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2007年10月 4日 (木)

(ら) ラナービーン RUNNER BEANS

 現代の日本では様々な西洋の野菜が普及している。比較的新しいものは、ロケット(ルッコラ)やズッキーニ(コジェッツ)などだろうか。これ以上海外に美味しい野菜は残っていないように思われるかもしれない。特に、料理が不味いと言われるイギリスには。

Photo_3  しかし、イギリスには、まだまだ珍しく美味しい野菜がまだまだゴロゴロしているように思う。右写真の大きな不思議な野菜もその一つだろう。
 

☆大きなさやえんどう??
 ラナービーン(runner beans)という品名がついたこの野菜は、日本のさやえんどう(絹さや)を大きくしたような見かけだ。日本のキュウリほどの長さ。全体的に肉厚で、中の豆は小さい。さやえんどうやさやいんげんのように、さやごと食べる豆である。

Runner_bean_stringless  大体一袋250グラム、10本ほど入っていて 1~1.5ポンド(約2~300円)。1本が大きく肉厚なため、さやえんどうやさやいんげんよりもかなりお買い得だ。量り売りもよくされている。

 そして、ラナービーンズの近くには大抵、ラナービーンによく似たストリングレス・ビーン(stringless bean)というものが同じような価格で売られている。ストリングレス(stringless)とは「筋(すじ)のない」という意味。つまり、筋なしラナービーンズというわけだ。品種が異なるためか、ラナービーンより色が薄く表面も滑らかだ。ここではまとめてラナービーンとして紹介したい。
 

☆原産ではないが、イギリスの野菜
 ラナービーンは、元は、中央アメリカや南アメリカの寒冷地原産の多年生植物だが、今では半耐寒性の一年生植物としてイギリス国内でも広く栽培されているそうだ。イギリスに入って来たのは17世紀のこと。チャールズ一世の庭師であるジョン・トラデスカント(John Tradescant)氏が鑑賞用に育てたのが始まりだとか。

 家庭菜園でも簡単に出来る野菜で、自分で栽培している人も多く、種も簡単に手に入る。
 収穫はだいたい6月~9月の夏だが、スーパーなどでは一年中店頭に並んでいる。現在では、イギリスだけでなく、イタリアなどのヨーロッパやメキシコでも普及しているが、イギリスでの普及ぶりやヨーロッパに広まったルーツを考えると、イギリスの野菜と言ってよいかもしれない。

 
☆ラナービーンの種類
 鑑賞用も含めて、イギリスでは、アチーヴメント(Achievement)、エノーマ(Enorma)、レッドナイト(Red Knight)、マーゴール(Mergole)、デジレ(Desiree)、ストリームライン(Streamline)、バトラー(Butler)、スカーレットエンペラー(Scarlet Emperor)、ケルヴェドンマーヴェル(Kelvedon Marvel)、サンセット(Sunset)、フライ(Fry)、ペインテッドレイディ(Painted Lady)、クルーセイダー(Crusader)、ポールスター(polestar)、エマーゴ(Emergo)など、本当に様々な種類のものが栽培されているようだ。

 パッケージには、どの品種だと書いていないので、この中のどれが日常的に食用として市場に出回っているものなのかはよくわからないのだが、バトラー(Butler)やポールスター(Polestar)などのさやの柔らかい緑のものが人気があるようだ。

 
 ☆エンドウではなくインゲンの仲間
Runner_bean_stringless_and_green  ラナービーンは、さやえんどうのようなエンドウの仲間ではなく、マメ科インゲン属。だから、大きいさやえんどうという表現よりも、幅広の大きいさやいんげんという形容のほうが適当かもしれない。

 もちろん、さやいんげんもイギリスでは、グリーンビーン(green beans)やドワーフ・ビーン(dwarf beans)という名で、簡単に手に入れることができる。ドワーフ(dwarf)とは、「(動物や植物などが)矮小の(=小さい)」という意味。ラナービーンズが普及しているイギリスでは、納得のいく名前。

 だが、ラナービーンのさやが小さい頃に収穫されたものがさやいんげんというわけではない。さやいんげんは同じインゲン属なのだが種(しゅ)が異なるのだ*。 *ラナービーンの学名はPhaseolus coccineus L。さやいんげんの学名はPhaseolus vulgaris L

 ちなみに、ラナービーンのラナー(runner)とは、「走者」という意味ではなく、「ほふく茎」という意味のようだ。つる植物なので、巻きつくささえなどがないと、つるは地面を這うほふく茎となる。おそらく、こういうところから呼ばれることになったのだろう。
 

☆日本では鞘ではなく豆を食べる
 和名もちゃんとある。日本ではベニバナインゲン(紅花隠元)やムラサキバナインゲン(紫花隠元)と呼ばれたりするようだ。

 日本には江戸時代末期にやってきて、最初はイギリス同様、観賞用として栽培され、大正時代以降に食用として本格的に栽培され始めたのだとか。寒冷な土地でないと結実しないそうで、現在では、北海道や長野などで主に栽培されているようだ。

