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2007年6月 7日 (木)

(こ) コリアンダー [香菜] CORIANDER

☆オリエンタル野菜にイギリスで再会?
Coriandersoup  日本に住んでいた時、エスニック料理で何かのスープを注文した。その中に入っていた三つ葉のような葉野菜。独特の香りがしてスープの味を引き立てていた。

 これ、日本では「香菜(シャンツァイ)」や「パクチー」などと呼ばれる、中国の香味野菜として知られているもの。中華料理でもしばしば生のまま登場する。私も、エスニック料理にのみ使われる、オリエンタルな野菜だとずっと思っていた。

 しかし、実はこれは、イギリスでも大変日常的なハーブ野菜の一つである。こちらでは、「コリアンダー(coriander)」と呼ばれている。典型的なイギリス料理に入っていることはあまりないように思うが、刻んだものがソーセージやクスクスに入れられたりして、洋風の料理のスパイスとしても活躍しているようだ。

 コリアンダーを使ったレシピも数多く紹介されている。サラダあり、ディップあり、肉や魚のつけ合わせになったりと様々だ。ニンジンとコリアンダーのスープなどのスープレシピや、刻んだコリアンダーとニンニクなどがバターで炒められ、魚やエビにかけられたレシピもしばしば見かける。
 パブのメニューの中にも、コリアンダーバーガーなるものがあったりするようだ。
 

☆手に入れるのも簡単
Coriander_pot  料理が普及しているだけあって、コリアンダーそのものも、どこのスーパーや食材店でも簡単に手に入る。袋入りのものや、鉢植えになったものが、イタリアンパセリやバジルなどのハーブ野菜に並んで売られている。また、店によっては、日本のほうれん草のように束売りしているところもある。

 袋入りのものは、25gほど入っていて0.7ポンド(約140円)ほど。鉢植えはその倍弱の価格。しばしば、他のハーブ野菜とともに、どれでも2袋で1ポンド(約200円)やどれでも2鉢で1~2ポンド(約2~400円)で売られていたりするので、かなりお買い得だ。
 束売りのものは、さらにお手ごろ。根元に泥がついているのでしっかりと洗わないといけないが、食べきれないほど入っている。

 一袋でも充分持つし、一鉢買うと、放っておくだけでどんどん成長していくので、虫がつかない限りいつまでももつように思う。鉢植えなのでいつでも新鮮。スープやサラダの飾りに数枚使いたい時にも便利だ。
 

☆コリアンダーシード
Coriander_flower  鉢入りのものを長い間育てていると、小さな白い花が咲く。そして、しばらくすると、小さな丸い実が生る。これを完熟させて乾燥させたものがコリアンダーシード(coriander seed)と呼ばれるものだ。
 シード(seed、種)と呼ばれるが、実際には実の部分(fruit)である。葉の香りとは全く異なるレモンのような柑橘系の香りがするのが特徴だ。

Coriander_seed  コリアンダーシードは、イギリスでも葉同様によく使われる。スーパーや食材店などでは、スパイスコーナーに置かれている。ソーセージやカレー、ガラムマサラなどのスパイスとしてよく使われる。また、ケーキなどに入れられることもよくあるようだ。

 また、料理や菓子だけでなく、リキュール(スピリッツ)にも使われている。日本でも有名な、ロンドン生まれのドライジン、ゴードンジン(Gordon's gin)は、ジュニパー(juniper、杜松(としょう))、コリアンダーシード、アンジェリカルートなどで風味付けされているそうだ。

←ゴードンジン(楽天市場)

 ゴードンジンは、かつて菓子用のコリアンダーシードの栽培が盛んに行われた、イングランドのエセックス(Essex)で生産されているのだとか。
 

☆実は、ヨーロッパから広まった?
 コリアンダーはセリ科の一年草。学名は、Corianderum.sativum。原産は地中海東部といわれている。紀元前5世紀ほど昔からエジプトなどで使われてきたそうだ。ヨーロッパでは、まずローマに広まり、その後、イギリスや大陸全土、アジアに伝わったようだ。

 今では、メキシコ料理や南アメリカ料理の材料としても、大変メジャーになっているコリアンダーだが、これらの新大陸に伝わったのは、スペインによる新大陸の発見のずっと後。1670年頃(江戸時代)、北アメリカに移住したイギリス人が栽培し始めたのが最初だろうと言われている。
 

☆葉と種の呼び名
 日本では、「コリアンダー」と呼ぶときは、一般に種を指すことが多いかもしれない。これは、おそらく、スペイン、イタリア、ラテンアメリカなどの呼び方に習っているのだろう。これらの国では、生の葉のことを、「シラントロ(cilantro)」、乾燥した種のことを「コリアンドロ(coriandolo)」や「コリアンダー(coriander)」と呼ぶそうだ。確かに、アメリカのスーパーでは”cilantro(シラントロ)”という名前で陳列されていた。

 しかし、イギリスにおいては、生の葉も乾燥した種も「コリアンダー(coriander)」と同じ名前で呼ばれるのが一般的だ。種を指す場合は、「コリアンダーの種 (coriander seed)」というのが一般的。
 

☆「ベッドバグ」の香り?
 「コリアンダー(coriander)」という名前は、ギリシャ語の「コリス(koris)」に由来しているそうだ。これ、英語に訳すと、「ベッドバグ(bed bug)」、さらに日本語に訳すと、「南京虫(ナンキンムシ)」。

