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2006年9月 4日 (月)

(し) 時間厳守 PUNCTUALITY

 待ち合わせをすると、その人がどれだけイギリス(又はヨーロッパ)の暮らしに溶け込んでいるかということがよく分かる。時間通りにいつも現れるのは、来て間もない日本人やアメリカ人。毎週同じ時間のはずでも、前もって皆の都合のいい時間に決めたはずなのに、イギリス人を含むヨーロッパ人は、なにかしらの理由と共に遅れてやってくる。
 

☆「遅刻度」=「イギリス度」?
 初めは、人種の違いだと思っていたが、どうやらそうではないようだ。(もちろん、もともとの性格の違いもあるだろうが。)
 渡英間もない日本人の知人が、日本人だけのパーティーを開いた。ほぼ定刻にやってきたのは、渡英して1~2年の私達。30分か1時間して、渡英3~5年の人達がやってきた。そして、2時間近く遅れてきたのは、渡英10年を超した人だった。日本人だけではなく、他の非ヨーロッパ人にも当てはまったので、私の中では、「遅刻度」=「イギリス度」という等式が出来上がってしまった。
 

☆待つのが当たり前。行列好きのイギリス人
 実際、こちらの人は、日本人からするとびっくりするぐらい「のんびり」している。待つのも、待たせるのも全く苦にならないようだ。「(行列を作って)並ぶ」という表現をするとき、日本語では、「ならぶ」、アメリカ英語では、”line(ライン)”という動詞を使うが、イギリス英語では、”queue(キュー)”である。「ならぶ」、「ライン」、「キュー」。
 実際に口に出して見ると分かりやすいが、「キュー」という言葉のなんと短いこと。たったの1音節である。頻度が高い言葉ほど、音節が短い傾向があるが、この「キュー」という単語の短さは、この国では並んで待つということが当たり前ということを物語っているような気がする。
 長い行列を作っていても、誰一人として文句を言う人はいない。特に大勢の人を待たしていると焦ってしまうのは人情だと思っていたが、それもないようだ。
 

☆何も彼もマイペース?
 イギリス紳士(ジェントルマン)と呼べるような人や、物事に几帳面な人でも、不思議なことに、時間に関してだけはルーズである。この国の人が時間厳守でないのは、自分勝手でマイペースだからなのではなく、待つことに対する考え方が違うからなのだと思う。
 
Punctuality_bigben 時間を気にしないのは、特別な個人ではなく、企業もそうである。メールの返事が1週間で返って来たら、かなり迅速な対応をしてくれたと思ったほうがいいようだ。

 我が家でも、今まで、不動産屋、修理にやってくる水道屋や電気屋、往診の医者など、いろんな人がうちにやってきた。たいていは時刻ではなく、日にちを指定される。つまり、一日中、家で待っていなければならない。時間指定をしたところで、守られることはまずない。
 例えば、「午前中に」と言いながら、お昼を過ぎてもやってこない。電話すると、「今手が離せないから、じゃあ、午後4時に」と言われ、午後5時になってもやってこないから、また電話すると、「明日には」、ということになる。
 日中働いている人はそのために休みを取らないといけなくなってしまうが、よくできたもので、こういう理由で簡単に休みが取れてしまう社会のようだ。

 時間厳守でないのは、人と人との待ち合わせ、約束だけではない。電車、地下鉄、バスなどの公共の機関も、しょっちゅう遅れる。多少遅れるだけならまだましで、突然運行中止になることも多い。
 約束の時間に間に合うように、かなりの余裕を持って家を出たが、予約したタクシーが15分遅刻、さらに列車が30分遅刻して、約束の時間に遅れてしまった、なんてことはよくあることである。うちは、ロンドンなど遠方へ行く際は、1~2時間余裕を持って家を出ることにしている。日本だったら、20分も余裕をみれば充分かもしれない。
 

☆時間厳守でないことは、いけないこと?
 私自身、待つのは大嫌いである。行列のできる店にはまず入らないし、待ち合わせでも 20分経っても相手が現れないと、ついイライラしてしまう。
 でも、本当に、時間厳守でないことは、いけないことなのだろうか。
日本では、サービスの改善により、何でも待つことが少なくなった。それはそれで便利でよいことだと思うのだが、自身の経験を思い起こすと、待たない分だけ時間が余ったはずなのに、なぜかもっと余裕がなくなったような気がする。電車にしろ、時間ぴったりに来るのが当たり前だから、数分でも遅れると、何度も時計を見てしまう。

 2005年4月25日の福知山線の脱線事故が記憶に新しいことと思う。たった2分の遅れを取り戻すためにした行為によって、多くの尊い命が犠牲になった。事故を引き起こした鉄道会社の運転手たちは、過密ダイヤの導入により、絶えず時間に追われていたようだ。事故を起こした当事者は余裕がなかったのかもしれない。
 時間を守ることは大切なことだけれど、時間に追われて、余裕も笑顔もなくしてしまうのは、本末転倒かもしれない。一番いいのは、余裕を持って時間を守ることなのだろうが。

 この国の人達の時間厳守に対するルーズさは、ちょっと度を越しているのかもしれないが、遅れたことに微塵も罪悪感を感じずに、余裕に満ちた顔で、にこやかに挨拶する彼らを見ていると、まるで、時間通りにやってきた自分が些細な事にこだわり続けるさもしい人間のように思えてくる。こうやって、英国滞在者は皆、いつの間にか「イギリス度」が上がってしまうのかもしれない。
 

 ちなみに、こちらのパーティでは、30分ほど遅れてやってくるのが当たり前。定刻に行ってしまうと、まだ準備されていない会場に一人たたずむことになるので、要注意である。
 

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コメント

時間厳守、日本では当然のマナーですね。
私は大阪人なのでせっかちで待つのは嫌い。
だけど待たせるのはもっと嫌いで早めに来ては
いらいらしています。

最近は待ち合わせにルーズな人が増えてきました。
たぶん携帯が普及したからじゃないかな?

今まだ電車だから◯◯書店で雑誌のところにいて!
とか私は後から合流するから店の名前教えて!

なんてことはしょっちゅうで、
携帯がなかったころにはもっとちゃんと
来たよな~と思ってしまいます。

まああまりせかせかするのもよくないですが
郷にいれば郷にしたがえ
ってことなんですかね。

日本に住んでいる限り、
あんまり人を待たせたくないな~。

投稿: ぱんちゃん | 2006年9月 4日 (月) 21時16分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

イギリスでも、携帯電話の普及でますます時間厳守を守らない人が増えてきたというニュースを見た記憶があります。

こちらの人のペースに合わせて仕事などをしていると、つい予定が遅れがちになるのですが、我が家では、食事の時間だけはかなり時間厳守です。空腹になると皆イライラして家庭の不和が勃発してしまうので(笑)。

投稿: ろっきぃ(管理人) | 2006年9月 5日 (火) 03時29分

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