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2007年1月18日 (木)

(す) 酢 VINEGAR

  酢といえば、日本では、穀物酢や米酢といった薄黄色の酢が一般的だが、イギリスでは、黒(茶色)と透明のものが主流だ。
 

☆黒い酢、モルトビネガー(麦芽酢)
Vinegar_molt_1  イギリスの黒い酢は、日本で、イタリア料理とともに有名になったバルサミコ酢でも、健康にいいともてはやされている黒酢でもない。モルトビネガー(malt vinegar、麦芽酢)という麦芽大麦(malting barley)を原材料とする酢である。

 麦芽大麦といえば、ビールやウィスキーの材料として有名だ。イギリスは大麦の栽培が盛んだし、パンのお供のマーマイトもビールの精製過程で出来るもの。モルトビネガー(麦芽酢)がイギリスで一般的な理由がよくわかる。
 
 味は、日本で一般的な穀物酢や米酢に比べて、ちょっとクセのある感じ。レモン風味と形容する人もいる。しかし、バルサミコ酢ほどは主張せず、個人的には、しょうゆとよく合うような気がする。

 そして、イギリスで、モルトビネガーといえばフィッシュ&チップス、フィッシュ&チップスといえばモルトビネガーというぐらい、イギリス名物のフィッシュ&チップスにモルトビネガーはかかせない。
 パブでフィッシュ&チップスを注文すると、大きなモルトビネガーのボトルが添えられる。揚げたてのフライにこの酢をたっぷりとかけるのが流儀だ。最近では、合成酢というのだろうか、カラメルを加えた醸造されていない酢(non-brewed condiment)が出される場合もあるようだが。

 また、モルトビネガーは、ピクルスのつけ酢に利用されたり、インド料理のPiccalilliやチャツネを作るのに使われたりしているようだ。

←ハインツのモルトビネガー(楽天市場)
  

☆モルトビネガーが黒い理由
 それにしても、どうしてモルトビネガーは黒いのか。
 モルトビネガーも、日本の穀物酢や米酢のように、二段階の発酵、アルコール発酵と酢酸発酵を経て出来上がる。黒さの理由は原材料の麦芽にある。
 麦芽とは、大麦を発芽させたもので、大麦は発芽の際に蓄えたデンプンを糖に分解する。通常、ビールやモルトビネガーに使われる麦芽は、途中で窯で乾燥(焙煎)されて、臼で挽かれた粉の状態のもののようだ。糖を含んでいるので、焙煎の時間や温度によって、糖がカラメル化し、色付くのである。
 そういえば、イギリスのビールといえば、スタウト(stout)と呼ばれる黒ビールが有名だが、このスタウトも黒い麦芽が原料だ。
 

☆透明の蒸留酢
Vinegar_distilled  もう一つ、イギリスでよく見かけるのが、透明の酢。これは、モルトビネガーを蒸留したもの(distilled malt vinegar、蒸留麦芽酢)である。アルコールを発酵させたホワイトビネガーとよく似ているが、製造方法が異なる。クセがなく安価。うちでは、硬水のため石灰石がたまる電気ケトルの掃除に使っている。もともと食品用なので、一般のライムスケールリムーバーよりも安心だ。
 

☆その他の酢
Vinegar_whatswhat  しかし、イギリス人はモルトビネガーしか使わないのかというとそうではなく、バルサミコ酢やワインビネガー、リンゴ酢など、様々な酢をスーパーで手に入れることができる。実は、米酢も然り。
 
 米酢は、イギリスでは、中華料理や日本料理に使われる酢として認識されている。特に、人気の寿司を作るのに必要な酢として、スーパーの寿司の材料コーナーに、ショウガの甘酢漬けに並んで置かれていたりする。
 

☆イギリス人のためのイギリス産の米酢?
Vinegar_rice  写真の米酢だが、”rice vinegar(ライスビネガー)”の上には、見慣れたマークと文字が。日本の酢で有名なミツカンだ。
 裏を見ると、”Mizkan U.K. Ltd.(ミツカンUK社)”として、現地法人になっている。1998年(平成10年)からヨーロッパをターゲットとして、イギリスに設立されたのだとか。イングランド中西部のスタッフォーシャー(Staffordshire)のBurntwoodというところに本社と工場があるそうだ。
 ミツカンUK社について、詳しく知りたい方は、こちらのミツカンのサイトをご覧ください(英語)。 

 イギリスに住む日本人向けに日本から輸入されたのではなく、現地の人のために現地で作られた米酢。とうとう日本の米酢もここまで来たかという感じである。

 対して、イギリスのモルトビネガーはあまり日本で普及していないようだが、これを機に、どうぞお試しあれ。
 

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コメント

例えば、モルトビネガーで、酢の物や、お寿司ができるんでしょうか?

私は個人的には、バルサミコ酢とオリーブオイルを混ぜた
ドレッシングが好きです。

あと、健康のためプルーンエキス入りリンゴ酢を飲んでいます。

友人の引き出物にブルーベリー酢をもらったり。

炭水化物を含有する材料なら、基本的に酢酸が得られるのでしょうか?

またお料理紹介、期待しています!

投稿: ぱんちゃん | 2007年1月18日 (木) 20時16分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

モルトビネガーは、米酢の代用としては使えないと思います。
逆も無理でしょうね。
その上で、酢の物や寿司に使えるかですが、
前者は試したことがあります。
私はそれなりに美味しいと思いましたが、
連合いはやはり米酢のほうがよかったみたいです。

リンゴ酢、体にいいそうですね。
うちはもっぱら、しゃっくりが出たときに、酢を飲んでいます。
お猪口一杯分でぴたりと止まるのでw

ブルーベリー酢のお味はいかがでしたか。
おそらく日本でもでしょうけれど、イギリスでは
それほどポピュラーではないです。
イギリス産のフルーツワインがどれも美味しかったので、
今度は酢のほうも探して試してみたいと思います。

酢酸合成の件ですが、私はその手の専門家でないので、
よくわかりません~wごめんなさい。
でも、理論上は、お酒(エタノール)になっているものからなら
何でも、酢(酢酸)が作れるのではないでしょうか。
詳しい方、コメントお願いします。

酢を使ったレシピといえば、亜麻仁のところの写真にある、
ジャガイモとコリアンダーの酢醤油炒めがお奨めです。
また、鶏などのこってりした煮物に加えて、
さっぱり感を出すのにもいいですよ~。

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年1月19日 (金) 02時04分

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