2007年2月19日 (月)

(は) パンケーキデー PANCAKE DAY

Pancake_day_serving  こちらイギリスでは、明日2007年2月20日はパンケーキデーだ。これは、名前のとおり、パンケーキを作って食べる日である。

 日本では、毎月26日は風呂の日、27日はツナの日、29日は肉の日。それぞれ数字のゴロに合わせて付けられた日だ。ゴロ合わせにはなっていないが、あんパンの日(4月4日)、アイスクリームの日(5月9日)、ピザの日(11月20日)、なんてものもあるらしい。
 これらは、主に企業や団体によって、日本に導入された記念を祝ったり、販売流通促進の目的で制定されたものが多いようだ。なんだか、パンケーキの日というのもありそうな雰囲気である。

 しかし、イギリスのパンケーキの日は、製粉協会や養鶏協会が小麦粉や卵の需要を増やすために設けた記念日ではなく、古くからある宗教行事なのである。
 

☆パンケーキデーはキリスト教の行事の一つ
 聖書によると、イエス・キリストは40日もの間、断食をして、悪魔の誘惑を断って修行したそうだ。これに習って、この期間に今までの生活を悔い改め、断食(節制)して、清い生活を送ろうという行事が行なわれるようになった。これが、レント(Lent、四旬節、大斎節、受難節)と呼ばれるものである。レントの間は、肉や、乳製品、油などを控えて食事を制限し、結婚式などの行事を控えなければならない。

Pancake_day_date  レントが始まるのは、”Ash Wednesday(アッシュ・ウェンズデー、灰の水曜日)”と呼ばれる日から。この日は、懺悔の象徴として灰を頭にふりかけることから、そう呼ばれるようになったとか。アッシュ・ウェンズデーは、イースター(復活祭)の46日前だそうだ。

 そして、アッシュ・ウェンズデーの前日がパンケーキデー。正式には、”Shrove Tuesday(シュロウヴ・チューズデー、告解[懺悔]の日)”と呼ばれている。レント突入の前日であるこの日、レントの期間中に食べない卵や牛乳、油を使って、パンケーキを焼いて食べるのである。
 節制生活に入る前の羽のばしの日でもあり、且つ、傷んでしまう生ものを片付けてしまう日でもある。なんて、合理的。
 

☆毎年イースターと共に変動します
 面白いのは、何月何日という決まった日が定められているわけではないこと。毎年、イースターの日にちが変動するのに伴って、アッシュ・ウェンズデーとともに、パンケーキデーも変わる。2006年は2月28日、2007年は2月20日、そして2008年は2月5日の火曜日。
 

☆イギリスのパンケーキ
Pancake_day_size  パンケーキ(pancake)という名で呼ばれているが、イギリスのパンケーキは、日本のホットケーキとクレープの中間のような感じのもの。大きさは、大体、直径20cm前後、厚さ2mm弱程度のものが一般的だろうか。
 イギリスには、日本のどら焼き[三笠(みかさ)]の生地と同じぐらいの大きさのパンケーキもあるが、そちらはスコッティッシュ・パンケーキ(Scottish pancake)と呼ばれて区別されることが多いようだ。

 パンケーキの材料は、小麦粉、、牛乳、バターと塩少々。フライパンに生地を薄く広げ、お好み焼きやホットケーキをひっくり返すような要領で高く放り投げて(tossing、トッシング)焼くのが一般的だ。
 レモン汁とグラニュー糖をかけて2つ折りにしたり、巻いたりして食べるのが基本的な食べ方のようだが、ゴールデンシロップやジャム、生クリームをかける人もいるようだ。
 

☆断食はせずとも・・・
 今では、レントの間に断食をする人は殆どいないようだが、パンケーキデーにパンケーキを焼いて食べる人は案外多い。日頃、体型を気にして殆どケーキに手をつけない知り合いのイギリス人女性も、ちゃんとこの日はパンケーキを焼いて食べるのだとか。

 また、各地でパンケーキ・レース(Pancake race、パンケーキ競争)というものが開催される。これはパン食い競争のようなパンケーキの早食い競争ではなく、フライパンにパンケーキを乗せて走る競走のこと。パンケーキをトッシングしながら、フライパンから落とさないように路上や廊下などを走るのである。こちらのCBBC(子供用のBBC)のニュースからその様子の写真をご覧になれます(英語)。
 

 不思議なのは、パンケーキデー間近になると、卵や小麦粉、牛乳、挙句の果てには、パンケーキミックスや既製のパンケーキが店頭に山積みされ、人々が買いあさっていること。レントの期間中に食べない卵や牛乳、バターなどを片付けてしまうはずの日ではなかったのか。
 いまや、イギリス人にとって、パンケーキデーは、単なるパンケーキを食べるお祝いの日に過ぎなくなってしまっているのだろうか。
 

 ちなみに、有名なブラジルのリオのカーニバルや、アメリカのニューオリンズのマルディグラは、パンケーキデーと同じく、レント前の羽のばしの行事だそうだ。
 

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2007年2月 8日 (木)

(て) デカフェ [カフェインレス、カフェインフリー] DECAFF

☆「デカフェ」とは?
 「デカフェ」というものをご存知だろうか。カフェインレスや、カフェインフリー、ノンカフェインと呼ばれることもある。飲み物などで、カフェインの入っていない(カフェインを除去された)状態を指す言葉である。

 日本でも、コーヒーショップなどでは、大抵デカフェのコーヒーがあるようだが、イギリスに比べると認知度はまだまだ低いように思う。私の日本の知人などでも、この言葉を聞いて首をかしげる人も多い。一部のカフェインに弱い人用の飲み物という認識なのだろうか。

Decaff_coffee  しかし、イギリスでは、飲食店であれ、小売店であれ、必ずどの店でもデカフェを扱っている。デカフェは特別な人の飲み物ではなく、選択肢の一つ。スーパーのブランドのインスタントコーヒーですら、通常のものと同様に、デカフェの瓶が数多く並んでいる。
 レギュラーコーヒーも、ちゃんとデカフェのものが店頭に並んでおり、スーパーブランドの製品からデカフェのコーヒー専門のメーカーのものまである。イギリスのデカフェコーヒー専門ブランドといえば、こちら、The D:Caff Coffee Co(英語)。イギリス国外への配達も一応可能のようです。

←日本のネスカフェのデカフェ(楽天市場)
 

 こちらでは、”decaffeinated (カフェイン抜きの)”でも、デカフェ(decaff、発音は「ディキャフ」)でも通じる。「de (=除く) + caff(eine) (=カフェイン)」と、そのままの意味ということもあるだろうが、誰もが知っている言葉である。アメリカ英語圏では”decaf”と綴られるようだが、イギリスでは、”decaff”と、”f”が一個多く綴られることがあるようだ。
 

