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2006年10月23日 (月)

(ま) 窓掃除サービス WINDOW CLEANING SYSTEM

☆えっ、泥棒?
Window_cleaning ある日の昼間、部屋でくつろいでいると、突然、窓をゴトゴト叩く音が。うちのフラット(=アパート)は2階。地上まで3メートル以上はある。いくら背の高いイギリス人でもここまでは届かない。

 ロンドンでは、部屋を離れた一瞬の間に、窓からでも容易に泥棒が入ると聞く。我が町はかなり治安がよく、泥棒の噂をきいたことがなかったが、もしやと思い、恐る恐る窓を見ると、なにやらわからない白いものが水を跳ね上げながら窓を上下に動いていた。

 ますます訳がわからなくなって、窓の下を見てみると、フラットのメンテナンスをおこなう人が、長い竿のようなものを手にしていた。窓掃除をしてくれていたのだ。
 

☆あっという間にピカピカ
Window_cleaning_person  長い竿のようなモップの柄の根元は、ホースを介しておそらく水道の蛇口に繋がっており、柄を通った水がモップの先から出る仕組みのよう。何メートルもある竿だけでもかなりの重量がありそうなのに、水が通っているとは。どおりでメンテナンスの人の腰が入っているわけだ。

 イギリスの水は硬水だ。水が付いたところが乾くと、白く跡が残ってしまう。ライムスケール(石灰石)が析出してしまうからだ。だから、水掃除しても、きっちりと乾拭きしないかぎり、洗い流した水の水滴がまた白い跡を残してしまう。

 件の窓掃除だが、一枚の窓の掃除がほんの数秒で終わってしまう。水を流しながら、モップでサッとこすって終了である。洗剤をかける作業、ゴムのへらで水を切ったり、乾拭きしたりする作業は一切ない。それなのに、いつも掃除の後は窓はピカピカ。恥ずかしながら、内側のほうが汚いぐらいだ。
 
 一体、どうなっているのだろうと思って調べてみた。どうやら、モップの柄の根元のホースは、水道の蛇口に直接繋がっているのではなく、ろ過装置を介してや、タンクに繋がっているらしい。モップの先から出てくる水はただの水ではなく、ろ過精製された超純水。不純物を含まない軟水である。だから、洗剤なしでも汚れ落ちがよく、乾いても跡が残らないのだとか。
 

☆作業も簡単、住人も安心
Window_cleanind_2nd  この窓掃除は、”Water Fed Poles Window Cleaning (水供給ポールを使った窓掃除)”と呼ばれている。

 このシステムの利点は、いろいろある。
 作業をする人にとっては、はしごを使わないので安全、そして、洗剤拭きや乾拭きがいらないので早く作業が完了し、効率がいい。洗剤を使わないので環境に優しいと点も見逃せない。

 そして、部屋の住民にとっては、プライバシーが守られるという利点があるように思う。日本の企業に勤めていたとき、会社のビルの定期的な窓掃除があったが、大抵、ゴンドラに乗った人によって行われていた。ふっと横を見ると窓掃除の人と目が合ったりして、少々気まずい思いをしたことがあった。自宅の窓ならなおさらかもしれない。イギリスのこの窓掃除システムの場合は、モップの先だけが窓に接近するだけ。一人暮らしの人も安心だろう。
 

☆イギリスの共同住宅に適したシステム
 一軒家(house)の場合は、住人が掃除することが殆どだが、日本のマンションやアパートにあたる共同住宅型のフラットの場合は、この窓掃除システムを導入しているところが多いように思う。日本では、どこのマンションでも住人がするのが普通ではないだろうか。

 これは、日本とイギリスのの構造の違いに起因するものだと思う。

 日本のマンションの場合、窓の外はベランダや共同廊下になっており、自分で掃除しやすい、反面、業者が一括に掃除しにくい作りになっている。また、建物の高さも概して高く、10階以上ある高層マンションも決して珍しくないので、竿での掃除はかなり厳しいかもしれない。
 
 イギリスの場合は、ロンドンなどの大都会は別にして、高さの低い家が多い。せいぜい、4、5階建てだ。竿の長さは、5階程度までは届くそうなので、大抵の建物はカバーできる。また、集合住宅型のフラットの場合、ベランダの付いているものはあまり見かけない。

 また、こちらでは、家や部屋を他人とシェアして一緒に住む人が多い。”studio (flat) (スチューディオ)と呼ばれる、日本でいうところのワンルームマンションにあたるものもあるが、数はそれほど多くなく、一人で普通の家やフラットを借りるには家賃が高すぎるからだ。
 個人主義の国なので、フラットの住人が集まって皆で仲良く窓掃除なんてことはなかなかうまくいかないだろうし、だからといって、率先して窓掃除をする人も少ないのではないだろうか。
 窓の作りも防犯をかねているのか、開かないものや跳ね上げ式のものが多いようだ。部屋の中から外側を掃除しにくいのである。

 この窓掃除サービスは、こういったイギリスの事情にもよく合っているのではないだろうか。
 

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