2008年7月21日 (月)

(ま) マンゴー MANGO

 薄暗く霧の立ち込めた肌寒い景色。イギリスにそういうイメージを持っている人は多いかもしれない。いや、実際に、曇りがちな日が多く、冬場なんてあっという間に日が沈み、初夏ですら霧が立ち込めることもある。夏も日が差していないととても寒い。
 そんなイギリス。トロピカルフルーツとは全く無縁のような国だが、意外や意外、様々な南国の果物が一般に出回っており、日本以上に食べられているように思う。

 バナナはもちろんのこと、マンゴー、パパイヤ、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツ、ザクロ、などなど。今回は、そんなイギリスのマンゴー事情についてご紹介したい。
 

☆マンゴーはどこから?
 マンゴーの原産はインド。インドではマンゴーの木は神聖なものと考えられており、マンゴーの木が登場する伝説や神話が多くあるそうだ。今でも年間に約1千万トン以上のマンゴーが生産され、世界一の栽培量を誇っているのだとか。

 紀元前4、5世紀頃に仏教徒の僧侶によってインドからマレーシア、東アジアに伝わり、10世紀頃にペルシャ人によって東アフリカに伝わったと考えられている。そして、16世紀の初期にポルトガル人によって西アフリカやブラジルに伝わったのだとか。アメリカで栽培され始めたのは19世紀の半ば頃。

 イギリスではどうか。マンゴーの栽培に必要なのは充分な太陽と気温。最低20℃以上ないとダメだそうで、イギリスでは温室でのみ栽培が可能だそうだ。それでも開花させたり、結実させるのはなかなか難しい。そのため、インド、パキスタン、プエルトリコ、メキシコ、ブラジル、イスラエル、南アフリカ、ペルーをはじめ、二桁以上の数の国々から年間2千2百万ポンド(約44億円)相当のマンゴー輸入しているのだそうだ。
 

☆イギリスではお手頃なマンゴー
Mango  イギリス連邦のインドや南アフリカなどからの移民が多いせいだろうか、イギリスでは生のマンゴーがバナナやイチゴと同じ感覚で簡単に手に入る。中サイズは1個0.5~ポンド(約100円)。500gほどの大サイズは1ポンド(約200円)と価格もお手頃だ。

 日本では缶詰のマンゴーのほうがずっとメジャーだが、生が簡単に手に入るためだろうか。イギリスでは缶詰のものはあまり見かけないような気がする。
 おちびが大好きなドライマンゴーもよく出回っている。

 しかし、皆、そんなにしょっちゅうマンゴーを食べているのかというと、それほどでもなく、リンゴネクタリンを昼食にかじっている人は見かけても、今のところ、マンゴーを持参している人には会ったことがないような気がする。イギリスで定期的にマンゴーを買っている人は1%ほどなのだそうだ。
 

☆マンゴーの種類
Mango_keitt  中ぐらいの大きさのマンゴーと大きいマンゴー。大きさは違うものの、どちらも果皮が赤と黄色と緑の勾配になっていて、外見はよく似ている。だから、マッシュルームのように生長段階で区別されているのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。

 中も同じように山吹色なのだが、中ぐらいのものは見たところ殆ど繊維がないのに対して、大きいものはたくさんの繊維が走っている。中ぐらいのものはケント(Kent)、大きいものはケイト(Keitt)と呼ばれる種類で、イギリスのマンゴー協会(the Mango Association)によると、この二つはイギリスで最もよく出回っているマンゴーなのだとか。

 どちらも種の大きさはほぼ同じぐらいなので、ケイトのほうがお得感があるが、個人的には繊維の少ないケントがお勧め。トロッとしたマンゴーの舌ざわりがたまらない。
 
 日本ではペリカンマンゴーやアップルマンゴーという分類で大きく分けられているようだが、イギリスで出回っているマンゴーの多くは、赤と黄色と緑の勾配の果皮のアップルマンゴーのようだ。

 イギリスのマンゴー協会によれば、その他、イギリスではトミーアトキンス(Tommy Atkins)、ヘイデン(Haden)をはじめ、いろんなマンゴーの種類が出回っているようだ。
 イギリスで出回っているマンゴーの種類はこちらのイギリス、マンゴー協会のページよりご覧になれます(英語)。
 

☆スパイシーなマンゴー料理
Mango_drink  マンゴーを使った料理といえば、マンゴープリンといったデザートを思い浮かべる人も多いかもしれない。イギリスでもレストランなどでマンゴープリンを食べたことはあるが、意外にも日本ほどにはこのデザートは普及していないような気がする。

 では、イギリスでどうやって使われているのかというと、まずは、飲み物。リンゴ&マンゴージュースや、スムージーやラッシーなどが広く普及しているように思う。
 また、アイスクリームやシャーベットなどのデザートに使われることもある。

 面白いのは、肉料理やスパイシーな料理と合せて使われていることだろう。マンゴーはサラダのほか、ソースにも使われている。

Mango_salsa  代表的なのがマンゴーサルサ。メキシコ料理のサルサ(ソース)は、イギリスでもトルティーヤなどと同様にかなり普及している料理の一つだ。
 イギリスでは、主にサルサといえば、みじん切りのトマトと玉ねぎとコリアンダー、そしてトウガラシが入ったサルサ・クルーダ(Salsa cruda)がより一般的だが、このマンゴーサルサは、トマトの代わりにマンゴーが入っている。

 ショートブレッドやポテトチップスのメーカーとしてお馴染みのイギリスのウォーカーズ社からは、マンゴーチリ味のポテトチップスまで出されていた。甘いマンゴーとピリリと辛いトウガラシの味が、とても不思議な感覚なのだが、意外にはまってしまいそうな感じだ。Mango_crisps

 その他、しばしばカレーなどに入れられるインドのチャツネ(Chutney)のマンゴー版のマンゴーチャツネや、スイス料理のロスティ(Rosti)にマンゴーのソースをかけたマンゴーロスティなど。どれもイギリス伝統料理ではないが、マンゴーも他の国の料理の普及とともにイギリスの食卓に浸透して行っているのだろう。

