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2006年6月 8日 (木)

(け) 警察犬 POLICE DOG

 2005年の7月のロンドン地下鉄テロ以来、警察官の巡回が増えた。警察犬を連れた警察官も、街中や駅、空港、そして、空港間やヒースロー空港とロンドンを結ぶヒースロー・エクスプレスという列車の中まで、しばしば見かける。
 

☆バラエティに富んだイギリスの警察犬たち
 驚いたのは、こちらの警察犬の犬種である。日本で警察犬といえば、まず、シェパードが思い浮かぶのではないだろうか。しかし、私がこちらで見かけたイギリスの警察犬は、もちろんシェパードもいたが、盲導犬で有名なラブラドールレトリバーや、ボーダーコリーのような犬や、スプリンガースパニエル、家庭で愛玩犬として飼われていそうな雑種っぽい中型犬など、バラエティに富んでいた。

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 それにしても、どうしてイギリスの警察犬はいろんな種類の犬がいるのだろう。何か理由があるのだろうか。その理由を私なりに考察してみた。
 

☆考察その1---警察犬の元祖は連れのペット? 
 世界で最初に警察犬が導入されたのは、1899年(明治31年)のベルギー警察とも、ドイツ警察とも言われているが、イギリスでは、19世紀の頃から、警官が自分のペットの犬を連れて夜の巡回をおこなっていたそうだ。
 中でも、1890年台にロンドンの大きな公園、ハイドパークの交番で常勤パトロールをしていたトッパー(Topper)という名のフォックス・テリア種の犬の活躍は有名だそうだ。 

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 正式に警察犬が警察犬訓練所とともに導入されたのは、第二次世界大戦後のことだそうだが、戦時中の軍用犬としての活躍とともに、上記の公園でのテリア犬の活躍が、導入時、そして現在の警察犬のあり方に影響を及ぼしているのは間違いない。
 ちなみに日本で警察犬が導入されたのは、大正元年のこと。イギリスから警察犬2頭を購入したそうだ。
 

☆考察その2---テロや麻薬を警戒するイギリス事情
 また、テロへの厳重な警戒や麻薬問題も、イギリスの警察犬のあり方に影響を及ぼしているような気がする。アメリカの同時多発テロ以来、イギリスでは日本以上にテロが警戒されてきたように思う。テロは人の多く集まる場所ををターゲットにする。そして多くの場合、爆発物を使う。

 通常、爆発物を探す場合は爆発物等捜索犬(爆捜犬、explosive search dog)、コカインやヘロインなどの麻薬を見つける場合には麻薬探知犬(drugs search dog)が使われる。どちらも、パトロールなどをする汎用警察犬(general purpose police dogs)や、遭難者や被災者を救助する救助犬(victim recovery dog)とともに、広義の意味での警察犬である。

 汎用警察犬は、やはりジャーマン・シェパード(German shephard)が多いようだ。直訳すると、「ドイツの羊飼い」になるように、この犬種はもとはドイツで羊を追うために使われていたらしい。忠誠心と警戒心が強く、力が強いため、警備や犯人を追跡し攻撃するのに向いている。もちろん、一般の犬同様、嗅覚が優れているため、犯人や行方不明者や不審物の追跡にも適している。

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 従順なので一般の人を襲うことはないとわかっていても、シェパードには威圧感がある。目が合ったり、近づいたりしたら、突進して来て咬まれてしまうのではないかなんて、なんとなく思ってしまう。威圧感を与えるということは、犯罪防止に役立っているのかもしれないが、空港や街中、スポーツの試合会場、乗り物内などの混雑した人ごみではそれほど望ましくない。

 その点、ラブラドールレトリバーや、ゴールデンレトリバーなどのレトリバー種や、スプリンガースパニエルなどのスパニエル種は、人に与える威圧感が少ない。これらの犬は嗅覚が大変優れているので、銃器や爆発物、コカインなどを感知するのにも適しており、爆発物等捜索犬や麻薬探知犬によく使われている。
 レトリバー種もスパニエル種も多くはイギリスの犬。「レトリバー(retriever)」は、元は、猟で射止めた獲物を加えてもってくる(retrieve)ように訓練された猟犬だった。スパニエル種も狩猟犬。

