(て) デカフェ [カフェインレス、カフェインフリー] DECAFF
☆「デカフェ」とは?
「デカフェ」というものをご存知だろうか。カフェインレスや、カフェインフリー、ノンカフェインと呼ばれることもある。飲み物などで、カフェインの入っていない(カフェインを除去された)状態を指す言葉である。
日本でも、コーヒーショップなどでは、大抵デカフェのコーヒーがあるようだが、イギリスに比べると認知度はまだまだ低いように思う。私の日本の知人などでも、この言葉を聞いて首をかしげる人も多い。一部のカフェインに弱い人用の飲み物という認識なのだろうか。
しかし、イギリスでは、飲食店であれ、小売店であれ、必ずどの店でもデカフェを扱っている。デカフェは特別な人の飲み物ではなく、選択肢の一つ。スーパーのブランドのインスタントコーヒーですら、通常のものと同様に、デカフェの瓶が数多く並んでいる。
レギュラーコーヒーも、ちゃんとデカフェのものが店頭に並んでおり、スーパーブランドの製品からデカフェのコーヒー専門のメーカーのものまである。イギリスのデカフェコーヒー専門ブランドといえば、こちら、The D:Caff Coffee Co(英語)。イギリス国外への配達も一応可能のようです。
こちらでは、”decaffeinated (カフェイン抜きの)”でも、デカフェ(decaff、発音は「ディキャフ」)でも通じる。「de (=除く) + caff(eine) (=カフェイン)」と、そのままの意味ということもあるだろうが、誰もが知っている言葉である。アメリカ英語圏では”decaf”と綴られるようだが、イギリスでは、”decaff”と、”f”が一個多く綴られることがあるようだ。
☆コーヒーだけではありません
デカフェと言えばコーヒーを連想させるが、コーヒーに比べると知名度は低いものの、デカフェの紅茶も出回っている。イギリスの紅茶製造販売会社として有名なトワイニングス(Twinings)でも、トラディショナル・イングリッシュティーとアール・グレイのデカフェを出している。
また、なんと、デカフェの緑茶まで店頭に並んでいることがしばしば。紅茶メーカーとして有名なテトリー社(Tetley)のものや、オーガニックのお茶やコーヒー専門販売会社として有名なイギリスのクリッパー社(Clipper Teas Ltd.)の製品をよく見かける。
現在では、コーヒーや紅茶、緑茶のデカフェに限らず、もともとカフェインフリーのハーブティーを好んで飲む人も多く、様々な種類のものが出回っている。
☆そもそもカフェインとは?
どうして、イギリスではこんなにデカフェが普及しているのだろう。欧米人はカフェインに敏感で、眠れなくなる人が多いのだろうか。そもそも、カフェインとは何なのだろうか。
カフェインは、コーヒー、紅茶、緑茶、コーラなどに含まれる、アルカロイドという有機化合物の一つである。
それぞれの種類、煎れ方にもよるだろうが、100ml当たり、例えば、コーヒーなら60~175mgほど、紅茶なら30~50mg、緑茶なら10~160mgほどのカフェインが含まれているようだ。
ただし、紅茶のカフェインは紅茶中のタンニンと結合し、ゆっくりと体内に摂取されるため、カフェインの作用は穏やかだそうだ。
他のアルカロイドで有名なものとしては、麻薬として知られるコカインやモルヒネ、煙草の依存症の原因物質であるニコチン、神経伝達物質のドーパミンなどがある。恐ろしい物質ばかりではなく、マラリアの特効薬のキニーネや通風の鎮痛薬のコルヒチンなど、病気の治療薬に使われるものも多くあるようだ。
☆カフェインの効果
カフェイン自体は、中枢神経を刺激して覚醒(興奮)をもたらしたり、腎臓の血管を拡張させて利尿作用をもらたしたりする。コーヒーやお茶を飲むと、眠気が飛んだり、疲労が回復したり、トイレが近くなったりするのは、カフェインの効果というわけだ。また、心臓の筋肉(心筋)や骨格筋に直接働きかけて、筋肉の収縮を増強したりするということも知られている。
カフェインは、眠気に効く反面、不眠をもたらすのも事実だ。カフェインが効き始めるのは摂取後約30分ほど経ってから。そして、その効果は、人にもよるだろうが、8時間から14時間近くまで持続するそうだ。最近では、日本でも、少なくとも夜寝る3、4時間前は、カフェインの入った飲み物を飲まないほうがよいとされている。
☆イギリス人はカフェインに敏感なのか??