 イギリスのマンゴー協会のレシピでは、ブラックプディングを使ったマンゴーロスティが紹介されていた。そのレシピはこちらの同サイトからご覧になれます(英語)。
 

Mango_pudding☆マンゴーの栄養価
 マンゴーにはビタミンCやビタミンA、繊維質が豊富で、カリウムやベーターカロテンも多く含まれている。ねっとりした食感から、カロリーが高そうに思えるかもしれないが、意外にローカロリー。
 

☆生マンゴーの扱いにはご注意を
 美味しく、ヘルシー。おまけに安価で生のマンゴーが手に入るものだから、我が家ではにわかマンゴーブーム。特に、マンゴープリンをしょっちゅう作って食べていた。

Mango_how_to_cut  果皮が付いたまま縦に3等分して、両端は内側に格子状の切れ目を入れて、ひっくり返し、さいころ状になった果実を切り離す。真ん中の物は果皮を剥いて種の周りの果実をこそげとる。
 
 ある時、連合いがこの作業をすることになった。アボカドのようにポロリと果皮や種が外れればいいのだが、マンゴーの場合どちらもぴったりと付いていて、切り離したり、こそげとったりしても、多少の果実が皮や種に残ってしまう。
 大のマンゴー好きの連合いは、勿体なく感じ、皮や種にかぶりつき、自らこそげとって食べていた。
 
 数日後、連合いの口の周りがひどくただれていた。口の周りに湿しんができ、口角はただれて、口を開けるのも辛いほどだったそうだ。

 実は、マンゴーは漆(うるし、poison oak)やツタウルシ(poison ivy)の仲間で、果皮にはその漆のかぶれの成分が含まれているそうだ。そのため、果皮を食べると口の中がヒリヒリしたり、湿しんができてしまうのだとか。

 美味しいマンゴーですが、調理の際にはご注意を。
 

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2008年7月14日 (月)

(せ) セルリアック [セロリアック] CELERIAC 

Celeriac  パースニップのように、いつもスーパーで見かけるものの、手を出せないでいる野菜があった。セルリアックだ。
 

☆ゴツゴツした石からセロリのような香り?
 日本でも、実際に見かけたり、調理したことはなくても、名前を耳にしたことのある人は多いかもしれない。私も名前だけは知っていた。しかし、ゴツゴツした小さな岩のようで、あまり美味しそうには見えず、調理法もわからない。ちらちら横目で見るものの、買い物カートに入れる勇気がでなかった。

 セルリアック(celeriac)。日本では、セロリアックや根セロリーと呼ばれることもある。名前のとおり、セロリの一種で、普通のセロリは茎や葉の部分だが、セルリアックは、根に相当する。ゴツゴツとしたかぶに例えられることがあるが、香りはセロリに近い。
 

☆イギリスでは一般的な根菜
 イギリスでは、ごく一般的な野菜の一つで、皆、サラダやスープにしたり、キャセロールにして食べているようだ。生食も可能。
 スーパーでレジに並んだ時のこと。買い物客が、セルリアックを知らない若いレジ係に、「セルリアックは、ローストしたり、マッシュして(茹でてつぶして)食べたりするのよ。」と教えていた。ここでもイギリス流調理法が生きていると感じた。

 値段はピンきりで、ソフトボール大のものが 1個1〜2ポンド(約2〜4百円)。かぶやスウィードに比べるとかなり高いが、たまに見切り品が0.5ポンドほど(約百円)で売られていることもある。
 

☆セルリアックの調理法
 敬遠していたものの、見切り品を見かけたので、ものは試しに使ってみた。セルリアックの命の一つがその香り。香りを失わないように、パックされているものが多いようだ。

Celeriac_inside  パックを開封して、包丁を入れると、たちまち、なんとも言えない芳香が漂う。セロリの香りのような、でも、もっと芳醇な香り。これは美味しいに違いないと確信させてくれるような香りだ。

 外側に負けず、中も無骨な感じ。イギリスの根野菜は硬いものが多いが、セロリアックもなかなかのもの。そして、切ったまま放置しておくと、ナスのようにアクで変色してしまう。防ぐためには、酢水に浸けるか、軽く下湯でするといいようだ。
 

☆お味はいかが?
Celeriac_japanese_style  まずは、素材の味を知るために、茹でて食べてみる。それほど、悪くはない感じ。湯で加減次第で、しっかりしたコリコリとした歯ざわりを楽しんだり、芋とカブの中間のような食感を味わったり出来る。

 香りも、セロリほど青臭くなく、まろやかな感じ。セロリ好きは好きになること間違いなしだし、ひょっとするとセロリが嫌いな人もセロリアックなら食べれるかもしれない。

Celeriac_soup  中でもお奨めしたいのが、セルリアックのスープだ。柔らかくなるまで茹でたセルリアックを潰して、ピューレ状にし、スープストックと生クリームを加えて、味を調整し、とろりとするまで煮込んで、チャイブ(あさつき)を散らすだけ。マイルドで薫り高いスープの出来上がりだ。
 

 栄養価もセリ科の根菜なので申し分なし。ビタミンB1やビタミンC、そして食物繊維も豊富のようだ。
 日本では丸ごと買う人はあまりいないかもしれないが、安く手に入る機会があれば、是非お試しを。
 

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2008年6月30日 (月)

(に) にがうり [ゴーヤ、苦瓜] KARELA

 最近は、イギリスでもいろんな東洋の野菜が出回っている。オリエンタル食材店にいかなくても、一般のスーパーや八百屋で購入できる。例えば、大根、白菜、里芋など。

Karela  そしてその中でも、日本人をびっくりさせるのが、にがうり[苦瓜]かもしれない。沖縄の名物料理ゴーヤチャンプルのゴーヤ。その青い苦さから苦手な人も多い野菜だ。

 大きさは、日本のにがうりの半分ぐらい。小さく、使いきりにもってこいな感じだ。スライスされた冷凍のものを見かけることもある。
 

☆ゴーヤではなくカレラ
 イギリス人は偏食気味の人が多いように思う。そして、アジアの食べ物に抵抗を示す人も相変わらず多い。私の知り合いの中にも、甘さ際立つイギリスのカドベリーのチョコには目がないが、が食べられない人や、ベジタリアンで肉を食べない人がいる。
 日本人でも苦くて食べれないという人が多いというのに、どうして、イギリスのスーパーの店頭ににがうりが並んでいるのか。