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 通常の犯人を追う役割とは違って、人ごみで爆発物や麻薬を探しながら巡回する警察犬としては、一般的な汎用警察犬であるシェパードよりも、これらの様々な探知犬を使うほうが、メリットは大きいのだろう。
 

☆考察その3---イギリスは多くの犬の産地
 そして、イギリスは様々な犬種の産地としても有名である。多くは猟犬や牧羊犬など、何かしらの目的をもって交配により作られた犬である。日本も現在では海外由来の様々な犬種が家庭で飼われているが、イギリスは産地なだけあって圧倒的に歴史が古い。もともと犬種が多いのだから、警察犬にも多様な犬種を導入しても何も不思議はないのかもしれない。
 

☆考察その4---多国籍国家は犬種にも寛容?
 また、日本と違って多国籍であることも関係しているのかもしれない。ほぼ単一民族国家の日本では、外国人や日本語以外の言語をしゃべったりしている人は街中でもとかく注目を浴びやすい。しかし、イギリスでは、外国人比率が高いため、そんなことはない。皆、見た目も様々、しゃべっている言語も様々なので、仮に、私達が日本語で話していようと誰も気にしない。全く個人的な意見だが、警察犬の種類においてもイギリスは寛容なのかもしれない。もちろん、警察犬に適している犬種も存在するだろうが、犬種よりも個々の犬という感じなのではないだろうか。
 

☆イギリスではどんな犬でも警察犬になれる?
 生まれた犬が警察犬になるためには、警察犬訓練所で訓練を受け、適正を診断されることが必要である。イギリスでも、多くの場合、これらの犬は一般の人から提供され、ギフト・ドッグ(gift dog)と呼ばれている。
 日本では血統がまず調べられるようだが、こちらでは必ずしもそうではなく、年齢(大体2才以下)、大きさ、その他、警察犬に必要な忠誠心、警戒心、嗅覚、持来欲などが備わっていれば、基本的に犬種に制限はなく、どんな犬でも警察犬になれるチャンスはあるようだ。実際には、すべての適正を満たし、最終的に警察犬になれるギフトドッグは1%もいないそうだが。
 オスのジャーマン・シェパードしかダメという所轄もあるが、スパニエル種、レトリバー種、マリノア種などは一般的で、ロットワイラーやポインターやコリーや、そして、秋田犬や雑種犬を採用している所轄もあるそうだ。

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 ちなみに、日本では、ジャーマン・シェパード、ドーベルマン、エアデールテリア、コリー、ボクサー、そして1984年(昭和59年)にラブラドールレトリバーが、1992年(平成4年)にゴールデンレトリバーが加わって、7種類の犬種が警察犬として現在認められているそうだが、私が日本にいた云十年の間に見かけた警察犬はシェパードだけだったから、実際は他の6種の犬はあまり採用されていないのかもしれない。

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☆彼らは勤務中
 ドーベルマンやシェパードと違って、その他の犬種たちの周りには不思議と和やかなムードがたちこめている。犬好きならつい喜んで、「男の子ですか、女の子ですか?名前は?」なんて訊いて、頭を撫でてしまいそうである。

 しかし、彼ら(犬達)はお仕事中。どんなにリラックスした雰囲気を漂わせていても、尻尾を振って愛想を振りまいているように見えても、実はお仕事中なのである。絶対に触ったり声を掛けたりしてはいけない。

 ただ、彼らはちゃんと臭いを嗅ぎ分けて、不審者を捕らえたりできるのだろうかとちょっと心配になってしまうこともある。日本の場合と違って、断然、彼らを伴って歩いている警察官のほうが、がっしりしていて強そうだ。
 

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