では、イギリスではどうなのだろうか。イギリスでデカフェが普及しているのは、カフェインに過敏な人が多いからなのだろうか。
知人宅でホームパーティに呼ばれたときのこと。晩、宴たけなわになり、知人特製のケーキが振舞われた。その際の飲み物を訊かれた多くの人は、ウイークティーと呼ばれる薄めに煎れた紅茶を頼んでいた。皆、夜眠れなくなることを気にしてのことだ。通常のコーヒーを頼んだ連合いは、「今から、もう一働きするのか?」と訊かれていたほどだった。
しかし、イギリス人を含む欧米人がカフェインに過敏という話を聞いたこともないし、調べてみてもそういう事実はどこにも発表されていないようだ。
欧米でデカフェが普及しているのは、一説には、健康上の理由や宗教上の理由で、意識的に摂取を控えている人が多いからだとも言われている。イギリスでも、薬を常用している人や妊娠している人、腎臓疾患などを患っている人は、カフェインを摂ることを控えたほうがよいとされているようだ。
また、身近にそういう人はいないが、カフェインは興奮物質のアルカロイドの一種なので、宗教上アルコール同様に禁止されることもあるのかもしれない。
日本では、夕食後に日本茶を飲む家庭も多いように思う。でも、それで夜眠れないという話をあまり聞いたことがない。これは、もしかしたら、慣れが関係しているのかもしれない。
カフェインは、脳で作られたアデノシンという物質が結合すべきアデノシン受容体に代わりに結合して、アデノシンの働きを妨げることによって、覚醒作用をもたらすと考えられている。
カフェインを常時摂取している人は、その分、アデノシン受容体の数が増える可能性があるとも言われているようである。受容体が増えると、カフェインがあっても、アデノシンが受容体に結合する確率が高くなる。つまり、カフェインの覚醒効果が効きにくくなる可能性があるのである。
イギリスでも古くから紅茶を飲む習慣があるにも拘らず、デカフェやカフェインフリーが流行っていることからして、眠れないというよりは、一種の健康志向の表れなのだろうか。
☆デカフェはどうやってできる?
インスタントコーヒーだけでなく、レギュラーコーヒーまで、デカフェがあるわけだが、一体どうやって、カフェインが取り除かれているのだろうか。
どうやら、脱カフェイン法(decaffeination)には、大まかに3種類の方法があるようだ。有機溶媒抽出法(Solvent decaffeination)、水抽出法( Water decaffeination)、そして、超臨界二酸化炭素抽出法(Carbon Dioxide decaffeination)。どれも、基本的な方法は大体同じで、それぞれ、カフェインを溶かしだす溶媒の種類が違う。
・有機溶媒抽出法
有機溶媒抽出法は、カフェインの水にも油にも溶ける性質を利用した抽出法だ。最初に開発された脱カフェイン法である。ケミカル法(chemical decaffeination)と呼ばれることもある。
蒸気で膨じゅんさせたコーヒーの生豆を有機溶媒に浸して、豆中のカフェインを有機溶媒に溶かし出す。豆に付いた有機溶媒は、焙煎(ロースト)の際に揮発するそうだ。しかし、食品に直接有機溶媒を使うということで、
現在では、沸点が低くてより残留しにくいジクロロメタンや天然の植物由来の酢酸エチルなどが使われている。水溶性のうまみはコーヒー豆に留まるが、脂溶性のうまみは抜け出てしまうので、香りが損なわれていると主張する人も多いようだ。
・水抽出法
水抽出法は、安全な食品をということで開発されたもの。水にカフェインを溶かし出すという方法だ。当然、問題となるのは、水の中にコーヒーの水溶性のうまみが溶け出てしまうこと。それを回避するために、現在では、予めうまみが溶け込んだ水を使い、カーボンフィルターでカフェインを選択的に吸着させるというSWISS式水抽出法(SWISS water method)という方法がよく行われているようだ。また、フィルターを使わずに、カフェインが溶けた水に有機溶媒を混合して、2段階でカフェインを抽出する方法もある。
・超臨界二酸化炭素抽出法
そして、有機溶媒抽出法や水抽出法の欠点をカバーしたのが、新しく開発された超臨界二酸化炭素抽出法だ。
物質は、圧力と温度によって、気体、液体、固体の三態をとるが、高圧力、高温では超臨界流体(supercritical fluid) という、気体の流動性と液体の溶解性を兼ね備えた状態になる。この抽出法は、溶解性の高い、超臨界状態の二酸化炭素(super-critical carbon dioxide)にカフェインを溶かし出すというものである。通常の気圧、温度に戻すと、私たちの身近にある気体の二酸化炭素になるので、人体にも安全だし、豆の味を損なうこともない。
最近では、かなり普及しつつある方法のようだ。私が買ったコーヒー豆もこの製法で作られていた。
デカフェの味はおいしくないと敬遠されてた方は、この脱カフェイン法のものを試されてはいかがだろうか。
☆デカフェにもカフェインは入っている
しかし、デカフェだからといって、カフェインがゼロというわけではない。
2006年のアメリカ、フロリダ大学の研究発表によると、デカフェのコーヒーにもカフェインは含まれているとのことだそうだ。5杯も10杯もデカフェのコーヒーを飲んでいれば、普通のコーヒーを1〜2杯飲んだ程度のカフェインを摂取していることになるそうだ。