Karela_slice  それは、旧植民地のインド人人口の高さを物語っているのかもしれない。一般的な英名は、ビター・メロン(bitter melon)や、ビター・ゴード(bitter gourd)、どちらも直訳「苦い瓜」だが、店頭では、カレラ(Karela)という名前で並んでいたりする。
 カレラ(Karela)とは、インドのヒンディー語で、にがうりのことをさすのだとか。そして、にがうりの原産地はインド。カレーなどに使われたりするようだ。
 

☆使っているのは誰?
 にがうりを買っているのは、主にインド系の人やその他のアジア系、そして少数だがアフリカ系の人なのだろう。店頭には並んでいるものの、残念ながら、一般的なイギリスのレシピには、にがうりが登場することはないようだ。

Karela_dish  しかし、アジア系の人しか手を出さないのかと思いきや、アングロサクソン系のイギリス人が買っているのをごくたまに目撃したりする。
 エスニックブームに触発されているのかはよくわからないが、ほんの少しずつだが、イギリスの食文化に入りつつあるのかもしれない。

 ともあれ、日本人の私達にとっては有難い限り。イギリスでも、普通にスーパーに寄るだけで、ゴーヤチャンプルの材料(豚肉、、にがうり、豆腐など)が揃うのだから。
 

☆余談ですが
Karela_seeds  ところで、熟したにがうりの中がどうなっているか、ご存知だろうか。
 ある時、にがうりに包丁を入れると、中には真っ赤な種が。
 腐ったのかと思って、気持ち悪くて捨ててしまったが、単に熟しただけで、食べられるのだそう。
 

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2008年5月19日 (月)

(ね) ネクタリン NECTARINE

 連合いの友人が昼ごはんに桃を丸かじりしていた。びっくりして、「それは桃?」と尋ねたところ、「いいえ、ネクタリン。」という返事が返ってきた。
 

Nectarine_package☆イギリスでは桃よりネクタリン?
 日本ではあまりメジャーではないが、ネクタリンはイギリスでは桃同様、いやひょっとしたら桃以上に一般的な果物の一つだ。

 5月から9月が旬の季節だが、春先から店頭を賑わせている。スーパーでは5個入りで1.8ポンド(約360円)ほどで売られている。
 

☆皮ごと食べられる
Nrctarine_peach  桃をしのぐネクタリンの人気の理由は、その皮(果皮)にある。桃は果皮にうぶ毛が生えているが、ネクタリンの果皮は滑らか。そのため、皮付きの状態で食べることができるのだ。もちろん、好みで皮をむいてもOKだ。

 大きさも、日本の桃がソフトボール大なのに対して、イギリスの桃やネクタリンは野球の軟球ほど(直径6~7cm)。イギリスのリンゴと同程度かやや小さいぐらいだ。

 そのため、冒頭の友人のようにリンゴのように昼食に手軽に丸かじりされたりしている。実際、皮ごとかじると、果肉は桃の味や舌ざわりなのだが、何だか違う果物のような感覚がするから不思議だ。Nectarine_like_apple
 

☆実は和風の果物?
 いかにも洋風な感じのする果物だが、ネクタリンの原産地は桃と同様に中国。2000年以上も前から食べられてきたものだそうだ。イギリスで栽培され始めたのは16世紀の後半か17世紀の初頭だそう。

 原産地が隣国ということだけあって、日本でも栽培されており、ズバイモモという和名もある。また、果皮にうぶ毛がなく光沢があるためか、ユトウ、アブラモモ(油桃)とも呼ばれるそうだ。現在では「ネクタリン」という名前のほうが普及しているようだが。
 

☆桃(もも)と李(すもも)とネクタリン
Nectarine_inside  前述のように桃との一番の違いは、スモモ(李、プラム)のようにつるつるした果皮。見かけも日本の桃を小さく、スモモを大きくしたような感じだ。
 味も日本の桃ほどではないが独特の甘みと芳香とねっとりした舌ざわりがあり、また同時に、スモモほどではないが適度な爽やかさがある。

 そのためか、ネクタリンはしばしば桃とスモモの交雑種と間違えられることがあるが、そうではなく、桃の一つの種類(変種)なのだとか。桃とネクタリンはバラ科モモ属モモ種に属するが、スモモはバラ科サクラ属スモモ種。
 

☆ジュースの「ネクター」との関係
 気になるのはネクタリンという名前だが、ギリシャ語の「ネクター(nectar)」という言葉からきているそうだ。

 それで彷彿するのが、日本の「ネクター」と呼ばれる甘いジュース。パッケージにピンクの桃らしき絵が描かれている。ひょっとして、ネクタリンを主に使ったジュースなのか思ったが、中に入っているのは桃を含む様々な果物。ネクタリンとは何の関係もないようだ。

←日本の「ネクター」ジュース (楽天市場)

 
☆ネクタリンの食べ方

 さすがにイギリスでもネクタリンを使ったジュースは殆ど見かけないが、冒頭のように直接丸かじりされているだけではない。イギリスでは果物を加熱して熱いまま食べたり、サラダにしたりすることが多いが、ネクタリンも例外ではないようだ。Nectarine_dessert

 例えば、フェタチーズやロケットなどと一緒にサラダにされたり、砂糖とバターをかけて焼いてアイスクリームを添えたり、アツアツのスフレにしたり。肉と一緒に焼いたり、サルサソースにして揚げた魚にかけているレシピを見たこともある。
 こちらのイギリスのスーパーの一つウェイトローズのサイトでは、ホロホロチョウとネクタリンを焼いた料理(アラブ料理?)のレシピが紹介されています(英語)。

 

☆日本のネクタリンはイギリスのと違う?
 最後に一言お断りを。日本で栽培されているネクタリンがご紹介したものと同じような味なのかはさっぱり分からない。

 名前はどこかで耳にしたことはあったものの、日本でネクタリンを食べたことがないからだ。こちらでは桃よりネクタリンのほうが甘みが強いという人もいる。しかし、ネクタリンよりもやはり桃のほうが日本の桃の味に近いような。
 本ブログはあくまでイギリスのネクタリンを日本の桃と比較しているだけということにご留意いただきたい。

