« (ふ) ブルタック BLUTACK | トップページ | (こ) ゴールデンシロップ GOLDEN SYRUP »

2006年12月14日 (木)

(て) 電柱 TELEGRAPH POLE

 ちょっと、数十分散歩するはずだったのが、帰ってきたら、1時間も2時間も経っていて、びっくりすることがある。知らない間にいつの間にか時間が過ぎている。「えっ、もうこんな時間?!」 まるで、遊びに夢中になっている間に、いつの間にか日が暮れて夕食の時間になってしまった子供のような感覚だ。
 

Telegraph_pole ☆余所見をしてもぶつからない?
 私が夢中になってしまっているのは、イギリスの町並みだが、それを増長させているのが、この国の道路整備だ。きれいな景色や珍しい風景に心を奪われて、ふらふら余所見をしながら歩いていても、自転車、人や電柱にぶつかることがない。狭い道でもハンプや道幅制限などがあるので、車の通行も少ないし、大抵どの道路も広い歩行者道が両脇にある。そして、日本に比べて電柱の数が圧倒的に少ないのだ。

 残念ながら、イギリスの電柱の数が何本あるか、日本に比べてどれだけ少ないかということを正確な数値でお伝えできないのだが、見た限り、明らかに少ない。日本では20~50mに1本はあるように思うが、イギリスでは住宅街でも 100~200mに1本という感じではないだろうか。
 

Telegraph_pole_radial ☆イギリスの電柱が少ない理由は?
 イギリスの電柱が少ないのは、電線の配線方式が日本とは違うからだ。上を見上げると、一目瞭然だ。日本では一列に並んだ電柱間を電線が橋渡しし、さらに各電柱から各家庭に電線が渡っている。しかし、イギリスでは、1本の電柱から放射状に各家庭に電線がのびているのが普通だ。手前側の家々にのびる線と、道路をはさんで向こう側の家々にのびる線たち。1本の電柱がかなりの範囲のをカバーしているのだ。

Telegraph_pole_wire それだけではない。よく見てみると、電柱間の電線がないものが多いことに気付く。電線とはいえ、距離が延びればかなりの重さになるので、普通はそうそう電柱間の距離を広げることはできないだろうが、イギリスの電柱の場合は電柱間の電線がないので、そういった心配がないようだ。家に供給できてさえいれば、電柱同士がどれだけ離れても大丈夫というわけである。

 
☆電線の地中化
Telegraph_pole_underground_1  電柱間を電線が渡っていない。じゃあ、電柱から各家庭にのびている電線は一体どこから来ているのだろうか?
 それは、地下からだ。黒い太い線が電柱の先から根元まで沿っている。地下を通っている電線がそれぞれの電柱に沿って頭上までのび、各家庭に配電されているのである。
 イギリスでは、このように電気や通信の配線の地下化(地中化)が広く実施されている。だから、頭上もすっきり。アメリカなどを訪れた多くのイギリス人は、頭の上を走るおびただしい数の電線にびっくりするそうである。

 では、いっそのこと、電柱から各家庭への電線も地中化して電柱をなくしてしまえばいいじゃないかと思われるかもしれないが、却って不便になるようだ。それは、もちろん、マーキングする犬達や、電柱鬼をする子供達にとってではなく、メンテナンスをする人や自治体、しいては、通行し、税金(地方税)を払う私達にとって不便になるのである。

 電柱には変圧器や分岐盤などの地上機器が取り付けられている。電柱を取り払ってしまっても、この地上機器を地下に入れるわけにはいかず、電柱以上の幅をとってしまうそうだ。すべてを地下に入れたとしても、管理費がかかり、配線を増設しにくいというデメリットも生じてくる。
 

☆一本の木のような電柱
Telegraph_pole_tree  イギリスの電柱のよさは、数が少なく、配線が少ないだけではない。もう一つ、いや二つ、景観を損なわない理由を挙げたいと思う。まず、木製であること。そして、何も貼り付けられていないことだ。

 イギリスの電柱はその殆どが未だに木製だ。日本も昔は木製の電柱が多くあったように思う。それが、多くは老朽化による安全上の理由だろうが、どんどんコンクリートの電柱に置き換えられていった。一見、古くなった木の電柱よりも、まっさらのコンクリートの電柱のほうが美しいように思うかもしれない。私も日本にいるときは、古い木の電柱を見かけると、「寂れてるなぁ。新しいのに替えればいいのに。」と思っていた。しかし、こちらに来て考えが変わってしまった。

 木製ということで配慮されているのか、こちらの電柱には反射板や張り紙、看板などが一切取り付けられていない。街灯に張り紙がされているのを見かけても、電柱では見たことがないように思う。犬もしつけられているのか殆どマーキングしていないようだ。
 だから、イギリスの古い木製の電柱は、周りにある葉の生い茂った木や古い町並みによく馴染んでいる。まるで高くそびえた1本の木のよう。
 

 たかが電柱、されど電柱。イギリス人の古いもの美しいものを大事にする精神がここにも表れているような気がして、ついついうれしくなって、他にもないかと探してしまう。こんなことだから、帰りが遅くなってしまうのかもしれない。
 

☆ちなみに、電柱の英語は?
 ちなみに、電柱を和英辞典で引くと、”telegraph pole(テレグラフ・ポール)”となっているが、これはイギリス英語だそうだ。テレグラフ(telegraph)とは「電信」という意味だから、直訳すると「電信柱」になる。
 電信柱というと、電力を供給しない、通信配線を供給するだけのものを差すこともあるようだが、イギリスでは、”telegraph pole(テレグラフ・ポール)”は、電力も通信も供給する共用柱をさすようである。アメリカ英語の”utility pole(ユーティリティ・ポール、多目的柱)”にあたる。

 ”telephone pole(テレフォン・ポール)”や”phone pole(フォン・ポール)” という言葉も同様に使われることがあるが、これらはどちらかというと、電信柱の意味合いが高いようだ。
 また、共用柱といっても、日本のように、信号や標識、街灯を兼用しているものは今まで見たことがない。木製だから耐重量の問題で無理なのだろうか。
 

☆ランキングに参加しています☆
気に入ってくださったら、 ←クリックしていただけるとうれしいです。

|

« (ふ) ブルタック BLUTACK | トップページ | (こ) ゴールデンシロップ GOLDEN SYRUP »

★同じものでも国によって違います。」カテゴリの記事

・暮らし(その他)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (ふ) ブルタック BLUTACK | トップページ | (こ) ゴールデンシロップ GOLDEN SYRUP »