コーヒーの生豆には、種類にもよるが、だいたい1%強のカフェインが含まれている。デカフェの場合は、イギリスを含むヨーロッパでは、豆中のカフェイン含量は0.1%以下、インスタントの場合は、0.3%以下に抑えないといけないという基準がある。日本には今のところ、そういった基準はないようだ。アメリカの規制がどの程度なのかはわからないが、イギリスのデカフェにもやはり多少なりともカフェインが含まれていると考えてもいいのだろう。
現に、私も夕方以降は、デカフェのコーヒーや紅茶を飲むようにしているが、眠れないことはないけれど、なんとなく、飲んだ後は、眠気がすっきりなくなった感じがしていた。コーヒーの他の成分のせいなんだろうと思っていたが、もしかしたら、カフェインが効いているのかもしれない。
しかし、少なくとも私の場合は、カフェインの作用というよりも、「カフェイン入りの飲み物を飲んだ」という思い込みのほうが大きいんじゃないかというのが、連合いの説だ。
以前、デカフェと間違えて普通のコーヒーを知らずに飲んでいたけれど、やはりいつもどおりグーグー寝ていたというのがその根拠らしい。
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26/Oct



コメント
英国帰りの両親の影響か、
我が家では昔は夕ご飯の後、果物を食べ、
その後に、軽いお菓子と紅茶を飲む習慣がありました。
全然眠れます。
もちろん、今は、仕事中に眠気覚ましの
午後の紅茶と缶コーヒーはかかせません。
コーヒーを飲んでから、覚醒作用が発揮するまで
30分くらいなので、コーヒーを昼食後に飲んで、
30分ほど仮眠をして、ばっちり目覚めて仕事をするのがよい
と聞いたことがあります。
よって、私は12時半にお弁当の後に缶コーヒー1本のんで
1時から午後の仕事にかかっています。
昔、カフェインレスで身体にいいよ、
といわれて「タンポポコーヒー」なるものをもらいましたが
まずくって、無理してのまなくても。と思ってしまいました。
カフェインレスのまずいコーヒーを飲んでストレスを感じるより、
すっきりする普通のコーヒーを飲んで、しっかり働いて
ぐっすり眠る方が長生きしそうですね。
投稿: ぱんちゃん | 2007年2月 9日 (金) 20時24分
ぱんちゃん、コメントありがとうございます。
食後の果物とおやつは、ダイエットの面からもいいそうですね。
(真偽のほどは定かではありませんがw)
うちの実家も(英国帰りではありませんがw)、
祖父祖母の代から夜のお茶の習慣がありました。
夜寝る前にコーヒーや紅茶を飲んでいましたが、
私以外の者は皆全然平気で寝ていたようです。
不思議ですw
タンポポコーヒーは飲んだことがありませんね~。
最近は、デトックスのタンポポ入りのお茶をよく飲みます。
これもデカフェです。
人によって好き嫌いがあるかもしれませんが、
なかなか美味しくて気に入っています。
よい睡眠には、おっしゃるとおり、カフェインうんぬんということの前に
しっかり働く(よく運動する)ことが重要なのかもしれませんね。
私の場合は、寝る前のストレッチが効果的に働いているような気がします。
それと、難しい本・・w
投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年2月10日 (土) 00時03分
私は割とカフェインが効きやすい体質かもしれません。
肉体労働で疲れているはずなのに、
夜にコーヒーを飲むと、
体は明らかに寝たがっているのに、
目だけ冴えている感覚になることがあります。
WCの頻度も高くなります。
なので我家もカフェインレスコーヒーは常備しています。
ちなみに難しい本は私にも効果的面で、
しかも即効性がありますw
タンポポコーヒーはカフェインレスということで、
カフェインの摂取が好ましくない
妊婦さんや母乳育児をしている方には良いらしく、
助産院にもチラシが貼ってありました。
上の子の時からうちの奥さんは飲んでいて、
私も飲んだことありますが、・・・私は勘弁って感じでした。
ちなみに血行にも良いらしく、
冷え性の方とかにも良いらしいです。
ダイエットコーラは日本でも知名度が高いですが、
米国滞在時にはカフェインレスコーラもよく見ました。
更にはダイエットカフェインレスコーラ
なるものまでありました。
そこまでいくと、もはやコーラではない気がしますが、
そこまで気を使うなら、
飲まなきゃいいじゃんと思ってしまうのは私だけでしょうかw
P.S.ところで連れ合いさんは、
相変わらず炭酸飲まないのかしら?
投稿: KAZU | 2007年2月10日 (土) 22時19分
疲れているのに寝付けないのって辛いですよね。
そして、明け方起きる直前になって
カフェインが切れて眠気が襲ってくるw
タンポポコーヒー、妊婦さんにも勧められているんですか。
不味いけれど体にいい・・・薬のようですねw
イギリスでも公式には、妊婦の方はカフェインを取りすぎないように
指導されていますが、最近では、胎児に及ぼす影響は殆どないという
研究報告もあるようです。
こちらでも、女性は特にダイエットコーラを飲んでいますね〜。
皆、甘味のある炭酸飲料が好きみたいですね。
連合いは、未だに炭酸飲料が苦手のようです。
特にコーラは。大学に入って初めて、それも何かの手違いで、
一口飲んだだけだそうですw
投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年2月11日 (日) 05時18分