 果物に甘み以上に酸味を期待するイギリスに対して、日本では甘い果物が美味しいとされる傾向が高い。また、桃も同様でイギリスのは日本ものより小さいだけでなく、味も淡泊なような気がする。そのため、日本のネクタリンはイギリスのものよりずっと甘みが強く酸味が少ないのかもしれない。

←日本で生産されているネクタリン (楽天市場)

 両者を食べ比べたことのある方は是非ご一報ください。
 

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2008年4月21日 (月)

(め) 芽キャベツ BRUSSELS SPROUT

Brussels_sprout_cabbage  日本でキャベツというと誰もが思い浮かべるのが、冬キャベツと呼ばれる寒玉か、新キャベツと呼ばれる春玉だろう。しかし、イギリスではちりめんキャベツや赤キャベツ、ポインテッドキャベツなどいろんな種類のキャベツが一様に普及している。芽キャベツもその一つ。

 ゴルフボールを一回り小さくしたような小さな小さなキャベツだ。日本ではそれほど日常的に食べられてはいないが、ここイギリスではごくごく一般的な野菜の一つ。店でも量り売りのものや袋に入ったものが他のキャベツに並んで一年中置かれている。価格も300g(30個?)ほど入って1ポンド(約200円)とお手頃だ。
 

☆芽キャベツの生え方
Brussels_sprout_stem  私はずっと、芽キャベツはキャベツの新芽のようなもので、芽キャベツを育てて大きくするとキャベツのようになるのかと思っていたが、そういうわけではないようだ。芽キャベツはキャベツの変種になるようだ。

 それは、茎についたままのものを見れば一目瞭然だ。おそらくキャベツでいうと真ん中の芯にあたる1本の茎に、らせん状並んで付いている。
Brussels_sprout_lateral_bud  よく見ると、一つ一つの芽キャベツの側には、枝のようなものが付いている。この枝のようなものは芽キャベツの葉で、キャベツの一枚一枚の葉にあたるもの。つまり、芽キャベツは葉の付け根のわき芽にあたるのだ。

 イギリスではこのような茎付きの芽キャベツがしばしば店頭に並んでいる。割高で嵩張るのが難点だが、もちがよく、新鮮な芽キャベツを味わえるのでお勧めだ。
 

☆芽キャベツの食べ方
Brussels_sprout_for_casserole レストランなどでもニンジンやブロッコリ、カリフラワーなどの付け合わせと同様にしばしばお目にかかる。特にクリスマスには、ローストターキークリスマスプディングなどとともにお決まりの料理の一つになっている。

 キャセロールなどの煮込み料理に入っていることもあるが、お勧めはそのまま茹でただけ、蒸しただけのもの。
 我が家でも、芽キャベツレシピを増やすべく、キャセロールを含め、いろんな使い方をしてみた。しかし、一番美味しく感じたのは、やはり蒸し器で10分ほど蒸しただけのもの。普通のキャベツとはまた違った、アブラナ科特有のほんのりとした苦味と甘みがなんとも言えなく、連合いも私も大好物だ。
 
Brussels_sprout_dish  洋風のイメージがあるが、和風の味付けにもよく合うように思う。茹でた芽キャベツを半分に切って、梅や鰹節、塩コンブなどと和えて、しょうゆベースの和風のノンオイルドレッシングなどをかければ、たちまち和の一品のできあがりだ。

 ちなみに、こちらのレシピによると、芽キャベツはキャベツ同様に生でも食べられるようだ。そのままでは硬いため、細かく刻んでサラダなどに使われている。
 

☆どうしてブリュッセル・スプラウト?
 ところで、日本語では「芽キャベツ」、英語に直訳するとスプラウト・キャベッジ(sprout cabbage)と呼ばれているが、イギリスでは、ブリュッセル・スプラウト(brussels sprout、ブリュッセルの新芽)と呼ばれている。これは、原産地がベルギーの首都ブリュッセルで、ベルギーでよく食べられていたことに由来するようだ。

 イギリスでは19世紀から食され始めた、どちらかというと新しい野菜。しかし、今では年間3億ポンド(約6百億円)に相当する芽キャベツがイギリスの農家で生産されており、ヨーロッパやイギリス連邦の国々に輸出されているのだそうだ。

 普及を物語るかのように、今ではブリュッセルという言葉をつけずに、単にスプラウトと呼ばれることも多い。
 

☆日本ではニンジン、イギリスでは芽キャベツ?
 キャベツの仲間だけあって、繊維質とビタミンCが豊富。また、ビタミンDや葉酸も多く含んでいるそうだ。肉や甘くこってりしたものばかりで栄養が偏りがちなクリスマスの時期に、あっさりとビタミンたっぷりな芽キャベツは最適な一品と言えるだろう。

 しかし、子供の嫌いな野菜の代表といえば日本ではニンジンが代表格だが、イギリスでは芽キャベツなのだそうだ。クリスマスのときに山ほど出されて嫌になった人も多いのだとか。
 イギリス在住の方で、そんな芽キャベツ嫌いの人のお子さんをお持ちの方(またはご本人)は、ぜひ以下のオンラインゲームをどうぞ。イギリスのデザイナーが作成した、口の中に飛び込んでくる芽キャベツを叩いてつぶすというものです。
 そのサイト、Eyegasはこちら(英語)。 音が出ますのでご注意ください。イギリスの2人組バンドTears for Fearの曲、『Shout』をもじった替え歌も秀逸(?)ですw

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2008年2月25日 (月)

(す) スパゲティ SPAGHETTI

 日本で「かぼちゃ」と言えば、大抵の人が思い浮かべる野菜はほぼ1種類しかないように思う。しかし、イギリスではいろんな種類のカボチャ(pumpkin、パンプキン)がある。種類が多く、その時々によって出回る種類に偏りがあるためか、店頭でも「かぼちゃ類」として一まとまりに扱われ、同じ段ボール箱に入れられていたりする。