Coriander_bedbug  衛生環境が良くなった日本では、「南京虫」と聞いても、ピンと来ない人も多いかもしれない。しかし、実は近年、アメリカのニューヨークで大発生している問題の虫でもある。
 学名、トコジラミ(Cimex lectularius)。「トコ(床)+シラミ」の名前が指すように、寝床や床(畳)などで繁殖して、人の血を吸う、吸血性の寄生虫だ。
 「シラミ」という名がついているが、シラミの仲間ではなく、カメムシ目の昆虫。つまり、この虫は、人の血を吸うだけでなく、カメムシのような臭いにおいを放つのだ。

 そう、コリアンダーの名前は、その葉がカメムシのような臭いがするというということで付けられたらしい。独特の香りの美味しい香菜の名前がカメムシ由来だなんて、ちょっとショックな話。
 

☆嫌うのは日本人だけ??
 確かに、特に日本では、「強烈なくせのある匂い」と表現され、敬遠する人が多いように思う。しかし、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸を始め、世界中で古くから栽培され、広く食されてきている。未知の食べ物に対する抵抗性が強いイギリス人も、他のスパイスやハーブ野菜同様に、美味しいハーブ野菜として抵抗なく取り入れているように思う。

 まぁ、ネギにしろ、ニラにしろ、ニンニク、ショウガにしろ、香りのある野菜や食べ物は、最初は抵抗があるものだし、慣れても好き嫌いが分かれるものだ。
 日本には10世紀以前にやってきたものの定着しなかったコリアンダー。しかし、バジルやタイムなどのフレッシュハーブが広まりつつある現代では、ひょっとするとそのうち、日常的なハーブ野菜として、頻繁に食卓にのぼる日がくるかもしれない。
 

☆我が家お奨め、コリアンダー餃子
 春菊、三つ葉、菜の花、ニラなどのちょっとクセのある野菜が大好きなうちの家族にとっては、もうコリアンダーは、欠かせない日常的な野菜。特に、上記の4つの野菜がなかなか手に入らないイギリスにおいては。

Coriander_dumpling  日本に住んでいる時、知り合いの中国人に水餃子の作り方を教わった。ニラをたっぷり入れた水餃子。ニラの代わりに摘んだタンポポの葉を入れたものを振舞ってもらったこともある。イギリスにやってきても時々食べたくなる料理の一つだ。

 オリエンタル食材店で売っているものの、それほど簡単に手に入らないニラの代わりに、たっぷりのコリアンダーの葉とすりおろしニンニクを入れてみた。
 自画自賛だが、これが実に美味だった。コリアンダー独特の香りがニンニク、豚肉、ラー油入りの醤油とよく合って、あっという間に完食。

Coriander_pancake  コリアンダーがたっぷり手に入る機会があった方、中華料理やエスニック料理がお好きな方は是非一度お試しを。
 

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コメント

コリアンダーの精油について調べてみました。

特に無気力なときや、精神的に疲れてしまったときに役立つ刺激的な香りで、気分を高揚させて活力を取り戻す手助けをしてくれます。また、記憶力を刺激するエッセンシャルオイル(精油)とされており、勉強部屋の香りとしてもおすすめです。この場合レモンやローズマリーとブレンドすると更に効果的です。

今使っているローズマリー、ミント、レモングラスのブレンドとも相性がよさそうなので
今度試してみたいと思います。

ハーブのポットかわいいですね

南京虫のイラストもいつもながら素敵?です

投稿: ぱんちゃん | 2007年6月 7日 (木) 20時20分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

精油の調査報告(笑)も面白かったです。
コリアンダーシードと同じような香りがするんでしょうか?
アロマに関しては疎いので、見かけたことがないのですが、
近頃、記憶力の衰えが激しい連合いに試してみたいですw

料理でも、葉も実もレモンやレモングラスとの相性は抜群ですよ。

南京虫の絵は、自分で描いたものの、その後、夢の中に
ゾロゾロでてきて、うなされてしまいましたw 
ゴキブリのようにもっと簡素化しておけばよかったと後悔ですw

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年6月 8日 (金) 18時44分

ハーブ苗のポットは生産用のポットでしょうか?
日本のものは通常丸型でビニール製なんですよ。
縦に入っている溝は、
おそらく苗を抜きやすくするためだと思われます。
・・・どーでもいいですがw
ポットに対して地上部が大きいので、
暇があったら植え替えれば収量が上がると思いますよ^^

話がそれましたが、
あまり日本では見かけないかもしれませんね。
近くのスーパー、花屋さんとかでもあまり見ない気がします。
でもそれは・・・私が好きじゃないのが理由かもw

投稿: KAZU | 2007年6月 8日 (金) 20時58分

KAZUさん、コメントありがとうございます。

さすがですね。鉢植えのポットに目が行かれるとは。
かなり感動しましたw
鉢植えは、スーパーの店頭(野菜売り場) にあったままのものです。
ポットは硬いプラスティック製で、スーパーによっては丸形だったりします。

確かに、植え替えるともっと持ちそうですね。
でも、このままでも飽きるぐらい(笑)長持ちするんですよ。
以前、コリアンダーシードを収穫しようと、そのまま育てていたんですが、
手入れが悪かったのか、アブラムシが湧いてしまいました。。w
以来、毎回、使い捨てにしています。
勿体ないような気もしますが、とても安いですし、皆そうしてるようですしw

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年6月10日 (日) 02時29分

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