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2007年4月 5日 (木)

(た) タンポポ DANDELION

Dandelion_lawn 春先、芝生にたんぽぽの花が数多く咲いているのを見つけた。春だなぁと季節の訪れを喜んだが、6月になっても、7月になっても、そして、8月になっても、この黄色い花が消えることはなかった。
 

☆西洋タンポポと日本のタンポポ
 イギリスでも、たんぽぽは、どこでも見かける、誰もが知っている草花だ。イギリスに咲いているたんぽぽは、少なくとも60種(一説では200種)以上あると言われているが、どれも西洋タンポポ(T. officinale agg)に分類されるようである。

 対して、現在、日本で咲いているたんぽぽは、在来種であるカントウタンポポ(T. platycarpum)、カンサイタンポポ(T. japonicum)、エゾタンポポ(T. hondoense)、シロバナタンポポ(T. albidum)の他、帰化種である西洋タンポポ(T. officinale)など。

Dandelion_comparison  春に開花する日本の在来種対して、西洋タンポポは、イギリスにおいても日本においても、ほぼ一年中花を咲かせる品種である。両者、見かけはそっくりだが、総苞外片と呼ばれる花弁の下にある緑色の部分で見分けることができるそうだ。総苞外片が反り返っているのが西洋タンポポで、反り返っていないのが日本の在来種。
 

☆日本の環境汚染のバロメーター
 日本に西洋タンポポがもたらされたのは、明治時代のことと言われている。日本在住のヨーロッパ人が食用として輸入したものが帰化したものだそうだ。

 憂うべきことに、現代の日本では、西洋タンポポが幅をきかせ、在来種を侵食している。西洋タンポポは、在来種と違って、乾燥した痩せた土地でも生育することができ、生長が早い。また、在来種が花粉を虫に運んでもらって受粉し、種をつける虫媒花であるのに対して、西洋タンポポは、受粉をしなくても種をつけることができるのである。

 都市化が進み、自然破壊が次々と行われている日本では、充分な土や虫がなくても生育できる西洋タンポポに有利な環境になってしまっているようだ。たんぽぽが環境汚染の指標になりつつあるというわけだ。

 ロンドンなどの大都会を除いては、イギリスは日本に比べて断然自然が多い。「ひょっとしたら逆に・・・。」と思って、日本の在来種を探してみたが、もちろん見つからなかった。わざわざ日本からたんぽぽを持ち込む人はまずいないだろうし、イギリスの土は日本のたんぽぽの生育には向いていないのかもしれない。
 

☆「ライオンの歯」、「おねしょ」と「たんぽぽ時計」
 環境汚染の指標になりつつあるとはいえ、「たんぽぽ」という愛らしい呼び名で、春を告げる草花として日本人に親しまれてきたたんぽぽ。
 しかし、ここイギリスでは、雑草(weed)の扱いで、人々にあまり好かれていない。特に、庭の手入れをする人々からはかなり嫌われているようだ。それは、年中、芝生の間に生えてしまうからだそう。ナチュラルであることが好まれるイギリスの庭においても、一面のグリーンの中にこの小さい黄色い花が点在することはよしとされないようだ。

 こちらでは、呼び名まで、”dandelion(ライオンの歯)”と猛々しい。また、たんぽぽに触ると寝小便をするという迷信から、”pissy-bed”や”wet-the-bed”、日本語にすると「おねしょ」という俗称まである。

 たんぽぽの花には忠誠心を表す高潔な意味があったのは遠い昔のこと。ビクトリア時代に愛のお告げや媚態という艶かしい意味を持つようになり、今では、たんぽぽの夢を見ると、恋敵が出現したり、恋人に裏切られたりして不幸になるという悪い迷信まであるようだ。

Dandelion_clock_2 とはいえ、いつでもどこにでも咲いているこの花の綿帽子(綿毛)は、”dandelion clock(たんぽぽ時計)”と呼ばれ、子供たちが「時間を知る」遊び道具として親しまれている。
 この時計、息を吹きかけて綿毛を飛ばし、綿毛が全部飛ぶまでに吹きかけた息の回数を現在時刻とするのだとか。例えば、3回で吹き飛ばせれば午後3時。ちょっぴり正確さには欠けている。
 時間厳守にこだわらないイギリス人の気質はこんなところに由来するのかも、なんて思わせてしまう愉快な時計だ。
 

