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2006年8月17日 (木)

(し) 女王 [クイーン] QUEEN

☆女王の80の事実
 今年、2006年(平成18年)の4月21日に、エリザベス女王が80歳の誕生日を迎えた。それにちなんで、女王の80の事実、いわゆるトリビアがイギリス王室のHPで公開されている。

 いくつかご紹介すると、
・ エリザベス女王が最初にe-mail を送信したのは、1976年(昭和51年)。今から30年も前のことである。
・ 女王は、今までに様々な贈り物をもらってきたが、中には、ジャガー(アメリカヒョウ)、ナマケモノといった動物や、カエデの木や7kgのエビなんてものもある。
・ 現在のイギリス首相のトニー・ブレアは、エリザベス女王が統治している間に生まれた最初の首相である。
・ 1969年(昭和44年)にアポロ11号が人類初の月面着陸をおこなったが、女王が宇宙飛行士に送った祝辞は、マイクロフィルムに収められ、月に埋められた。
・ 即位以来、今までに38万7千7百を超える賞を受賞している。
・ 誕生日は4月21日だが、公的に祝われるのは、6月の第3土曜日である。
その他、女王のコーギー犬好き、競走馬好きなどが紹介されている。
興味のある方は、こちらのイギリス王室のサイトからご覧になれます(英語)。
 

☆女王は身近な存在?
 日本の皇室とは違って、イギリス王室は何かとスキャンダルなどで話題になりがちである。「俺達イギリス人は皆、奴ら(女王達)を馬鹿にしているんだ。」なんて、堂々と外国人である私達に向かって言う人もいるし、女王を小ばかにしたネタなども時折見かける。でも、何だかんだ言われながらも、国民に深く愛されている女王だと思う。

Queen_note   イギリス人にとって、エリザベス女王はとても身近な存在である。
 イギリスに入国する人にとってもそう。最初に対面する有名なイギリス人は、まず間違いなくエリザベス女王だろう。イギリスの通貨はどれも、1ペンス硬貨から50ポンド紙幣まで、女王の顔が載っているからである。
 このエリザベス女王の顔の載った通貨を放棄するのが嫌で、EU加盟国共通の通貨であるユーロへの移行を反対している人までいる。きっと、女王の載ったポンドという通貨でないと、イギリス人としてのアイデンティティが失われてしまうかのように感じているのかもしれない。
 

☆姪っ子が即位?!
 「エリザベス女王」と言ってきたが、今の女王は、正しくは「エリザベス女王2世」である。1世は、1998年のケイト・ブランシェット主演の映画「エリザベス」で有名なエリザベス1世である。こちらでもドラマが一時期放映されていた。エリザベス女王1世の場合は、正確にいうとイギリス女王ではなく、イングランド女王だが。

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Queen_family_tree_2  興味深いのは、エリザベス女王(2世)が王位に就いた経緯である。
 1936年(昭和11年)に、祖父にあたるジョージ5世が崩御し、伯父のエドワード8世が国王になった。しかし、一年足らずで、エドワード8世がシンプソン夫人との結婚のために退位したため、父であるジョージ6世が国王となった。
 これにより、エリザベスは王位継承者となる。

 その後、1947年(昭和22年)、ギリシャ及びデンマークの王子だったエディンバラ公フィリップと結婚。
 そして、1952年(昭和27年)に、父のジョージ6世が崩御し、エリザベス2世として即位することになった。
 つまり、例えが適切でないかもしれないが、日本でいえば、秋篠宮眞子さまが皇室外の人と結婚後に即位するといった感じではないだろうか。
 

☆日本とは異なる即位の事情と女系問題
 エリザベス女王の即位には、3つの事情が存在する。
 まず、伯父のエドワード8世の退位である。通常ならば、妃を迎えて即位し続けるのが普通だが、エドワード8世の場合は、王室関係者や政府により、離婚暦のあるアメリカ人のシンプソン夫人を王妃として迎えることを拒否されてしまった。そのため、結婚を選択し、王位を退位することになった。

 次に、父ジョージ6世の子供に男子がいなかったという事情。そして、エディンバラ公フィリップとの結婚である。これも、日本の通常の場合なら、黒田清子さんのように王位継承権を放棄することになるのだが、イギリスの時代背景と同じヨーロッパ圏の王室との結婚ということもあって、王位継承権を失わず、そのまま、父の崩御とともに即位することになった。