☆コーヒーだけではありません
Decaff_tea  デカフェと言えばコーヒーを連想させるが、コーヒーに比べると知名度は低いものの、デカフェの紅茶も出回っている。イギリスの紅茶製造販売会社として有名なトワイニングス(Twinings)でも、トラディショナル・イングリッシュティーとアール・グレイのデカフェを出している。

 また、なんと、デカフェの緑茶まで店頭に並んでいることがしばしば。紅茶メーカーとして有名なテトリー社(Tetley)のものや、オーガニックのお茶やコーヒー専門販売会社として有名なイギリスのクリッパー社(Clipper Teas Ltd.)の製品をよく見かける。

 現在では、コーヒーや紅茶、緑茶のデカフェに限らず、もともとカフェインフリーのハーブティーを好んで飲む人も多く、様々な種類のものが出回っている。


☆そもそもカフェインとは?
 どうして、イギリスではこんなにデカフェが普及しているのだろう。欧米人はカフェインに敏感で、眠れなくなる人が多いのだろうか。そもそも、カフェインとは何なのだろうか。

 カフェインは、コーヒー、紅茶、緑茶、コーラなどに含まれる、アルカロイドという有機化合物の一つである。

Decaff_caffeine_content  それぞれの種類、煎れ方にもよるだろうが、100ml当たり、例えば、コーヒーなら60~175mgほど、紅茶なら30~50mg、緑茶なら10~160mgほどのカフェインが含まれているようだ。

 ただし、紅茶のカフェインは紅茶中のタンニンと結合し、ゆっくりと体内に摂取されるため、カフェインの作用は穏やかだそうだ。

 他のアルカロイドで有名なものとしては、麻薬として知られるコカインやモルヒネ、煙草の依存症の原因物質であるニコチン、神経伝達物質のドーパミンなどがある。恐ろしい物質ばかりではなく、マラリアの特効薬のキニーネや通風の鎮痛薬のコルヒチンなど、病気の治療薬に使われるものも多くあるようだ。


☆カフェインの効果
 カフェイン自体は、中枢神経を刺激して覚醒(興奮)をもたらしたり、腎臓の血管を拡張させて利尿作用をもらたしたりする。コーヒーやお茶を飲むと、眠気が飛んだり、疲労が回復したり、トイレが近くなったりするのは、カフェインの効果というわけだ。また、心臓の筋肉(心筋)や骨格筋に直接働きかけて、筋肉の収縮を増強したりするということも知られている。

 カフェインは、眠気に効く反面、不眠をもたらすのも事実だ。カフェインが効き始めるのは摂取後約30分ほど経ってから。そして、その効果は、人にもよるだろうが、8時間から14時間近くまで持続するそうだ。最近では、日本でも、少なくとも夜寝る3、4時間前は、カフェインの入った飲み物を飲まないほうがよいとされている。
 

☆イギリス人はカフェインに敏感なのか??
 
では、イギリスではどうなのだろうか。イギリスでデカフェが普及しているのは、カフェインに過敏な人が多いからなのだろうか。

 知人宅でホームパーティに呼ばれたときのこと。晩、宴たけなわになり、知人特製のケーキが振舞われた。その際の飲み物を訊かれた多くの人は、ウイークティーと呼ばれる薄めに煎れた紅茶を頼んでいた。皆、夜眠れなくなることを気にしてのことだ。通常のコーヒーを頼んだ連合いは、「今から、もう一働きするのか?」と訊かれていたほどだった。

 しかし、イギリス人を含む欧米人がカフェインに過敏という話を聞いたこともないし、調べてみてもそういう事実はどこにも発表されていないようだ。

 欧米でデカフェが普及しているのは、一説には、健康上の理由や宗教上の理由で、意識的に摂取を控えている人が多いからだとも言われている。イギリスでも、薬を常用している人や妊娠している人、腎臓疾患などを患っている人は、カフェインを摂ることを控えたほうがよいとされているようだ。
 また、身近にそういう人はいないが、カフェインは興奮物質のアルカロイドの一種なので、宗教上アルコール同様に禁止されることもあるのかもしれない。

 日本では、夕食後に日本茶を飲む家庭も多いように思う。でも、それで夜眠れないという話をあまり聞いたことがない。これは、もしかしたら、慣れが関係しているのかもしれない。

 カフェインは、脳で作られたアデノシンという物質が結合すべきアデノシン受容体に代わりに結合して、アデノシンの働きを妨げることによって、覚醒作用をもたらすと考えられている。
 カフェインを常時摂取している人は、その分、アデノシン受容体の数が増える可能性があるとも言われているようである。受容体が増えると、カフェインがあっても、アデノシンが受容体に結合する確率が高くなる。つまり、カフェインの覚醒効果が効きにくくなる可能性があるのである。

 イギリスでも古くから紅茶を飲む習慣があるにも拘らず、デカフェやカフェインフリーが流行っていることからして、眠れないというよりは、一種の健康志向の表れなのだろうか。
 

☆デカフェはどうやってできる?
 
インスタントコーヒーだけでなく、レギュラーコーヒーまで、デカフェがあるわけだが、一体どうやって、カフェインが取り除かれているのだろうか。

Decaff_decaffeination  どうやら、脱カフェイン法(decaffeination)には、大まかに3種類の方法があるようだ。有機溶媒抽出法(Solvent decaffeination)、水抽出法( Water decaffeination)、そして、超臨界二酸化炭素抽出法(Carbon Dioxide decaffeination)。どれも、基本的な方法は大体同じで、それぞれ、カフェインを溶かしだす溶媒の種類が違う。

・有機溶媒抽出法
 有機溶媒抽出法は、カフェインの水にも油にも溶ける性質を利用した抽出法だ。最初に開発された脱カフェイン法である。ケミカル法(chemical  decaffeination)と呼ばれることもある。
 蒸気で膨じゅんさせたコーヒーの生豆を有機溶媒に浸して、豆中のカフェインを有機溶媒に溶かし出す。豆に付いた有機溶媒は、焙煎(ロースト)の際に揮発するそうだ。しかし、食品に直接有機溶媒を使うということで、

 現在では、沸点が低くてより残留しにくいジクロロメタンや天然の植物由来の酢酸エチルなどが使われている。水溶性のうまみはコーヒー豆に留まるが、脂溶性のうまみは抜け出てしまうので、香りが損なわれていると主張する人も多いようだ。