 和食を基本とする我が家にとって、ちょっと大げさだがこの箱は一種の宝箱のようなもの。何か見知らぬ種類のものは入っていないかと時々覗き込んでいる。まぁ、実際は見かけほど味の違いが分からなかったり、それ程好みに合わなかったりするのだが。

Spaghetti  ある日、いつものように箱を覗き込んでいると、鮮やかなオレンジ色の「かぼちゃ」を発見した。ハロウィンのかぼちゃよりもずっと黄みがかっており、小さく縦長にしたようなもの。側面に種類を表す小さなシールが張り付けてある。
 そこには、Spaghetti (スパゲティ)とだけ書かれていた。
 

☆カボチャがパスタ?
 スパゲティ。お馴染みの丸い断面の細長いパスタだ。日本では、長い間、麺状のパスタをさす言葉として使われてきた。しかし、スパゲティは、そのような総称ではなく、麺状のパスタの一つの種類。イギリスでも一般にはパスタ(pasta)と呼ばれている。同じEU内で距離も近いせいか、イタリアの食材も多く流通しており、様々な種類のパスタがごく普通に売られている。

 私もかつて知人に、日本でも欧米文化が普通に溶け込んでいることを説明する際に、「皆、日常的にスパゲッティを食べてるよ。」と言って、少々怪訝な顔をされたことがある。海外の人が寿司を総称して「鉄火巻き」と呼んだような感覚なのだろうか。

 そんなほろ苦い思い出が役に立つまでもなかった。いくらうっかりものの店員でもこんな野菜にパスタのラベルを貼ることはないだろう。
 

☆スパゲティの謎が解(ほど)けた
Spaghetti_section  切ったところ普通のパンプキンのように見える。ハロウィン時に出回っていたオレンジ色のパンプキンと同様に、ホクホクというよりは水分と繊維が多そうな見かけだ。
 とりあえず、適当に切って茹でてみた。

 驚いたことに、茹であがったものは、みるみる繊維が解けていく。まるで、解けた薄黄色の繊維はまるで細いパスタの麺のよう。なるほど、それで「スパゲッティ」だったのか。

 このかぼちゃ、日本でも古くからあるものだそう。日本では「金糸うり」、「そうめんかぼちゃ」などと呼ばれているのだそうだ。地方料理や会席料理でお目にかかれるもののようだ。日本のものは外皮の色がかなり白っぽいようだ。
 

☆どうやって食べる?
Spaghetti_dish  茹であがったものを使って、連れ合いが酢の物を作ってくれた。繊維の歯ざわりが美味しく、爽やかな一品だった。歯に挟まるような感じのものでは全くなく、シャキシャキとした感じ。

 もちろんイギリスではこのような和風の食べ方がされることはない。元の原産地は北アメリカのようだが、スパゲティという名前のせいだろうか、イタリア風の調理がされているような気がする。
 オーブンで焼いたり茹でたりしたものをほぐし、パルメザンなどのチーズやバター、トマトソースで和えたり、マッシュルームやズッキーニなどと一緒に炒めたりして食べられているようだ。
 こちらは、UKTV FOODのイカとスパゲティを使った料理のレシピ(英語)。イギリスのウスターソースや日本のミリンまで使われており、かなり多国籍です。Spaghetti_outside

 
  日本では「そうめん」、イギリスでは「スパゲッティ」。国が変われば例えも変わるのだなぁ。ともあれ、お見かけの際はお試しを。
 

☆余談ですが・・・
 ちなみに、イギリスにはスパゲティの缶詰というものがある。こちらは野菜ではなく、パスタのスパゲティ。ベイクドビーンズで有名な某大手メーカーだけのものだけでなく、スーパーのブランドのものまである。

Spaghetti_tin  一度怖いものみたさで買ってみたことがある。ちゃんと大手メーカーのものを。想像通り、中には味付けされたふやけた普通のスパゲティが入っていた。味はご想像通り。どうしてこんなものが普及しているのだろう。
 このスパゲティの謎はいつまでも解けることがなさそうだ。
 

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2007年12月31日 (月)

(さ) 里芋 EDDO, TARO

 海外で暮らしていると、「日本食が恋しいでしょう?」と日本国内の人によく言われる。しかし、実際のところ、我が家はほぼ毎日和食。全くの和食とまではいかなくても、日本とさほど変わらない食生活をしている。
 それは、意外にもいろんな野菜が手に入るから。その中の一つが里芋(小芋)である。Eddo
 

☆イギリスのスーパーで里芋を
 里芋は、イギリスでは、オリエンタル食材店でも普通のスーパーでも手に入る食材の一つだ。
 タロ(taro)やエドウ(eddo)と呼ばれ、1個単位、量り売りや袋入りで売られている。大体1個 0.1~0.15ポンド(20~30円ほど)。

 見たところ、日本の土垂(どだれ)という品種に近い感じ。原産地がどこなのか知らないのだが、在英アジア人のためのオリエンタル野菜として入荷しているようだ。

Eddo_gratin  パッケージには、「オーブンやグリルで焼いたり、マッシュポテトにしたり、ローストポテトにしてどうぞ。」「サツマイモの代わりに使っても美味しい。」などと書かれていたりするが、実際にイギリス料理に使っている人は殆どいないようだ。
 スーパーでもレジ係が名前が分からなくて首を傾げることもしばしば。

 
☆タロとエド
 日本語でもタロイモという言葉があるが、「タロイモ」とは根を食べるサトイモ科サトイモ属の総称のことで、里芋はタロイモの一つの種類に分類されるのだそうだ。

 この「タロ(taro)」という言葉は英語にもなっているが、もとはタヒチ語やマオリ語なのだそう。イギリスではむしろ「エド(eddo)」という言葉が使われることが多いようだが、これはカリブ海に位置する西インド諸島での呼び名だそうだ。

 西インド諸島の中には、かつてイギリスの領土で現在イギリス連邦に加盟しているジャマイカやドミニカ、バルバドスといった国々や、現在もイギリスの領土のイギリス領ヴァージン諸島やアンギラ島、ケイマン諸島などがある。
 ひょっとしてイギリスの里芋はこれらの国や島からその言葉とともに持ち込まれたのだろうか。
 