☆本当に皆食べてる?
 西洋人の食用がきっかけで日本に帰化した西洋タンポポだが、少なくともイギリスではどうやらそれほどは食されていないよう。せいぜい、サラダに入れる珍しい葉野菜程度の認識ではないだろうか。今のところ、レストランなどでも出されたことはないし、スーパーや食材店でも見かけていない。

Dandelion_tea  ただ、最近のデトックスブームで、タンポポの入ったハーブティーはよく見かけるように思う。日本でしばしば不評のたんぽぽコーヒーはまだ飲んだことがないのだが、こちらで出回っているタンポポ入りのハーブティーは、ほんのりと独特の香りがして、ちっとも不味くないように思う。
 プーアル茶やミントティーが好きなうちの連合いや妹も、このハーブティーを大変気に入っているようだ。

←タンポポ入りのハーブティー(楽天市場)。このメーカーのは見かけていませんが。。

 
☆たんぽぽに教えられた帰化問題
 
 西洋タンポポは、日本に帰化しただけでなく、今では在来種との交雑までおこりつつあるそうだ。イギリスを含めた西洋の文化や物が日本に入るのは、悪いことではないと思うけれど、こういう帰化植物(動物)が日本の風景を侵してしまうのはなんとしてでも避けたいものである。

 現在では、日英間は、生きた植物の持ち込み持ち出しは禁止されているし、動物も検疫を受けることになっている。

 我が家も、イギリスで三つ葉のおひたしが食べたいがために、三つ葉の種を送ってもらおうかなんて冗談で言ってたが、こういう軽い気持ちが互いの環境を壊しす発端なのかもしれない。「イギリスにいる間は三つ葉はなしだ。」そう自分に言い聞かせた。
 

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コメント

中学で西洋タンポポと日本のタンポポの判別法を教えられ、
たんぽぽをみかけるとかならずガクをちぇっくします。

最近のはほとんどそっくり返っています。
やはり、日本のものの方がかわいらしく思ってしまいます。

私の学校、かなり自然派で夏休みの宿題に
レイチェルカーソンの沈黙の春の感想文なんかが出たりしました。

投稿: ぱんちゃん | 2007年4月 5日 (木) 20時24分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

なんと中学で「沈黙の春」を読まれていたんですか。
私が読んだのは大学に入ってから。
おまけに、ざっと目を通した程度ですw

日本タンポポによく似た小さめの黄色い花もよく見かけます。
本物でもなく、ノゲシでもないことはわかるのですが、
えせ自然派なので、何だかさっぱりですw

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年4月 5日 (木) 21時21分

最近タンポポ自体を見なくなった気がします。
一日に歩く歩数は相当なものですが、
気を付けて見ているのではないし、
なんせ家から出ないもので、外界の植生はサッパリですw

ちなみにうちに生えている雑草をみると、
セイタカアワダチソウ、ペンペングサなど、
タンポポの様に可愛い雑草は皆無ですw

以前、親戚に白いタンポポの種子を渡されて、
半ば強制的に栽培させられたことがあります。
売れ行きですか?
その年で栽培をやめたとだけ言っておきますw

投稿: KAZU | 2007年4月 6日 (金) 12時36分

KAZUさん、コメントありがとうございます。

セイタカアワダチソウやペンペングサ、うちの近所(日本)にも
よく生えていました。
でも、田舎町だからなのか、今の家の近くでは見かけないです。

こちらでは、タンポポより2周りほど小さい白菊のような花も、
芝生の上によく咲いています。
結構可愛いので、摘んで家に持って帰ろうかと思ったことが
ありましたが、何せ極小ですし、何かもわからないので・・w

白いタンポポの栽培はもともと雑草だけに簡単そうですね。
店頭に並んでいたら、「へ〜っ!」と歓声はあげるかも
しれませんが、財布は取り出さないような気が・・・w

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年4月 6日 (金) 16時24分

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