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2006年5月 1日 (月)

(つ) 通貨 CURRENCY

☆EUなのにユーロではない 
 イギリスはEU加盟国であるにもかかわらず、通貨単位をユーロにしていない。

 イギリスの通貨単位はポンド(pound、「パウンド」と発音)とペニー(penny「ペニー」と発音)である。ポンドは£と略記され、スターリンポンド(Sterling pound)や GBP (great briten pound)とも呼ばれる。ペニーはペンス(pence)の単数形で、p と略記される。簡単にピー(p)と呼ばれることも多い。100ペンスが1ポンドである。
 

☆紙幣---肖像は全部女王? Currency_note_front
 紙幣は50ポンド札、20ポンド札、10ポンド札、5ポンド札の4種類だが、クレジットカードやデビットカードが普及しているため、50ポンド札はあまり使われず、スーパーのレジなどで支払いの際に手渡すと、必ずと言っていいほど透かしてチェックされる。私の場合、悲しいことに20ポンド札でも透かされることがしばしばだが。

 日本のお札の表側の肖像は金額によって違うが、こちらのは、どれも同じエリザベス女王である。
 このため、無意識に表側の人物像でお札を見分けていた私は、最初、なかなか10ポンド札と20ポンド札の区別がつかなくて、レジで手間取ることが多かった。

 しかし、地味だが裏側には金額によって違う人物像が印刷されている。
Currency_note_back_1 50ポンド札がイングランド銀行創始者のサー・ジョン・フーブロン(Sir John Houblon)、20ポンド札が、イギリスの第二国歌とも呼ばれている『威風堂々』を作曲したサー・エドワード・エルガー(Sir Edward Elgar)、10ポンド札が進化論で有名な自然科学者のチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)、5ポンド札が社会活動家のエリザベス・フライ(Elizabeth Fry)。
 透かしはどれもエリザベス女王の顔である。

エルガー:行進曲「威風堂々」 Music エルガー:行進曲「威風堂々」 

アーティスト:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
販売元:ユニバーサルクラシック
発売日:1995/04/21

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☆一見ちゃちそうでもハイテクな紙幣 
  その他、気付いた日本のお札との違いは、その大きさと、お札を乱雑に扱う人が多いということだろうか。
 日本のお札の縦幅は千円札から1万円札まで同じ(7.6cm)だが、こちらのは、例えば 5ポンド札(7cm)と50ポンド札(8.5cm)では1.5cmも違う。横幅は全体的に日本のものよりかなり短めである。
 お札をメモ代わりに使っているのか、書き込みがしてあるものも頻繁に見かけるし、ヨレヨレで破れているものも多いように思う。概してとてもきたない。

 日本のお札に比べて、サイズも小さめでボロボロなので、なんとなく作りもお粗末な印象を受けるのだが、実は、イギリスの紙幣には結構ハイテクが駆使されている。

 偽造防止のために、日本の1万円札などの紙幣でも幾つか導入されているが、5ポンド札(千円札に相当)から20ポンド紙幣まで、透かしに加えて、ホログラム、いわゆる凸凹印刷(深凹版印刷)、特殊発光インク、マイクロ文字、そして、メタリック・スレッド(metallic thread)と呼ばれる金属の糸がお札の一部に埋め込まれた加工が施されている。紙幣を発行しているイングランド銀行のHPはこちら(英語)。また、偽造防止のハイテクのバーチャルツアーのみを見たい方は、同じくイングランド銀行のこのサイトからどうぞ(英語)。疑似体験できるのでお勧めです。また、日本の偽造防止技術については、この日本銀行のサイトをどうぞ(日本語)。
 

☆硬貨にも工夫が---七角形やバイメタル Currency_coins
 硬貨は、2ポンド、1ポンド、50ペンス、20ペンス、10ペンス、5ペンス、2ペンス、1ペニーの 8 種類。どれも表面はエリザベス女王の顔が刻印されている。

 おそらく50ペンス硬貨、1ポンド硬貨、2ポンド硬貨の裏側だけだと思うのだが、模様にバリエーションがある。また、20ペンス硬貨と50ペンス硬貨は珍しい七角形で、2ポンド硬貨はバイ・メタル・コイン(bi-metal coin)と呼ばれる、白銅(ニッケル銅)の周りにニッケル黄銅が貼られた二重金属の硬貨である。これらの珍しい作りの美しい硬貨は、イギリス旅行の際の土産にもいいかもしれない。 Currency_two_pound_coin

 1ポンドは大体200円前後だが、物価が高いので、1ポンド=100円のつもりで使っているという日本人の人もいた。イギリスの造幣局(Royal Mint)のHPはこちら(英語)。
 

☆どうしてユーロではなくポンドなのか?
 イギリスがEU共通貨幣のユーロではなくポンドを使用し続けているのは、一説には、ユーロを使用することによって、他のEU加盟国の干渉を受けたくないからだと言われている。また、一説には、エリザベス女王の顔の載ったお札や硬貨を失いたくないからと言われている。EU加盟国になっても大英帝国の誇りや伝統を失いたくないのかもしれない。

 また、もう一説には、ポンドに保つことによって、通貨価値の下落を防ぎ、経済を保っているのだと言われている(1ユーロはおよそ150円である)。しかし、EU加盟国がユーロを実施し始めた当初、80%近くあったポンド支持者が、今や50%を大幅に切っているようである。それほど遠くない将来、イギリスもユーロを採用するようになるのだろう。
 

1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく
 ところで、「ペニー」と聞いて、私はジェフリー・アーチャー(Jeffrey Archer)の処女作、『百万ドルをとり返せ!』を思い出す。ジェフリー・アーチャーは日本でも有名なイギリスの作家で、他のメジャーな作品として、『ケインとアベル(Kein & Abel)』などがある。

 『百万ドルをとり返せ!』は、罠にはめられ、財産を巻き上げられた4人の男が協力しあって、自分達を罠にはめた張本人を罠にはめ返して、こっそりお金をとり返すという話である。原題は”Not a penny more, not a penny less” 「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく」。1ペニーは約2円。頭脳プレーで 「とられた分だけきっちりと取り返そう」というイギリス紳士的(?)なところが、この原題によく表れているように思う。

Book 百万ドルをとり返せ! 

著者:永井 淳,J・アーチャー
販売元:新潮社

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 ポンドを用いた表現はあまり聞かないが、ペニーを用いたものは多い。
・ ”penniless (ペニーレス、1ペニーもない)”=「無一文の」
・ ”penny-pinching (ペニー・ピンチング、1ペニーを切り詰める)”=「けちな」
・ ”a pretty penny (ア・プリティ・ペニー、かなりの量のペニー)”=「大金」
・ ”ten a penny (テン・ア・ペニー)=「二束三文の、どこにでもある」
・ ”spend a penny (スペンド・ア・ペニー、ペニーを使う)”=「用を足す」
・ ”think one's penny silver  (自分のペニーを銀だと思っている)”=「うぬぼれる」
などなど。
 

 通貨がユーロになると、EU加盟国内での貿易や人や資本の動きが盛んになっていいのかもしれないが、外国人の私がいうのもなんだが、ちょっぴり寂しい気もする。
 

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