどちらも、「ニシン、特に燻製ニシンは臭くて苦手」という私の先入観を根底から覆してしまった。おそらく、こちらに来なかったら、食わず嫌いのまま、キッパーのおいしさを知らずにいたかもしれない。
 

☆燻製にしんは、すねかじり?
 ところで、2005年のイギリスBBCのニュースによると、社会現象により、このキッパー(正確にいうと”kippers” キッパーズ)という言葉に新しい意味が付け加わっているそうである。”Kids In Parents' Pockets, Eroding Retirement Saving (親もとにいて、親の退職金をむしばんでいく子供達)”の頭文字をとって、KIPPERS。日本でいうところの、ニートになる。悲しいかな、こういう社会現象はどこの国でも同じなんだなと思った。そのBBCニュースはこちら(英語)。
 

☆レッドへリングの別の意味
 赤いニシン(red herring、レッドへリング)とは燻製ニシンのことだと言ったが、もう一つ意味がある。「人の注意をほかへそらすもの、囮(おとり)」という意味である。狩猟の際に獲物の通った跡に燻製ニシンを置くと、猟犬の嗅覚がにおいのきつい燻製ニシンに惑わされ、効かなくなる。これは、猟犬を訓練する時の一つの方法だったそうなのだが、ここから転じて、「人を欺くもの」という意味を持つようになったらしい。語源が狩猟というのがいかにもイギリスらしい。
 レッドへリングという言葉は、今では、小説の叙述トリックや政治のかけひきという意味で使われることも多い。由来はよく知らないが、アメリカのベンチャー企業情報誌(とでもいうのだろうか)の名前もレッドへリングだった。
 

 燻製ニシン、キッパー、だまされたと思って、試してみられてはいかがだろうか。
 

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