 しかし、食用と言っても、日本で食されているのはさやではなく、結実した豆の部分。花の色が赤や紫で美しいことから花豆として知られている。
 

☆さやえんどうの彩りに、さやいんげんのうまみ、プラスα
 筋を取らずにそのまま使ってしまうと、ごくたまに多少後悔することがあるが、味はなかなかのもの。

Photo_5  ラナービーンの持ち味は、さやいんげんに似たうまみと、しっかりした歯ざわりと、彩りだろう。
 さやごと食べる豆なので、独特のアミノ酸のうまみと緑黄色野菜特有の甘みがある。特にランナービーンズはこの甘みが強いように思う。

 また、さやえんどうやさやいんげんは、料理に青みを添えたいときに用いられることがよくあるが、加熱しすぎると、歯ざわりがなくなってしまったりする。だから、シャキっとした歯ざわりを味わいたい炒め物などの時は、気を使うことも多い。その点、ラナービーンは、肉厚なこともあって、多少加熱しても、シャキシャキとした歯ざわりを楽しめる。色も鮮やかなまま。

 我が家では、初年度のおせち料理の煮しめのさやえんどうの代わりに、ラナービーンを使用したが、彩りも抜群。多少煮てもしっかりしていて、にんじんや里芋などの根菜に囲まれて大いに健闘していた。
 

☆ランナービーンを使った料理Photo_6
 イギリスでは、ラナービーンは、バターでソテーしたり、茹でたり蒸し器で蒸したりして、肉料理の付け合せとして食卓にのぼることが多いようだ。最近では、サルサやカレー、スープ、サラダ、炒め物などに使われたりもされている。
 どの場合も細ななめ切りにして使われることが多いようだ。町でもカットされた袋詰めのものが売られていたりする。

Photo_7  ラナービーンは、洋風だけでなく和食にもよく合う。我が家では、煮物のほか、胡麻和えなどの和え物にしたり、味噌汁などの具にすることも多い。連合いが作ってくれたヒジキとラナービーンの煮びたしは、日本に古くからこの料理が存在していたかのように、ラナービーンの歯ざわりとうまみが生きていた。

 1パックに結構の量が入っているが、用途も広く案外長持ちするので、使い切れないうちに悪くなるということは殆どないようだ。
 

☆栄養価は?---女性、特に妊婦の方へお奨め
 栄養価だが、さやいんげん同様にビタミンCや繊維質が豊富なだけでなく、カロテンや葉酸(folic acid)も多く含まれている。
 葉酸は不足すると悪性の貧血を招くビタミン。妊娠初期に不足すると胎児に神経障害が起きる可能性があるので、イギリスでも妊婦への摂取が積極的に推奨されている。
 また、鉄分やカルシウムもラナービーンには含まれている。貧血が気になる女性や妊婦の方にお奨めしたい野菜の一つである。

 また、前述のように、さやごと食べる豆なのでアミノ酸も豊富。肉類に含まれるビタミンB12やビタミンDはないが、タンパク質源としても活用できるようだ。
 

Photo_4  日本の花豆とイギリスのラナービーン。どうして同じ植物なのに、食べる部分が違うのだろう。日本で栽培されている花豆の品種は、イギリスの観賞用の品種と同様にさやを食べるのに適していないものなのかもしれない。逆もそうなのだろうか。イギリスにはいろんな豆が出回っているが、その中にラナービーンの豆があるのだろうか。

 「ラナービーンが美味しくて、イギリス人は豆が実るまでに食べてしまっているのだろう」なんて冗談もあながち間違いではなかったりして。

 
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コメント

お豆にはおかしなエピソードがあります。

母がイギリスに滞在していたときに、
向かいのイギリス人が「庭でフレンチビーンのいいのが収穫できた」
といってもってきてくれたらしい。

そして「日本ではなんていうのか?」
ときかれて、三度豆に似ていたので
「スリータイムビーン!一年に三回取れるからと思う」
といったらしいです。

結構笑っちゃいました。

投稿: ぱんちゃん | 2007年10月 4日 (木) 21時07分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

スリータイムビーンですか~ww
なんだかサイズがありそうな名前ですねw

さんどまめ(三度豆)はさやいんげんの関西地方での
呼び名ですね。
そんな意味があるとは知りませんでした。

コメントいただいたように、こちらではさやいんげんは
しばしばフレンチビーン(French bean)とも呼ばれますね~。
すっかり記述し忘れてました(汗)。どうもありがとうございます。
本文にも加筆しておきますね。

お母様のラナービーンの感想と命名もうかがいたいですw

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年10月 4日 (木) 21時34分

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