 現在、エリザベス女王とエディンバラ公の間には、チャールズ王子をはじめ、アン王女、アンドリュー王子、エドワード王子と4人の子供がいる。エリザベス女王が崩御されると、チャールズ皇太子が即位することになる。いわゆる日本で一部問題視されている女系の相続である。
 

☆女王は国の元首。国の象徴ではない
 エリザベス女王の立場は、立憲君主(constitutional monarch)である。国の元首(the Head of the State)ではあるが、憲法によって権限が制限されており、政府や首相が国政をおこなう。日本の政治形態を立憲君主制とする見方もあるが、天皇の場合は、国の元首ではなく、「国の象徴(a symbol of the state)」であると憲法で定められている。
 
 ちなみに、エリザベス女王の正式な称号は、以下のように非常に長い。
”Her Majesty Elizabeth the Second, By the Grace of God of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland and of Her Other Realms and Territories Queen, Head of the Commonwealth, Defender of the Faith” 
 直訳すると、「神の恩寵により、グレートブリテン・北アイルランド連合王国とその他の王国と領土の女王、コモンウェルス(イギリス連邦)の元首、信仰の擁護者であるエリザベス2世陛下」となる。
 

☆女王でもクイーンズイングリッシュを話さない?
 英語といえば、「クイーンズ・イングリッシュ(Queen's English)」と思っている人も少なくないと思う。もちろん、イギリス人が皆この発音で話すわけではない。「クイーンズ・イングリッシュ(Queen's English)」は、国王が統治していた頃は「キングス・イングリッシュ(King's English)」と呼ばれていたが、今は、むしろ、RP(アール・ピー)と呼ばれている。

 RPとは”Received Pronunciation (容認発音)”の略で、いわゆる認可された標準語である。RPは、王室の人々だけでなく、「イングランド南西の教養人(educated south-eastern England)」、そしてBBCのアナウンサーによって話される言葉だったが、いまや事情が変わりつつある。

 ロンドンを中心にテレビなどの媒体を使って広まった、エスチュリー(Estuary)と呼ばれる流行の英語(?)の普及によって、RP(クイーンズ・イングリッシュ)が廃れつつあるそうだ。ブレア首相もエスチュリーを使っているし、なんと実は、最近ではエリザベス女王ですら、完璧なRP(クイーンズ・イングリッシュ)ではなく、エスチュリーが混じった英語を話すそうだ。

 イギリスの女王も時代とともに変化しているんだなと思う。
 

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コメント

クイーンズイングリッシュといえば、
本当の英語、という気がしますが
ご本人もちゃんと使えないんですか。。。

私はイギリスにいったときにerがreになっているので
(centerがcentreとか)
間違いやん!と思ったのですが、erは米国語なのですね。

私は大阪在住ですが、正当な大阪弁を話せるのは
米朝師匠だけだとか。

美しい言葉を守りたいものです。
最近では、ジーコジャパンの主将であった
宮本選手は若いのにかなり美しい大阪弁を話すような気がします。

標準語はテレビニュースくらいでしか聞かないような気がします。しかし標準語は何の標準なんだろう?

投稿: ぱんちゃん | 2006年8月17日 (木) 21時00分

ぱんちゃん、コメントありがとうございます。

女王は、クイーンズイングリッシュを使えないというより、使わないようにしているような気がします。それとも、他の人々の話し方がいつの間にか移ってしまっているのでしょうかw

それにしても、「クリーンズイングリッシューイギリスの女王」から、「大阪弁ー上方落語を代表する人間国宝の米朝師匠」が登場されるとは。やられました。関西在住経験者としては、ツボを突かれた感じですw

おっしゃるとおり、言葉は絶えず変化する生き物のようなものですが、美しい言葉を引き継ぐ人が出てきてほしいものです。
エスチュリーやメディアで流れるアメリカ英語、海外からの移住者の英語に絶えずさらされているイギリス人の中にも、同様の危惧を感じている人は多いかもしれませんね。

投稿: ろっきぃ(管理者) | 2006年8月18日 (金) 18時55分

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