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2007年9月27日 (木)

(え) エコバッグ GREEN BAG, BAG FOR LIFE

 子供の頃、祖母と買い物に行くのが大好きだった。時々買ってもらえるお菓子も目当ての一つだったが、柔らかな祖母の腕を掴んで、ゆっくりと市場を眺めながら歩いて行く。それはなんだか心地いいひと時だったのだ。
 その祖母の腕にはいつも買い物かごがぶら下がっていた。竹か何かで編まれた大きな丈夫なかご。真ん中にしっかりとした取っ手がアーチ状付いていた。

←こんな感じの買い物かごでした。(楽天市場)

 幼心にもその買い物かごは憧れで、元気に家を切り盛りしていた祖母の象徴のように感じた。大きくなったら、こんなかごを下げて買い物に行きたい。ずっとそう思っていたものだった。

 そんな憧れも、いつしか祖母の思い出と共に何十年もかけて薄らいでいき、日々の忙しさの中に埋没していった。
 

☆レジ袋の使用枚数は客が決める
 イギリスのスーパーのレジは、自分で袋詰めをするのが通常だ。それも日本のように清算後に別のスペースに持っていって詰めるのではない。

 店員がレジを通す度に客がその場で袋詰めしていくのである。最近は「袋詰めしましょうか?」と声を掛けてくれるスーパーも増えてきたが、大抵の客は大丈夫と言って自分で詰めている。
 ある意味、店員との絶妙なコンビネーションが必要な作業だ。大抵の場合は息が合わずに、もしくは雑談のためにレジが混雑することになる。

 袋詰めのためのレジ袋は、客の手の届く位置に束になって掛けられているのが一般的だ。日本では店員が必要枚数を判断して渡す場合も多いが、イギリスではレジ袋を何枚使うかは客が決めることになる。

 ちなみに、スーパー以外の小売店の場合は店員が詰めてくれることが多いが、大抵必ず「袋が要りますか(袋に入れますか)?」と尋ねられる。
 

☆かなり高いマイバック率
Green_bag_people  実際にスーパーのレジに並びながら見ていると、レジ袋に詰めている人も見かけるものの、案外、持参の袋やバッグに詰めている人が多いことに気付く。

 自転車で来ているのか、バックパック*に詰めている人もいる。レジ袋を介さず、そのまま詰めている。*(注)バックパック(backpack)でも通じますが、イギリス英語ではリュックサック(rucksack)です。

 そして、多いのがエコバッグと思しきものを使っている人々。イギリスでは共働きが多いので実際には違うが、主婦層と思われる人だけでなく、若い男性や家族連れの人もエコバッグを持参して使っている。お年寄りもしかり。これまた、レジ袋を介さず直接商品を入れている。

 で来て大きな買い物カートを使っている人もいるが、そういう人は幾つもエコバックを持参しているようだ。
 自分でレジを通すオートレジでも、マイバッグに詰めている人をしばしば見かける。私も万引きに間違われないかとヒヤヒヤしながら実行してみたが、特に問題ないようだ。

 日本でも環境保全活動が叫ばれ、レジ袋削減が盛んに推奨されているように思う。最近ではエコバッグもかなり普及してきているのかもしれない。しかし、まだまだ実行しているのは一部のマメな人で、環境問題をかなり意識しての行動といった感じが強いような気がする。

 しかし、イギリスでは案外、自然にエコバッグや持参バッグの使用が浸透しているように思う。
 使っているのは、上記のように普段使いのバックパックだったり、トートーバッグだったり、そして、スーパーのレジ前で20ペンス(約40円)から1ポンド(約200円)ほどで売られている安いエコバッグだったり。
 イギリスのガーディアン誌のオンラインサイトでは、ノリッジ(Norwich)で撮影した様々な人とマイバッグの写真を公開している。そのガーディアン誌のサイトはこちら(英語)。左上の小さな写真の下の矢印をクリックすると様々な人とそのマイバックをご覧になれます。

