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2007年12月17日 (月)

(み) ミンスパイ MINCE PIE

Mincepie  クリスマスや新年のときにイギリス人が挙(こぞ)って喜んで食べるのが、ミンスパイだ。街のスーパーでもこの時期になるとミンスパイの箱が並ぶ。
 

☆「挽肉パイ」?
 ミンス(mince)とは、ミンチ肉、挽肉(ひき肉)のこと。だから、直訳すると「挽肉パイ」となる。
 イギリス人、特に女性は皆、ミンスパイが好きなようで、ミンスパイの美味しさが話題になる時がある。しかし、食べ物の話になると特に熱心に耳を傾ける私達夫婦も、「こっちの人は、こってりした肉料理が好きだなぁ。」と感心するだけで、あまり興味を持てずに聞き流してしまっていた。

 ところで、クリスマスが近づくとよく頂戴する菓子があった。小さいタルト生地の中にドライフルーツが詰まった菓子だ。甘酸っぱいしっとりとしたドライフルーツに、ほんのりと嫌味でない程度に効いたスパイスと香ばしいナッツが混ざり、サクサクとしたタルト生地によく合っている。
 大きさは、直径5~7cmほどで、とても小さく食べやすい。連合いはそれほど好きではないようだが、私は結構気に入っていた。何という名のお菓子だろうと気になっていたものの、わざわざ尋ねることもなく日が過ぎていった。

 ある時、店中を歩いていて気が付いた。あの頂き物のお菓子が店頭に並んでいる。そして、そこには「ミンスパイ(mince pie)」という表示が。何かの間違いかと思って違う商品を確認したが、やはり同じ。挽肉もパイ生地も使われていないあのお菓子の名前は、ミンスパイだったのだ。
 

☆肉が入っていない挽肉パイ
 ミンスパイはイギリスのクリスマスや新年の伝統的な菓子である。イギリスでは、16世紀ごろからクリスマスに食べられてきたそうで、昔は名前の通り、挽肉が入っていたそうだ。当初は、ドライフルーツの他、羊肉やうさぎや鳩、雉(きじ)などの肉やレバー、、酢漬けのマッシュルームなども入っていたらしい。

Mincepie_inside  現在では、挽肉の入っていないドライフルーツだけのものが主流である。中は、レーズン、サルタナ(スルタナ、黄ぶどう)、カラント(房スグリ)、チェリー(さくらんぼ)、レモンピール、オレンジピールなどのドライフルーツに、くるみやアーモンドなどの砕いたナッツ類が入っており、ナツメグ、シナモン、クローブなどの香辛料とブランデーやラム酒などのアルコールで風味付けされている。

 このミンスパイの中身の部分だけが詰まった瓶詰めも売られており、その名も、「ミンスミート(mincemeat)」。直訳して「ミンチ肉(挽肉)」である。
 やはり肉は入っていないが、もちろん誰も挽肉と間違えないようだ。常温の瓶詰めだし、通常、挽肉は、”beef mince(ビーフ・ミンス、牛ミンチ)”といったように、「肉の種類」+「ミンス(mince)」と2語で書かれているのに対して、ミンスミート(mincemeat)はこれで1語。ミートソースか何かだとずっと勘違いしていたのは、こちらの風習に疎く英語の拙い私達ぐらいなのかもしれない。
 瓶詰めは大体400gほど入って、1~2ポンド(約2~400円)。生地だけ自分で作って、瓶詰めのミンスミートを詰める人も多いようだ。

 ミンスパイからどうして挽肉がなくなったのかは、定かではないのだが、クロムウェルの清教徒改革(ピューリタン革命)による禁欲主義政策で、他のクリスマス行事と同様にミンスパイが禁止されたことが関係していると指摘する人もいるようだ。
 
 また、タルト生地(shortcrust pastry)だけでなく、パイ生地(puff pastry)のミンスパイも普及している。元々、イギリス料理には、パイと名前が付いていてもパイ生地ではなくタルト生地やマッシュポテトの生地を使っているものも多い。ミンスパイもその一つと考えていいかもしれない。
 

☆作るときも食べるときも要注意?
 ミンスパイはクリスマスの菓子だけあって、キリスト教にまつわる話や迷信も多い。

Mincepie_star  まず、ミンスパイの上には、大抵、星の形をした生地が乗っている。これは、クリスマスツリーの一番上に付けられる星と同様に、イエス・キリストの誕生の際に東方の賢者達をイエスのもとに導いた星を表しているそうだ。

 そして、クリスマスの12日間、つまり、キリスト誕生のクリスマスから1月6日の御公現の祝日(the Epiphany)まで、毎日1個のミンスパイを食べると幸運になると言われている。

 しかし、しゃべりながら食べてはならず、願い事をするなら、そのクリスマスシーズン最初のミンスパイを食べるときにしておかなければいけないそうだ。
  また、どんなミンスパイでもOKというわけではない。時計回りにかき混ぜられたミンスミートが詰められていないといけないそうだ。ミンスミートを反時計回りにかき混ぜると翌年は不幸になるといわれている。

 
 今年のクリスマスは、我が家もクリスマスプディングに加えて、ミンスパイを登場させる予定だ。もう何年も前から食べ続けてきたかのように、「やっぱりこの時期はミンスパイだよね。」と連合いとうなづきながら食べてみたい。

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