・水抽出法
 水抽出法は、安全な食品をということで開発されたもの。水にカフェインを溶かし出すという方法だ。当然、問題となるのは、水の中にコーヒーの水溶性のうまみが溶け出てしまうこと。それを回避するために、現在では、予めうまみが溶け込んだ水を使い、カーボンフィルターでカフェインを選択的に吸着させるというSWISS式水抽出法(SWISS water method)という方法がよく行われているようだ。また、フィルターを使わずに、カフェインが溶けた水に有機溶媒を混合して、2段階でカフェインを抽出する方法もある。

・超臨界二酸化炭素抽出法
 そして、有機溶媒抽出法や水抽出法の欠点をカバーしたのが、新しく開発された超臨界二酸化炭素抽出法だ。

Decaff_co2method  物質は、圧力と温度によって、気体、液体、固体の三態をとるが、高圧力、高温では超臨界流体(supercritical fluid) という、気体の流動性と液体の溶解性を兼ね備えた状態になる。この抽出法は、溶解性の高い、超臨界状態の二酸化炭素(super-critical carbon dioxide)にカフェインを溶かし出すというものである。通常の気圧、温度に戻すと、私たちの身近にある気体の二酸化炭素になるので、人体にも安全だし、豆の味を損なうこともない。

 最近では、かなり普及しつつある方法のようだ。私が買ったコーヒー豆もこの製法で作られていた。

 デカフェの味はおいしくないと敬遠されてた方は、この脱カフェイン法のものを試されてはいかがだろうか。
 

☆デカフェにもカフェインは入っている
 しかし、デカフェだからといって、カフェインがゼロというわけではない。
 2006年のアメリカ、フロリダ大学の研究発表によると、デカフェのコーヒーにもカフェインは含まれているとのことだそうだ。5杯も10杯もデカフェのコーヒーを飲んでいれば、普通のコーヒーを1〜2杯飲んだ程度のカフェインを摂取していることになるそうだ。

 コーヒーの生豆には、種類にもよるが、だいたい1%強のカフェインが含まれている。デカフェの場合は、イギリスを含むヨーロッパでは、豆中のカフェイン含量は0.1%以下、インスタントの場合は、0.3%以下に抑えないといけないという基準がある。日本には今のところ、そういった基準はないようだ。アメリカの規制がどの程度なのかはわからないが、イギリスのデカフェにもやはり多少なりともカフェインが含まれていると考えてもいいのだろう。

 現に、私も夕方以降は、デカフェのコーヒーや紅茶を飲むようにしているが、眠れないことはないけれど、なんとなく、飲んだ後は、眠気がすっきりなくなった感じがしていた。コーヒーの他の成分のせいなんだろうと思っていたが、もしかしたら、カフェインが効いているのかもしれない。
 

 しかし、少なくとも私の場合は、カフェインの作用というよりも、「カフェイン入りの飲み物を飲んだ」という思い込みのほうが大きいんじゃないかというのが、連合いの説だ。
 以前、デカフェと間違えて普通のコーヒーを知らずに飲んでいたけれど、やはりいつもどおりグーグー寝ていたというのがその根拠らしい。
 

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2007年2月 5日 (月)

(ら) ライムスケール・リムーバー [湯あか落とし] LIMESCALE REMOVER

☆イギリス流、水アカの落とし方
Limescake_removerbeforeandafter_1  こちらイギリスの水は硬水だ。硬水は洗剤の泡だちが悪く、肌荒れを起こさせやすいほかに、困った性質がある。水が付いたところが乾くと石灰石(lime(ライム))が析出するのである。普通に使っているだけなのに、流し台やバスタブ、そして水道の蛇口が真っ白になる。

 この石灰石が実に厄介。擦っただけでは取れないし、研磨剤などであまりゴシゴシ擦ると傷がついてしまってさらに面倒なことになる。もちろん、やハイターもあまり効き目なし。
 そんなときに大活躍するのが、ライムスケール・リムーバー(limescale remover) である。

 
☆単なる「水あか落とし」ではない。
Limescale_removerliquid_1  ”limescale(ライムスケール)”の直訳は「水あか、湯あか」なので、”limescale remover (ライムスケール・リムーバー)”をそのまま日本語に約すと、「水あか落とし(剤)」となるかもしれない。

 しかし、こちらのライムスケールは上述のように日本の湯あかとは程度が異なるため、「ライムスケール・リムーバー」はその強力さにおいて「湯あか落とし」ではなく「ライムスケール・リムーバー」と呼ばれるべきものだと思う。

 ライムスケール・リムーバーは、ハイターのような液体で、石灰石が析出したところにかけるとみるみる石灰石が溶け出してくる。それをごく軽くこすり、水で流せば、もとのピカピカの流し台や蛇口にもどるのである。かなりお手軽だ。

Limescale_removeraction  成分は、スルファミン酸、乳酸などの有機酸が主成分で、アルコールなども入っているようだ。かなり臭いもきつく、手あれするので、使用の際は換気をして手袋を付ける必要がある。また、食器や電気ケトルなどの場合は、酢や粉状の専用のものを使うのがよいようだ。

 しかし、シンク、蛇口まわり、シャワーノズルやシャワー室、浴槽など、石灰石のこびりつきがひどいところには、断然、ライムスケールリムーバーが便利。
 特に、来客前やインスペクション前には、瞬時にあちこちピカピカになって、大助かりしている。
 

Limescale_remover_limelite☆「ライムライト」
 ライムスケールリムーバー入りのトイレ洗剤や掃除洗剤も出回っているが、うちが使っているのは、ドイツのヘンケル社(Henkel)のライムライト(limelite) という製品。イギリスではどこのスーパーにも置かれているメジャーな商品だ。

 「ライムライト(limelight)」と言えば、チャップリンの映画とテリーの曲を思い出す人も多いのではないだろうか。この ”limelight(ライムライト)”とは、昔舞台照明(スポットライト)に用いた石灰光のことで、転じて「脚光」という意味がある。

 一方、ライムスケール・リムーバーに使われている ”lite(ライト)”は、”light(ライト)”の変形で、「〜が少ない」という意味でしばしば商品名に用いられる。意図しているのかどうかは定かではないのだが、イギリス出身のチャップリンの名作と語呂合わせされているなんて面白い。

←DVD ライムライトコレクターズ/エディション(楽天市場)

 日本にいたころ、どこかの鍾乳洞で放置された土器の形に鍾乳洞が形成され、記念物になっているというニュースをみた。これを人工的に作成するのに何百年もかかるそうである。大変感銘を受けたのを覚えているが、ひょっとして、イギリスの硬水だったら1年もかからないのではないだろうか。

 おまけにライムスケールリムーバーを使えば、瞬時で溶けてしまうだろう。なんか少し寂しい気がする。
 

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2007年1月29日 (月)