 スーパーのものなんて、大きくスーパーの名前が書かれていたり、デザインもいまいちなものも多い。それでも、皆、何一つ気にすることなく使っていたのが印象的だ。
 

☆エコバッグの統計
 では、実際、イギリスにおけるエコバッグの効果や浸透率はどの程度なのだろう。

 イギリスの大手スーパーのアズダ(ASDA)によると、イギリスでは買い物の度に袋を要求する人は19%。レジ袋を使い捨てと考えている人は1割だとか。

 また別の大手スーパーのテスコ(Tesco)によると、同社では1996年(平成8年)からエコバッグを推奨してきており、今までに4億5千万枚分のレジ袋の使用を削減できたそうだ。
 過去のテスコのエコバッグのデザインはこちらの同社のサイトからご覧になれます(英語)。

 しかし、イギリスの環境食料農村地域省(DEFRA)の2007年(平成19年)の発表によると、イギリス国内で年間約100億枚のレジ袋が消費されているそうだ。一人当たり167枚だとか。
 一方、日本では年間約300億から500億枚、一人当たり300枚だそうだ。

 イギリスでも、日本よりもだいぶん少ないとはいえ、やはりレジ袋の消費量は多い。
 一般的に、使い始めてから捨てるまでの時間はたった12分だそう。使われなかったレジ袋は、燃やされて二酸化炭素排出量を増やし、地球温暖化につながったり、埋め立てられたり、あちこちに飛んで、環境汚染につながったりする。
 実際、イギリスでも街で木の葉やゴミと一緒に舞っているレジ袋をしばしば目撃する。
 

☆イギリスのエコバッグへの取り組み
 これではいけないということで、環境省の呼びかけに応じて、イギリスのスーパー、デパートなどの殆どの小売業は、2008年(平成20年)までにレジ袋などを25%削減することに同意したそうだ。
 それぞれの店がいろんな方法で積極的にエコバッグやマイバックの使用を支持しているようだ。

Green_bag_bagforlife  その一つが、バッグ・フォー・ライフ(bag for life)というもの。これは「生涯使える袋」という意味。無料または10ペンス(約20円)のデポジット(又は購入)でエコバッグを配り、ボロボロになって使えなくなったら無償で新品のものと交換してくれるシステムだ。

 また、持参のバッグを持っていくとポイントカードの得点が増える仕組みになっている店もある。その他、日本でも普及しているが、従来のレジ袋をリサイクル素材や自然分解が可能なものに変えたり、使用済みのレジ袋を回収したりもしているようだ。
 また、マークス&スペンサー(Marks and Spencer)では、レジ袋の有料化を北アイルランドの一部の店舗で実施しているのだとか。そのニュースはこちらのデイリーメイル誌のサイトで画像とともにご覧になれます(英語)。

 行政のほうも、レジ袋廃止に力を入れつつあるようだ。例えば、ロンドンの地方自治体では、全面的なレジ袋の廃止や一枚あたり10ペンス(約20円)の課税を視野に入れているのだとか。
  アイルランドでは、2002年(平成14年)にレジ袋1枚あたり15セント(約24円)*の課税をおこない、今ではレジ袋を95%も削減できているのだそうだ。ドイツでも1枚あたり5~10セント(約8~15円)の課税が実施されているそうだ。*(注)2007年7月より22セント(約35円)?に増税されています。

 日本でも地区によっては課税が実施されているそうだが、イギリスでもそう遠くはないのかもしれない。
 

☆イギリスのエコバッグの使用感
 イギリスの人達やスーパー、行政の取り組みを散々紹介しておきながら、言うのもなんだが、私がレジ袋を止めてエコバッグを使い始めたのは案外最近になってから。

Green_bag_big  最初に入手したのは数年前の渡英初期の頃。スーパーのど派手なエコバッグが妙に気になり、物珍しさだけで買ってしまったのだ。1ポンド(約200円)だったろうか。座布団2枚は余裕で入りそうな大きいビニル製のもの。しかし、当時は自転車を主に利用していたので持ち運びにくく、そのまま家にしまい込んでしまっていた。

