« (へ) ベイクドビーンズ BAKED BEANS | トップページ | (は) 母の日 MOTHER'S DAY »

2007年5月 7日 (月)

(ひ) 日の長さ DAY LENGTH

☆四季を感じさせるもの
 渡英間もない春、イギリス人の知り合いに言われた。「イギリスは四季があるからいいのよ。」

 その言葉を鵜呑みにして、1年を過ごした。春なのにいつまでも寒く、満開の桜情緒も味わえない。夏なのに汗をかくどころか、相変わらず肌寒く、セミの声も聞こえない。秋なのに目を奪われるような紅葉もなく、虫の声も聞こえない。舞い落ちた落ち葉に足を滑らせることもない。冬なのに、雪も積もらず、ただ寒いだけ。

 春の桜、夏のうだるような暑さ、秋の紅葉、冬の凍えるような寒さを四季だと思っていた私は、「なんだ四季なんてないじゃないか。」となかば騙されたように思って、最初の1年を終えようとしていた。

 ところが、そんな3月のある日、突如、春の訪れを感じた。それは、さえずる鳥の声でも、道端の花でも、はたまた猛烈に止まらなくなる花粉症のくしゃみによるものではない。日の長さによってである。
 

☆イギリスの真っ暗な冬
Day_length_summer_and_winter  イギリスの冬の夜は長い。10月を過ぎると徐々に日が暮れるのが早くなり、冬場には午後4時には辺り一面真っ暗になってしまう。
 日が暮れると、町にも家にもオレンジ色の薄暗い明かりが点る。昼間の白色の光の日光に対して、明らかに「夜」という感じだ。

 職場やスーパーなどの店舗を除いては、白色光の蛍光灯を使っているところは、あまりない。皆、日本のように長い間残業もせず、一般の店舗も夕方には閉まる。派手なネオンも見かけないし、日本のようにコンビニが点在しているわけでもない。
 日が暮れるや否や、町全体がほんのりオレンジ色の闇に包まれるのである。
 
Day_length_sunrise_sunset_1  これが約半年(5ヶ月ほど)続く。この暗く長い冬のために、日本や冬の日長の長い他の国からやってきた人の中には、鬱になってしまう人もいるそうだ。特に、女性。
 ある知り合いは、「だから、イギリスの冬には、ハロウィンやクリスマスといった明るい行事がいっぱいあり、自分も遊びに行ったりだの、楽しいイベントを出来るだけ入れるようにしているのよ。」と言っていた。
 

☆鬱陶しいものから、有難いものへ
 対して、日本は本当に快適だ。明るさは蛍光灯や電球で、温度はエアコンで、簡単に調節できてしまう。職場も家もそうだし、電車や地下鉄などの公共の乗り物だってそうだ。
 日本の冬だって、暗く寒いと思われるかもしれないが、白い明かりや、イルミネーションがあちこちに点され、暖房設備が完備されている所が多い。

 簡単に温度や明るさ調節をできる、そんな日本の生活に慣れてしまっていた私は、いつしか日光なんて有害な紫外線を含むものという程度にしか思わなくなっていた。家具や畳や本は色あせてしまうし、肌も荒れてしまうし。
 物騒な都会での一人暮らしということもあって、家でも遮光カーテンやブラインドを活用して、蛍光灯を点けていた。また、外出もなるべく日の当たらない場所を探していた。

Day_length_monthly  そんな太陽が嫌いだった私も、このイギリスでの長い一冬の間にすっかり日の光が恋しくなっていたようだ。

 3月終わりのサマータイム開始を機にして、イギリスの日長はどんどん長くなる。今まで3時頃には薄暗くなっていたのが、4月や5月に入ると、午後7時を過ぎてもまだ日が家の中に差し込んでいる。朝も6時頃には既に明るい。

 今まで、どうやって遮るかしか考えていなかった日光。それなのに、日が長くなり、家に差し込む時間が長くなるにつれて、なぜか心が弾んでいる自分がいたのだ。連合いも同時に、「日が長くなったねぇ!」と嬉しそうに、窓の外を眺めている。
  

Day_length_sunbath☆日光が大好きなイギリス人
 夏の間、芝生に上半身裸や水着姿で寝転がって、日向ぼっこしているイギリス人を多く見かける。公共の庭や広場でもお構いなし。ちょっと、太陽が出ると、皆、日光浴をしないと気がすまないかのように、街中でも服を脱ぐ。

 女性もキャミソール姿で堂々と歩いている。目を保護するためにサングラスやキャップ(野球帽)を身に着けている人はいても、日焼け防止のためのカーディガンを羽織ったり、日傘を差したりしている人なんて見たことない。
 もサンルーフ付きが普通。オープンカーも多い。

Day_lenghth_shirtless 初年度の夏は、「イギリス人は皆どうかしている。日焼けが体に悪いことを理解していないんだ。」と半ば、冷笑しながら眺めていた。しかし、イギリスの冬を体験した今では、彼らの気持ちがなんとなくわかるような気がする。
 

 初夏のある日、イギリスの春を迎えるのがこれで数回目になる連合いがポツリとつぶやいた。「今度、芝生の上で裸で寝転がろうか。」
 うちのは日本のマンション、アパートにあたるフラットで、庭はフラット全体から見下ろされる共通の中庭だ。イギリス越冬回数が少ない分、日本人感覚が残っている私は、「自分の家と庭を持ってからにしない?」と、ちょっと焦りながら返答した。
 

☆ランキングに参加しています☆
気に入ってくださったら、 ←クリックしていただけるとうれしいです。

|

« (へ) ベイクドビーンズ BAKED BEANS | トップページ | (は) 母の日 MOTHER'S DAY »

・暮らし(自然現象)」カテゴリの記事

コメント

米国滞在時に生活していた場所は、
日中暑くて、夜は寒い。
雨季が冬で、ほとんど降らない・・・ってとこでした。
まぁ農業(作物による)には適してるといえるのですが、
日本の四季が恋しかったですね。
夏になれば暑くて嫌だ。冬になれば寒くて嫌だ・・・。
と思うことありますが、日本の四季は素晴しいです。
でも園芸楽しむならイギリスが良いですけどw

連れ合いさんは部活的に裸にはなれてますからね。
心中お察ししますw

投稿: KAZU | 2007年5月12日 (土) 21時15分

KAZUさん、コメントありがとうございます。

そうですね。私も、日本の四季は色彩的にもはっきりしていて、
その変化が美しいように思います。

日本の暑い夏が嫌いだった連合いは、イギリスのほうが断然過ごしやすいそうで、
こちらでも相変わらず、薄着で過ごしています。
でも、こちらの周りの人に比べれば、厚着している部類に入ってしまうようなw

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年5月13日 (日) 01時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (へ) ベイクドビーンズ BAKED BEANS | トップページ | (は) 母の日 MOTHER'S DAY »