(す) スウィード [カブハボタン] SWEDE

☆大きな黄色いかぶ?
Swede  渡英してしばらくして、スーパーででっかい蕪(かぶ)を見かけた。頭が紫、尻が薄い黄色の丸いどっしりとしたかぶで、ソフトボール大から小型のメロンぐらいの大きさのものが0.75ポンド(約150円)程度ととても安い。イギリスのかぶはやっぱり違うなぁと思いながら買い物カートに入れた。

 このかぶ、イギリスでは、スウィード(swede、スウェード)と呼ばれている。
 外見は、かぶの仲間だが、中身は多少違うようだ。まず、かぶよりも断然硬い。硬いカボチャを切っているような感じ。なかなか包丁が入らないし、一度入るとなかなか抜けない。
 そして、中身は、薄い黄色。
 

☆加熱で本領発揮。
Swede_colour  とりあえず、いつものように、軽く茹でてみた。スウィードの特徴の一つは、その色の変化だ。加熱すると、鮮やかな黄色に変わる。そして、第二の特徴は、加熱してもいつまでもしっかりしていること。

 かぶやパースニップのような感覚で加熱調理すると加熱が足りずに期待はずれに仕上げるかもしれない。かぶとベーコンのスープならぬ、スウィードとベーコンののスープを作ったが、1時間も煮たのにカブのようにとろけず、まだまだしっかりとした歯ざわりが残っていた。大きめに切ったスウィードを中まで柔らかくするためには、かなりじっくり煮込む必要がありそうだ。

Swede_stirfry  しかし、その加熱してもしっかりしているという特徴は炒め物にも適しているように思う。千切りにして炒めても美味しいし、にんじんやブロッコリのように軽く下茹でして炒めると、シャキッとした歯触りと彩りの両方を楽しむことができる。

 また、蒸し器などで長時間加熱すれば、ホックリ甘くなるというのも、スウィードの特徴。
 もちろん、じゃがいもやさつまいものようにはでんぷん質が多くないので、少し違った味わいなのだが、イギリスでは、マッシュポテトのように茹でたものを潰して食べられたりしている。じゃがいもやにんじんと一緒にマッシュされたものや、マッシュ用にさいの目切りになったものも、店頭によく並んでいる。

Swede_soup  また、こちらでは、シチューやキャセロールなどの煮込み料理にもよく使われたりする。にんじん、小たまねぎ、パースニップ、スウィードがセットになったキャセロール野菜セットの袋もよく売られている。

 かぶの甘みと香りに加えて、大根ともにんじんともパースニップともセロリアックとも全く違った、クセのない根菜独特の味がほんのりとする。見かけの派手さに比べて味は控えめ。だから、和風にも洋風にも使えるように思う。

 生や軽く茹でて、サラダや炒め物としてシャキシャキ感を味わってもよし、じっくり煮込んで甘さを味わってもよし。アイデア次第でレシピが広がりそうな野菜である。
  

☆スウィード?、ルタバガ?、ニープ?
 スウィードという名前は一体どこから来たのか。
 普通のかぶはご存知のとおり、”turnip(ターニップ)”。このでっかいかぶには、パースニップ(parsnip)のように、かぶの仲間っぽい”〜ニップ(〜nip)”という言葉が付いていない。

 一般に、”swede(スウィード)”というのは、「スウェーデン人」のことを指す。そう、スウィードの原産国はスウェーデン。極まれに”swedish turnip(スウェーディッシュ・ターニップ)”と呼ばれることもあるのだとか。

 最初、イギリスのスコットランドに伝わり、それから、他のイギリス国内やヨーロッパに伝わったと言われている。スコットランドでは、”neep(ニープ)”と呼ばれたりするのだとか。現在のスウェードは、17世紀、ボヘミヤ(Bohemia)で発達したといわれている。 

 アメリカでは、ルタバガ(rutabaga)と呼ばれているそうだ。ルタバガ(rutabaga)という言葉は、スウェーデン語の”rotabagge(=root bag、直訳「根の袋」)”という言葉の由来しているそう。しかし、実はスウェーデンでは、”Kalrot(=cabbege root、直訳「キャベツの根」”と呼ばれているそうだ。なんだかややこしい。
 

☆イギリスの葉牡丹??
Swede_table  日本で見かけたことがないのだが、「カブハボタン」という和名もあるそうだ。「ハボタン」という名前が付いているが、花のような葉を観賞するあの葉牡丹の根の部分ではなく、全く種類が異なるようだ。実物の写真がないのでお見せできないのだが、スウィードの葉のつき方はかぶのような感じのようだ。

 では、かぶの一種かというと、やはり違う。どちらもアブラナ科のアブラナ属だが、種が違う。スウィードは、同じアブラナ属のキャベツとかぶの交配種だと言われている。

 学名は、Brassica napus var. napobrassica。”Brassica(ブラシカ)”とは「アブラナ」という意味。2つもブラシカという言葉が入っている。アブラナ中のアブラナといったところだろうか。
 

☆栄養価も「かぶ+α」
 気になる栄養価だが、かぶと同じく、食物繊維とビタミンCが豊富だそうだ。そして、黄色い色といえば、にんじんなどでお馴染みのベーターカロテン。ビタミンA効果も期待できるようだ。

 日本では、家畜のえさとして使われることはあっても、一般には浸透していないスウィード。実は、イギリスでは、かぶが最初は同じような境遇にあったようだ。牛の飼料としてしか使われず、なかなか普及しなかったのだとか。しかし、今ではかぶは、イギリス人にとってもなくてはならない野菜の一つ。

Swede_with_mince  そのうち、日本でもスウィードが日常野菜として食卓に現れる日がくるのだろうか。願わくば、新しい野菜「スウィード」としてではなく、復興した「カブハボタン」として広まってほしいと思うのだが、どうだろう。
 

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2007年1月22日 (月)

(い) インスペクション [借家の立ち入り検査] INSPECTION

☆大家はいつでも立ち入り可能?
 イギリスの借家制度は、日本のものとかなり異なる。

 まず、物件の多くは、引越しの多い人や短期滞在者にありがたい家具付きの部屋である。そして、水道の水漏れやボイラー故障などのトラブルの場合も、大家や不動産管理会社に連絡して、対処してもらえばいいだけなので、借主にとって経済的に負担がかからないようになっている。

 その反面、借主は、大家や不動産会社から要求された場合には、いつでも部屋を見せなければならない。これがインスペクションである。
 

☆定期的インスペクションと抜き打ち的インスペクション
 インスペクション(inspection)を直訳すると、「視察」、「検閲」、「立ち入り検査」になると思う。インスペクションの目的は、借り手が部屋をきちんと使っているかを、大家や不動産会社が直接目で見て確かめることにある。

