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2007年5月14日 (月)

(ひ) ピーナッツアレルギー -前編- PEANUT ALLERGY part1

Peanut_allergy_sandwich_1 ☆ピーナッツバターサンドイッチの行方
 子供の頃、テレビで欧米の子供が「ピーナッツバターサンドイッチ」なるものを弁当として持って行っているのを見て衝撃を受けた覚えがある。その名の通り、単にサンドイッチ用のパンにピーナツバターを塗ってはさんだだけのサンドイッチ。

 日本では、弁当といえば、おにぎりに様々なおかずが普通だった。サンドイッチにしても、ハムやキュウリ、トマトなど、色々な具材が入っていた。だから却って、シンプルで物珍しいサンドイッチに憧れたものだ。

 しかし、この子供のランチの定番の一つが、イギリスでも今や殆ど姿を消しつつある。栄養面が考慮されたためとか、人気がなくなったからというのが主たる原因ではない。ピーナッツアレルギーのためである。
 

☆どうして「ピーナッツ」?
 イギリスでは、ピーナッツアレルギーはこの10~20年で劇的に倍にまで増えている。現在も、小学生の70人に1人がナッツアレルギーを患っているそうだ。
 多くの学校や託児所では、たとえ本人がピーナッツアレルギーを患ってなくても、ピーナッツバターサンドイッチといった、ピーナッツを含むランチの持参を禁止しているそうである。

 日本でも、大豆や卵、牛乳、そばなど、様々な食物アレルギーの子供が増えていることが問題になっている。それらのアレルギーの中には、ピーナッツ(落花生)アレルギーも含まれ、表示が義務付けられているが、それほどメジャーではないように思う。

 ピーナッツアレルギーがイギリスでここまで顕著に増加し、主要な食物アレルギーになっているのは、やはりイギリスにおけるピーナッツ製品の普及とその使われ方にあるのだろう。
 

☆ピーナッツ食品や製品の普及率
 ピーナッツは南アメリカが原産。イギリスには第二次世界大戦頃に入ってきたそうだ。以来、モンキーナッツ(monkey nut)や、グラウンドナッツ(ground nut)、アースナッツ(earth nut)と呼ばれ、子供の手軽なスナックや、パンに塗るピーナッツバターとして、親しまれ続けてきた。どちらも常温保存できる良質のたんぱく質源として重宝されていたようだ。

 現在、町でも、ローストピーナッツやハニーローストピーナッツが他のナッツのスナックと共に、ポテトチップスや他の塩系の菓子コーナーに数多く並んでいる。

←ハニーローストピーナッツ(イギリス産ではありませんが・・)(楽天市場)

Peanut_allergy_oil  サラダ油やひまわり油についで、ピーナッツ油もよく使われているようだ。オリーブ油やゴマ油などの他の食用油の殆どは瓶入り250mlが主流だが、ピーナッツ油は、サラダ油などと同様、500mlや1Lのプラスティック容器に入っている。

 ちなみに、イギリスでは、同じピーナッツでも、殻付きのものは「モンキーナッツ(monkey nut)」、殻をむいたものは「ピーナッツ(peanut)」、油に使われている場合は「グラウンドナッツ(ground nut)」と、別の名前で呼ばれることが多いようだ。

 
☆ピーナッツアレルギー増加の原因は?
 ピーナッツアレルギーの子供が急増したのは、母親が妊娠中や授乳期にピーナッツを多く食べたためだという説がある。大量のピーナッツのアレルゲンが母乳を通して子供に行き渡ってしまったためというものである。

 また、大量に食べたピーナッツによるものではなく、直接、赤ん坊に与える既成食品や、親子で使うスキンケアクリームに含まれるピーナッツ油が原因だという説もある。昔は、ピーナッツバターは離乳食品としてよく活用されていたようである。また、授乳時の母親のおっぱいのケアや、乳児脂肪冠(cradle cap)という皮膚炎を持つ赤ん坊のケアに使うスキンケアクリームにピーナッツ油が含まれている場合があったそうだ。
  
 また最近では、ピーナッツを食べた親などにキスされたことが原因かもしれないという説まで出されている。実は、ピーナッツアレルギーを持っている人の殆どが、乳児期にアトピー性皮膚炎などの湿疹を患った経験があるそう。おそらく、キスと湿疹を通じて、親の唾液の中のアレルゲンが子供の体内に入り、免疫作用が増幅され、ピーナッツアレルギーにかかってしまったのではないかという説だ。
 欧米では、キスは重要なスキンシップの一つ。自分の愛情表現が子供をアレルギーにしてしまったかもしれないなんて、悲しい話。
 そのニュースはこちらのインデペンデント誌のニュースからご覧になれます(英語)。