☆味はまさに里芋Eddo_stewed
 で、肝心の味だが、いちいち下ごしらえをしないといけないのが面倒だが、加熱するとホクホクして、とても美味しい。日本の里芋と遜色ないように思う。我が家ではしばしば煮物やけんちん汁に入れ楽しんでいる。おせち料理の煮しめの一品としても大活躍。

 ちなみに、日本で出回っている水煮や冷凍の里芋も日本食材店で入手可能のようだが、わざわざ敢えて高い既成の輸入物を買うまでもないように思う。

 以前、日本人の知り合いから「酒のツマミに」と燻製イカを大量にいただいたことがあった。オリエンタル食材店に行けば日本酒を割高で購入することは可能だが、そこまで日本酒好きでもないので、燻製イカは棚で眠ることになってしまった。

 ある時、連合いが思い立って、里芋と(燻製)イカの煮物(里芋の煮っ転がし)を作ってくれたのだが、結果はなかなか上々。和風っぽい美味しさの虜になって、里芋が手軽に手に入るのをいいことに、しょっちゅう、同じメニューが食卓に上った。当然、燻製イカはあっという間になくなり、里芋の皮の剥きすぎで手に湿しんができてしまった。
 

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2007年10月25日 (木)

(か) かぼちゃ [南京] Kabocha

Kabocha_halloween_2  もうすぐ、10月31日、ハロウィンだ。イギリスでもこの時期になると、店頭に大きなオレンジ色のかぼちゃが高く積まれる。ハロウィンのランタン、ジャック・オー・ランタン(Jack-o-lanterns)を作るためのかぼちゃだ。

 お化けに仮装した子供たちがお菓子をねだりにやってくるような一軒家にも住んでおらず、それぐらいの年の子供もいない我が家。ハロウィーンの行事とは無縁で、毎年、ランタン用のかぼちゃを横目に一般の食用のかぼちゃに向かう。
 

☆ホクホクにならないパンプキン
Kabocha_pumpkin  ランタン用に山積みされているでっかいかぼちゃは明らかに無理そうだが、普通に売られているかぼちゃは煮物にも使えるのではないかと思い、パンプキン(pumpkin)と書いてある小ぶりのものを使ってみたことがある。

 しかし、見た目は日本のかぼちゃに似ていたものの、味、食感はかぼちゃというより、瓜だった。ポテトサラダならぬカボチャサラダも作ってみたが、大失敗。汁気を取れば食べれると思って、布巾に包んで絞ったら、10分の1ほどになって、繊維だけが残った。
  

☆Kabocha
Kabocha  やはり、普通のスーパーでは日本のカボチャは入手できないかと思っていたところ、さつまいも(Kumara)、栗(sweet chestnuts)に並んで、”Kabocha (カボチャ)”を発見。

 スカッシュ(カボチャ)(Squash (Kabocha))と表示の付いた小ぶりのかぼちゃ。イギリス産だが、見かけも日本で使っていたかぼちゃそっくりだった。早速、購入して煮物にしてみたところ、ホクホク甘く、まさしく日本のかぼちゃの味だった。

 知ってか知らずか、秋の味覚、「芋・栗・南京」と3つ並べて置いてあるなんて、イギリスのスーパーもなかなかやるもんだ。

 ちなみに、日本で出回っているかぼちゃは「西洋かぼちゃ」というもので、「日本かぼちゃ」ではないそうだ。「日本かぼちゃ」は、縦に深い溝の入ったいわゆる「かぼちゃ形」をしているものだそう。

 「日本かぼちゃはKabocha(カボチャ)にあらず」、また、「西洋かぼちゃはKabocha(カボチャ)でパンプキン(pumpkin)にあらず」。
 なら、こちらで広く出回っている「パンプキン(punpkin)」というものは、どう日本語に訳せばいいのだろうか。
 

☆スカッシュとは?
 ところで、”Kabocha(カボチャ)”に同時に表示されていた「スカッシュ(squash)」とは日本語にすると「瓜」になるだろうか。カボチャ(pumpkin)、ズッキーニ(courgette)、キュウリ(cucumber)などのウリ科の総称のことだそうだ。

 飲み物のレモンスカッシュのスカッシュや屋内スポーツのスカッシュと同じ綴りだが、意味は全く異なるというわけ。

 イギリスには上記以外にもいろんなスカッシュが出回っている。アコーン(acorn)、オニオン(onion)、マロー(marrow)、バターナッツスカッシュ(butternut squash)などなど。
 中にはパンプキンに分類されるものもあるが、また別の記事でゆっくりとご紹介したい。Kabochaに勝るとも劣らないスカッシュもあるので、どうぞお楽しみに。
 

☆Kabochaが見つからないときは?
Kabocha_buttercup  その後、Kabocha(カボチャ)が店頭にない場合は、バターカップ・スカッシュ(Buttercup squash)を入手するとよいことがわかった。
 Kabocha(カボチャ)とほぼ同じ、ホクホクした甘い味。実際、外側もKabocha(カボチャ)そっくりで、同じカゴに入って売っている。見分ける違いは、付けられたシールによってのみ。

 実は、なんでも適当、いい加減なこの国のことだから、シールを貼り間違えているだけだったりして。
 

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2007年10月 4日 (木)

(ら) ラナービーン RUNNER BEANS

 現代の日本では様々な西洋の野菜が普及している。比較的新しいものは、ロケット(ルッコラ)やズッキーニ(コジェッツ)などだろうか。これ以上海外に美味しい野菜は残っていないように思われるかもしれない。特に、料理が不味いと言われるイギリスには。

Photo_3  しかし、イギリスには、まだまだ珍しく美味しい野菜がまだまだゴロゴロしているように思う。右写真の大きな不思議な野菜もその一つだろう。
 

☆大きなさやえんどう??
 ラナービーン(runner beans)という品名がついたこの野菜は、日本のさやえんどう(絹さや)を大きくしたような見かけだ。日本のキュウリほどの長さ。全体的に肉厚で、中の豆は小さい。さやえんどうやさやいんげんのように、さやごと食べる豆である。