 インスペクションには、3ヶ月や半年毎に行われる定期的なものと、借主に問題がありそうなときに行われるもの抜き打ち的なものがある。どちらも前もって通知がある。
 

☆留守にするか、立ち会うか?
 入居後、半年ほど経った頃、定期的インスペクションの通知が不動産会社から届いた。
「明後日○月○日の午前10時から午後4時までの間にインスペクションを行います。当日立会いは不要です。」といった内容のもの。

 日本の借家制度に慣れた者にとっては、これが厄介だ。まず、いきなり知らせが入って、人がやってくるという。そして、変更はまずできない。
 例えば、「その日は都合が悪いから。」と言って断ろうとすると、「(合鍵を持っているので)勝手に入って行うから立会いの必要はない。」と言われるだけだ。
 留守中に勝手に入ってほしくない場合は、朝から晩までひたすら家にいて待機するしかない。

 我が家は土足厳禁だ。靴を脱いでもらうように前もってお願いしたり、張り紙をして外出という手もあるが、留守中に実際に実行してもらったかどうかは、後からは知るべくもない。結局、土足で上がったと見なして、すべての部屋の床を何度も水拭きすることになるので、毎回、立ち会うことにしている。
 

☆どの程度点検される?
 インスペクションの知らせを受けると、我が家では大掃除が始まる。大して物を持っていないし、家もそれほど広くない。腕白盛りの子供が大勢いるわけでもないので、それほど汚れてはいないのだが、やはり「立ち入り検査」ともなると、気が張って、部屋中を磨くことになる。

 最初のインスペクション。もしかしたらチェックされるんじゃないかと思って、シャワーノズルや壁のスカート部分や自前のトースターや炊飯器まで磨きたおしたのだけれど、やってきた不動産管理会社の女性は、5分ほど部屋を見渡して、「きれいね〜。」と言って、あっけなく帰って行った。

 その後も何回か定期的インスペクションを受けているが、毎回ほぼ同じようなもの。
 不動産管理会社の方針にもよるのかもしれないが、今までのインスペクションで点検された箇所は以下の通り。
 ・水周り---ただ数秒眺めるだけ
 ・冷蔵庫の中、オーブンの中---大抵どちらか。「開けてもいい?」と尋ねてくれる。
 ・窓の桟---チェックしないことも多いが、案外要注意。
 

☆怠け者の借主に効果あり
 たったの数分、軽く歩き回っただけで帰ってしまうのだけだし、知人達に尋ねても、よほどひどい状態でない限り、いつもどおりにしているだけだと言う。

 それでも、今回はもしかしたらきっちり点検するかもと、毎回思って、年数回大掃除をしている。怠け者の私にとって、この強制的な立ち入り検査は、家のメンテに役立っているように思う。

 他の怠け者にもしかりのよう。フラット(アパート)の上階の住民の騒音が問題になり、大家がその家に抜き打ち的インスペクションを行うことになった時のことだ。その数日前、山のようなアルコールの瓶や缶を抱えて、その住人がごみ収集所に向かっているのを何度か目撃した。また、一日中掃除機の音や洗濯機の音が鳴っていた。彼らの場合は、「よほどひどい状態」だったのかもしれない。
 

☆退去前の見学者のためのインスペクション
 インスペクションの目的は、借り手が部屋をきちんと使っているかを大家や不動産会社が直接目で見て確かめることだと前に述べたが、実は、もう一つ、違う目的で行なわれるインスペクションがある。
 退去前に行なわれる、新入居者の見学のためのインスペクションである。

 日本と同様に、借主は、部屋(家)を引き払う前に、事前(1〜2ヶ月前)に大家や不動産管理会社にその旨を通達するする必要がある。そして、イギリスの場合は、この期間の間にインスペクションが行なわれる。

 つまり、日本では、前の借主が退去した後に、家主が新しい借主候補に物件を見せるのに対して、イギリスの場合は、借主の退去前、実際に住んでいる時に、部屋の様子を見せるのである。

 1度で新しい契約が決まればそれでOKだが、場合によっては、何度もいろんな人が尋ねてくることになる。
 引越し前だからといって、ダンボール箱を散らかしていたりなどして、気を抜いていられない。汚く住み心地悪そうに見えると、なかなか新しい借り手が見つからず、インスペクションの機会も増えることになるからだ。

 他人が自分の家に勝手に立ち入ることに慣れていない日本人にとっては、ある意味、かなり苦痛の日々かもしれない。

 とはいえ、逆に、自分が物件見学する立場にある場合は、その入居者の暮らしぶりを垣間見ることができるので、楽しくもあるのだけれど。
 

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2007年1月 8日 (月)

(て) テレテキスト [文字多重放送、テレビ字幕] TELETEXT

 イギリス人の英語は分かりにくい。ただでさえ英語の聞き取りができないのだが、日本で習った英語や海外映画やドラマで聞く英語がアメリカ英語だったせいもあるのかもしれない。

 イギリス英語独特のアクセントに早さが加わって、最初は簡単な言葉でもさっぱりわからなかった。TVを見ていてもさっぱりわからない。たまに、おっ多少は聞き取りやすいぞと思うと、アメリカの番組だったりする。文字にすればわかるだろうとずっと思っていた。
 

☆文字放送が見れるテレビ
 うちのテレビは職場の知人からもらったものだが、もらって1年以上経ってから、実はテレテキスト機能がついていることがわかった。

 テレテキストとは、テレビ画面で文字情報を見ることができるサービスである。
 イギリスは、地上波のテレビ局が4~5局あるのだが、それぞれのテレビチャンネルで、文字多重放送を見ることができる。

Teletext_flight_info 特に、BBCのテレテキスト、シーファックス(ceefax)は、1974年(昭和49年)に誕生した世界初の文字放送だけあって、かなり充実している。
 テレビ字幕だけでなく、テレビの番組案内から、天気予報、料理レシピ、飛行機のフライト情報や競馬などの賭け事の情報などなど、数え切れないほど様々な情報を文字で見ることができる。

 テレテキストを見るためには、ごく普通のテレテキスト機能のついたテレビを購入すればいいだけである。どこかと契約する必要はいらない。
 

☆機能充実。テレテキスト。
Teletext_main  早速、うちもテレテキストでTVを見てみた。操作は簡単。チャンネルを決めたら、テレビのリモコンを使って、テレテキストのホーム画面を表示させ、3桁の数字を入力するだけだ。例えば、メイン画面は「100」、字幕表示は「888」。
 ドラマ、映画、ドキュメンタリー、クイズ番組など様々な番組で字幕が表示された。一部のコマーシャルまで。

 我が家は、レンタルDVDを借りて(英語)字幕付きにして見ることが多いのだが、実際に話している言葉に対して字幕がかなり簡略化されていることに、少々不満に思っていた。

Teletext_subtitling  その点、テレテキストは、かなり正確で、話している通りに表示されているように思う。また、会話の場合は話す人によって文字の色を変えるなどの工夫がされており、読みやすい。また、文字の大きさを変えることもできる。
 ニュースなどの生放送では字幕が遅れ、かなり時差があって却って理解しにくいが、かなり万能のように思う。


☆やっぱり手作業??

