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2006年8月31日 (木)

(に) にんじん CARROT

Carrot☆1キロで130円!?  人気のにんじん
 イギリスのにんじんはかなり安い。キログラム単位で売られていることが多く、袋に10本ほど入っていて0.5~0.7ポンド(約100~140円)ほど。
 大きさはあまり一 定ではなく、日本のにんじんと同じ大きさのものから、半分ぐらいのサイズのものまでが同じ袋に入っていたりする。

 にんじんはイギリスでももちろん一般的な野菜で、使い方はあまり日本の洋風料理におけるものと変わらないようだ。サラダに入れたり、蒸したりローストして付け合せにしたり、スープにしたり。味は日本のものとあまり変わらないが、ややにんじん臭さがないような気がする。
 日本ではにんじんが嫌いな子供の話をよく聞くが、こちらではそれほどでもないのかもしれない。これは大人の話だが、2005年5月のイギリスのガーディアン紙によると、2000人による投票の結果、にんじんは、玉ネギ(55%)、トウモロコシ(18%)についで、3番目(11%)にイギリス人が好きな野菜に選ばれたのだとか。

 普通の料理だけでなく、にんじんケーキ(carrot cake、キャロットケーキ)も人気がある。すりおろしたにんじんが入っているちょっとスパイシーなケーキで、上にアイシング(砂糖ごろも)がかかっていたり、中にナッツが入っていることも多い。スーパーでも売っている。今ではイギリス(やアメリカ)を代表するケーキの一つであるが、一説には、第二次世界大戦のころの配給制限で、イギリスににんじんケーキが広まったと言われている。Carrot_bunched
 

☆葉付きにんじん、ベビーキャロットなど。
 日本でも地域や季節によっては出回る、葉付きのにんじんもよく見かける。イギリスでは小松菜や菊菜のような葉野菜が普及していないので、私たち日本人にとって、このにんじんの葉はとてもありがたい存在だ。にんじんの葉には根の倍以上のビタミンAが含まれており、ビタミンCなども豊富のようだ。

Carrot_chantenay_1  その他、ベビーキャロットや、”chantenay carrot(シャントネキャロット?)”もしばしば見かけるにんじんだ。シャントネキャロットは、フランスのシャントネ地方原産の甘みのある小さなにんじんで、イギリスには1960年代からあるそうだ。日本で「3寸にんじん」と呼ばれるにんじんによく似ているのだが、同じものなのだろうか。シャントネキャロットについてもっと知りたい方はこちらのHPをご覧ください(英語)。
 

☆復活した紫にんじん
Carrot_purple  そして、最近では、紫のにんじんが市場に出回っている。土に覆われたこの細い根菜を店頭で最初に見かけたときは、とうとう待望のゴボウの一種が出回ったのかと喜んだが、パッケージには、”purple carrot(パープルキャロット=紫にんじん)”としっかりと記されていた。

Carrot_purple_inside_1 土を洗い流すとさつまいものようなくすんだ紫色が、そして皮をむくと紫キャベツのように鮮明な赤紫が姿を現す。そして、紫色の層の奥には、普通のにんじんのようなオレンジ色が隠れている。とても色鮮やかなにんじんだ。輪切りにすると、切っても切っても、金太郎飴のように、紫の層の内側にオレンジ色の層がはいったものが出来上がる。

 このとても変わったにんじんは、新しく品種改良されたものではなく、3000年前からある元祖のにんじんだそうだ。原産地はアフガニスタンだといわれている。今でも現地では白っぽいものから黒っぽい紫色のものまで、様々な色のにんじんが出回っているとか。

 紫にんじんは、13世紀頃にヨーロッパに広まり、しばらく栽培されていたそうだ。しかし、16世紀頃、オランダで、紫色の色素ができない品種に改良されて、今のオレンジ色のにんじんである西洋ニンジンが出来上がってからは、ヨーロッパにおける需要は減ってしまったのだとか。当時の紫にんじんを知っている人はもちろんこの世にはもういないだろうが、イギリス人にとっては、紫にんじんは、懐かしい野菜というわけだ。
 この度、イギリスの大手スーパーのセンズバリーが、この2006年の7月から、紫にんじんの販売を始めており、店頭でも見かけるようになったのだ。
 

☆紫にんじんを試してみた。
 一度は廃れてしまったにんじんだし、見た目もあまりよくない。まずいに違いないと思ったものの、とりあえず味わってみた。

 味がわかりやすいように蒸し器で加熱して、普通ににんじんと食べ比べてみた。意外なことに、紫にんじんのほうが甘くておいしかった。炒め物にも使ってみたが、歯ざわりも味もなかなか良好。

 栄養価はどうか。にんじんの栄養素といえば、体内でビタミンAに変わるといわれているβカロテン。ビタミンAは、疲れ目や肌荒れ、風邪やガンの予防に効果があるといわれている。ビタミンAが不足すると夜盲症になってしまう。βカロテンは特に皮付近に豊富だといわれているが、紫にんじんの皮付近は紫色なので、βカロテンの含有量は普通のにんじんに比べて、かなり低いと推測される。
 しかし、紫にんじんの紫色の色素であるアントシアニンは、ブルーベリーなどに含まれる抗酸化物質ポリフェノールの一種。目の疲労回復に効果があるほか、活性酸素の生成を抑制して老化防止や血液をきれいにする作用があるといわれている。紫にんじんは、アントシアニン含有量の高い優秀な野菜として注目されつつあるようだ。

Carrot_purple_cook  紫にんじんの最大の欠点は、料理の幅が限られてしまうことにある。というのは、アントシアニンは水溶性なので、水につけたり煮たりすると、色素が漬け汁や煮汁に溶け出てしまうのだ。煮物が青っぽく染まってしまうのである。サラダもほんのり紫色。もしかして、このせいで、今のにんじんにとって代わられたのだろうか。
  

☆日本にも紫にんじんが出回っている?
 日本に西洋にんじんが入ってきたのは、19世紀になってからだそうだ。既にオレンジ色に品種改良された後のことだから、日本では、紫にんじんを知っている人は誰もいないのかと思ったが、実は、日本でも簡単に紫にんじんを口にすることができるようだ。ただし、ミックスジュースの形で。野菜ジュースのカゴメが「紫の野菜」という飲料を出しており、その中に紫にんじんが入っているのだとか。

カゴメ 野菜生活100 紫の野菜 200ml紙パック 24本入カゴメ 野菜生活100 紫の野菜 200ml紙パック 24本入(楽天市場)
 

 ちなみに、紫にんじんの英名は、パープルキャロットだが、別名、パープルヘイズ(purple haze=紫の霞[かすみ])とも呼ばれている。『パープルヘイズ』は、有名なアメリカの黒人ギターリストのジミー・ヘンドリクス(Jimi Hendrix)が1967年(昭和42年)に発表した曲のタイトルでもあるが、麻薬のLSDの呼び名でもある。

 一度は廃れた紫にんじん。今のにんじんの人気を上回って、麻薬のように虜になってしまうイギリス人が続出するのか、それとも、商品の入れ替えの早いイギリスのこと、いつの間にか霞のように店頭から消えてしまうのか。今後を見守りたいと思う。
 

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