Runner_bean_stringless  大体一袋250グラム、10本ほど入っていて 1~1.5ポンド(約2~300円)。1本が大きく肉厚なため、さやえんどうやさやいんげんよりもかなりお買い得だ。量り売りもよくされている。

 そして、ラナービーンズの近くには大抵、ラナービーンによく似たストリングレス・ビーン(stringless bean)というものが同じような価格で売られている。ストリングレス(stringless)とは「筋(すじ)のない」という意味。つまり、筋なしラナービーンズというわけだ。品種が異なるためか、ラナービーンより色が薄く表面も滑らかだ。ここではまとめてラナービーンとして紹介したい。
 

☆原産ではないが、イギリスの野菜
 ラナービーンは、元は、中央アメリカや南アメリカの寒冷地原産の多年生植物だが、今では半耐寒性の一年生植物としてイギリス国内でも広く栽培されているそうだ。イギリスに入って来たのは17世紀のこと。チャールズ一世の庭師であるジョン・トラデスカント(John Tradescant)氏が鑑賞用に育てたのが始まりだとか。

 家庭菜園でも簡単に出来る野菜で、自分で栽培している人も多く、種も簡単に手に入る。
 収穫はだいたい6月~9月の夏だが、スーパーなどでは一年中店頭に並んでいる。現在では、イギリスだけでなく、イタリアなどのヨーロッパやメキシコでも普及しているが、イギリスでの普及ぶりやヨーロッパに広まったルーツを考えると、イギリスの野菜と言ってよいかもしれない。

 
☆ラナービーンの種類
 鑑賞用も含めて、イギリスでは、アチーヴメント(Achievement)、エノーマ(Enorma)、レッドナイト(Red Knight)、マーゴール(Mergole)、デジレ(Desiree)、ストリームライン(Streamline)、バトラー(Butler)、スカーレットエンペラー(Scarlet Emperor)、ケルヴェドンマーヴェル(Kelvedon Marvel)、サンセット(Sunset)、フライ(Fry)、ペインテッドレイディ(Painted Lady)、クルーセイダー(Crusader)、ポールスター(polestar)、エマーゴ(Emergo)など、本当に様々な種類のものが栽培されているようだ。

 パッケージには、どの品種だと書いていないので、この中のどれが日常的に食用として市場に出回っているものなのかはよくわからないのだが、バトラー(Butler)やポールスター(Polestar)などのさやの柔らかい緑のものが人気があるようだ。

 
 ☆エンドウではなくインゲンの仲間
Runner_bean_stringless_and_green  ラナービーンは、さやえんどうのようなエンドウの仲間ではなく、マメ科インゲン属。だから、大きいさやえんどうという表現よりも、幅広の大きいさやいんげんという形容のほうが適当かもしれない。

 もちろん、さやいんげんもイギリスでは、グリーンビーン(green beans)やドワーフ・ビーン(dwarf beans)という名で、簡単に手に入れることができる。ドワーフ(dwarf)とは、「(動物や植物などが)矮小の(=小さい)」という意味。ラナービーンズが普及しているイギリスでは、納得のいく名前。

 だが、ラナービーンのさやが小さい頃に収穫されたものがさやいんげんというわけではない。さやいんげんは同じインゲン属なのだが種(しゅ)が異なるのだ*。 *ラナービーンの学名はPhaseolus coccineus L。さやいんげんの学名はPhaseolus vulgaris L

 ちなみに、ラナービーンのラナー(runner)とは、「走者」という意味ではなく、「ほふく茎」という意味のようだ。つる植物なので、巻きつくささえなどがないと、つるは地面を這うほふく茎となる。おそらく、こういうところから呼ばれることになったのだろう。
 

☆日本では鞘ではなく豆を食べる
 和名もちゃんとある。日本ではベニバナインゲン(紅花隠元)やムラサキバナインゲン(紫花隠元)と呼ばれたりするようだ。

 日本には江戸時代末期にやってきて、最初はイギリス同様、観賞用として栽培され、大正時代以降に食用として本格的に栽培され始めたのだとか。寒冷な土地でないと結実しないそうで、現在では、北海道や長野などで主に栽培されているようだ。

 しかし、食用と言っても、日本で食されているのはさやではなく、結実した豆の部分。花の色が赤や紫で美しいことから花豆として知られている。
 

☆さやえんどうの彩りに、さやいんげんのうまみ、プラスα
 筋を取らずにそのまま使ってしまうと、ごくたまに多少後悔することがあるが、味はなかなかのもの。

Photo_5  ラナービーンの持ち味は、さやいんげんに似たうまみと、しっかりした歯ざわりと、彩りだろう。
 さやごと食べる豆なので、独特のアミノ酸のうまみと緑黄色野菜特有の甘みがある。特にランナービーンズはこの甘みが強いように思う。

 また、さやえんどうやさやいんげんは、料理に青みを添えたいときに用いられることがよくあるが、加熱しすぎると、歯ざわりがなくなってしまったりする。だから、シャキっとした歯ざわりを味わいたい炒め物などの時は、気を使うことも多い。その点、ラナービーンは、肉厚なこともあって、多少加熱しても、シャキシャキとした歯ざわりを楽しめる。色も鮮やかなまま。

 我が家では、初年度のおせち料理の煮しめのさやえんどうの代わりに、ラナービーンを使用したが、彩りも抜群。多少煮てもしっかりしていて、にんじんや里芋などの根菜に囲まれて大いに健闘していた。
 

☆ランナービーンを使った料理Photo_6
 イギリスでは、ラナービーンは、バターでソテーしたり、茹でたり蒸し器で蒸したりして、肉料理の付け合せとして食卓にのぼることが多いようだ。最近では、サルサやカレー、スープ、サラダ、炒め物などに使われたりもされている。
 どの場合も細ななめ切りにして使われることが多いようだ。町でもカットされた袋詰めのものが売られていたりする。