 テレテキストの字幕は、文字にしている人が違うのか、同じ言葉(台詞、歌詞) でも微妙に違って書かれていることもある。
 また、早口な人の時、特にアメリカ英語でしゃべっている人の場合は、時々単語の中の一部の文字が抜けた歯抜け状態になっているときがある。 
 

☆テレテキストが普及している理由は?
Teletext_remote  日本でも文字放送というものがあるが、それほど普及していないように思う。お年寄りや聴覚障害者以外はそれほど必要とされないのかもしれない。
 一方、イギリスでは、テレテキストはかなり普及しているように思う。大抵のテレビはテレテキストの機能がついている。

 普及している理由の一つには、テレビ一つあればいろいろな情報がわかるということが大きいのだろうが、イギリス特有の事情も理由として挙げられると思う。

 例えば、いわゆる旧植民地のイギリス連邦や、同じEU加盟国からの移民を始め、様々な国がイギリスに移り住んでいるということ。街中に出ても、様々な言語が飛び変わっているが、誰も気をとめる人はいない。
 また、同じ英語でも、アメリカ英語やオーストラリア英語とは、発音も言葉の使い方もだいぶ異なるので、これらの英語を話す人にとってもテレテキストは有用なのだろう。

 また、イギリス人だからといって、イギリス英語を話すとは限らない。公用語は英語となっているが、ウェールズの人はウェールズ語、北アイルランドの人はアイルランド語、スコットランド人はスコットランド語を日常的に話すことも多いからだ。
 
 
 字幕を追うのに精一杯という感は否めないが、いつまで経ってもカタコト英語の私と連合いも、テレテキストのおかげで多少は番組の内容がわかるようになった。しかし、ちょっと込み入った内容やスラングになると、相変わらずさっぱり。
 どうやら、聞き取りどうのこうのという問題ではなさそうである。
 

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2006年12月25日 (月)

(ろ) ローストターキー [七面鳥の丸焼き] ROAST TURKEY

☆イギリスのクリスマスのごちそうといえば・・・
 イギリスのクリスマスのメインと言えば、七面鳥の丸焼き、ローストターキーだろう。

 七面鳥の丸焼きと聞けば、アメリカの感謝祭のディナーを思い浮かべてしまうけれど、ここイギリスでは、誰がなんと言おうとクリスマスディナー(実際にはランチ)である。
 イギリス七面鳥情報センター(!)によると、ローストターキーをクリスマスの食卓の中心に据える家庭は9割を占め、ローストターキーがないとクリスマスじゃないという人は、87%もいるのだとか。ローストビーフやガチョウや鶏をローストする人も増えているように思うが、毎年約1千万羽の七面鳥がクリスマスで消費されているそうだ。

 実はまだ一度も食したことがなかったのだが、郷に入れば郷に従えということで、うちも初年度のクリスマスイブはローストターキーのディナーを楽しむことにした。
 

☆焼いたものが売ってない?!
 イギリスのスーパーでは、普段から丸ごとのローストチキン(鶏の丸焼き)が店頭に並んでいる。そして、この国では七面鳥(ターキー)は鶏肉(チキン)と並んでメジャーな鳥肉である。だからきっとローストターキーもあるに違いないと思い、最初は出来合いのローストターキーを購入しようと思っていた。

 クリスマスも押し迫った12月の22日頃、下見に行ったが、どこも売っていない。ローストターキー用の生の七面鳥が販売されているだけ。
 レシピを調べたところ、焼くのに時間がかかるもののそれほど難しくないようなので、生の七面鳥を買って家で焼くことにした。
 

☆選り取り見取りの生の七面鳥
Roastturkey_unpacked_1  生の七面鳥といっても、冷凍物、冷蔵物、サイズの大小が店頭に並んでいる。ローストチキンですら焼いたことのない私達には、どれがよいのかさっぱりわからない。

 冷凍物は5ポンド(約千円)程度で買え、割安なのだが、2日前から冷蔵庫でじっくり解凍させる必要がある。面倒なので、結局、冷蔵物の小さいものを購入することにした。11.15ポンド(約2千2百円)。小さいとはいいつつ3.4Kgなので、焼くのに3時間弱かかるよう。ちなみに、平均的なものは5.5Kgだそうだ。
 

☆焼く前の作業---ギブレットの処理とスタッフィング
 レシピによると、臓物(giblet)を取り除いて中をきれいにする作業と、中に詰め物(スタッフィング、stuffing)をする作業が必要らしい。なんだかんだと時間がかかりそうなので、前日の23日の間にこれらの作業をすることにした。

Roastturkey_without_giblets  恐る恐る七面鳥の腹を覘くと、中はきれいさっぱり臓物が取り除かれていた。さらに驚くべきことに、ビニルパックに入った少量の詰め物用の臓物(おそらくレバー)が中にあった。面倒な内臓の処理がいらないとは大変気が利いている。しかし、臓物がそのままのものもあるそうなので、買うときには要注意だ。

 中に詰める詰め物(スタッフィング)は、この臓物、玉ねぎ1個、セロリ4本、にんじん1本、リンゴ1個をみじん切りにしてよく炒め、塩コショウ、タイム、ローリエを加えて、1個とパン粉1カップと混ぜ合わせたものである。
 私達は、自分で用意したが、スタッフィングや、スタッフィング用の粉が常時店頭に並んでいるので、これを利用するのも手かもしれない。スタッフィングが既につまった七面鳥も市販されているそうである。
 詰め終わった七面鳥はイブに備えて冷蔵庫で一晩お休みとなった。
 

☆七面鳥の焼き方---我が家の場合
Roastturkey_before  翌日、七面鳥をホイルで包み、170度のオーブンに入れた。イギリスではクリスマス前になると、通常の幅の倍ほどあるローストターキー用ホイルが売られる。分厚くすっぽり包めるため、肉汁が漏れることがなく、なかなか便利である。