 時を経て、徒歩や車での買い物になった。最初はレジ袋を何個も持って往復していたものの、そのうちふと例のエコバッグのことを思い出した。
 使ってみるととても快適だった。通常のレジ袋3、4個分の荷物が入り、肩から提げれるので、両手が空く。重いミネラルウォーターやシャンプー類を入れてもびくともしない丈夫な作りで、嵩張るトイレットペーパーも余裕で入る。

 もう何十回と使っているが、未だに破れもせず現役だ。見栄えは悪いが実用的だなと妙に感心している。現在では、小さいサイズと冷蔵用も併せて計4つを買い物の際に持ち歩いている。
 

☆エコバッグ使用で気になったこと
 実際にイギリスでマイバッグやエコバックを頻繁に利用していて気付いたのが、汁漏れなどの衛生面だ。

 イギリスの場合、肉や魚は基本的にしっかりと密閉包装されているので、まず汁漏れすることがなく安心だ。
 しかし、気をつけないといけないのが、、そして牛乳ヨーグルトなど。
 卵は中を確認して買わないと割れていることがある。また、牛乳やヨーグルトも中には蓋が一部開いていているものがある。また、砂糖や小麦粉などの粉類も、粉がこぼれることが多々あるので要注意だ。
 まぁ、こういったものはそれ以前の問題という感じもするが。

 また、野菜などもばら売りや束売りで売られていることも多い。皆、直接触って品定めをしているし、中には床に落ちたものも入っている。いずれにせよ使用前に洗う必要があるが、気になる場合は、野菜コーナーに設置されている薄手の小さいビニル袋を利用することも可能だ。
 

☆レジ袋がないと不便?
 日本でもそうだったが、もらったレジ袋は最後はゴミ袋として使っていた。エコバッグの使用でさぞかし不便になるだろうと思ったのだが、意外にも快適だ。

 地方自治体によって多少制度が異なるが、イギリスではゴミは専用の大きなゴミ箱を預けて回収してもらうのが通常だ。そのため、レジ袋のまま回収に出すことは基本的に殆どないように思う。この話については、また別の記事でご紹介します。お楽しみに。

 また、最近ではイギリスでもゴミの分別が行われており、生ゴミのコンポストの利用も推奨されている。レジ袋をゴミ袋として使う意味はだんだんなくなっているのかもしれない。

 我が家では、アパート住まいで庭もベランダもなく、コンポストの導入は難しいため、生ゴミはゴミとして廃棄している。その際、臭いや汁漏れ防止に活躍していたレジ袋。今は代わりに、じゃがいも、にんじんほうれん草などの野菜のパッケージを再利用している。イギリスのは販売単位が多いため、袋も大きいのだ。

 
☆本当にエコバッグ?
 2007年7月、イギリスのブランド、アニヤ・ハインドマーチ(Anya Hindmarch)のエコバッグ「I'm not A Plastic bag」が日本で限定発売されたそうだ。同社のエコバッグのサイトはこちら(英語)。
 本国イギリスでも行列ができるほどの人気で、日本でもその他、ベネトンやエルメスなどのブランドエコバッグと共に若い女性を虜にしているのだとか。

 こういったファッションブランド界が環境問題に注目するのは悪いことではないのかもしれない。しかし、こういったエコバッグを元のレジ袋の生産・廃棄分に値するだけ使い続けている人は実際にどれぐらいいるのだろうか。

 古びたエコバッグやマイバックを買い物カートに乗せて、日差しの中にゆっくりと消えていくイギリスの人たちに、ありし日の祖母の姿を重ねてふと思った。

 
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コメント

こんにちは、たまたま通りかかりました。きれいで分かりやすいブログ(ですよね?)ですね。
私はアイルランド在住なのですが誤りがあったので一言です。

>アイルランドでは、2002年(平成14年)にレジ袋1枚あたり30セント(約40円)の課税をおこない、今ではレジ袋を95%も削減できているのだそうだ。

とあったのですが30Cではなく当時は15セントでした。効果があまりに素晴らしかったので調子に乗った(?)政府は2007年7月より21cに値上げしています。
かなり外に打ち捨てられていたり、風にまかせてただようレジ袋が劇的に減ったと思います。