Photo_7  ラナービーンは、洋風だけでなく和食にもよく合う。我が家では、煮物のほか、胡麻和えなどの和え物にしたり、味噌汁などの具にすることも多い。連合いが作ってくれたヒジキとラナービーンの煮びたしは、日本に古くからこの料理が存在していたかのように、ラナービーンの歯ざわりとうまみが生きていた。

 1パックに結構の量が入っているが、用途も広く案外長持ちするので、使い切れないうちに悪くなるということは殆どないようだ。
 

☆栄養価は?---女性、特に妊婦の方へお奨め
 栄養価だが、さやいんげん同様にビタミンCや繊維質が豊富なだけでなく、カロテンや葉酸(folic acid)も多く含まれている。
 葉酸は不足すると悪性の貧血を招くビタミン。妊娠初期に不足すると胎児に神経障害が起きる可能性があるので、イギリスでも妊婦への摂取が積極的に推奨されている。
 また、鉄分やカルシウムもラナービーンには含まれている。貧血が気になる女性や妊婦の方にお奨めしたい野菜の一つである。

 また、前述のように、さやごと食べる豆なのでアミノ酸も豊富。肉類に含まれるビタミンB12やビタミンDはないが、タンパク質源としても活用できるようだ。
 

Photo_4  日本の花豆とイギリスのラナービーン。どうして同じ植物なのに、食べる部分が違うのだろう。日本で栽培されている花豆の品種は、イギリスの観賞用の品種と同様にさやを食べるのに適していないものなのかもしれない。逆もそうなのだろうか。イギリスにはいろんな豆が出回っているが、その中にラナービーンの豆があるのだろうか。

 「ラナービーンが美味しくて、イギリス人は豆が実るまでに食べてしまっているのだろう」なんて冗談もあながち間違いではなかったりして。

 
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2007年9月10日 (月)

(な) ナス [茄子] AUBERGINE

 「秋茄子嫁に食わせるな」、「一富士二鷹三茄子」、「瓜のつるに茄子はならぬ」といった慣用句から、盆のナスの牛を供えて先祖の霊を迎える習慣まで、日本人とナスとの関わりは深いように思う。
 しかし、イギリスでは、ナスは300年ほど前に入ってきた比較的新しい野菜である。

Aubergine_dish  ナスの原産はインド。イギリスには、温暖な地中海の料理とともに伝わってきたそうだ。そのため、典型的なイギリス料理で使われることはあまりないようだ。
 例えば、南フランス、プロヴァンス地方の料理として有名なラタトゥイユ(ratatouille)や、ギリシャの伝統料理であるムサカ(moussaka)、トルコのイマームバユルドゥ(imam bayildi)、そして、ナスのカレーなどの、地中海料理やエスニック料理に使われたりしている。

 イギリスでも一応夏の野菜に分類されているが、だいたい一年中出回っているように思う。
 

☆大きくヘタが緑色
Aubergine  一目でナスと分かるものの、イギリスのナスは日本のナスとかなり異なっている。

 まず、大きさが、日本のナスの2倍か3倍ほど。とても大きい。
 ちなみに、イギリスのキュウリも日本の倍ぐらいの大きさ。むろん、イギリスには盆の習慣はないが、仮にあったとしても、ジャンボサイズのキュウリの馬とナスの牛に、体格の大きいイギリス人も安心かもしれないなんて思ってしまう。

 そして、日本のナスはヘタが紫色だが、イギリスのは、アメリカで栽培されている米ナス(ベイナス)と同じ緑色。Aubergine_inside
 

☆卵型の植物ではなく、風を癒す植物??
 アメリカの米ナスは、エッグプラント(egg plant)と呼ばれるだけあって、のような形をしている。しかし、イギリスのナスは米ナスほどは丸くなく、日本の長卵型ナス(中長ナス)を太く大きくしたような感じ。

 そして、「エッグプラント」ではなく「オウバージーン(aubergine)」と呼ばれている。これは、フランス語の”aubergine(オベルジーヌ)”から来ているようだ。さらに元を辿れば、アラビア語の”al-badinjan (アル・バーディンジャン?)”となり、インドのサンスクリット語の”vatin-gana(ヴァチンガーナ??)”となるそうだ。肝心の意味だが、サンスクリット語で「風を癒す植物」というという説がある。
 

☆和食にもOK
Aubergine_tempura  大きいだけあって、皮も多少厚く、中身も少し硬いように思うが、日本のものと同じように調理することができる。
 味の違いもさほど感じられなかった。煮びたしや、焼きナス、天ぷらなどにしても、どれも遜色なくおいしかったように思う。
 

☆種類---日本のナスで田楽を作ることも・・・
Aubergine_streak_2  大きさはほぼ同じで、色が薄紫と白の斑になったものもよく見かける。
 また、大きいものに比べると数は少ないが、日本と同じような小さく丸い「小なす」も店頭に置かれている。ごくたまにだが、真っ白なものや、日本の長ナスのように細いものも見かける。
 
 細いものは、日本のに比べると色が薄いようだが、ジャパニーズ・オウバージーン(Japanese aubergine)、チャイニーズ・オウバージーン(Chinese aubergine)と呼ばれることがあり、炒め物などに使われたりしているようだ。

 BBCの料理サイトでは、この「日本ナス」を使った味噌田楽のレシピまで紹介されていた。名前は”Grilled aubergines with miso”。直訳すると、「味噌ダレの焼きナス」だが、ちゃんと素揚げされたナスに、みりんやしょうゆ、しょうがの摩り下ろしを加えた味噌が塗られ、焼かれていた。
 そのレシピ(動画)をご覧になりたい方はこちらのBBC Foodのサイトをご覧ください(英語)。
 (注)ご覧になるには、お手持ちのコンピューターにFlash Playerがインストールされている必要があり、たどりつくまでの道のりがかなり長いです。「Vegetable」の写真→左の「Recipe」→「Grilled aubergines with miso」をクリックすると、動画が始まります。

 
Aubergine_grilled  日本の食生活がすっかり西洋化したように、イギリスの食生活も、ゆっくりだが変化しつつあるのかもしれない。
 イギリス人が紹介するナスの味噌田楽のレシピに触発されて、我が家の食卓にナスが上ったのは言うまでもない。

ー最終更新日 16/Sep/2007ー

 
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