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2007年9月13日 (木)

(た) タクシー -前編- TAXICAB -part1-

 渡英間もない頃、おちびの用事で、ヒースロー空港付近の施設に通っていた。空港付近といっても、かなり距離がある。歩いた人によると片道1時間半近くかかるそうだ。車で15分弱といったところだろうか。
 送迎バスも1日1往復出ているが、乗り過ごしたり、サービスのないときがあったりする。そんな場合の唯一の交通手段はタクシーだった。
 

☆ブラックキャブ=怪しいタクシー??
 最初、何も知らずに、空港のタクシー乗り場で普通にタクシーをひろった。事前に料金を尋ねると、たった15分程度の距離だというのに、なんと40ポンド(約8千円)もかかるという。
 後に、施設の人に呼び出しのタクシー会社を教えてもらった。それを利用すると、10ポンド(約2千円)。

 この話を同じ施設に通っていた人にすると、同じ目に遭ったという。側のまた別の人が一言。「ブラックキャブ (black cab)だからね。」

 「ブラックキャブ (黒いタクシー)??」
 耳慣れない言葉に一瞬反応したものの、その場ではそのまま流してしまった。ニューヨークを走っているあの有名なイエローキャブ(yellow cab)をもじって、「闇タクシー」つまり、日本の白タクのような「正規ではない怪しいタクシー」という意味で使ったのだと思ったからだ。

 それ以後、私の中では、「ブラックキャブ」=「乗ってはいけない怪しいタクシー」となってしまっていた。結局、それが間違いだと気付いたのは、渡英して1年近く経ってからのことだった。
 

Taxicab_blackcab_black☆ブラックキャブとは?
・名前の由来
 ブラックキャブとは、日本で「ロンドンタクシー」と呼ばれているものだ。ロンドンに行くと目にするお馴染みのタクシー。
 正式名称は、ハクニー・キャリッジ(hackney carriage)だそう。ハクニー(hackney)とは、元はイギリスの栗毛の乗用馬のことだそうだ。最初に導入されたのは、1662年(江戸時代初期)のこと。当初は馬車だったその名残りの名前なのだろう。

Taxicab_blackcab_ad  元は車体が全て黒色だったため、ブラックキャブ(black cab)という通称で呼ばれているが、今では、赤や青、そして全面が広告になった派手なものまで見かける。

 また、日本の「ロンドンタクシー」という呼び名も厳密には正しくないかもしれない。ロンドンだけでなく、あちこちの都市でブラックキャブを見かけるからだ。あの独特の形をしたタクシー。

・車種は?
 他の国ではあまり見かけない車種だなと思っていたが、ブラックキャブは、ロンドンタクシー・インターナショナル(LTI)社という、イギリスのブラックキャブ専門のメーカーによって製造されているのだそうだ。

Taxicab_blackcab_variety 最近ではあまり見かけなくなったが、1997年まで製造されていたオースティンFX4のほか、2002年まで製造されていたTX1、2006年まで製造されていたTXII、そして現在生産されているTX4など、どれも、これぞブラックキャブという形の車ばかりだ。
 LTI社のこのサイトから、最新型のTX4の映像を見ることができます(英語)。

 また、写真のようにバンやセダン*タイプのブラックキャブも存在する。
*(注)イギリスではセダン(sedan)ではなくサルーン(saloon)と呼ばれます。

Taxicab_driving ・ブラックキャブの中
 中の様相も、日本の一般的なタクシーとはかなり異なっている。運転席と客席が仕切られているのが通常で、助手席に乗ることはできないようだ。

 客席は、座席の向かい側に、折りたたみできる座席があり、リムジンのように対面式に乗れるようにもなっている。5人まで乗れる設計だ。
 天井も高く広くゆったりしたスペースなので、車椅子ごと乗ったりできるようだ。スーツケースなどの大きな荷物もトランクではなく、客席や運転席の隣に入れるようになっている。
 最新型のTX4の内装は、同様にこちらのLTI社のサイトでご覧になれます(英語)。
 

☆自分で呼ぶミニキャブ
 ロンドンの街中や地方でも駅前などでは、ブラックキャブが走っていたり待機しているので、簡単にタクシーをつかまえることができる。
 しかし、ちょっと郊外になると、流しのタクシーは全く走っていない。目抜き通りだからといって、日本と同じ感覚で、流しのタクシーをつかまえようと思うと、結局目的地まで歩く羽目になってしまう。
 そういう時に活躍するのが、電話で呼ぶミニキャブ(mini cab)だ。

Taxicab_minicab ・一見、普通の乗用車
 ミニと付いているが、大きさは、日本の一般的なタクシーと同じ、ごく普通のセダンタイプの乗用車。日本のと同様に、スーツケースなどの大きな荷物はトランクに入れるようになっている。

 ブラックキャブや日本のタクシーとの大きな違いが、一見タクシーとは分かりにくいその外見だ。上に表示灯が付いておらず、横に小さく会社のマークが、前後のナンバープレートに登録票が付いているだけ。料金メーターも付いていないことも多い。

・呼び出し専用
 これは、ミニキャブが呼び出し専用のタクシーのためだ。ブラックキャブと異なり、タクシー乗り場に並んだり、流しをおこなったり、呼び込みをやってはいけないことになっている。

 日本でタクシーを呼び出すと、迎車料金を取られたりする。しかし、ミニキャブの場合は、全て呼び出しなので、長距離以外はそういった追加料金がないようだ。
 時間厳守とは程遠いこの国のこと、毎回、時間通りに来てくれるかとハラハラするが、うちが依頼している所は今のところ、早朝でも深夜でも電話一本でほぼ定刻にやって来てくれている。最近では、インターネットでの予約もできるようだ。

・正式名称は、「個人ハイヤー」?
 通称は「ミニキャブ」だが、正式には、PHV (private hire vehicles)と呼ばれている。訳すると、「個人ハイヤー」だろうか。日本の個人タクシーと混同されやすい名前だが、ミニキャブの殆どは法人タクシーである。
 

 冒頭の話に戻って、勘違いの元になったヒースロー空港からのタクシーだが、後々聞いてみると、ブラックキャブが高かったのは、規定の区間外のためだったそうだ。
 代わりに頼んだミニキャブも、表示灯なしメーターなしで、おまけに、タクシー乗り場には停められないとのこと。さっぱり訳がわからなかった怖がりの私は、いつまで経っても不安で、外に流れる景色をずっと確認していた。自分で呼び出したタクシーだというのに。

 ともあれ、ブラックキャブもミニキャブも、基本的には全く怪しいものではないので、安心してご利用を。

 後半は、イギリスでのタクシー制度やタクシーの乗り方、タクシーにまつわる薀蓄をご紹介したい。お楽しみに。

 
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