 今では、妊娠中や授乳時にピーナッツの摂取を控えたり、ピーナッツオイルを含む製品を使用しないよう指導がおこなわれているようである。また、3歳未満の子供にもピーナッツ食品を与えないようにも呼びかけられている。
 

☆10億円プロジェクト
 しかし、逆に乳幼児の頃にピーナッツ食品を与えたほうが適度な免疫力がついてよいという説まである。
 現在でも、どうしてこんなにピーナッツアレルギーが増えたのか、どうやったら避けることができるのか、ということは全くわかっていないのである。

 はたして、乳幼児にピーナッツを与えないほうがいいのか、与えないほうがいいのか。いつからピーナッツ入りの食品を食べさせてもいいのか。親にとっては深刻な問題だ。
 これを解明するため、イギリスでは、2006年から7年間に5百万ポンド(約10億円)という膨大な時間と費用をかけての大プロジェクトが始まっている。

 これは、4ヶ月から11ヶ月までの湿疹や卵アレルギーのある乳児、約500人を対象に、ピーナッツを与えて育てる子供と、ピーナッツを全く与えずに育てる子供にわけて、後にピーナッツに対するアレルギーを持つかどうかを研究調査するもの。

 結果がわかるのは5年後というから、少々気の長い話。下手をすると半数の子はひどいアレルギーになってしまうんじゃないかと素人の私は心配になってしまうが、さすがは、古くから自然科学やボランティア精神が発達していたイギリス。この辺の一般市民の協力体制や理解は素晴らしい。
 このプロジェクトに関するニュースは、こちらのBBCのサイトからどうぞ(英語)。右上の”video and audio news”からはニュース映像をご覧になれます。
 さらに詳しく知りたい方は、こちらのピーナッツアレルギーの情報サイトLEAPをご覧ください(英語)。

 

 
 日本人の知り合いにそば(蕎麦)アレルギーの人がいる。そば屋には連れ立って行くことはできないものの、その他は取り立てて困っている様子はない。
 「たかが、ピーナッツ。そばように、食べなければ特に問題ないんじゃないか。」と思われるかもしれない。日本ではどの程度なのかよくわからないのだが、イギリスではそういうわけにはいかない。
 後編では、イギリスで、ピーナッツアレルギーがここまで問題になるのはどうしてなのか、ピーナッツアレルギーの特徴について、ご紹介したい。

 後編はこちら
 

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コメント

スキンケアクリームに含まれるピーナッツ油には驚きです。
経皮的にピーナッツ油が浸透するのですね。

私などは、ホホバオイルやアーモンドオイルのマッサージオイルをよく使う。
赤ちゃんにも優しい、といわれているけれど、真偽はわかりませんね。

おそらく、日本人に比べて、英国人は、植物オイルに精油を配合したオイルを
スキンケアに使う頻度が多いように思う。

アロマの講義では、精油を含むマッサージオイルは、迅速に血流に入るため、
マッサージをされる側だけでなく、する側にも吸収されるため
マッサージする人は手袋をしたほうがよいらしいです。

私の友人のそばアレルギー患者は、高校生の時の乗鞍高原の修学旅行にいけなかった。
そばの花粉で発作がおきて死ぬ可能性もあったらしい。

とにかく、アレルギーが増えているのは、極度の清潔意識が関連しているようにも思う。

私は、ある程度の皮膚上の菌類は体を防衛してくれると思っている。
昔の人は今ほどアトピーに苦しんでいなかったのでは、と思う。

投稿: ぱんちゃん | 2007年5月15日 (火) 21時38分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

マッサージオイルのお話、とても参考になりました。
確かに、塗られた側に効果があるのだったら、
局所的に何度もオイルに触れる手にはもっと作用しそうですね。

アレルギーの増加と清潔志向。因果関係があるのかもしれませんね。
でも、不思議なのは、イギリスの人ってそんなに清潔好きじゃないんですよ。
日本人の感覚からすると、唖然とすることも多々あります。
なのに、イギリスでもアトピーや花粉症が急増しています。
食品や洗剤などに含まれる合成物質なども関係あるんでしょうか。
こちらも既製の食品や抗菌洗剤が浸透しているようですし。

アレルギーで修学旅行に行けないなんて、悲しい話ですね。
私もアトピーの傾向があるので、自分の子にはそんな辛い思いを
させたくないです。

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年5月16日 (水) 02時40分

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