投稿: ふくろう | 2007年9月27日 (木) 04時27分

ふくろうさん、コメントありがとうございます。

現地からのご指摘、どうも有難うございました!!
早速、修正と加筆をさせていただきました。
(一応、政府等のサイトでも確認したのですが、現在は22セントですよね?
間違っていれば再度訂正しますので、よろしければお知らせください。)

個人の意識で変わるのが理想的だと思いますが、
課税の効果は絶大ですね~。
レジ袋の舞っていない町がうらやましいです。

アイルランドには行ったことがないのですが、
在英中に是非訪れてみたい国の一つです。

アイルランドの暮らしととイギリスの暮らし、
類似点がどれぐらいなのか、よくわからないのですが、
よければ、また遊びにいらしてくださいね。

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年9月27日 (木) 21時05分

うちの奥さんもエコバック使っていますが、
私は頻度も低いこともあり、
恥ずかしながら使っていません(汗)

レジ袋は日本だとコンビニの影響も大きい気がします。
少量の買い物でも店員さんは、
レジ袋に入れようとしますからね。
利用客もスーパーに比べて若い世代だと思うので、
環境に対する意識も低いのではないかと思います。

風に漂うレジ袋。
日本ではまだまだ無くなりそうにありません・・・。

投稿: KAZU | 2007年9月29日 (土) 20時15分

私のセンスでは、ろっきーさんのオレンジの大きなレジ袋はかわいいですよ!

かくいう私もミーハーなのでアニヤのエコバッグがほしかったのですが
(いま、アニヤでは似たようなコットンバッグが数万円で売ってます)
一気に売り切れだそうです。

しかし、あれを持っている人はまだ一人しかみかけたことがありません。
ねぎなんかはいれずにオシャレバッグとして使おうと思っているはず。

オークションでも高く売れるとか。なんか目的とはずれてますね。

さて、私のエコバッグはナショナルトラスト社のティータオル柄のものです。
結構丈夫でたくさん入ります。

でもやはりゴミ袋はほしいのでスーパーのレジ袋ももらっています。。

投稿: ぱんちゃん | 2007年9月30日 (日) 12時55分

KAZUさん、コメントありがとうございます。

うちの連合いも小売店ではレジ袋をよくもらっていますね。
基本的にNoと言えない日本人(ちょっと古いですねw)なのでw

イギリスでは日本のような便利なコンビニは殆どないので、
その点はレジ袋利用率は低いかもしれません。

個人的な感想ですが、こちらでは世代というより、
階級によって意識が異なるような気がします。
バックパックにそのまま詰める若い男性の傍らで、
下流階級の中年女性が大量のレジ袋を乗せたカートを
押していたりします。

私も少し前までは後者のタイプだったので、
大きなことは言えませんが。。。

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年9月30日 (日) 19時48分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

オシャレな流行のバッグだと流行が過ぎると使いづらくなりますよね。
その点、例のオレンジの大きなエコバッグはいいですよ~。
(実物をご覧になられたら唖然とされますよ、きっとw)
最初から気恥ずかしいので、開き直っていつまでも使えますからw

ナショナルトラストのエコバッグですか!
お父様のお土産ですか? イギリス製のだとたっぷり入りそうですね。

私も日本では、ゴミ袋としてレジ袋は必須でした。
気候や(国内でも)生活環境が違うと、レジ袋をゼロにするのは
なかなか難しいのかもしれませんね。
イギリスは比較的実行しやすい環境なように思います。
さすがに私も外出先にほうれん草の袋を持って行っていませんが、
こちらは昼ご飯にリンゴを丸かじりする国ですからw

イギリスではゴミに占められるレジ袋の割合は約1%だそうです。
日本はコンビニが普及しているので、もっと多そうですね。

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年9月30日 (日) 20時54分

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