 焼くこと3時間、七面鳥を取り出し、竹串をさしてチェックする。ホイルに溜まった肉汁を上からかけ、付け合せのパースニップとじゃがいもを七面鳥の脇において、いっしょにロースト15分。その後、ホイルをもう一度きっちり巻いた状態で蒸らすこと30分。通常ならこれで終了なのだが、なんとなく生っぽいところがあったので、うちはさらに1時間ローストした。 
 

☆お味は?---冷めてから味わうがよし?
Roastturkey_after  計1晩+4時間45分。焼き色がついていないので、多少不安があったのも事実だ。しかし、これだけ時間がかかったのだから美味しいに違いないと期待して食卓についた。
 一口食べて、「えっ?」。二口目も、「・・・」。 胸肉辺りはぱさぱさしており、モモ肉あたりは七面鳥のにおいがきつく、あまり美味しくなかったのだ。
 詰め物に香草をふんだんに入れたにも拘らず、肉に香りが全然移っていない。普段よく作っている鶏の手羽先焼きのほうがはっきり言って断然おいしい。私達の作り方が拙かったのだろうか。
 結局すぐに嫌になって食べるのをやめてしまった。「来年からはローストチキンを買って来ようね。」と連合いと何度も確認しあった。

 しかし、数時間経って、空腹に耐え切れず、すっかり冷めてしまったローストターキーを仕方なく口に放り込んだ。「ん?!おいしい!」。冷めて七面鳥のくさみが抑えられ、肉もひきしまり、香草の香りがほのかにする。そういえば、ローストビーフにしても冷えたものを味わう料理だった。ひょっとするとローストターキーもある程度冷まして食べるものなのだろうか。
 

 いくら美味しくなったとはいえ、骨込みだが3.4Kgの肉を消費できるはずもなく、殆どがフリーザーバッグに詰められ、翌日からの肉源となった。

Roast_turkey_chicken 換気扇をつけてもいつまでも漂った七面鳥の臭いにもやられたのか、連合いは当分ローストターキーは見たくないと言い放ち、手間隙かけて作ったローストターキーは、濃く味付けした煮物などの和風の料理の中で存在を主張することなく、ひっそりと食べられていった。

 (補足)クリスマス用の七面鳥を上手に焼きたい方は、こちらのBBCのガイドもご参照ください(英語)。おいしそうなローストターキーの写真もご覧になれます。
 

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2006年12月18日 (月)

(こ) ゴールデンシロップ GOLDEN SYRUP

☆飴色のシロップ
Goldensyrup_withhoney  日本の多くの家で蜂蜜が常備されているように、イギリスのどの家庭にもおそらくあるんじゃないかと思われるのが、ゴールデンシロップ。その名にふさわしい、飴色のとろりとしたシロップである。

 イギリスでは、パンケーキやプディングにかけるだけでなく、タルトやケーキやフラップジャックなど、様々なお菓子に利用されている。甘い菓子だけでなく、和食が大好きな我が家でも、ゴールデンシロップは大活躍している。
 

☆甘いだけでなくコクがあり、安全
Goldensyrup_sweets  ゴールデンシロップのよさは、その甘みの質だ。通常のグラニュー糖などの砂糖は、ショ糖しか含まれていないが、ゴールデンシロップには、ショ糖のほか、日本の上白糖に含まれている転化糖(ブドウ糖と果糖の混合物)が含まれているのである。だから、甘く、味にコクがある。

 舐めてみると、甘露飴のような甘い味だが、ハチミツやメープルシロップのようなクセはない。洋風の料理だけでなく、和風の料理にも利用できる。

Golden_syrup_dish  実際、しょうゆと混ぜたものは、まさしく、みたらし団子のたれの味だった。肉じゃがに使ってみたところ、日本で、上白糖を使って作ったのと同じ、深みのあるものに仕上がった。シロップ状で使いやすく、我が家では煮物を作るのに欠かせない調味料となっている。

 また、蜂蜜にはボツリヌス菌の胞子が含まれていることがあるので、1歳未満の乳児に与えてはいけないが、ゴールデンシロップの場合はサトウキビから抽出されたものなので、与えても安心だ。
 

Goldensyrup_bottle☆ゴールデンシロップはイギリス生まれ
 イギリス中で普及しているだけあって、ゴールデンシロップは、イギリス生まれ。そして、マーマイトと同じように、廃物利用から誕生した食品である。
 1883年(明治15年)、スコットランドの商人エイブラム・ライル(Abram Lyle)が、砂糖の精製過程に廃棄される甘い液に目をつけ、売り始めたのが始まりだそうだ。その後、1921年(大正10年)に、砂糖精製業社のテール社(Tale)と合併し、イギリス最大手の砂糖製造会社Tale and Lyle PLC社ができた。ライルのゴールデンシロップのHPはこちら(英語)。ゴールデンシロップを使ったレシピもご覧になれます。

 今では、ライルのゴールデンシロップを知らない人はいないぐらいで、イギリス中どこに行っても、緑と金にライオンのイラストが目印のテール&ライル社のゴールデンシロップを手にすることができる。缶のものがオリジナルだが今ではボトルタイプも出されている。どれも、ライオンのマーク入り。
 

☆パッケージにもご注目
Goldensyrup_lion  しかしよく見ると、このパッケージのライオンは、なにやら無数の小さい粒のようなものに取り囲まれて横たわっており、いかにも元気がなさそう。

 実は、これは、ライオンの死骸に群がるミツバチの絵だそうだ。なんとも不気味な感じがするが、旧約聖書にあるサムソン(Samson)の逸話に基づいているらしい。
 怪力で豪勇のイスラエルの指導者、サムソンが旅をしていた時に、自分に襲いかかったライオンを殺すのだが、後にそのライオンの死骸にミツバチがたかっているのを見つけ、仲間に「食らうものから食べ物が出て、強いものから甘いものが出た。(Out of the eater came forth meat and out of the strong came forth sweetness)」というなぞ賭けをするという話だ。自分を苦しめる強敵からでも、自分にとってありがたい助けになることがあるという教えのようだ。信心深い創始者のライル氏が採用したのだとか。

 この教えがゴールデンシロップのどことつながるのか少々疑問だが、2006年9月のBBCニュースによると、なんとこのパッケージが1885年(明治17年)以来、約120年間、殆ど変わっていないということで、ギネスブックに載ったそうだ。そのニュースはこちらのBBCのサイトからご覧になれます(英語)。
 子供が怖がることを考慮したのか、最近では元気なライオンのキャラクターが描かれているものもある。
 

 残念ながら、日本ではライルのゴールデンシロップは手に入らないようだが、イギリスの食べ物に閉口しているイギリス在住の方がおられたら、この緑と金の地に横たわったライオンを見かけた際は是非お試しを。
 強いものから甘いものが出ることを実感できるかもしれません。
 

