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2007年3月 8日 (木)

(か) カモメ GULL

☆内陸にカモメ?
Gull_flying  イギリスでの最初の初冬のこと。行きつけの近所のスーパーに出掛けて、びっくりした。私の住んでいる田舎町のスーパーには、車が何百台も停めれるような大きな平面駐車場があるのだが、そこにカモメの集団がいたからである。

 まるで白いカラスのような大きなカモメたち。頭上を数々のカモメが特有の鳴き声をあげながら飛んでいるのを眺めていると、どこからか潮の匂いがしてきそうな感じだ。しかし、私の住んでいるイギリスの町は海辺どころか、ロンドンよりずっと内陸だ。海を見るには車で何時間も走らないといけない。

 カモメといえば、日本では、冬の海岸や河口などに現れる渡り鳥として知られている。しかしイギリスでは、基本的に一年中見られる鳥で、海岸沿いに生息し、冬になると餌を探して内陸に現れるそうだ。
 イギリスの王立鳥類保護協会(RSPB)がカモメのイギリスでの分布図を公開している。 
 RSPBの、例えば、セグロカモメのサイトは、こちらからどうぞ(英語)。映像を観たり鳴き声を聞くことができます。他のカモメのサイトへのリンクもはられています。 
 

☆どれがどれ? イギリスのカモメの種類
 カモメの英名は”seagull(シー・ガル)”だとずっと思ってきたが、実際には、単に”gull(ガル)”と言うことも多いようだ。

Species  イギリスに生息しているカモメは、ユリカモメ、セグロカモメ、カモメ、ニシセグロカモメ、オオカモメなど。セグロカモメは、”Herring Gull(へリング・ガル)”と呼ばれている。直訳して、「ニシン(鰊)カモメ」。ニシンが好きなのだろうか。

 総称ではない種としての「カモメ」は、イギリスでは”common gull (一般的なカモメ)”という名だが、それほど一般的ではなく、ユリカモメやセグロカモメのほうがずっと数が多いようだ。
 
 また、百合のように白いという意味で名付けられたと思われるユリカモメは、英語では”Black-headed Gull”。意訳だが「ガングロカモメ」。
 背中が黒いという意味のセグロカモメは”Lesser Black- backed Gull”で、直訳すると「コセグロ(小背黒)カモメ」、オオカモメは”Large Black-backed Gull”、直訳「オオセグロ(大背黒)カモメ」)。
 なんだか、日本語との対応が微妙に難しい。
 

☆白いカラス、翼のついたドブネズミ?
 白いカラスに例えたが、イギリスでは、いまやカモメは日本のカラスや鳩に近い立場にある。時に「翼のついたドブネズミ(flyng rats)」と呼ばれ、病気を撒き散らす害鳥として嫌われている。

Gull_vsdove  BBCの自然と科学の記事によると、カモメは、1970年代の後半から、年間約13パーセントずつ数が増えていっているそうだ。
 その原因は人口の増加だ。外敵がおり餌が乏しい海岸沿いに比べ、街中は、外敵のいない安全な環境に加えて、いつでもゴミを漁ることができるので冬でも餌に困らない。
 もとは海辺に生息していたものが、徐々に内陸にもやってくるようになったのである。イギリスの都市ブリストルでは、今では夏でもカモメが出現するそうだ。

 町にやってきたカモメが嫌われる理由の一つは、人家に住み着いて、ゴミを漁ったり糞を撒き散らしたりすることがあるからだそう。
 イギリスのゴミ回収制度は、鳥やネコなどに荒らされにくい仕組みになっているが、糞のほうはそうはいかない。鳥インフルエンザが騒がれた昨今、一部の地域では、カモメの糞は深刻な問題だったようだ。
 

☆実写版の『鳥』? 頭上でカカカと鳴いていたら要注意
 このような衛生上の問題だけでなく、町にやってきたカモメは、もう一つ、厄介者扱いされる理由がある。
 それは、人に危害を加える可能性があるからだ。日本でも人里に出てきたクマやイノシシなどの野生動物でしばしば問題になることがあるが、カモメも、特に雛が育つ頃になると、自分たちのテリトリーに入る者を攻撃したりする。

Gull_1  通常カモメは、攻撃に入るまでに3段階の威嚇をおこなうそうだ。
 まず、最初は警戒音。テリトリーに近づくと、「ガガガグ」や「カカカ」と鳴いて威嚇するのである。それでもテリトリーに近づくと、安全な距離を保ちつつ、近くを飛んで威嚇する。それでも去らない場合は、糞爆弾だ。
 そして、これらの威嚇を無視する者に対してのみ攻撃するのだそうだ。口ばしでつつくのではなく爪での攻撃だそうだが、大きな鳥が自分目がけて空から突進してくるのは、イギリスの名監督アルフレッド・ヒッチコックの映画『鳥』さながらの恐怖だろう。

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☆ガルカルをカルガルしくするな!?
 地域によっては、もう一つの社会問題を引き起こしているようだ。

 それは、カモメの駆除(Gull cull、発音「ガル・カル」)の問題である。人家に住み着いたカモメの被害に困った人達が、業者などに駆除を依頼するということが起きているそうだ。自分たちで処理しようとする人まで出てきているらしい。もちろんイギリスでも、カモメを始め多くの鳥を殺したり狩猟するには免許がいるので違法行為である。

 カモメの駆除は、野生動物の命を人間の都合で奪うというだけでなく、街中で銃が使われたり、薬殺されたカモメの死体が2次的な被害をもたらしたりと、人間にとっても危険な行為なので、反対する人も多くいるようだ。また、数羽駆除したところで、火に油をそそぐようなものだと主張する人もいる。
 そこで、カモメを殺さずに数を減らす方法として、こっそりカモメの卵をダミー(偽物)と取り替えたり、ミネラルオイルに浸して孵化しなくさせる方法が広まりつつあるのだとか。
 
 

Gull_park_1  幸い、私の住む田舎町では、せいぜい冬に、スーパーの駐車場や土鳩が多い街付近の公園に現れるぐらいで、身近にもカモメの被害にあったという話を聞いたことがない。
 しかし、そのうち、この町も年中どこにでもカモメを見かけるようになるのだろうか。

 日本に比べれば自然が多く残されているように思うイギリスでも、このような事態が起こっているのだと思うと、「カモメだ!カモメだ!」と喜んで、のん気に写真を撮っていた自分がちょっと恥ずかしかった。
 

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