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2007年1月22日 (月)

(い) インスペクション [借家の立ち入り検査] INSPECTION

☆大家はいつでも立ち入り可能?
 イギリスの借家制度は、日本のものとかなり異なる。

 まず、物件の多くは、引越しの多い人や短期滞在者にありがたい家具付きの部屋である。そして、水道の水漏れやボイラー故障などのトラブルの場合も、大家や不動産管理会社に連絡して、対処してもらえばいいだけなので、借主にとって経済的に負担がかからないようになっている。

 その反面、借主は、大家や不動産会社から要求された場合には、いつでも部屋を見せなければならない。これがインスペクションである。
 

☆定期的インスペクションと抜き打ち的インスペクション
 インスペクション(inspection)を直訳すると、「視察」、「検閲」、「立ち入り検査」になると思う。インスペクションの目的は、借り手が部屋をきちんと使っているかを、大家や不動産会社が直接目で見て確かめることにある。

 インスペクションには、3ヶ月や半年毎に行われる定期的なものと、借主に問題がありそうなときに行われるもの抜き打ち的なものがある。どちらも前もって通知がある。
 

☆留守にするか、立ち会うか?
 入居後、半年ほど経った頃、定期的インスペクションの通知が不動産会社から届いた。
「明後日○月○日の午前10時から午後4時までの間にインスペクションを行います。当日立会いは不要です。」といった内容のもの。

 日本の借家制度に慣れた者にとっては、これが厄介だ。まず、いきなり知らせが入って、人がやってくるという。そして、変更はまずできない。
 例えば、「その日は都合が悪いから。」と言って断ろうとすると、「(合鍵を持っているので)勝手に入って行うから立会いの必要はない。」と言われるだけだ。
 留守中に勝手に入ってほしくない場合は、朝から晩までひたすら家にいて待機するしかない。

 我が家は土足厳禁だ。靴を脱いでもらうように前もってお願いしたり、張り紙をして外出という手もあるが、留守中に実際に実行してもらったかどうかは、後からは知るべくもない。結局、土足で上がったと見なして、すべての部屋の床を何度も水拭きすることになるので、毎回、立ち会うことにしている。
 

☆どの程度点検される?
 インスペクションの知らせを受けると、我が家では大掃除が始まる。大して物を持っていないし、家もそれほど広くない。腕白盛りの子供が大勢いるわけでもないので、それほど汚れてはいないのだが、やはり「立ち入り検査」ともなると、気が張って、部屋中を磨くことになる。

 最初のインスペクション。もしかしたらチェックされるんじゃないかと思って、シャワーノズルや壁のスカート部分や自前のトースターや炊飯器まで磨きたおしたのだけれど、やってきた不動産管理会社の女性は、5分ほど部屋を見渡して、「きれいね〜。」と言って、あっけなく帰って行った。

 その後も何回か定期的インスペクションを受けているが、毎回ほぼ同じようなもの。
 不動産管理会社の方針にもよるのかもしれないが、今までのインスペクションで点検された箇所は以下の通り。
 ・水周り---ただ数秒眺めるだけ
 ・冷蔵庫の中、オーブンの中---大抵どちらか。「開けてもいい?」と尋ねてくれる。
 ・窓の桟---チェックしないことも多いが、案外要注意。
 

☆怠け者の借主に効果あり
 たったの数分、軽く歩き回っただけで帰ってしまうのだけだし、知人達に尋ねても、よほどひどい状態でない限り、いつもどおりにしているだけだと言う。

 それでも、今回はもしかしたらきっちり点検するかもと、毎回思って、年数回大掃除をしている。怠け者の私にとって、この強制的な立ち入り検査は、家のメンテに役立っているように思う。

 他の怠け者にもしかりのよう。フラット(アパート)の上階の住民の騒音が問題になり、大家がその家に抜き打ち的インスペクションを行うことになった時のことだ。その数日前、山のようなアルコールの瓶や缶を抱えて、その住人がごみ収集所に向かっているのを何度か目撃した。また、一日中掃除機の音や洗濯機の音が鳴っていた。彼らの場合は、「よほどひどい状態」だったのかもしれない。
 

☆退去前の見学者のためのインスペクション
 インスペクションの目的は、借り手が部屋をきちんと使っているかを大家や不動産会社が直接目で見て確かめることだと前に述べたが、実は、もう一つ、違う目的で行なわれるインスペクションがある。
 退去前に行なわれる、新入居者の見学のためのインスペクションである。

 日本と同様に、借主は、部屋(家)を引き払う前に、事前(1〜2ヶ月前)に大家や不動産管理会社にその旨を通達するする必要がある。そして、イギリスの場合は、この期間の間にインスペクションが行なわれる。

 つまり、日本では、前の借主が退去した後に、家主が新しい借主候補に物件を見せるのに対して、イギリスの場合は、借主の退去前、実際に住んでいる時に、部屋の様子を見せるのである。

 1度で新しい契約が決まればそれでOKだが、場合によっては、何度もいろんな人が尋ねてくることになる。
 引越し前だからといって、ダンボール箱を散らかしていたりなどして、気を抜いていられない。汚く住み心地悪そうに見えると、なかなか新しい借り手が見つからず、インスペクションの機会も増えることになるからだ。

 他人が自分の家に勝手に立ち入ることに慣れていない日本人にとっては、ある意味、かなり苦痛の日々かもしれない。

 とはいえ、逆に、自分が物件見学する立場にある場合は、その入居者の暮らしぶりを垣間見ることができるので、楽しくもあるのだけれど。
 

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コメント

2児の親的には辛い制度ですね。
年明けに大掃除しましたが、
子供が戻ってきた瞬間から・・・、まぁお察し下さい(笑)

私は以前倉庫だった建物を改造し住んでいるのですが、
倉庫時代にはお客さんのWCとして使われていた経緯があり、
結婚し住み始めてからの1年は、
夫婦共に外で仕事をしているのに「ジャー」と、
水の流れる音がすることが数回ありました(しかも土足)
お客さんとはいえ気分良いものではなかったですね。

その後、「ここはトイレではありません」と
玄関に張り紙しました。
・・・嫌な表札でしょ(笑)

投稿: KAZU | 2007年1月25日 (木) 17時12分

KAZUさん、コメントありがとうございます。

「ここはトイレではありません」ですか・・ww
お客さんもびっくりされたでしょうね。
貴重な体験談をありがとうございますw

育ち盛りのお子さんがいると大変ですよね。
一度、日本から母が遊びに来ているときに、インスペクションがありました。
「こんな時に?!」とちょっと焦った記憶がありますが、大人ですから、
散らかすわけでもなく騒ぐわけでもなく(笑)、無事終了しました。
却って威圧効果があって早く終わったような・・w

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2007年1月25日 (木) 18時24分

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