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2006年12月11日 (月)

(ふ) ブルタック BLUTACK

Blutack こちらに来て、便利だなと思ったものの一つにブルタックがある。練り消しゴムのような粘着ゴムで、自由な大きさや形にして、物を壁などに貼り付けることができる。

←ブルタック(楽天市場)
 

☆イギリス生まれの手頃な粘着材
 日本ではそれほど出回っていないように思うが、こちらではどのスーパーでも店頭に並んでいる。また、家の契約書には「ブルタックなどを壁に対して使わないように」とわざわざ書いてある。それほどイギリスではポピュラーな商品のようだ。

 ブルタックは、フランスの石油会社のトータル(Total)の子会社であるボスティック(Bostic)社から発売されているが、実は、イギリスのイングランド生まれ。1971年(昭和46年)頃から、もう30年以上も使われており、イギリス人なら誰でも知っている粘着材というわけだ。
ボスティック社のHPはこちら(英語)。赤丸のCreative Idea'sをクリックすると、ブルタックを使った不思議な作品を見ることができます。
 

☆水色(ブルー)だから、ブルータック?
 色がブルーなので、Blue-tackかと思ったが、実はBlu-tack。もとは白色だったが、子供が菓子と間違えて飲み込まないようにと、途中で水色(ブルー)に変えられたそうだ。しかし、現在では、白色やピンク、黄色など他の色の商品も出回っている。価格は、1パック、1ポンドほど(約200円)。たまに0.6ポンド(約120円)ほどで売られていたりする。
 

☆なかなかの粘着力Blutack_using_1
 我が家では、粘着テープの代わりにブルタックを使っている。プラスティックコップをかけるフックを洗面所のタイルに固定したり、ラップホルダーを冷蔵庫に固定したり。軽く見ていたが、案外強力で、頼もしい限りだ。平面だけでなく曲面にも使えるのもうれしい。

 裏面の説明書きには鍵やドライバー、そして、洋服ハンガーまで貼り付けている絵が載っている。壁紙などに貼り付けると、強力なあまり壁紙が破れてしまうかもしれないが、基本的に万能のようだ。
 

☆簡単にはがせて、再利用可能。そして安全
Blutack_sticky_1  貼りなおしも簡単で、殆ど跡が残らないのもうれしい。そして、放って置いても硬くならず、練り直せば再利用もできる。接着剤や質の悪い粘着テープと違って、嫌な臭いもしない。もちろん食べることはできないが、基本的に安全な素材でできているそうだ。
 

 1パックあれば、かなりあちこちに使うことができる。メモやポスターを貼り付けや置物の固定にも使えるし、どうしてこんな便利なものが日本であまり普及していないのか不思議に思うほどである。
 最近では、スティッキードッツ(sticki dots)という名の透明の粘着剤がボスティック社から出されており、ブルタックの地位を脅かしつつあるような気がするが、断然、私はブルタック派だ。

←スティッキードッツ(楽天市場)
 

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2006年11月30日 (木)

(か) 家具付きの部屋 FURNISHED

☆丸ごと借りれる家
Furnished_kitchen  うちは、日本で言うところのマンション・アパートにあたるフラットを借りて住んでいるのだが、イギリスでは、やフラットの殆どは家具付きの状態で貸してもらうことができる。

 付いているのは、冷蔵庫、洗濯機、オーブン、コンロ、ソファー、ベッド、収納棚、テーブル、カーテン、掃除機など。
 フルセット(Full furshied)になると、電気ケトルトースターアイロンなどの小型電化製品の他、ほうきやバケツなどの掃除道具、鍋やボール、包丁などの調理用品や、皿やワイングラス、コーヒーカップなどの食器、スプーン、フォークなどのカトラリーのセットまで付いていたりする。もちろん、蓄熱ヒーターなどのヒーターも各部屋に設置されている。庭付きの家では、芝刈り機が付いていたりする。
 

☆家財目録と定期検査
 もちろん、家を引き払うときには、すべて返さなくてはいけない。しかし、何年も借りていると、壊れたり、紛失したり、借主の持ち物との区別がわからなくなってしまうことがある。
 それを防ぐために、イギリスでは、部屋貸しの際には、インベントリー(inventory)とよばれる家財目録が作成され、正しく家や家具を使っているかどうかをチェックするための、インスペクション(inspection)とよばれる定期的な借家の立ち入り検査がおこなわれるのが通常だ。むろん、どちらも、家具付きでない場合も実施されている。慣れない最初のうちは、多少面倒に感じるかもしれない。
 

☆家具付きだと何がよいのか?
 そもそも、人が使ったものなんて、と気持ち悪く思われる方もおられるかもしれないが、家具付きというのは本当に便利だ。かく言う私も最初はかなり気味悪く思っていたが、今では、このシステムをとても気に入っている。

 部屋に合わせてコーディネートされたものが、初めから適切な場所に配置されているという点もよいし、そして、なにより費用がかからないのがいい。引っ越す度に、大きさが合わないからとか、部屋に合っていないからという理由で、家具や電化製品を買い換える必要がないのである。部屋に付いているものなので、故障の際は部屋の持ち主が修理費をもってくれるというのも魅力的である。
 

☆交渉でアレンジ可
 付いているからといって、必ずしも全部をそのまま使う必要はない。自前のものを持っている場合や足りないものがある場合は、大家と交渉して、いらないものを引き取ってもらったり、買い足してもらったりすることも可能のようだ。
 我が家も、自前のがあったので大家の電子レンジを引き取ってもらい、なかったダブルのソファーや客用ベッドなどを買い足してもらった。

 我が家は、鍋や食器類は、自分達のものを使っているが、それ以外の殆どのものは、家に付いているものを使っている。特に、大きなオーブンやソファーに、日本のより使いやすいのではないかと思われる全自動乾燥洗濯機などはかなり重宝している。
 

☆どうして家具付きの家が普及しているのか?
 を貸す側としては、財産である何十年、何百年という古い家を、自分の意図に沿って大事に使ってほしいという気持ちがあるだろうし、借りる側としても、コストと手間を削減したいという人も多いだろう。
 特に、イギリスの場合、イギリス国内の移動もさることながら、EU加盟国やイギリス連邦、そして、他の英語圏からやってくる人も多い。電圧(コンセント)の問題や輸送の問題があって家具を持って行けない海外からの居住者や引越しの多い一時滞在者にとって、家具付きであることは、とてもありがたいに違いない。

 家具付きの家は、イギリスの貸主借主両者の都合に合致したとても合理的なシステムのように思う。日本ではどうだろうか。
 

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